コンビニが抱える後継者問題に関して記載します。
日本社会の高齢化が進む中で、例えば商店街においては、「経営者の高齢化による後継者難」が、商店街の抱える大きな問題として考える人が、51.3%と非常に大きな割合を占めているということがアンケート結果からわかっています。コンビニにおいては若いアルバイトの方がレジのところにいたり、品出しをしたりしている光景をよく見るので、高齢化に伴う後継者問題という意識をすることはそれほどありませんでした。ところが、このコンビニにおいても後継者問題があるようなのです。
そもそも、コンビニの経営者は非常に激務のようです。早朝5時頃からお客様の来店が始まり、10時ごろまで出勤前のサラリーマン・OLの来店が続きます。お昼需要のお客様の来店ピークがやってきた後、比較的落ち着いた昼下がりが過ぎて、学校帰りの中学・高校生の来店が始まります。夜の時間は会社帰りのサラリーマン・OLの来店が増えてきます。このような一日の流れの中で接客対応だけでも朝の5時頃から23時ごろまで行う必要がありますが、コンビニ経営者にはそれに加えて商品の発注・納品業務もあります。通常は深夜時間に納品・品出し業務を行っていますから、夜遅くまで業務を行う必要があります。通常のコンビニ経営者は夫婦2人で勤務していますので、接客や納品・品出しなどの業務を行うために、夫婦2人で勤務時間をずらして対応を行っているようです。信頼できるアルバイトが見つからない場合は、金銭トラブルを防ぐためにも、夫婦のうちどちらか1名が必ず店内にいるようなシフトになってくるのです。このようにコンビニ経営は非常に激務のようなのです。
コンビニの加盟店が増加した時期は1980年~2000年ですが、このころ脱サラして店舗をオープンしたとしても、そういったコンビニ経営者も今では高齢になっています。コンビニの経営は上記に記載したように非常に体力的に厳しいものがあります。経営者の中には「もう経営しなくてもよいか」と考える人が増え始めます。これによって経営者が大量に退職し、店舗の経営者が足らなくなってくるのです。また、コンビニ経営者の子どもが店舗を引き継ぐということもあるようですが、激務を知っている親が継がせたがらないということもあるようです。
チェーン本部によっては後継者難による空き店舗を「直営店」として運営していくことを考えているところもあるようです。しかしながら、直営店の比率が高まると、チェーン本部の営業利益率はコスト増により、悪化してしまいます。
日本社会で進む高齢化は普段は意識していないようなところでも着実に進行しているということでしょう。
(参考資料:『平成21年商店街実態調査報告書』『コンビニのしくみ』)