本日はゼビオの多角化戦略に関して記載します。
【スポーツ用品、アパレル小売業“ゼビオ”のドラッグストアへの参入】
福島県に本社を持つスポーツ量販店のゼビオは、スポーツウエアや用品類を扱う大型店スーパースポーツゼビオの店内に、ドラッグストア“ジアシス”を開設しています。ジアシスは2012年から本格展開を始めていて、毎年3~4店舗のペースで拡大しています。その背景には、マラソンなどのスポーツを本格的に挑戦する人が増え、プロテインやサプリメントなどを活用する人が増えるという判断があるようです。
ジアシスでは、体力増強・疲労回復・けがの防止や予防といったアスリートが抱えがちな悩みをカウンセリングし、スポーツ店だからこそできる提案をしていくという考えのもと、一般用医薬品販売の資格を持つ販売員がスポーツ関連の知識も身につけて接客を行っています。販売員は、例えば膝の痛みを抱えるランナーにクッション性の高いランニングシューズを進めたり、関節の痛みを和らげるサプリメントを提案したりしています。また、来店頻度を高めるために、疲労回復効果のある酸素カプセルや身体情報が得られる体組成計を各店に置いて、気軽に利用できるようにしているそうです。
ゼビオはスポーツ量販店の中にドラッグストアを併設することにより、従来のスポーツ量販店では扱いにくかった商品やサービスを提供しているのです。スポーツ量販店とドラッグストアという多角化戦略によって相乗効果が生まれています。
【成長戦略としての多角化戦略】
企業は多角化戦略をとることによって、複数の事業で経営資源を共有することができます。既存の技術やノウハウなどの経営資源を複数の事業で使用することができるので、それによって相乗効果が生まれて、成長性や収益性を高めることができます。多角化戦略は単一の事業を行っている場合と比較すると成長性(売上と利益の伸び)が高い傾向にあると言います。
また、この戦略は事業を多角化しますので、その分リスクを分散することができるというメリットもあります。
さて、多角化戦略の成功要因として最も重要とされていることに範囲の経済があります。範囲の経済とは、単一事業で事業活動を行うよりも多角化で複数の事業活動を行う方が、コストが低くなることです。技術・ブランド・顧客の信頼・ノウハウ・流通網などの資源を、複数の事業でともに利用することが多角化戦略を成功させる重要なポイントとなるのです。
スーパースポーツゼビオとジアシスは技術や顧客の信頼、ノウハウなど経営資源を共用しながら店舗運営を行っています。このことからゼビオは複数の事業で効率良く経営資源を活用しながら成長を図っている企業と言えそうです。
多角化戦略を行う際には複数の事業間で如何に経営資源を共用できるかということが重要なポイントのようです。
(参考文献 明解!経営戦略がわかる~消費者視点から読み解く“戦略”の基本)