JR九州の差別化集中戦略

本日はJR九州の差別化集中戦略に関して記載します。

【JR九州の観光列車】

JR九州の列車に「特急 A列車で行こう」「特急 あそぼーい」「特急 ゆふいんの森」などの観光列車がありますが、好調な結果を出しているようで、2011年度に総本数11600本、利用者数が過去最大の70万人超えるという結果を残しています。人気の秘密には“個性的な内外装”“初めての顧客に提供する1対1の手厚いサービス”“沿線の観光資源をフル活用した企画”ということがあるようです。

例えば「特急 あそぼーい」の内装を見てみると、窓側がいつも子ども席になるように配慮された親子席「白いくろちゃんシート」や木ボールに埋まって遊べる「木のプール」や子どもたちが寝転がれる「和室」などがあり、普通の列車と比べるとかなり特徴あるものとなっています。

また、沿線の観光資源という面から見ると例えば「あそぼーい」については阿蘇、「特急 ゆふいんの森」は湯布院といった観光スポットを通る形となっています。

接客に関しては、客室乗務員が出発を待つ乗客に次々と話しかけ、接客に必要な情報を収集し、それを乗務員間で共有。そしてそれを踏まえて、「一番遠方から来ていただいた顧客にはお礼状を手渡す」「誕生日の人には即席で手作りボードを用意して、記念撮影をして誕生日をお祝いする」ということを行っています。これらのサービスによって感動した顧客が口コミによって情報を拡散しファンを増やす結果につながっているそうです。

JR九州は観光列車という分野に集中し、さらには手厚いサービスを実施することで、他社との差別化を図っているのです。

【3つの基本戦略】

企業は経営戦略を立てるにあたって「コストリーダーシップ戦略」「差別化戦略」「集中戦略」という3つの基本戦略のいずれかを選んで、市場で有利な地位を確保しようとします。この3つの基本戦略はポーターが提唱した戦略で、価値とコスト、そして対象とする顧客に着目した戦略となります。

■コストリーダーシップ戦略:業界全体を対象として低コストで製品を提供する戦略。

■差別化戦略:業界全体を対象として製品の品質などを差別化して製品を提供する戦略。

■集中戦略:特定の業界を対象として低コストまたは差別化された価値で製品を提供する戦略。(この戦略で低コストの製品を提供することをコスト集中戦略、差別化された価値で製品を提供することを差別化集中戦略)

JR九州の戦略は上記3つの内の「集中戦略」に当たり、さらにはサービスという付加価値を与えていることから、差別化集中戦略をとっていると言えます。

集中戦略をとる場合、集中化した市場が縮小するというリスクがあります。少子高齢化する日本において市場は自然と縮小しますから、ターゲットとする市場とともに自社も縮小してしまわないように創意工夫していくことが必要なのでしょう。

(参考文献 明解!経営戦略がわかる~消費者視点から読み解く“戦略”のキホン~)