ブランド・イノベーション“ヴァージン・グループ”と“メソッド”

本日はブランド・イノベーション“ヴァージン・グループ”と“メソッド”に関して記載します。

【2つのブランド・イノベーションについて】

自社の製品やサービスのほうが競合他社の同種のモノより好ましいと消費者に感じてもらうためには、消費者に自社の製品やサービスについて認知してもらい、印象付けていくことが必要です。そのためには自社が競合他社よりも強いアイデンティティーを持つことが求められます。そのためにブランド・イノベーションを起こしていく必要があるわけですが、そのよくある例として、まず一つ目に、既存のブランドの傘の下で新しい製品やサービスを提供する“ブランドの拡充”があり、二つ目に、大きな理想や特定の価値観をわかりやすく一貫して表現する(“価値観の整合性”)ことで、企業をそれらの信条を象徴する存在として印象付けるという方法があります。上記2つについて“ブランドの拡充”については「ヴァージン・グループ」、“価値観の整合性”については「メソッド」を事例に以下記載していきます。

【ブランドの拡充 ヴァージン・グループ】

ヴァージン・グループはイギリスの多国籍企業です。その始まりはリチャード・ブランソンが1971年にロンドンのオックスフォード・ストリートにヴァージン・レコード1号店を開いたこととなります。1973年、レコード・レーベル、ヴァージン・ミュージックから映画「エクソシスト」のテーマ音楽として使われたマイク・オールドフィールドの『チューブラー・ベルズ』をリリースし、1977年にはパンク・ロックバンド、セックス・ピストルズと契約しています。

そして近年、ヴァージン・グループはヴァージンアトランティック航空やヴァージンアクティブといったブランドを持つ、34か国に5万人の従業員を擁する企業にまで成長しました。2011年のグループ総売上高は約210億ドルに達すると言います。最近ではブランソンが設立した、年500人の観光客を一人当たり25万ドルで宇宙へ送る計画を立てているヴァージンギャラクティックが注目を集めたりもしています。このような形でヴァージン・グループは携帯電話、輸送、金融サービス、メディア、フィットネスなど様々な分野への多角化を進めており、現在では、同社は自社のことを大手「国際投資グループ」と称しています。つまり、多角化を進めることによって消費者から自社と競合他社との差別化を図っているということが言えます。

【価値観の整合性 メソッド】

メソッドは2000年に設立された会社で、環境に害を与えない天然成分のホームケア製品を生み出しました。メソッドの商品は、今ではターゲット、ホールフーズ、クローガーをはじめとする世界各地の4万店以上の小売店で販売されています。この会社は持続可能性と環境感度を重視していて、メソッドの洗剤ボトルの大部分が100%再生プラスティックで作られています。また家庭用洗剤は有害化学物質を使っていません。オフィスも環境に配慮した建物となっていますし、動物実験も行わないとい徹底ぶりです。メソッドは環境に優しい企業としての特徴を尖らせて、消費者から自社のブランドをしっかりと認識してもらっているということが言えます。

製品やサービスが代替可能なものが増える中、企業がコーポレートアイデンティティー(IC)を確立し、消費者から自社のことをしっかりと認識してもらうことは、自社の商品・サービスを選んでもらうために重要なポイントだと思われます。

(参考文献 ビジネスモデル・イノベーション ブレークスルーを起こすフレームワーク10)