本日は催促相場から見るアベノミクスに関して記載します。
【今年の株価の推移から見えてくる日本経済】
2013年、日本の株価は57%上昇し、この上昇の勢いはバブルの時と同じくらいになっていて、先進国の中でもダントツに高いものとなっています。昨年発表された実質成長率は1.6%と株価の上昇から見ると低い水準となっていますが、内需を見ると3%成長していて、日銀短観においても製造業、非製造業、大企業、中企業、小企業、すべての分野で経済は良くなっています。アベノミクスの成果により日本の景気は概ね好調と言えます。
この株価上昇を支える要因は外国人投資家の買い越し額が15兆円に達したということにあります(これまでで一番買い越し額が多かったのは郵政民営化を決めた2005年)。株価上昇により資産効果が出て日本経済は好調に推移している形となりますが、その株価を支えているのは外国人投資家の影響もあるということが言えます。
さて、2013年に株価は57%上昇しましたが、2014年に入ってからは日本の株に大きな動きがありません。2月においては1万5千円~1万4千円くらいで株価が推移しています。この株価の動きに関して、マーケットが政府に催促をしている“催促相場”だという話があると言います。
【催促相場とは】
催促相場とは、企業や政府などに対して決定などを促すために株価を始めとした相場の動きによってそれを推し進めさせようとする相場状況のことを言います。例えば東京市場やニューヨーク市場へ公定歩合の引き下げを期待して日経平均株価やダウ平均が上昇して、中央銀行にその決定を促すというパターンです。今回の相場においては、アベノミクスの成長戦略に対する期待もあり、株価が先行して上昇したものの、その成長戦略にきちっとした政策が出てこないことから、投資家たちが様子見をしているといったところでしょうか。投資家が日本の株に対する投資を引き上げる前にしっかりとした政策が実施されることが、マーケットから政府に求められている状況になっているということです。
【注目されるアベノミクスの今後の動き】
2013年11月に、今年の6月をめどに新たな成長戦略を策定していくという話になっています。2020年の東京オリンピック開催を見据えてのインフラ整備や「日本ブランド」の海外発信、農業の振興策やベンチャー企業の育成、成長戦略第1弾で詰め切れなかった規制緩和などを検討していくとなっています。
消費増税により景気が押し下がることも想定される中、いかにこの6月の成長戦略第2弾が効果のあるものが登場するのかが、2014年の日本経済を占う重要なカギとなりそうです。
(参考資料 エコノインサイト)