商圏

本日は商圏に関してアップします。

 商圏とは文献によっていろいろ定義があるようです。その中で個人的に「一番しっくりくるな」と思ったものは“単独、あるいは集積の商業施設が顧客を吸引できる地理的範囲(「すぐ応用できる商圏と売上高予測」市原実著、同友館)”というものです。いずれにしても商圏はその店舗が成立するかどうかを判断する上で重要な基準となります。

また、商圏は商品特性でみて「最寄品商圏」と「買回品商圏」に、また、階層区分からみて「第1次商圏」「第2次商圏」「第3次商圏」に分かれます。初めに「最寄品商圏」と「買回品商圏」ですが、そもそも最寄品とは一般家庭で日常的に食べたり、使ったりするもの(飲食料・荒物・金物・医薬品・化粧品・下着類・靴下類など)のことを言い、最寄品商圏とは最寄品を買いに来る顧客が住んでいる範囲を言います。続いて「買回品商圏」です。買回品とは、品質、デザイン、価格などを比較選択して購入するようなもので、最寄品以外のことを言います。話を戻しまして「買回品商圏」ですが、定説はないのですが、中小企業庁編「診断要領等事例集」において、例えば商業集積の商圏を見ると、1次商圏が商圏内消費需要の30%以上を吸引している地域、2次商圏は上記同様の10%以上を吸引している地域、3次商圏は上記同様の5%以上を吸引している地域というようになります。ちなみに「最寄品商圏」より「買回品商圏」のほうが大きくなるのが一般的なようです。身近なものは近場で済ませますし、ブランド品を買おうと思ったら電車に乗ってデパートに行きますからこれは当然とも言えると思います。

この商圏の把握する代表的な方法には「理論商圏」による設定と「実態調査」による設定があります。理論商圏を設定する商圏分析モデルとしては“ハフモデル”等があります。ハフモデルの基本的な考え方は「買物客がある商業集積を選択する確率は、その売場面積に比例し、そこまでの距離に反比例する」というものです。

 続いて実態調査による設定ですが、こちらは地方自治体、主に都道府県が実態調査を行っている場合があるようで、そちらをもとに調べていきます。例えば青森県の八戸市。平成9年に67.6万人弱の商圏を持っていたものが、八戸市のすぐ北に位置する下田町にイオンのショッピングセンターができた影響により、平成12年には66万人弱と2.6%も商圏人口を減らしてしまったということが、青森県の出す「消費購買動向による商圏調査報告書」からわかるようです。

リアル店舗を出店する際に商圏をどれくらいの範囲で考えるのかということが重要な気がします。最近ではO2Oビジネスに代表されるようにネットの力も強くなってきていますが、リアルに店舗を持つのであれば、どのエリアからどれくらいの顧客を呼び込むかは戦略として考えておくことが必要だと思います。地政学というジャンルがあるのですが、例えばイギリスであれば島国であったため、海がお堀の役目を果たし第2次世界大戦でドイツに上陸されることはありませんでしたし、半島に位置する朝鮮でできた国は、じょうごに水を注いだときのように、中国にできた王朝の影響を大きく受けてきました。このように、どこに存在しているかで大きく運命を決定させられてしまう部分があることは否定できません。自分の意志で変えられる部分については良いように変えていくことが重要だと思います。

 (参考文献:経済産業省 商業環境の現状分析)