本日はLBO(レバレッジドバイアウト)に関して記載します。
【LBOによる企業の成長】
LBOとは、企業買収にあたっての資金調達方法の一つで、借り入れによって自己資金を大幅に上回る価値を有する企業を買収して、その買収した企業の利益によって借入金を返済し、価値を作り出していく手法のことを言います。LBOは安定した利益を上げている事業を正当な価格と借入金利で買収すれば事業を所有するだけで、確実に価値を作り出していくことができます。
借入金でレバレッジをかけて価値の創造を高めていく手法ですので、不動産投資によるアパート経営に近いにも思われます(不動産投資の場合、初期投資額を低く抑え金融機関からの借入金を増やすことで、キャッシュフローを高めることができる)。
LBOによる価値創造に成功した好例としてJTが挙げられます。1999年JTはRJRナビスコの海外タバコ部門を9700億円で買収しJTIとして子会社化しました。当時、日本企業によるM&Aとしては史上最高の買収額だったようです。この買収によってJTは世界第3位のタバコメーカーに躍進。それまで200億本という規模だった海外の売上は一気に2000億本以上へ急成長しました。それだけでなくJTは「Winston」「CAMEL」といったグローバル・ブランドも獲得することができました。そして、この買収に当たって借り入れた6000億円の借入金をJTIの利益から順調に完済しました。JTはRJRに続いてギャラハーも同じ手法で買収を行っています。
LBOの他の好例として、ソフトバンクもボーダフォンをLBOの手法を使って買収金額1兆7000億円以上で買収したのですが、そのうち1兆2000億円を借入金で調達し、順調に返済。ボーダフォンに続いてスプリントの買収も同じ手法で行っています。
このように、LBOの手法により買収を繰り返すことにより、急激な成長を遂げることが可能となります。
【LBOのデメリット】
LBOには上記のように企業が急成長を遂げることができるというメリット以外に、税制上のメリットもあり、借入金の利子を買収した事業の費用として認識してくれます。
そしてLBOの弱点として、LBOは大きな借り入れを行い、それを子会社の負担としてしまうため、子会社の破綻リスクが上がり、それに応じて金利が高くなるということがあります。LBOでは買収会社を子会社として、子会社が破綻した場合のリスクを切断し、買収者が返済義務を負わないように仕込むことは貸し手が受け入れる限り可能です。しかしながらそうした場合、買い手本体が借り入れする場合や保障する場合に比べて金利が高くなることは覚悟しなければならなくなります。
LBOをする際には買収する企業を見極める必要があります。破綻企業の買収など、企業が安定的に利益を上げていない状況でLBOを行うと、金利が高い上に十分な利益を上げられないため返済に支障をきたし、再度の破綻を招いてしまうからです。
他者の資源を活用することで自社の急成長を遂げることが可能ですが、他社の資源をどこに投資するのかは十分に検討が必要です。
(参考文献 経営戦略を見る目と考える力を養うビジネスモデルの教科書)