本日は飲食業界の二毛作に関して記載します。
【飲食業界の二毛作とは】
最近では居酒屋がランチメニューを出すことも珍しくなくなってきました。例えば、さくら水産では、ごはんおかわり自由で低価格ランチが楽しめたりします。大都市に立地する飲食店においては、どうしても昼と夜に集客の差が大きくなります。高い家賃を払いつつも、収益を上げられる時間帯が限られてしまうのです。そこで、居酒屋のランチメニューではありませんが、一つの立地で時間帯を分けて二業態の店舗を出店する“二毛作”という手法がとられることがあります。
【二毛作の例】
二毛作が行われるようになったのは、1988年の「プロント」が始めだと言います。プロントはUCCとサントリーの共同出資会社で、昼はUCCのノウハウを活かしたイタリアン・カフェ、夜はサントリーのノウハウを活かしたカジュアルバーを営業。夕方5時にメニューが変わります。UCCとサントリー、それぞれの強みを活かして坪単価を最大化できるように工夫していると言えると思います。
また東京・神楽坂にある「神楽坂そば」では、先代の死をきっかけに、昼はそば店、夜は「ル・トランブルー」というワインバーを営業するようになりました。ワインバーは先代の息子が営業し、そば店はその実母が営業するという二毛作をとっています。息子がワイン好きでこの発想に至ったようですが、そば店とワインバーがそれぞれの特徴をしっかり持って営業しているということが言えそうです。ワインバーは成功し、隣町に2号店も出店しています。
その他には、ハイデイ日高の「焼鳥日高」は昼にうどんランチを出していたり、ラーメンの「ひるがお」駒沢本店は、昼は塩ラーメン、夜は「せたが屋」の名前で醤油ラーメンというラーメンの二毛作を行っていたりします。
2008年の日経MJにはたこ焼き店「築地銀だこ」をチェーン展開する「ホットランド」社が三毛作(2~5月はたい焼き屋、6~9月は焼きそば屋、10~1月はたこ焼き屋)を行っているという記事が載ったようです。1年を3期に分けて季節に応じた三業態を営む店舗を郊外の駅前に出店。メニュー変更とともに看板やのれんも変更しているとのことです。
二毛作を行っていく中で失敗事例も多くあるようです。二毛作それぞれ一つずつの特徴・強みをしっかりと打ち出して営業を行わなければならないということでしょう。この点は一毛作でも二毛作でも同じと言えそうです。
(参考文献 立地ウォーズ)