店産店消

「店産店消」に関して記載します。

 「地産地消」という、地元でできたものを食べるという話を聞くようになりましたが、今では「店産店消」というコンセプトの店まで登場してきています。例えば、日本サブウェイは2010年7月に東京駅にある丸ビルの地下に「813LAB」という、店の中に植物工場がある店を出店しました。植物工場では、太陽光の代わりに人口工でレタスを照らし、49日間で収穫に至るようになっています。新鮮で安全な野菜をその場でお客様に提供できるというわけです。店内はこの植物工場のレタスを見ながら食事ができるようになっています。

 地産地消や上記の店産店消をコンセプトにする店が増えてきていると聞きます。この目的としては物流時にかかる二酸化炭素の排出量を減らすということと同時に『物流コスト』を減らすという目的があります。日本は非常に食品自給率が低く、多くの食品を輸入に頼っているところがあります。そのこともあり日本はフードマイレージが総量ベースで世界一、かつ国民1人当たりでも世界一というような状況です。(フードマイレージ:食べ物の輸送距離を表す。その計算は重量×距離。食品の生産地と消費地が遠ければフードマイレージは高くなる。)フードマイレージが大きくなれば、輸送距離が増えるわけですから、当然、環境負荷が大きくなりますし、経営的な視点で見て、当然、物流コストも上がります。

 近年、植物工場の数が増えていて、2009年に約50か所だったものが、2012年3月末には127か所まで増加しているそうです。この原因は、政府が補助金を出しているということと、東日本大震災後の“放射能汚染”の問題を抱える被災地復興の手立てとして注目を浴びているということがあるようです。実際の話、植物工場で作られる野菜の生産コストは露地物より高く、植物工場産のレタスの価格が1キログラム当たり1,100円~1,500円に対して、露地物は300円~600円という状況でもあります。しかしながら、居酒屋「北海道」などを経営する「コワロイド」は2億円を投じて神奈川工場に植物工場を設置している企業もあります。理由としてはここ数年も猛暑で葉物野菜を中心に頻繁に価格が高騰しているためです。コワロイドでは今後増産を図り露地物と同じくらいの価格まで持っていこうと考えているようです。

 店産店消は出来立ての野菜をすぐに食べられますし、運搬に伴う二酸化炭素の発生やコスト増を防ぐことができますので、消費者側から見ても店舗側から見てもイメージが良いものだと考えます。また、今後世界的な食糧難が想定される中で、植物工場のような動きは加速していくようにも思います。最近では自宅で育てられる野菜キッドのようなものも良く売っているように思いますが、今後も「安全」「安心」「コストカット」は企業・個々人ともに重要なポイントになると思います。

 (参考文献 小売・流通業が知らなきゃいけない物流の知識)

東日本大震災が消費行動に与えた影響

本日は東日本大震災が消費行動に与えた影響を見てみます。

 過日、山形県にお住まいの方と話をする機会があり、その際に福島第一原発の事故による影響で食料品を販売されている方が苦労なさっているといったような感じの話を伺いました。今では東京ではだいぶ放射線に対する意識が薄れてきているように感じますが、東北にお住まいの方は今なお放射線の被害と戦われているのだと感じました。

 日本政策金融公庫の資料より2013年1月段階の「福島第一原子力発電所事故の影響」を見てみると、現在もその影響が残っていると答えた方が、岩手・宮城・福島で71.2%(うち福島93.8%)、茨城・群馬・栃木で63.6%、青森・秋田・山形で41.4%という結果が出ていました。原発事故当初話題になったセシウム137の半減期が約30年。当然のことながら長い時間をかけて原発事故が起こした問題とは向き合っていかなければならなくなってしまっています。

 原発事故後、セシウムと合わせてヨウ素131も話題になりました。東京の浄水場を汚染しまくりミネラルウォーターが軒並みスーパーからなくなっていたのを今でも思い出します。当時、僕がスーパーへ行ったらペットボトルというペットボトルが全て売り切れていて、残っていたのは確かヘルシア緑茶だけ。今ではヘルシア緑茶とかヘルシアウォーターとかよく飲むんですが、当時は衝撃を受けた記憶があります。2011年3月のミネラルウォーターの支出の対前年同月実質増減率を総務省統計局資料から見てみると161.3%増。ほかにも支出額の対前年同月実質増減率を見てみると電池が181.2%増、カップめん43.2%増、もち43.7%増という状況でした。反対に自粛ムードの広がりもあり、宿泊料は△33.8%、入場・観覧・ゲーム代△24.7%という結果でした。これは負の要因ですが、外部環境の影響で売れる物が大きく変化するということは事実です。時代が変化したときにその変化に対応できる力をつけておかなければ時代に取り残されるということもあるような気がします。

 東日本大震災の時は徹夜をして仕事をしていましたが、夜中にも東北のみならずそれ以外の地域を震源とした地震もあり、おびえる人々を見て、日本はこのまま沈没でもしてしまうのではないかという気持ちにもなりました。ただ今でも、震災の影響で苦しんでいる人がいます。また、日本は地震の活動期に入ったともいわれ、いつまた大きな地震が来るかもわかりません。園監督の「希望の国」でのセリフの中で「一歩、二歩、三歩」といった言葉に対し「これからの日本は一歩、一歩、一歩だよ」といったようなセリフがありました。一歩、一歩、一歩と、置かれた環境や自分自身と戦っていかなければならないのかもしれません。