スーパーの商品アイテム数と買い物のしやすさ

本日はスーパーマーケットにおける“商品アイテム数”と“買い物のしやすさ”の関係に関して記載します。

僕たちが買い物を行う際のパターンとして、初めから買いたいものが決まっていて商品を買いに行く“計画購買”と買いたい商品が決まっておらず店の中で買うモノを決定する“非計画購買”に分かれます。その計画購買と非計画購買のスーパーマーケットにおける割合はほぼ2:8となっています。NHKで消費税対策に関連して「買い物を節約するには」といった内容で放送しているのを見たのですが、「好きな商品でたくさん使いそうだから買う」とかいった理由でポンポンと買い物かごに商品を入れている主婦を取り上げていました。

スーパーマーケットで取り扱っている食品や日用品は家電製品や高級ブランド品とは異なり価格が低いことから、買った商品が自分の期待している内容に見合わなかったり、品質が劣っていたりしていても、それほど後悔することはないのです。そのため、商品に対していろいろと情報を特別集めることなく、購入するにあたって商品に対する情報量は限定的となります。

消費者が購買をするかしないかを限られた情報の中で決定しているということは、店頭における情報提供が売上に直結していきます。消費者が売場で商品を視認し、代替商品との比較検討をし、購買の意思決定を行うまでの時間は1分以下だと言います。そのうち陳列されている商品を見る時間はもっと短くなりますので、店舗側はその短い時間の中で商品について消費者に情報提供できるようにする必要があります。そのためには商品を認識しやすい商品陳列を行うことが重要となってきます。

流通経済研究所が棚に陳列されている商品アイテム数と商品の見つけやすさについて調べた実験を行っています。実験室に米菓の売場を再現し、品揃えアイテム数を増減させた売場を被験者に見せ、その売場を評価してもらうという実験です。品揃えアイテム数の増減に対する評価は「商品の見つけやすさ」「商品の比べやすさ」「品揃えの多さ」「総合的な買い物のしやすさ」といった買い物に関する項目となっていました。結果としては、アイテム数を削減すると「品揃えの多さ」についての評価は減少する一方で、「商品の見つけやすさ」「商品の比べやすさ」といった売場における消費者に対する情報提供の項目については増加する結果となったそうです(注:ABC分析によりCランクとなった商品の数量を増減させた実験)。いくら品揃えが多い売場であっても、目的とする商品が見つかりにくかったり、商品比較をしにくかったりするようであれば、消費者は商品を購入するにあたってストレスを感じるということです。例えば、スーパーではありませんが、アップルストアの陳列が商品数は少ないけれど、1点1点の商品の比較をしやすいという感じでしょうか。売場面積が限られている中において、ただ商品を詰め込めばいいというわけではなく、適正なアイテム数・フェイス数を考えた上での陳列を店舗として実施していく必要があるということでしょう。実務の観点からも、過剰なアイテム数は管理コストの増加につながります。どの商品をどの数量陳列していくのか、しっかり検討していくことが重要なのでしょう。

(参考文献 インストア・マーチャンダイジング)