アメリカの予算教書

本日はアメリカの予算教書に関して記載します。

【世界経済に影響を与えるアメリカの予算教書】

3月4日にオバマ大統領が予算教書を提出しました。この予算教書とはアメリカの大統領が連邦議会に対して提出する、翌会計年度の予算案の編成方針を示す文書のことです。アメリカの会計年度は10月~翌年9月となっていて、本教書は毎年2月ごろに提出されています。日本においては総理大臣が中心となって予算案を作成しますが、アメリカの場合は予算を決定する権利が大統領にはなく連邦議会に所属する形となっています。その点、日本とアメリカで予算の組み立てられ方が違うと言うことになります。

予算教書は大統領が必要と思う政策や歳入・歳出の見積もりを議会に示し、それに沿った予算編成を議会に促す「勧告」の性格が強いものです。そして、議会は予算教書を受けて予算関連法案の作成にかかり、大枠を決める予算決議を採択し、個別の歳出法案や歳入法案を審議します。なお、大統領には議会が可決した予算関連法案に対して拒否権があるため、本教書の内容に特に問題がない限り、概ね反映されると言われています。

日本では予算教書はあまりなじみのないものとなっています。しかしながら予算教書は中長期的にアメリカの経済や財政がどのようになっていくかをマクロ的な枠組みで示す役割を担っていて、世界経済に与える影響が極めて大きいため、世界中の注目を集めるものとなっています。

【2015会計年度(2014年10月~15年9月)の予算教書】

3月4日に提出された予算教書は、高額所得者や企業に対する新税、教育、研究開発、低所得層向けの政策への支出計画が盛り込まれたものとなっています。

さて、今回の予算教書を受けて、多くの人が失望する結果となっているという声があるようです。その理由としては歳出の拡大にあります。今回の歳出総額は14年度と比べて約3500億ドル増加の3.9兆ドル。このことが財政赤字削減への努力がなされていないと判断されているようです。なお、この歳出総額の増加分の大半は社会保障支出や高齢者医療保険、低所得者向け医療保険の支出に充てられます。

かといって財政赤字を減らす努力をしていないわけではなく、削減に向けた道筋は立てているようです。15年度の財政赤字は5640億ドルで対GDP比3.1%と見通しですが、その後、税収増を主因として18年度までに財政赤字は減り続け、同年度のGDP比は1.9%まで低下すると予想しています。なお、税収増に関しては、今後10年で約1兆ドルの新税を提案していて、その大半は不動産や高額所得者への増税となっています。

【注視すべきアメリカ経済】

現在、FRBの金融緩和が続いてきた効果により、2009年1月に8000ドルだったNYダウ平均株価は、現在16000ドルを超す水準になっています。このことからアメリカの株価は近いうちに調整局面に入るのではないかという声もあるようです。調整局面に入れば日本の株価や為替に影響してくることは必至です。世界経済1位のアメリカの経済の行方は日本経済に大きく影響していきますので、しっかりとみておくことが必要なのでしょう。

(参考資料 エコノインサイト iFinance)