駅ナカ立地の強み

本日は「駅ナカ立地の強み」に関して記載します。

【駅ナカの拡大とその背景】

近年、鉄道会社が駅ナカの開発に積極的になってきています。例えばJR東日本の設立した「株式会社JR東日本ステーションリテイリング」が開発運営する商業施設「ecute」は大宮駅や品川駅、日暮里駅などにあります。また、駅ナカは地下鉄構内にも広がりを見せています。東洋メトロは2012年4月現在で20~40店舗の大規模商業施設「Echika」を表参道と池袋に開業しています。

このように、鉄道会社が駅ナカの開発に積極的になってきている背景として、人口減少に伴う乗降客数の減少ということが挙げられます。中長期的に見て、鉄道会社は鉄道以外での収入源を模索する必要が出てきていて、それが駅ナカ開発へとつながってきています。

【駅ナカ立地 2つの強み】

駅ナカに商業施設を立地する1つ目の強みとしては、集客の高さに伴った売上の高さがあります。JR東日本の駅ナカ事業、駅のファッションビル「ルミネ」は床面積当たりのファッションの売上高は都心の百貨店並みと言われていて、その床効率の良さから、各アパレルメーカーが競って出店するようになってきています。

2つ目の強みとして、固定資産税が安いと言うことが挙げられます。都心部において駅ナカは人が多いので集客力があり、それに伴って高い売上が見込めるということは容易に想定できますが、この固定資産税に関した強みの部分は特に興味深いと思います。そもそも、駅ナカは固定資産税上の鉄道用地にあたる「鉄軌道用地」内であることを指し、改札の内側か外側かは問わないものとなっています。その「鉄軌道用地」は周辺の土地に対して1/3の価値で評価されていたと言います(2007年度課税分からは駅施設の店舗には宅地並みの課税が課されるようになりました)。また、地下鉄の駅に関しては、道路下の部分には固定資産税が課せられません。このことは地下鉄の駅ナカが、税が課せられない分、利益を出しやすいということが言えます。

駅ナカは気づくとあちこちにあるようになり、その小売のスタイルは定着してきているようにも思われます。駅ナカの拡大には鉄道会社の成長に向けた取り組みと鉄道用地の活用によるメリットの大きさがあるということが言えます。今後、人口が減少し乗降客数が将来的に減っていくことが想定される中、鉄道会社による駅ナカを中心とした駅の活性化が進んでいくのかもしれません。

(参考文献 立地ウォーズ)