本日は地理的な市場のセグメンテーションに関してパーク24(タイムズ駐車場)を中心に記載します。
自分たちの商品・サービスを打ち出す際、最適なマーケティング方法を見つけ出すためには市場を細分化するということが欠かせません。例えばコカ・コーラ社は当時日本限定で販売された缶コーヒー「ジョージア」に対して、砂糖入りの缶コーヒーなど売れないと難色を示したと言います。ところが実際には大ヒットとなったわけです。グローバルな視点では「売れないだろうから販売しない」という判断になっていたかもしれません。しかし“日本”という地域に焦点を当てて、市場を細分化したことが、成功につながったのです。
駐車場を経営するパーク24に関しても地理的に市場のセグメンテーションを行うことによって成功を果たしています。パーク24が着目したのは「遊休地」。バブル崩壊により遊休地が増えたのですが、同社はそこに目をつけ、駐車場業界に無人時間貸し24時間営業駐車場という新しいビジネスモデルを確立させたのです。
バブル崩壊により都市部を中心に遊休地がかなり存在していました。不動産は所有していれば固定資産税が求められます。土地にアパートやマンションを建てれば、家賃に加え、建物分に対しては減価償却ができますので、キャッシュフローは改善できるわけですが、初期投資はそれなりにかかります。そういったことから、土地所有に伴う出費は減らしたいものの、売却や賃貸も含めて土地の活用方法を決めかねている土地所有者が多く、遊休地が多くなっていました。
そして、大都市を中心に駐車場は慢性的に不足しています。地価が高い日本では、需要が見込める土地を購入して駐車場ビジネスを展開しても、購入資金が大きく収益が出にくいです。反対に安価な土地の場合、駐車場需要が少なくなってしまいます。
上記のような流れの中、パーク24は「遊休地」を活用するというセグメントを行い、そして「駐車場」として活用する方法に至ります。
また、過去の駐車場は1時間単位の時間貸し料金や月ぎめ契約しかありませんでしたが、パーク24は15分単位の貸し出しという「時間」という切り口でもセグメントを行いました。さらに有人の駐車場が一般的だった時代に無人の駐車場を導入。全国のタイムズ駐車場に自動精算機を無線ネットワークで結び、駐車スペースごとに入出庫時間と日時、利用金額、利用状況などのデータを全て把握できるような仕組みを作り上げました。
パーク24は、将来、駐車場ビジネスが飽和することを見越して、病院、スーパー、百貨店、外食、公共施設などに併設された駐車場をタイムズ駐車場として活用してもらうため法人向け営業を行ったり、マツダレンタカーを買収し、レンタカー事業とカーシェアリング事業を展開したりし、次の収入源づくりにも取り組んでいます。
バブルの時、道は混んでいるし駐車場はないしでクルマを運転するのは大変だったようです。「遊休地」という切り口で消費者のニーズをとらえたことが、パーク24が成功した要因と思われます。 (参考文献 成功事例に学ぶマーケティング戦略の教科書)