「戸越銀座とエシカル消費(社会をよくするための消費)」に関して記載します。
【戸越銀座にて】
半年ほど前、関東有数の長さを誇る戸越銀座に行ってきました。戸越銀座は、五反田駅から東急池上線に乗って2駅(戸越銀座駅)、もしくは浅草線に乗って1駅(戸越駅)と比較的都心からも近い場所にあり、全長1.3kmもある関東有数の長さの商店街です。この戸越銀座は日本での「○○銀座」第一号らしく、1923年の関東大震災の後に、銀座の瓦礫を運び込み低地を埋め立てたことから戸越銀座と命名されたそうです。
実際に行ってみて、駅の近くはチェーン店が多いかなと思って見ていましたが、少し歩くとミシン屋とかおもちゃ屋とかの昔ながらの小売店がちらほら。まだ夕方というには早いかなという時間から、食料品店が居酒屋をやっているようなお店で、街の人たちと思われる人たちがお酒を飲んでいるという、なんとなくのんびりした感じの商店街でした。
せっかく来たので何か買おうかと思って歩いているときに、米粉パンのお店を発見しました。米粉パンに特化して生き残りを図っているのかとお店をのぞいていると、販売員から三陸・大槌町で人気の米粉の北極メロンパンを進められました。「販売する商品を絞り込むと同時にエシカル消費を押さえるとは」と北極メロンパンを購入。店の外で立ち食いをしていると、食べている間に何人か北極メロンパンを購入して帰っていきました。
【エシカル消費】
さて、このエシカル消費、日本においてはリーマンショックと東日本大震災が大きな加速要因となったようなのです。2008年9月にアメリカのリーマン・ブラザーズが破たんし、それがきっかけで世界同時不況が起こりましたが、この際に経済至上主義の限界を感じた人が多かったようです。また、リーマンショック以上に人々の心に大きな影響を与えたのは東日本大震災です。東日本大震災の被災状況を各種メディアで見て、他人のために何かしたいという「利他」の意識が国民の中に芽生えていったようです。2012年度に野村総合研究所が行った生活者1万人アンケート調査でも「価格が高くても、被災地に寄付されるような商品を購入したいか」という問いに対して、「そう思う」と回答する割合は14%、「どちらかといえばそう思う」と回答する割合は55%となっています。また、すべての性・年代において「価格が高くても、被災地に寄付されるような商品を購入したい」という割合が6割を超えています。震災直後は「がんばろう、東北」と東北でつくられた食べ物や工芸品を買うといった、地域の復興を後押しする、応援消費が盛んでした。震災1年間に、売上の一部が寄付される商品や被災地で生産された商品を購入した人は4割に達していたそうです。東日本大震災は消費者の消費行動に大きな影響を与えた、ある意味、ターニングポイント的な出来事であったということが言えます。
戸越銀座という同じ商店街の中で、見た目はやっていそうな店とちょっと厳しそうな店、様々ありました。当たり前と言えば当たり前の話なのかもしれませんが「経営努力を積み重ねている店が人気なのだろう」と感じさせる、そんな商店街でした。
(参考文献 なぜ、日本人はモノを買わないのか?)