ドミナント戦略

本日はドミナント戦略に関して記載します。

【ドミナント戦略とは】

ドミナント戦略とは主にチェーン展開している店舗の出店施策の一つで、単独で店舗を出店するのではなく複数の店舗を近隣に出店させる戦略です。よくコンビニの出店戦略でこのドミナント戦略が聞かれると思いますが、セブン-イレブンでは1号店が豊洲(東京都江東区)にできた後、ドミナント戦略を実施するために出店地域を江東区以外に許さなかったと言います。

【ドミナント戦略のメリット】

このドミナント戦略を取るメリットの一つに、単独で出店するのに比べてお客様のチェーンに対する認知度が向上するというものがあります。単独で出店すると周囲の競合店にイメージで負けてしまうことがありますが、複数店舗で出店を行えば「この地域には○○店が多い」と認識してもらえ認知度を上げることができます。二つ目のメリットとして、特定地区を面で制圧することになるので、競合店の出店を抑制できるという効果もあります。特定地域内を制圧するために必ず押さえなければならない場所(例えば交通量の多い道路の交差点の角地、主要ターミナル駅の駅前立地等)があります。ここを押さえられてしまうと、地区の大半の売上・客数がとられてしまうであろう重要な地域です。この地域を含めて重要な立地を同一チェーンで押さえることで、その地区を制圧することができます。なんとなくイメージとしてはオセロの角地を押さえる感じに近いでしょうか。3番目のメリットとして、機動的・効率的な物流網の実現ができるということがあります。ドミナント戦略で複数の店舗を出店すると、必然的に店舗間の距離が短くなり、配送トラックが効率的に商品を配送することができます。トラックで商品を運搬している最中は1銭も稼げませんが、店舗に商品を並べれば売上を嵩上げしていくことができる可能性が高まります。

【配送トラックの効率化:ミルクラン】

また、このような動きの中で、ちょっと話はずれますが、ミルクラン(巡回集荷)と呼ばれるように、配送トラックの動きの効率化を図っていることもポイントです(ミルクラン:牛乳業者が酪農家の間を回って牛乳を引き取っていく様になぞらえた用語)。例えば商品配送センターと3か所あるお店との間を1日1回、3往復していたものを、1回で運ぶ量を3分の1にして、その分3か所の荷物を一緒に運んで、1か所ずつ降ろして回るようにすれば、いっぺんに3か所回ることができます。

ドミナント戦略には様々なメリットがある一方で、デメリットとして売上を共食いしてしまうということがあるようです。デメリットもあるでしょうけれど、コンビニなどのドミナント戦略をみているとメリットの方が大きいように感じます。一つの地域に集中して出店していく、それにより地域でNo.1になっていくということが戦略として有効であるということだと感じます。

 (参考文献 コンビニのしくみ)