リベートに関して

本日はリベートに関して記載します。

リベートに関してビールの話を例に挙げます。ビールの店頭価格は従来、ビール各社が販売数量に応じたリベートを卸売業者経由で小売店に支払うことで安く抑えられていました。しかしながら2006年にリベートが廃止。それにイオンが反発したため、卸売業者は原価割れの状態でビールを卸していたということがあったようです。他にリベートに関しては、小売業側がイベントなどを行ったりする際にメーカー側からお金をもらって什器代や広告代等に充てたりすることがあったりするのですが、不思議なことだなぁと思ったこともあります。しかしながら、このメーカー側が小売側にお金を出すということには古い歴史があるようです。

 第二次世界大戦後、大量生産・大量消費の時代が到来し、「規模の大きさ」「情報力」「ブランド力」といった力を得ていったメーカーに力が蓄積されていきました。それに伴い、メーカー→卸→小売業という流通チャネル体制が構築されていきました。この際に価格に関してもメーカーが主導権を握るようになり、メーカー希望小売価格が小売店頭での価格となったのです。(メーカー希望小売価格:商品を製造するメーカーや輸入する代理店など、小売業者以外の者が自社の供給する商品について設定した販売参考小売価格)これにより、メーカーが主導でメーカー、卸、小売それぞれの利益配分を決める「建値制度」というものが確立していったのです。この建値制度はメーカーが卸や小売にいくらのマージンを払うか流通段階での利潤を見込んで最終小売価格をあらかじめ決めておくものになりますから、このシステムに乗っていればそれぞれの流通段階で利益を確保できていました。

しかしながら、この建値制度は取引量が利益にそれほど反映されない(小売業側が大量に仕入れて、大量に売ってメーカーに貢献したとしても、配分利益以上にはもらえない)という問題点がありました。メーカー間での競争もありますので、この取引量を反映しない建値制度を補う「リベート制度」が登場しました。

 時代の流れとともに、小売店のチェーンオペレーションがアメリカを手本として少しずつ導入され、ダイエー、イトーヨーカ堂、ジャスコ(現イオン)など巨大な量販店が登場するようになりました。この結果、量販店は中央(本部)仕入れなどで大量仕入れを行うようになっていくと同時にPOSシステムの導入により商品の売れ行きが即時に掴めるようになることで、情報力をつけるようになってきました。このような流れで量販店が力をつけ、メーカーとの取引条件を有利な方向へと持っていくこととなりました。この中で、値引き、協賛金、リベート、インセンティブ、無料運送サービスなど多様な小売側への利益還元の仕組みが、個々の量販店ごとにできていったようです。

 現状の問題点としてはメーカー側が個々の小売店の取引コストを把握していない状態で、個々の小売店の感度に応じたリベートで、個々のメーカーが販売促進を行っているため、複雑なリベート制度になってしまっているということがあるようです。

 一見、不思議な制度に思えたリベート制度に関しても過去からの流れがあるということがわかります。

 (参考文献:日本一わかりやすい価格決定戦略)

ブルー・オーシャン戦略・レッド・オーシャン戦略

本日はブルー・オーシャン戦略・レッド・オーシャン戦略に関して記載します。

カナダのポップス/R&Bシンガーでジャスティン・ビーバーという人気歌手がいます。彼が歌手として成功するにあたって、きっかけとなったのがYouTube。今でこそいろいろな人がYouTubeにアップして自己表現をしていますが、YouTubeから出てきた草分け的存在がジャスティン・ビーバーらしいのです。よく言う先行者利益を得た一人ということだと思います。

 先行者利益とはちょっと意味合いが違うかもしれませんが、ブルー・オーシャン戦略というものがあります。ブルー・オーシャンとは、今はまだ存在していない市場=新たな需要を創造するという意味合いです。新たに創造された市場にはまだルールがありませんので、利益の伸びは大きくなり、自社の成長スピードも速くなります。

ブルー・オーシャンと比較する考え方としてレッド・オーシャンという言葉もあります。レッド・オーシャンの状況では市場の参加者は限られたパイを奪い合うべく、しのぎを削っています。多くの企業が「競争に打ち勝つ」ことを戦略の目標として多くの時間を費やしている状態となっているのです。そのような状況なので競争のルールも広く知れ渡っています。また、競争相手が増えるにしたがって製品がコモディティ化していくという問題も出てきます。

さて、ブルー・オーシャンの例としてアスクルの戦略があります。過去、文房具業界においては従業員30人未満の小規模企業やソーホーは、一般消費者が行くような文房具店で購入するのが当然という時代でした。また、小規模企業やソーホー側も自分たちが文房具メーカーから直接サービスを受けられる顧客とは考えていませんでした。小規模企業やソーホーの方がいろいろ文房具を見たい場合、品揃えが豊富な都心の大型文房具店にまで行かなければなりませんでした。また、オフィス用品を一か所で揃えることも難しく幾つかの店舗を回ることも普通でした。こうした状況でしたので、小口顧客はいつでも他の製品や店舗に乗り換えることができる消費者だったのです。

アスクルは、上記のような小規模企業やソーホーにオフィス用品や日用品を販売する販売事業部として1993年にサービスを開始。小規模企業層から直接注文を受け、そして直接配送する大企業へのサービス並みの利便性と1万品目を超える幅広い品揃えで、「ワンストップで、幅広い商品を簡単に購入したい」という市場を開拓しニーズを満たすことに成功しました。その結果、1998年から2000年までに売上高を106億円から471億円と急成長させ、今でも売上高を伸ばしています。

 閉塞感漂う状況に置かれている場合、このブルー・オーシャンの考え方を活用していくことも重要だと感じます。

 (参考文献:日本のブルー・オーシャン戦略)

カテゴライゼーション

本日はカテゴライゼーションに関して記載します。

ちょっと前にネットとかでもよく売れていた明治乳業のヨーグルトLG21を飲んでみました。味はあっさりした飲むヨーグルト的な感じで飲みやすかったです。また、この商品に使われているLG21乳酸菌が胃癌の発生原因の一つとされるヘリコバクター・ピロリなるものの活動を抑える効果があるようで、健康にも良さそうな気がします。1本112mlで税別126円ですからちょっとだけ高めの価格設定になっています。健康関連商品がたくさんある中で同じような健康関連商品を販売したとしても売れるものでもありません。このヨーグルトLG21がピロリ菌を抑えるという消費者から通常の商品とは違ったものと位置付けられたからこそ高価格にもかかわらず売れたということなのです。ヨーグルトLG21は、新たに消費者ニーズが存在しているものの、消費者にとって今までになかった判断軸を創りだし、ほかの類似の商品群からはっきりと区別できる差別化軸を成立させたということになります。ほかの例として虫歯予防のための健康ガム「キシリトールガム」があります。虫歯を治療するという発想から健康な歯を維持するという考え方の転換を行い成功しました。虫歯になる人は日本人全体の1割に過ぎないところ、虫歯になる前の9割の人も顧客に取り込み、新市場を開拓。ガムというカテゴリーの中での異質化を図ったのです。

 新たなカテゴリーを作り、どの既存の製品カテゴリーにも属さなければ、判断基準となる値ごろの価格がないので、企業側で比較的自由に価格設定ができることになります。また、新たなカテゴリーを作らないまでも、カテゴリーの中の小さな特異ポジション、サブカテゴリーとして消費者から通常とは違ったものと判断してもらえれば企業側に価格決定の主導権が握れるようになるということです。

さて、小売業の中でもカテゴリーキラー(※1)という業態があります。価格設定の話とは異なるかもしれませんが、特異ポジションを作り上げていた業態と言っていいような気がします。いくつかの企業の有価証券報告書を見てみると売上・経常利益ともに順調に推移しているようです。ファーストリテイリングは2008年から2012年にかけて売上高を58.4%増、経常利益を46.1%伸ばしています。また、マツモトキヨシは同期間で売上高11.2%増、経常利益15.6%増、ニトリは売上高52.4%増、経常利益122.6%増という結果になっています。集中と選択、特化するという効果の表れなのでしょうか。

いずれにしても自身・商品のカテゴリーをいかに他と差別化するかということが重要だということだと思います。

 (参考文献:「日本一わかりやすい価格決定戦略」「100円のコーラを1000円で売る方法」)

高くても買う

本日は価格「高くても買う」ということに関して記載いたします。

 最近、だいぶ暑くなってきました。そろそろプールが賑わう季節ですが、このプールにも価格設定がいろいろとあります。例として地元の温水プールはウォータースライダーや流れるプールまでついていて2時間400円。屋外で開放的にレジャーを楽しむとして、豊島園のプールだと大人3,800円。最後にホテルニューオータニのプールだとビジター料金でなんと平日12,000円。プールという括りだけでもこれだけ価格設定に差があるのですが、ホテルニューオータニのようなシティホテルのプールは高価格にもかかわらずOLを中心に若い女性に人気なのだそうです。理由としては、「高い料金設定で学生を中心とする若年層が来ないためプールが混雑しない」「高い料金設定にすることにより利用顧客が比較的ハイソサエティ層に限定される」ということがあるようです。確かに昔、豊島園のプールに行ったときは流れるプールがイモ洗いで、泳がずぷかぷかと水に浮かんでた記憶があります。

このような『価格』が持ち合わせている意味として3つあります。一つが“高いのは嫌だ”という「支出の痛み」。二つ目が価格で品質を推し量るという「価格の品質バロメーター」の意味。例えばなのですが、薬局に行って薬を買おうと思った時、成分を見ても意味が分からないし、ブランドもCMとかで聞いたことはあるけど違いがよく分からないし、でもあんまり副作用があるような商品は避けたいし、という時、ちょっと高めの商品を選んだりします。価格で商品の良し悪しを判断しているのです。これが「価格の品質バロメーター」です。三番目に“自分は高いものを買えてすごいぞ”という自己表現価値「価格のプレステージ性」です。単なる移動だけなら軽自動車でも良いのですがベンツのほうが良いというあの感じです。

ホテルニューオータニのようなシティホテルのプールは、高価格にすることによって高いプレステージを維持し、高くないと買わない人々をターゲットとしているのです。価格設定で一旦ターゲットを絞ったら、その変更は慎重に行った方が良いようです。バブル崩壊後、景気悪化に伴い大手旅行代理店の値下げ圧力に押される形で有名旅館やホテルの低価格化がかなり進みました。この際、既存顧客であるハイソサエティな顧客が離れていきジーンズ姿の若者がやってくるという顧客の入れ替わり現象が起きたということです。今現在は高級化路線を走るモスバーガーも、過去、1999年春に低価格セット、同年夏に190円の「グリルソーセージバーガー」で新規顧客開拓を狙いましたが、客単価と平均来店客数の減という結果で終わったということがあったようです。

このシティホテルのようなケースは会員制のゴルフクラブ、リゾートクラブ、高級フィットネスクラブのような高級サービス業にはほとんどあてはまるようです。しかしながら価格が高いということに関して、重要なことはその中身で、ただ高いだけではなく、価値をしっかりと築き上げておかなければならないということです。何を販売するにあたっても付加価値を少しでも多く付け加えられるように努力が必要ということなのだと感じました。

 (参考文献:「日本一わかりやすい価格決定戦略」)

成熟市場で需要を創っているブランド

本日は成熟市場で需要を創っているブランドに関して記載します。

ちょっと前に評判になった日清食品HDの「カップヌードルごはん」を食べてみました。水を入れてレンジで温めてさっとできました。意外とボリュームもあっておなか一杯になります。確かおにぎり2個分と書いてありました。この「カップヌードルごはん」、2010年8月に関西で先行販売し、2011年7月に全国販売しヒットした商品です。カップ麺全国首位の日清食品HDは「カップヌードル」という既存のブランド資産を活かし「カップヌードルごはん」を生み出しました。新規ブランドの低い「勝率」に加工食品各社が苦しむ中、存在感を増す小売業のプライベートブランドとの棲み分けを狙い、手持ちの有力ブランドを巧みに“多重活用”しているのです。

そもそも日清食品HDには既存ブランドを多重活用する制度があり、「カップヌードルごはん」以外には「麺の達人」を活用して、温度帯の異なる商品を扱うグループ会社である日清食品チルドが「つけ麺の達人」を販売するなどしています。このようなブランド商品を多重活用する戦略は、消費者の間で強まりつつある定番志向に合致したこともあり、成果を上げたようです。このようなブランドの多重活用は小売業のプライベートブランドとの棲み分けということ以外に、コンビニの棚を確保しやすいというメリットもあるようです。コンビニへの販路は、メーカー各社が次々と新商品を投入することから、新商品にとっては狭き門で継続的な販売は難しくなっています。しかしながら知名度の高いブランドを冠する商品ならば一定の売上確保も見込めるため、コンビニ側としても店頭に商品を並べやすいのです。

 話は変わりまして、カルピス。カルピスはその経験率が99.7%と認知度も非常に高いのですが、少子化が進む中で苦戦を強いられてきました。ところが最近になり業績が改善していると言います。発端は2007年に着手した外部企業とのコラボレーションによる商品の多面展開と販促です。例えば2011年6月から期間限定販売した「カルピス蒸しパン」はコンビニで支持され、通常のヒット商品の3倍の売上を記録しました。他にはカルピスを使ったカルピス入りのホットケーキの販売にもチャレンジしたようです。外食店への開拓も行っていてカルピスを使ったカクテルや料理の提案も行い、今ではカレーの隠し味に使うチェーン店もあるようです。「カルピス社員のとっておきレシピ」なる本の販売もされているようです。

カップヌードルごはんにしてもカルピスにしても、既存のブランド商品を今までとは見方を変えて販売したことにより売上が回復したようです。商品が衰退期に入る前に新たな息吹を与えて新たな成長へ繋げたということでしょうか。商品自身の持っている力を再度見直し活用することによって成長戦略へとつなげていくということの例だと思いました。また、これは余談にはなりますが、居酒屋で気づいたら「カルピスサワー」とかが出ていて、飲んでるだけでしたけど、何気なく、いろいろなところにマーケティングが仕込まれているものだなと感じました。

 (参考文献:日経MJトレンド情報源2013)

顧客の深耕度

本日は顧客の深耕度に関して記載します。

アメリカの企業でアウトドア製品で知られるL.L.ビーン社という会社があります。この会社ですが、ネットのサイトを見ると次のようなコメントが出てきます。「すべてのL.L.Bean商品はお客様に100%ご満足いただけるよう、保障されています。もしお買い上げの商品にご満足いただけない場合には、いつでもご返品ください。」というコメントです。

さてこの会社、創業した1912年に革張りの上に防水のゴムでカバーしたハンティング・シューズを100足販売しました。このシューズに100%満足保障のタグをつけて販売していたのですが、3週間で返品が始まり、最終的には100足中90足が返品されました。返品理由はシューズをカバーしていたゴムがはがれたからなのですが、この会社は90足すべての靴を取り替え、100%満足保障を実行したことにより、消費者の信頼を勝ち取りました。そして、商品の品質も向上させ、ビジネスを軌道に乗せたのです。似たような例で、全米最大の高級デパート「ノード・ストローム」もだいぶ履いてしまった靴ですら、苦情を言えば交換してくれるそうです。以上のような顧客満足度向上を重要視する経営には『顧客が感じる価値を高める』という目的があります。企業が提供する商品・サービスを顧客が価値があると考えた際にお金を払うわけで、顧客から高い価格を支払ってもらおうとするならば、企業側はそれなりの価値を顧客に提供しなければなりません。

 企業にとって消費者には段階があります。1番目が見込み客。2番目が顧客。3番目がロイヤル顧客。見込み客の段階では企業と消費者の関係は弱く、消費者はあくまで潜在的な顧客に過ぎません。続いて顧客の段階においては競争企業と価格を比べながら自社で買うかどうかを決めている段階で、進んで高い価格を払ってまで自社で商品・サービスを買ってくれようとはしない段階です。そして最後にロイヤル顧客ですが、この段階にまでなると消費者は自社にとって熱心なファンになっていて、商品・サービスの価値を非常に大きく感じて、価格が高くても喜んで支出してくれるようになります。ロイヤル顧客が増えれば企業は長期的に利益を確保しやすくなります。ロイヤル顧客をたくさん抱えている例としてカルティエやルイ・ヴィトンなどのラグジュアリーブランドが挙げられます。

 自社が消費者に与えている価値を高めていくことにより、見込み客から顧客へ、顧客からロイヤル顧客へ、徐々に消費者が自社のファンになっていきます。「与えられる存在になる」ということが生き残っていくうえでの前提になるようです。

 (参考文献:日本一わかりやすい価格決定戦略)

価格戦略(値下げ)に関して

本日は価格戦略(値下げ)に関してです。

 日本マクドナルドと言えば、店舗売上高においても経常利益額においても飲食業界でトップを突き進む企業です(2011年段階)が、過去、その業績を大きく落とした時期がありました。それは2002年6月の中間決算(1~6月)においての話ですが、その際、売上高に関して前年同月比△3.9%、経常利益、同△80.5%、税引き後利益、同△81.4%となり、大きく減収減益となりました。理由はBSE問題やインフルエンザ検出による鶏肉輸入停止による「チキンナゲット」販売中止などがあるようですが、もう一つの理由として「ハンバーガー平日半額セールの打ち切り」の影響も大きいようです。

マクドナルドの価格戦略は、1995年4月にハンバーガーの値下げが行われ、例えばハンバーガーが210円から130円、チーズバーガーが240円から160円に値下げが実施され、その後2000年2月14日には「ウィークデースマイル」プログラムが実施され、ハンバーガーが平日65円、チーズバーガーが平日80円と更なる値下げが行われるという経緯でした。「ウィークデースマイル」は大きな結果を残していて、2000年、平日の販売個数は前年比4.8%増、ハンバーガー市場でのシェアは61.8%から64.6%にアップしました。

また、この低価格戦略により、中心顧客を中学生・高校生という巨大な低価格購買層にシフトさせる結果となりました。

 売上やシェアが上がったことは良いことだったのですが、一方で「中高生で混雑度が増した結果、注文に長い列を作って待たなければならなくなった」「席さがしが大変」「若者パワーで騒がしくて落着けない」などのデメリットも発生し、ある程度高い商品でも買えるようなOLやビジネスマンのお客様がマクドナルドから離れていってしまうというデメリットも生じさせてしまいました。

このように低価格戦略を取ったことにより主力顧客層の入れ替わりが起こり、入れ替わりが起こった後は低価格の商品しか受け入れない顧客がメインとなるということがあるようです。その結果として顧客単価が低下し、収益が悪化するという現象が引き起こされます。価格以外の原因で一度離れた顧客はそう簡単には帰ってきてくれず、ただ、低価格ゆえに来店する顧客は低価格によってのみ戻ってくる、ということのようです。

 売れなければ商品を安くして販売するということもあるのでしょうが、十分に「その価格で販売していいのか」は検討した方が良いように感じます。コモディティ化の進んでいる現在では値引きを行って他社との競争に打ち勝つように対応することは、結果として将来的に自社をじり貧に陥らせてしまうということも意識しておくことが必要なようです。

 (参考文献:価格決定戦略)

家電流通システム

本日は家電流通システムに関して記載します。

 気になるCMを観ました。日立のCMで街の電器屋さんのCMです。地域に密着して世代を超えて皆様のお役に立っています的なCMなのですが、「なぜ、今なのか?」という疑問が出てきました。

 日本の家電流通システムにおいて、その中心を担う小売業の勢力は過去3回の入れ替わりがありました。まず初めに1950年代後半以降、松下電器産業(現パナソニック)や日立製作所、東芝などの家電メーカーが自社の製品を専売する小売店を組織化していた時代です。そしてその次に主に1980年代から1990年代にかけて日本電気専門大型店協会(NEBA)に加盟する家電量販店が台頭した時代です(NEBA加盟店の特徴は、それぞれ出自とする地域に地盤を持ち、会員間同士の出店地域が重ならないような棲み分けが行われていたことと、メーカーとの協調関係があり価格競争を抑制していた、というような特徴がありました)。そして直近の1990年後半以降においては少数の量販店とカメラ系と呼ばれる大都市のターミナルに店舗を立地させる量販店の成長・拡大です。これらの量販店の特徴としては、「郊外に大規模な駐車場を備える、あるいはターミナル駅付近に立地するなど集客を意識した立地となっていること」「店舗の大型化で多数の家電メーカーの商品を取り扱えるえること」「大量仕入れによるコストダウンとそれを可能にする多店舗化の実現」「価格訴求力を示すための大量の宣伝広告」といったものがあります。そして今現在の流れにおいては、中小チェーンは大企業への統合もしくは店舗の閉店を余儀なくされていますし、さらには上位チェーンにおいても企業間の合従連衡が行われています。

そもそも現在の家電量販店における上位チェーンは地方都市を出自とするものが多く、ロードサイド型店舗を基盤として、スケールメリットを背景とした店舗網を構築してきました。「自社による情報・物流システムの構築や地価の安い郊外地域への出店によるローコストオペレーション」「中小規模店を潰し大規模な店舗を出店するスクラップ・アンド・ビルドによる店舗の大型化」によって成長を図ってきたのです。近年では地方での市場が飽和状態にあることと、地価の下落や居抜き物件の活用により、地方都市出自の家電量販店が大都市へも出店してきています。

2010年に売上高2兆円まで行った2000年代の家電量販店の主役、ヤマダ電機についても上記のような動きを今までつけてきました。一方で、「コスモス・ベリーズ」というフランチャイズ・ボランタリーチェーンも同時に展開し、小型店への進出も図っています。

 今までスケールメリットを活かし低価格で商品を提供してきた家電量販店ですが、地方のみならず大都市圏においても競争が激しくなる中で、市場は飽和状態にあります。そこで大型店ではカバーしきれない商圏をカバーするような小型店が再評価されるようになってきているようです。小型店ならでは行える商品説明、アフターサービスの充実といったことにより、消費者との関係をしっかり築き上げ、従来のマス・マーケティングの追求に加えてワンツーマン・マーケティングを組み合わせた営業を展開していこうという動きになってきているようです。また、高齢化社会においては懇切丁寧なサービスが重要になることもポイントです。大型店ではこの部分がフォローしきれないため小型店のサービスは強みになるようです。

 始めに話を戻しますと、日立のCMは家電量販店による店舗の大型化一辺倒からの変化も踏まえ、再度見直されている小型店のサービスをアピールすることで市場の獲得を狙っているのではなかろうかと考えた次第です。

 (参考文献:小商圏時代の流通システム)

総合スーパーの戦略の転換

本日は総合スーパーの戦略の転換に関してアップします。

 今日、イオングループの「まいばすけっと」に行ってみました。「まいばすけっと」とはイオングループの都市型小型食品スーパーマーケットです。今日行った店は駅から歩いて5,6分のところにあり、周辺地域は静かな住宅街でした。「まいばすけっと」は店の外から見るとコンビニのような佇まい。しかしながら、店自体はコンビニよりちょっと大きめの規模で展開しているように感じました。また、コンビニとの違いは店内で販売しているものがほとんど100%近く食料品。しかも安め。チェーン店の什器陳列に見られるような店舗レイアウトになっていてコンビニとはそういったところも違うかなという感想を持ちました。

 「まいばすけっと」は店舗形態としてコンビニに類似していますが、“営業時間が7時(8時)~23時まで”“売上高に占める生鮮食料品の割合が約30%”“商品の価格設定が総合スーパー(イオン)や食料品スーパーに準じている”といった点からコンビニとは異なる性格を持っています。2011年12月現在、東京23区、川崎市、横浜市に出店地域を集中させていて店舗数は238店舗。「居抜き物件」を出店先に選び建設にかかる初期投資を抑え、大量出店につなげてきました。商圏規模についてはコンビニほどの店舗面積ということもあるためか、基本的に半径300m以内かつ2000世帯以上に設定されています。

 過去、イオンは広い用地が確保できる郊外地域あるいは既成市街地の工場跡地に広域型ショッピングセンターを出店する戦略を取っていました。この戦略は1990年代から2000年代前半までは集客力を高める手段として確立していましたが、2006年に改正された都市計画法で広域型ショッピングセンターによる出店が難しくなりました。また、少子高齢化に伴う市場の縮小の影響で、広域型ショッピングセンターの出店は飽和状態にもなっています。自動車での利用を前提としたイオンにとって、広域型ショッピングセンターに替わる業態の開発を模索していました。その中で大都市内部の既成市街地は人口密度の高さから食料品に対する潜在的な需要が見込める有力な市場であるにもかかわらず、地価価値が高く大型店の展開が難しく、イオンにとって未開拓の地域でした。そこで「まいばすけっと」を大量出店し、短期間で大都市内部の既成市街地へのシェア拡大を図ったということになります。

 次にイトーヨーカ堂を見てみます。イトーヨーカ堂は2000年代に関東地方へ出店した34店の大半が東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県の大都市圏に限定されていて、ドミナントエリアとして東京大都市圏に深耕化を図っています。そして、2000年代後半イトーヨーカ堂は新たな広域型ショッピングセンター「Ario」を開発。また、既存店を業態転換したディスカウントストア「ザ・プライス」を展開。このような重層的な店舗展開をドミナントエリア(東京大都市圏)で行うことにより、勢力の維持と多様な消費者の需要を満たそうとしています。

イオンがとっている戦略にしてもイトーヨーカ堂がとっている戦略にしても、業態として総合スーパーに依存しないビジネスモデルを構築しようと試みているということが言えます。世界の小売業売上高ランキングの14位と17位の企業がチャレンジし続けています。変化への対応・現状を維持することに留まらないための努力が市場から求められているのかもしれません。

 (参考文献:小商圏時代の流通システム)

まちづくり3法

今日はまちづくり3法に関してアップします。

まちづくり3法とは「生活環境への影響など社会的規制の側面から大型店の出店の新たな調整の仕組みを定めた『大規模小売店舗立地法(大店立地法)』」、「中心市街地の空洞化を食い止め活性化活動を支援する『中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律(中心市街地活性化法)』」、「土地の利用規制を促進する『(改正)都市計画法』」の3つの法律を総称して言う法律で1998年に成立されました(大店立地法のみ2000年施行)。

まちづくり3法は都市計画の観点から大型店の立地を規制していこうと創設された法律でしたが、近年の店舗面積の拡大、中小小売業の事業所数の減少が表している通り、大型店の出店増加や郊外立地、店舗の大規模化は止まらず、中心市街地の空洞化も進んでいきました。そのような状況を受け、2006年に都市計画法と中心市街地活性化法が改正。都市機能の郊外への拡散の抑制、中心市街地の再生、都市のコンパクト化とにぎわいの回復を目指した法改正が行われたのです。

まちづくり3法に限定していうと、そもそも大型店の立地の流れは出店場所が「都市計画法」上、立地しても良い場所かどうかで判断された上で、可能な場所であれば「大店立地法」の届け出による審査で立地が決まります。

その都市計画法ですが、大型店の立地に影響する制度として大きく「区域区分」と「用途区分」の2つあります。「区域区分」はすでに市街地を形成している区域と概ね10年以内に優先的、計画的に市街化を図るべき区域の「市街化区域」と市街化を抑制すべき「市街化調整区域」とに区分する制度です。そういえば町を歩いているとたまに空き地のような場所に「ここは市街化調整区域です」という看板が立っているのを見たような気がします。次に「用途区分」に関してですが、「市街化区域」を更に細分化するイメージで、住宅、商業、工業など市街地の大枠としての土地利用を定めているもので、現在12種類あります。身近な例だと、よく不動産の図面で載っているもので商業とか工業とかでしょうか。以上のようにこの法律により、まず市街地と市街地でない区分にわけ、無秩序な市街地拡大の防止と良好な市街地の形成を図り、そして市街地では住宅用地や商業用地、工業用地などに区分し、住み良いまちを形成しようとしています。

さて、まちづくり3法が1998年にできたにもかかわらず、大型店の出店攻勢が衰えず、店舗立地の郊外化と店舗の大型化に歯止めがかからなかったかということについてですが、2006年の都市計画法改正以前では大型店の立地は市街化調整区域では原則不可だったのですが、非線引き白地地域や都市計画区域外・第2種住居地区や準工業地区では大型店の立地に床面積の制限がなかったということがあります。こういったことを受けて2006年に都市計画法と中心市街地活性化法が改正されたのです(大規模集客施設の立地は近隣商業地域、商業地域、準工業地域に限定された)。この法改正後、チェーンストアはショッピングセンターの新規出店を減退させるとともに、大型店とコンビニの中間的な食料品スーパーなどの出店を増やしているようです。

 様々な法律や社会の仕組みの変化に伴って商環境は変わってきます。ただ、どう変わるか100%わかるわけではありません。ヤマダ電機が郊外で力をつけて、都心部に進出し、今では世界の小売業売上高ランキング34位に入っているように、日々着実に実力をつけるように努力していくしかないのかもしれません。

 (参考文献:小商圏時代の流通システム)