“ハウス食品のウコンの力”のセグメンテーション(市場細分化)

本日は“ハウス食品のウコンの力”のセグメンテーション(市場細分化)に関して記載します。

この間飲みすぎで次の日の休日のほとんどを寝て過ごすという事態に陥りました。それはそれでいいのですが、年を重ねるごとにちょっとずつお酒に対する耐久性が弱くなるような気もします。そんなわけで、やっぱりそうは言うものの、ウコンの力を飲んでおけばよかったとも思うわけです。さて、そのウコンの力、販売する際に30~40代の男性をターゲットとして、飲む前に飲んでおきたくなるような味に作り上げられました。ハウス食品がこの商品を開発するに当たり、「定期的にお酒を飲む人」「アルコールを常飲するため肝機能を心配する人」「理由さえあれば価格が高くても購入する人」というように、消費者の行動を細分化しターゲットを明確にしたのです。すると、ちょうど30~40代の男性には「公私ともに飲酒機会が多い」「加齢とともに身体がアルコールに弱くなってくる」「健康ドリンクを日常的に飲用する層が多い」といった特徴があったのです。当時、食料品メーカーがデフレ経済下でも安売りせずに販売できる商品の開発に躍起になっていましたが、ハウス食品は上記のように、消費者の行動に視点を当てて、市場を細分化し、新たな商品“ウコンの力”を開発することで、潜在的な消費者の需要を顕在化させ、新市場を創造することに成功したのです。また、飲酒機会が多い層を想定顧客に設定しているため、飲酒機会が生じるたびにウコンの力の飲用意欲を高めることができ、商品の継続購入が期待できるということもポイントとなっています。

 少子高齢化などの影響による社会構造の変化や消費の低迷の継続が低価格志向の業態や商品の台頭を促しています。例えば組織小売業がPB商品を投入したり、安価な衣料品を販売するSPAが増えたりします。店頭での商品価格が安くなれば消費者視点からすれば買いやすくなったということでいいことなのですが、このことは購入機会を先取りしているに過ぎない面もあり、総需要が拡大しているとは限らないのです。必要なことは安売りを志向し続けるのではなく、高くても支持されるような商品・サービスを産み出していくことなのです。ウコンの力は、セグメンテーションを行い明確な意思を持って商品開発が行われたため、高くても買ってもらえる商品になったということなのでしょう。

 (参考文献 成功事例に学ぶマーケティング戦略の教科書)

JINS PCの市場の細分化

本日はJINS PCの市場の細分化に関して記載します。

 少し前に尾田栄一郎のワンピースとJINS PCがコラボした商品のCMがやっていましたが、このJINS PCはこれまで眼鏡を必要としていなかった生活者にまで需要を拡大した商品です。

もともと眼鏡は、レンズはニコンやHOYAなどの国内メーカー、フレームは問屋や商社から仕入れていたため、中間マージンがかかり販売価格が高止まりしていた業界でした。そこに、ジェイアイエヌの「JINS」やインターメティックの「Zoff」といった企業が安価な商品を投入し、一時的に売上を拡大しました。しかしながら、低価格競争の流れの中、眼鏡市場は2000年代からの10年間で6000億円から4000億円まで規模が縮小してしまいます。

その眼鏡市場のダウントレンドの中、ジェイアイエヌは生活者の価値観を切り口とし、市場を細分化。「普段は眼鏡をかけていないが、仕事でパソコンを使用している人たち」を顧客に設定したのです。同社は、現在のパソコンやスマホなどに使用されている液晶ディスプレイのバックライトの主流にLEDが使われていて、そこからブルーライトと呼ばれる眼精疲労や睡眠障害の原因になる光が出ていることに着目します。そして2011年に、レンズに度は入っていないけれども、ブルーライトの光を最大50%カットし、パソコン使用時の目の疲れを軽減する機能を持つ眼鏡“JINS PC”を市場に投入しました。その取り組みは見事成功につながり、この商品は発売後の1年間で50万本というヒット商品になったのです。JINS PCはヤフーや日本マイクロソフトといったネットIT企業の法人需要の取り込みにも成功しているそうです。

 自社の事業や商品を展開する際に、ターゲット顧客に焦点を当てるため、市場を細分化するプロセスが必要になってきます。JINS PCは生活者の観点から市場を細分化することによって、従来の眼鏡の考え方にはない、新たな市場を発見し、商品のヒットにつなげることができました。市場を見極め新たなターゲットを見つけることにより、ダウントレンドにある業界にあっても再度成長を図ることができるということは興味深いものです。

 (参考文献 成功事例に学ぶマーケティング戦略の教科書)