PEST分析

本日はPEST分析に関して記載します。

【PEST分析とは】

自社を取り巻く環境分析をマクロ的な視点を持って分析する際に使用されるフレームワークにPEST分析というものがあります。これはPolitical(政治的要因)、Economical(経済的要因)、Social(社会的要因)、Technological(技術的要因)の4つの視点から見ていくものとなります。Politicalは法改正や規制などの政治的な要因となり、例えば飲酒運転の取り締まりと罰則強化により、地方の居酒屋業界がダメージを受けたり、駐車違反の取り締まり強化により、外食産業がダメージを受けたりということが挙げられます。Economicalは業種・業態によって同じ出来事でもプラスに働く場合もマイナスに働く場合もあります。例えば円高になれば輸出産業には海外での販売価格が上昇し不利に働きますが、輸入産業には購買力を高めることができ有利です。Socialは人口動態を見ておくことが必須となります。日本では少子高齢化です。最後にTechnologicalですが、これはPESTの中でも最も短期間かつ劇的な影響を競争環境に及ぼす可能性があります。インターネットの普及・カメラのデジタル化・スマホなどが日常生活の変化に与えた影響を考えると分かりやすいです。

【PEST分析のPoliticalな要因からドラッグストアを見ると】

環境変化はPEST分析によって知ることが出来ますが、最も早くから確実に変化を読めるものがPoliticalとなります。法改正には、まず改正を促すための社会的な変化や事件があり、それを受けて現状の法律についての検討が行われます。その後国会等に諮られた後、法改正が成立しますが、その施行までには一定の猶予が与えられます。

この事例として薬事法の改正によるドラッグストア業界の変遷に見られます。もともとドラッグストア業界が出現した要因は、以前の法改正により、薬の販売を行う際には薬剤師による対面販売が原則だったところ、顧客が自分で選んで買うことが出来るようになった結果、店舗の大型化が進んでいきました。そして2007年に改正され2009年に施行された薬事法の改正法は、今度は大型ドラッグストアにマイナスの影響を与えていきます。以前は大衆薬の販売にも最低1名の薬剤師の常駐が必要とされましたが、ある種の大衆薬の販売に際して薬剤師が不要となったためです。これによりスーパーにドラッグコーナーができるようになったのです。

マツモトキヨシ傘下で都内で約140店舗を展開する中堅ドラッグストア「ぱぱす」は、このような環境変化に対応するため、2011年春以降、集客を狙いとして青果を扱うようになっています。また、青果販売に加えて500円以下の低価格弁当を揃えるなどの食品販売を強化しました。弁当導入によりぱぱすの築地店では購入客数や売上高が2割増えたと言います。戦略としては「ロスリーダープライシング」と言われる、商品単品では赤字を出しても、他の高収益商品を併売させることによって収益を出すという価格戦略を採ったわけです(ドラッグストアの平均粗利率は35%。この高い粗利率を基に食品や日用品の特売を行い集客につなげる)。このような形でぱぱすは、薬事法の改正に伴うスーパーとの競合に対応したのです。

PEST分析は状況を近視眼的に自社の状況を見るのを避けるのに便利な手法と言えます。

(参考文献 ポーター×コトラー仕事現場で使えるマーケティングの実践法が2.5時間でわかる本)