戦略PR

本日は戦略PRに関して記載します。

戦略PRとは、販売する商品そのものにフォーカスしてPRするのではなく、世の中の時流と商品をつなぐテーマを開発し、そこから話題を喚起し、世論を作り出す「空気づくり」を行い、その盛り上がりを受けて商品の販売に落とし込んでいく手法のことを言います。

戦略PRはこの手法が先行するアメリカにおいて、ビジネス分野はもちろんのこと、オバマ大統領の選挙戦にも使われるほど普及しているといいます。このような手法が使われるようになってきた背景には、「インターネットの普及により情報量が今までの比にならないほど増大し、消費者は毎日のようにマーケティングメッセージを受け取るようになっている」「製品クオリティーや価格をアピールするだけでは購買意欲を刺激することが難しくなっている」「インターネットやソーシャルメディアの普及により情報の入手経路が多数化する中で、友達の口コミに対する信頼度の増加」といったものがあるようです。

あるおむつメーカーは戦略PRを活用し売上を伸ばしたといいます。そのおむつメーカーはブランドの認知度は100%に近くTVCMでブランドを訴求するという戦略をとることにそれほどの効果性があるというわけでもない状態でした。また市場において商品はコモディティ化し厳しい価格競争の只中にありました。そこでメーカーは「赤ちゃんの睡眠」の話題を提起し「快適な睡眠環境を提供するおむつ」の購買に結び付けることに決定。小児睡眠の専門家と協力し「赤ちゃんの睡眠」に関する国際調査を実施します。そして「50%近くが夜10時以降まで起きている」など、日本の赤ちゃんには問題があるというデータを整備し報道発表を行いました。これにより、マスコミの報道、ソーシャルメディアでの口コミにより情報が拡散。「赤ちゃんの睡眠が問題である」という空気が、2か月ほどで醸成されていきました。そのタイミングでメーカーは「あなたの赤ちゃんの睡眠を考えたブランドです」というメッセージで広告と店頭施策を実施し、売上を向上させました。

この戦略PRで重要なことはテーマの設定になります。おむつの例では「赤ちゃんの睡眠」がそれに当たります。このテーマが“商品の便益”“世の中の関心事”“消費者の関心事とメリット”が結び付いていることが必要となります。日本における戦略PRの成功事例では「ハイボール流行の兆し」「生姜ブーム」「夫婦円満には食洗器」といったものがあるようです。

情報過多や商品のコモディティ化などにより、商品そのものに魅力を感じさせることが難しくなっている時代だと思います。そのような中で戦略PRという世の中の世論作りから行って商品の販売に結びつけていく手法が登場してきているということでしょう。商品を販売するということにおいても、新たな時代が来ているのかもしれません。

(参考文献 最新マーケティングの教科書)