LINE

LINEを軸にして記載します。

LINEが8月21日に音楽配信やECサービスに参入すると発表しました。また、ビデオ通話機能なども追加するようです。今回のこの発表の中で特に注目すべき点はECサービスへの参入だと考えます。LINEのECサービス「LINE MALL」は今秋スタートを予定していますが、企業が出展するショッピングモールに加え、ユーザー同士が売買を行えるC2C(Consumer to Consumer)プラットフォームとしても構築し、「いつでもどこでも、誰でも簡単に商品の売買を行うことができる」ようにするというのです。すでにEC市場にはアマゾン(昨年売上高7,500億円余り)や楽天(昨年4,430億円余り)という大きな企業が存在していますので、どこかの企業を買収でもしない限り、新規参入するのは大変ではないかと個人的には考えましたが、そういったどこかの企業を買収するとかそういったことでもなさそうです。LINEが人気になった理由として大きなものにスタンプがありますが、その「スタンプを買う」などの行為の中で、アプリ内課金が一般化してきています。また、ローソンのクーポン(O2O)に見られるように、企業の公式アカウントがいろいろと出てきています。そういったところからLINEはECサービスの新規参入が可能であると踏んでいるようです。

LINEが人気になった理由のスタンプも今ではFacebookなどSNSでも使えるようになってきています。また、SNSの特徴として新たなSNSが登場すると、ユーザーごと他のSNSに移動してしまうという問題があることから、LINEは日常的なインフラとしての役割を果たせるように、今回のような挑戦を試みるようです。LINEは8月21日時点で2億3000万人のユーザーがいて、昨年比で460%の増となっています。また、「有料スタンプ課金」「ファミリーアプリ課金」「BtoBマーケティング」「ライセンスやキャラクターグッズ」といった売上で4~6月期の売上高は約98億円(前年同期比32倍)というように急成長を遂げています。今だからこそ新たな攻めに出て、独自のポジショニングを築き上げようとしているのかもしれません。

 話はずれますが、ソーシャルメディアは潜在顧客を育成し、顧客との関係性を深めていくことを得意とします。マス4媒体やOOH広告(交通広告・屋外看板など)が絨毯爆撃のように情報を発信ことができるのに対し、ソーシャルメディアはバズ(口コミによる話題化)で広がっていきます。LINEはお店と組んだ屋外看板などをよく見るような気がしますが、このOOH広告による情報発信とバズによる情報拡散をうまく活用し、それぞれの特徴を使い分けているような気がします。また、LINEは情報がリアルタイムで流れるのでソーシャルメディアマーケティングとしてそのポジショニングを位置付けるとtwitterのような位置づけに当たるのかもしれません。

 今回のこのLINEのニュースで驚いたのは「C2C」ビジネスという言葉です。BtoBやBtoCならよく聞きますが、C2Cという言葉には不思議な衝撃がありました。そもそもヤフオクなどで個人間の売買が一般的になってきているような気もしますし、アフィリエイトやドロップシッピングといったものもあります。モノを売買するということが企業間や店舗間に留まらない時代が到来してきているということなのかもしれません。

都道府県別の人口推移

都道府県別の人口推移に関して記載します。

 日本全体の人口が減っていく中で、その減り方には場所ごとに差があります。県別の2010年から2040年の想定値の推移を見てみると、例えば、北海道では551万人から419万人(△24.0%)、青森県では137万人から93万人(△32.1%)、岩手では133万人から94万人(△29.3%)、南の方では鹿児島県が171万人から131万人、宮崎県が114万人から90万人(△21.1%)、長崎県では143万人から105万人(△26.6%)というような推移となっていて、大体の道府県で人口が2割から3割ほど減っていくことが想定されます。一方で東京都が1316万人から1231万人(△6.5%)、神奈川県が905万人から834万人(△7.8%)と、人口減少が他の道府県と比較して緩やかになっていて、今後、東京都心部への人口の集中が進んでいくことが想定できます。ちなみに埼玉や千葉においては団塊の世代が多く住んでいることから、埼玉△12.4%、千葉△14.0%と東京都近郊ではあるものの、人口の減少は東京・神奈川と比べると大きくなると想定されています。(ちなみに人口の減少が最も少ないことが想定されているのは沖縄県で139万人から137万人(△1.4%)。)

 地方においても、比較的都市部への人口の集中が想定されていて、農山村では人口が減り続けます。日本全体の中で東京という大都市を中心に人口が集まるように、地方でも都市部へ人口が集中していくようです。そうなると、地方の中でも特に田舎の方では、全く人が住まない地域が増えていきます。人口の半数以上が65歳以上の地域を「限界集落」というようですが、そういった地域では人口がどんどん減っていき、医者や店がどんどんなくなっていき、その地域だけでは生活ができなくなってきます。

 人口の面では、少子高齢化社会と言われていますが、同時に都市部への人口集中が起こっていくことが想定されます。人口の推移によって地域の経済力も決まってきますので、このことは今後注視しておきたい内容です。

 (参考文献 データでわかる2030年の日本)

インストアマーチャンダイジング

インストアマーチャンダイジングに関して記載します。

【インストアマーチャンダイジングとは】

 売上の構成要素を分解すると「売上高」=「来店客数」×「客単価」となります。売上高を上げるためにはお客様の数を増やすか、一人あたりのお客様の買上金額を上げていけばいいわけです。しかしながら「来店客数」を増やすためには広告など宣伝費を使った店外活動が必要となり、多額の経費を使用することとなります。一方で「客単価」は「商品単価の増加」×「買上点数の増加」と考えることができ、店内での対策、すなわち“店舗レイアウト”“陳列棚の管理”“陳列法やフェイシングの管理”“POPなどの設置”“デモンストレーション”の技術・レベルを高めていくことによって増やしていくことが可能となります。

この店頭における効率的な販売を促進していくことをインストアマーチャンダイジングと言います。つまり、インストアマーチャンダイジングは“資本(売場)と労働の生産性を最大化しようとする活動”を意味しています。そして、このインストアマーチャンダイジングは体系的にスペースマネジメントとインストアプロモーションに分かれています。

【スペースマネジメント】

この2つの体系のうちの一つ、スペースマネジメントとは売場スペースを最大限に活用し、売場生産性を向上させる手法のことを言います。売場の生産性を上げるために客単価を上げていく必要があるのですが、客単価は以下のように分解できます。

■客単価(買上金額)=導線長×立寄率×視認率×買上率×買上個数×商品単価

 客単価を上げようと思ったら、上記の一つ一つを向上させていくことが必要です。ワンウェイ・コントロールのようなレイアウトにより、店内を歩いてもらう距離を長くしたり、店内の見通しを良くして売場の回遊性をよくしたり(導線長)、ディスプレイやPOP、カラーコーディネーションのレベルを上げ、お客様に商品をより発見してもらいやすくしたり(視認性)、接客技術を向上し、より高いものを買ってもらえるようにしたり(商品単価)、そういった対策を一つ一つ丁寧にレベルを上げていくことが客単価の上昇につながります。

 店内レイアウトを工夫したり、陳列方法を工夫したり、といった手段をとる目的は客単価の上昇にあります。こういった手段を目的化せずに本来ある目的をしっかり見据えて、一つ一つ実践していくことが店舗の運営にとっては必要だと思われます。

【インストアプロモーション】

 前段で、スペースマネジメントに関して記載しましたが、インストアマーチャンダイジングの体系としてインストアプロモーションというものもあります。インストアプロモーションとは小売店頭において、単なる情報提供をするだけでなく、ライフスタイル等に関する積極的な提案を行うことで、お客様の動機形成や意思決定の過程に直接影響を及ぼそうとする活動のことを言います。つまり、インストアプロモーションとは店内における販売促進活動のことを言い、価格主導型のものと非価格主導型のものに分けられます。

【インストアプロモーション:価格主導型と非価格主導型】

まず、価格主導型のインストアプロモーションとは定番商品の特売や値引き、クーポンなどのことを指します。それに対して非価格主導型のインストアプロモーションとは、クロスマーチャンダイジングやデモンストレーション販売など、ライフスタイルを提案するようなことを指します。

【インストアプロモーションの実態】

 現在、インストアプロモーションは大半の小売業によって展開されていますが、その内容としては、バーゲンなどの価格訴求が圧倒的に多く、ライフスタイル提案などの非価格的な提案は影を潜めている状態です。また、効果測定やフィードバックが行われておらず、投入した費用の効率化も行われていないようです。

【値引き販売の弊害】

値引き販売を乱用することには問題があります。一度、値引きされると、消費者の購買経験によってつくられている記憶による価格(参照価格)が低下し、店頭表示価格はその参照価格を下回らないと購買されなくなってしまうからです。このような状況になると、店頭表示価格を次第に下げざるを得なくなり、その商品を販売しても十分な利益を確保できない、という流れになってしまいます。値引き販売は瞬間風速的な意味合いを持つけれども、長く続けるべきではないということでしょう。特に現在は必要のないものは買わない人が増えていますから、利益を痛めるような値引きは控えたほうが良いと言えます。

 店内での販売力を強化していくことは、本来の商売の力を強化するという意味合いで、非常に重要な対策であると考えます。そのためにはイメージで物事を進めるのではなく、理論的に考察して積み重ねていくことが大事です。

店舗フロア間の関係

店舗のフロア間の関係に絡めて記載します。

【高くいけばいくほど人がいなくなる】

 百貨店やスーパーなどの何階建てにもなっている店舗に行くと1階のほうはお客様がたくさんいらっしゃるのに、上のフロアへ行けばいくほど、だんだん客数が減ってくるように感じることが多々あります。この上のフロアへ行くにしたがって、入階客数が少なくなるというのはどの店舗でも同様のようで、階数が一つ増えるごとに地平線から離れている方が、0.7倍の入階客数となってしまうというデータがあるということです。このことは欧米では半世紀も前から確かめられており、日本においても例外は少ないと言います。このことを数値で確認して見ますと、1階の客数を100とした場合、2階になると70、3階になると49(3階に来た段階で1階の半数以下になる)、4階になると34、5階になると24、6階になるとなんと16の比率になってしまいます。逆に地下の場合、地下1階は上記の2階と同様の推移となりますが、地下2階は4階ほどの比率に近くなってしまうと言います。

【シャワー効果・噴水効果】

このフロア階数の増減に伴う客数減少状況を食い止めようと、過去から日本の小売店では、催会場のような常設特売売場を設けたり、イベントを繰り返し行ったりしてきました。これに関してはシャワー効果と言われるものが該当すると思います。シャワー効果とは、上の階の施設を充実させ、店舗全体の売上の増加につなげる販売方法で、“屋上に人気の高い商品を配置する”“最上階のレストランを充実させる”“催会場を上階に配置する”と言ったことを行い、上から下への顧客の流れを作り、ついで買いを狙うことを言います。そもそも、何層にもわたる店舗の場合、地平線から最も離れたフロア(上層階)へお客様をまず誘導し、そのあと徐々に低いフロアに誘導することが原則としてあります。まず一旦、お客様を一番上のフロアまで誘導し、そのあと徐々に下のフロアの商品を見ていただくように誘導するのです。何層にわたる店舗の場合はそのことを意識して商品展開を行っていくことが重要になってきます。なお、シャワー効果とは別に噴水効果という言葉もあります。これは食料品売場を中心とする地下の施設を充実させ、店全体の売上の増加につなげる販売方法のことで、集客力の高いテナントの配置や地下催事などでお客様を呼び来い、下から上への顧客の流れを作り、ついで買いを狙うというものです。これなども地平線から離れれば離れるほど入階客数が減ることを前提とした対策と言えると思います。

 複数のフロアがある店舗の場合、エレベーターやエスカレーターが顧客を上層階に誘導しやすい場所にある等のハード面の違いや、何階に何の商品を配置するのかによって買い回りの良し悪しが決定してくるようです。特に都心においては何層にもわたる百貨店やスーパーが普通ですので、そういったところを見比べるのも面白いかもしれません。

 (参考文献 店舗レイアウト)

ワンウェイコントロール

レイアウト理論「ワンウェイ・コントロール」に関して記載します。

ある人が「アメリカのお店に行ったときに店内をぐるーっと回されて・・・」といったようなことを言ったときに、数人から「そうなんだよね」といった反応があったことがありました。そもそも売場をレイアウトする際には感覚で作っていくのではなくしっかりとした理論があるのです。日本のスーパーマーケットで普通に買い物している時にもその理論が活用されていることは実感できるのですが、その売場レイアウト理論のことをワンウェイ・コントロールと言います。ワンウェイ・コントロールとは店側で計画したとおりにお客様を売場内誘導するための経験法則の総称を言います。

アメリカで1960年代から1970年代に出始めたころ、ワンウェイ・コントロールは以下のようなものだったと言います。「店内を入るとすぐにターン・スタイル(一方方向にのみ通れる金属パイプの回転式入口設備)があって、それを通り越すと店の外にはもう出られない。とにかく店内の奥へ奥へと進むのみ。そして途中で戻ろうとしても什器の壁に遮られて戻れない。全通路を通った後、最後にレジがあって、ようやく外に出られる。買い忘れたものがあると、また入口から入って強制的に全通路を歩かされることになる」という状態だったらしく、まるで工場のベルトコンベアで運ばれながら買い物をしているかのような感じです。一時流行しかけたようですが、お客様からの評判も悪かったようで、10年ほどで姿を消したようです。上記は失敗事例ではありますが、その失敗も踏まえての、ワンウェイ・コントロールとはお客様が一方通行での買物を受容しながら、なおかつ心から満足できる状態をつくる、そういったノウハウとなります。

このノウハウとして、物理的な条件として直線誘導主義(通路上のお客様の大部分をより奥へ、長く誘導すること)と心理的条件として商品関連誘導主義(売場商品の関連で、お客様を次の売場に誘導すること)があります。

このワンウェイ・コントロール、アメリカでは大型化に直面していたスーパーマーケットから活用され始め、1970年代に入って、非食料品小売とフード・サービス業界のチェーンストア業界が適用範囲を拡大、汎用化した理論として活用されています。

IKEAに行くとワンウェイ・コントロールを実感できますが、それ以外にも様々な店舗で活用されていると感じます。もともと工業経営の世界での科学的な実験を踏まえた上での効率化・改善・改革の方法論から出てきた理論のようですが、売場レイアウトも感覚ではなく、理論で作り上げていくことが重要だということだと思われます。

 (参考文献 店舗レイアウト)

会員制ホールセールクラブ

会員制ホールセールクラブに関して記載します。

 会員制ホールセールクラブとはディスカウントストアの一種で、会員制の倉庫型店舗のことを言います。法人及び個人の会員から年会費を徴収し、会員のみに破格値で商品を販売する仕組みです。

 現在、アメリカにおいて会員制ホールセールクラブは現在、コストコ、サムズ・クラブ、BJ’sの3社が市場を独占しています。各社の2010年の売上はコストコ762億5500万ドル(そのうち、海外の売上は150億円)、サムズ・クラブは478億600万ドル、BJ’sは106億3300万ドル。アメリカの2010年の小売業全体の売上は4兆3535億8500万ドルですので、会員制ホールセールクラブはアメリカ小売業全体の2.7%となります。アメリカ小売業全体規模でみると会員制ホールセールクラブはニッチであるということが言えます。

一方で、アメリカ会員制ホールセールクラブの売上推移を見てみると、コストコ2002年37,995百万ドル→2011年87,048百万ドル、サムズ・クラブ2002年29,395百万ドル→2011年49,459百万ドル、BJ’s2002年5,729百万ドル→2010年10,633百万ドルと、拡大傾向にあります。

 会員制をとる魅力としては低価格で販売を行うディスカウントストアとの差別化が図れることです。会員は年会費を払わなければなりませんが、そのことにより高価値商品を卸売価格で特別に販売しているというイメージを表すことができます。また、会員制をとることで顧客を選別するという部分もあるようです。コストコ会員の平均年収は一般世帯の1.5倍だそうです。

フランスのカルフールやイギリスのTescoが日本市場に撤退したり、ウォルマートが苦戦したりする中、日本市場に遅れて進出してきたコストコは比較的好調なようです。会員制ホールセールクラブという特殊な販売手法が一定の効果を見せているということだと思われます。

 (参考文献 「コストコ」がなぜ強いのか)

コト消費 消費者が商品やサービスに参加する仕組み

コト消費に関連して消費者が商品・サービスに参加する仕組みという点について記載します。

 東京ディズニーランドの地下には会員制の秘密クラブがあるという都市伝説があるそうですが、実際に東京ディズニーランドには一般ゲスト(入園客)が入れない地下通路が存在します。使用目的はキャストの移動やレストランで使用する食材やショップに並んでいる商品を運搬するためのものです。地上で商品や食材の運搬を地上で行わないことにより、ディズニーランドは来場者に徹底的にディズニーランドの世界観に浸ってもらうということを行っているのです。

コト消費が注目される中、ディズニーランドのように、「消費者が商品・サービスそのものに参加できるような仕組みを作り上げた商売」「商品・サービスの中に消費者そのものが組み込まれてしまうような要素のある商売」が成功をおさめる例が多々あります。

例えばアップルのiPhone。iPhone自体、製品として性能が高く、他の商品との差別化が図れてはいますが、それに加えアップルはiPhoneが生み出す体験をユーザーが感じ取れるような仕組みも作り上げています。つまりiPhoneは他のスマートフォンよりも「何ができるのか」「自分の生活がどう変わるのか」ということを強く打ち出しているのです。

CMでFace Timeというビデオ通話で遠隔地にいる孫の七五三の動画を見ておじいちゃんとおばあちゃんがウルウルしているというCMを作ったということはその事例の一つです。

また、アップルストアにおいては、最初、機種別の陳列構成だったものを、完成直前に体験別に変更しています。スティーブ・ジョブズのこだわりがあったようなのですが、「初心者用」「上級者用」とスペック別に販売することが普通とされていた時代に、「映像編集」「音楽編集」と顧客のやりたいこと(体験)を重視して店舗の構成を変えたのです。

 消費者が購入する際、贈り物でもない限り、当たり前ではありますが、その中心はあくまで自分自身です。そして現在、自分自身がその商品やサービスを購入する際には「どう変われるのか」「どういう体験を得られるのか」ということを重要視する傾向が強まってきていると言えます。モノがあふれている時代だからこそ、消費者が商品・サービスをただのモノとしてみるのではなく、体験し・体感し・共感できるようなコトとして捉えられるようになってきていると思われます。

 (参考文献 萌えビジネスに学ぶ「顧客を熱中させる」技術)

コト消費

コト消費に関して記載します。

【コト消費とモノ消費】

モノ消費・コト消費ということが、流通業界で言われます。また、今の時代、すでにモノで満たされていて、物質的なモノに価値を見出しにくくなっていることから、経験に価値を見出す「コト消費」への志向性が強まっているといいます。

モノ消費とは商品・サービスそのもののことを言い、そしてコト消費とは商品・サービスの本質的購入目的のことで、使用(消費)することで得られる期待満足及び結果満足につながることを言います。

コト消費の具体例として、有機野菜の宅配サービスを提供するオイシックスがあります。オイシックスは農業体験ツアーや料理教室などの体験イベントを行っていますが、それらを通じて、消費者が有機野菜の魅力を実感するとともに、有機野菜の品質・安全性を確認することができ、結果として宅配サービス利用のリピート率が高まっているそうです。

【今、人々はどんなことにお金を使いたいのか】

 経済産業省が行ったアンケートで、今後の消費についてジャンルを広げて「今後お金をかけたいもの」について質問した結果を見てみると全体では「旅行」(54.5%)、「趣味」(47.4%)、「貯金」(46.9%)、「外食」(34.3%)、「家電品」(32.8%)が上位で、日常生活における必要経費的な支出は抑え、「旅行」「趣味」をはじめとして生活を楽しむためにお金を使いたいという傾向が表れています。詳細を見てみると「家電品」「車」「株など財テク」は男性、「普段の食事」「外食」「普段着」「装飾品・ファッション小物」「美容」「内装・インテリアなど住まい」「旅行」「自分の教養・勉強」「通信」「貯金」は女性が多くあげているようです。また、上位に上がった「旅行」と「趣味」では傾向が異なり、「旅行」が男女とも高年齢層、高世帯収入層のほうが多いのに対して、「趣味」は若年層、低世帯年齢層のほうが多いという傾向がみられているようです。人口規模別でみると、「車」にかけるお金は小規模な都市ほど多くあがっていて「外食」「旅行」「友人との交際」は反対に大規模な都市ほど多い傾向にあるようです。

【コト消費 イオンの取り組み】

2013年2月7日付け日本経済新聞(朝刊)において、イオンモールの岡崎双一社長の発言が掲載されていましたが、その中で「自転車やカメラを売りたければツーリングや写真撮影会を主催する。そんな時代になった」というコメントが出てきます。また、「茨城県つくば市にイオンが3月に開いたショッピングセンターには地元サッカークラブ運営のフットサルコートや、ドッグランを楽しめるカフェを導入し、売上高は計画の3割増しだ」というものもありました。これも単純にモノを提供するのではなくモノに体験を付与して、お客様に提案しているという、コト消費の事例だと思われます。

モノがあふれる時代、他との商品との差別化が難しくなれば、その商品はコモディティ化して価格競争に陥ることになります。そのことは当然、企業の利益を減らしていくこととなります。お客様に共感を与えられるような商品・サービスを提供するということが売上・利益を確保する上で重要になってくるのでしょう。

 (参考文献 「消費者購買動向調査」~リーマンショック以降の日本の消費者の実像~)

従業員満足度(ES)

従業員満足度(ES)について記載します。

アメリカにおいてはトップが自分のことしか考えず顧客や従業員を無視した企業は痛烈な批判を浴び衰退していっているといいます。顧客や従業員から見ると“His Company(彼の会社)”に過ぎないからです。そこから“Our Company(私たちの会社)”意識の醸成が主流となりチームプレーが重視されるようになり、今では従業員が“My Company(私の会社)”意識を持てるようにしなければ、本当に優れた顧客サービスは実現できないとまで考えられるようになってきました。

 顧客サービスの優れた小売業は「顧客の滞在時間が50%以上長くなる」「セールス及びマーケティングコストが20~40%削減される」「純利益が7~17%高くなる」という調査結果がアメリカで報告されているそうです。接客サービスを行うのは従業員であり、良い従業員が良いサービスを行うことで、ロイヤルカスタマーが作られます。顧客満足度(CS)を高めるには従業員満足度(ES)を高めることが必要であり、ロイヤルカスタマーはロイヤリティの高い従業員から作り出されるのです。

ウォルマートの創立者サム・ウォルトン氏は「従業員が競合との差別化のカギだ」という哲学の下、「人は通常仕事場で発揮しているよりも大きな才能を持っているが、それを出しきっていない」「誰でもよい仕事をしたいし、働き甲斐を求めている」という信念を持ち、従業員への権限移譲を進めていました。この権限移譲のメリットとしては、第1に顧客に対して素早い解決を提供できる、第2に従業員は信頼され任されることに対し、やり遂げようという責任感が強まる、第3に権限移譲された従業員は仕事に強い興味と意欲を持つので企業の生産性が上がる、ということが挙げられます。

 従業員満足度(ES)を高めている企業の他の例として、テキサス州にある収納器具など入れ物を中心に品揃えしているチェーン、コンテイナーストアがあります。この企業の店舗へ行くと明るい従業員が笑顔で迎えてくれ、質問には親切に答えてくれると言います。CEOのキップ・ティンデル氏は、接客のレベルを上げるポイントは「社員を愛することだ」と述べています。例えばバレンタインデーの日を「社員を愛する日」とし、本社屋上に大きな“We Love Our Employees”のメッセージを掲げたり、社員を称賛するための顧客用のサイト、Facebook、Twitterなどを用意したりしているようです。

ある機関が行った「従業員が会社に求める事柄」調査では経営者と従業員の考えに大きな齟齬があります。従業員が考える順位では、経営者が考える順位でのトップ「良い給料」は第5位で、第1位は「良い仕事をしたときの評価」となっています。このギャップは上司と部下の温度差を高めることが想定され、企業内での一体感・情報伝達に少なからず影響を与えると思います。従業員もお客様も人であるということを意識するということが求められている時代なのかもしれません。

 (参考文献 実店舗で商品を売るにはどうしたら良いのか)

ゲーミフィケーション

ゲーミフィケーションについて記載します。

 何か月か前に、電車に乗っているとGungHoのパズドラ(パズル&ドラゴン)をしている人がいました。このゲーム、非常にヒットしているようで、サービス開始から1年4ヶ月余りたった2013年6月29日には累計1600万ダウンロードされています。これはスマホ利用者の3人に1人が遊んだ計算となるようです。ゲームの内容としては、同じ色の球をそろえて消すというもので、球を消した数で攻撃力が決まり、ドラゴンなどを倒していきます。このゲームでは、育てて・集めて・戦うというRPG的な要素も取り入れています。

 上記のようなソーシャルゲームはGREEやDeNAといった企業によって一躍有名になりました。実際GREEやDeNAは企業としても急成長していて、GREEは2006年決算時には売上が107百万円だったのに対し、2010年6月には35,231百万円、DeNAは2009年3月の決算時には37,607百万円だったのに対し、2013年3月には202,330百万円という状況です。

ソーシャルゲームには、ミッションをクリアしなければならなかったり、一定の条件をクリアすると勲章がもらえたり、レベルを上げる楽しさがあったりと様々な楽しみがあります。現在、こういった要素はソーシャルメディア以外にも活用されています。それをゲームフィケーションと言います。ゲーム的な仕組みを使って、プレイヤー(ユーザー)を楽しませる、つまり、ある企業がゲームの仕組みを応用して、顧客の問題解決や契約を獲得する、という手法です。

このゲーミフィケーションの一つとしてミッション制があります。ミッション(課題)を作って、クリアすることでユーザーに達成感を与えます。これは身近な例で言うと「ポイントを集めて、グッズをもらう」というものがあります。例として楽天レシピがあります。楽天レシピは会員が料理を投稿し、それに対し“つくったよレポート”が来ると10ポイント得られるという仕組みです。料理を投稿して、ポイントをどんどん集められるという、楽しさと実益を兼ねたものだと思います。

ゲーミフィケーションとしてもう一つ、バッヂシステムというものもあります。これは物事を達成できたときにバッヂ(勲章)がもらえるという仕組みです。例えば居酒屋の塚田農場。この店、料理もおいしいのですが、来店したお客様にオリジナルの名刺を渡しています。そこには「主任」と書かれていて、来店回数が増えると「係長」「課長」と昇進していきます。小売業の例としては、2011年の始めBlueFlyが、サイト上で動画を見る、ウィッシュリストを書く、レビューを書くなどすると、それに対してバッヂをもらえるということを行いました。より多くのバッヂをもらった人は特別セールや商品へのアクセスが提供されるという仕組みです。

ゲームの要素を取り入れるということは、情報過多の時代において、お客様から自社の商品・サービスに対して共感を持って接してもらうための手段の一つになると思われます。これからますます情報が増え、商品・サービス内容がコモディティ化していくことが想定されますので、ゲーミフィケーションの要素を取り入れていくことも必要になってくるのかもしれません。

 (参考文献 萌えビジネスに学ぶ「顧客を熱中させる」技術)