ブルー・オーシャン戦略

本日もブルー・オーシャン戦略に関して記載します。

ブルー・オーシャン戦略の考え方で過去大きく売上を伸ばしたものの中に任天堂のWiiがあります。Wiiは2006年末に販売されましたが、その成功により任天堂の株式時価総額は1年で倍以上に成長したほどです。もともとゲーム市場は1997年をピークに縮小を続け、2003年にはピーク時の約半分の3000億円程度まで縮小していました。そのような中、Wiiは主婦やおじいちゃん・おばあちゃんといった新しいユーザー層を作り上げ「新しい市場を創造」しました。Wiiとほぼ同時期にPS3も販売されましたが、Wiiが約1年間で1317万台の売上に対しPS3は約1年で559万台の売上という結果。PS3は「リアルなグラフィック」「コンテンツの難しさ」「音楽の完成度の高さ」といった機能の高さと多機能化を、最先端技術を使って徹底的に追求した商品。従来の業界内の競争内容を踏襲した次世代マシンで、かなりの高い機能性や中身を持っていたにもかかわらず、買手はそこまで求めてはいなかったのです。一方でWiiは「ゲーム市場の縮小」を直視し、「ゲームをあまりやらない人やまったくやらない人」をどのように開拓していくかに注目しました。また、ゲーム機が生活から離れていくのと対照的に、携帯電話が生活に溶け込んでいく様子を見て、「家族の生活に溶け込む」ゲーム機の開発を心がけました。このような取り組みにより「シンプル」で「短時間でできて」「マニュアルがなくてもできて」「体を動かしみんなでコミュニケーションできる」という新たなタイプのゲームを作り上げたのです。また、ゲーム機の購入に大きく影響を与える母親がゲームを嫌がることがないよう「夜うるさくないようにコンセントをつないだままでも、寝ているときはゲーム機内部の放熱ファンを止める機能」までつけていました。PS3の取った戦略をレッド・オーシャン戦略、Wiiの取った戦略をブルー・オーシャン戦略と言います。

さて、小売業においてブルー・オーシャン戦略を活用し成功した店にユニクロがあります。基本的にアパレル業界はファッション性や流行を訴えかける、非常に感性の高い業界で、シーズンごとにパリ・ミラノ・ニューヨーク・東京などで行われるコレクションを、一般向けに置き換えて提供するというのが標準的なビジネスモデルとなります。ところがユニクロはそのような感性志向の商品戦略を取るのではなく、洋服を機能的に捉え、さほど流行を追わないスタンダードな着まわしのきく洋服を提供しました。店頭の見せ方もVMD的に合理的だと思わせるディスプレイをしています。同じ製品・様々なサイズをお客様が手に取りやすいように陳列が工夫されています。話は逸れますが、VMDの教材が本屋などで売られているのを見ますし、その重要性は認知されていると思いますが、ファッション関係の店舗でしっかりとカラー戦略が行われているお店はそれほど多くないような気もします。それだけユニクロが商品の製造から陳列までお客様からのわかりやすさを追求しているのだとも感じます。話を戻しまして、ユニクロもWii同様、感性中心のアパレル業界において、機能性という新市場を開拓し成功したということです。

ブルー・オーシャン戦略、レッド・オーシャン戦略、どちらが正しいというわけではなく、その都度、使い分けをしていくことが重要なようです。小売業においてもゲーム業界同様、市場が縮小していますが、どのような戦略を取って生き残りを図っていくのか、十分に検討していくことが必要なのかもしれません。

 (参考文献:日本のブルー・オーシャン戦略)

ブルー・オーシャン戦略・レッド・オーシャン戦略

本日はブルー・オーシャン戦略・レッド・オーシャン戦略に関して記載します。

カナダのポップス/R&Bシンガーでジャスティン・ビーバーという人気歌手がいます。彼が歌手として成功するにあたって、きっかけとなったのがYouTube。今でこそいろいろな人がYouTubeにアップして自己表現をしていますが、YouTubeから出てきた草分け的存在がジャスティン・ビーバーらしいのです。よく言う先行者利益を得た一人ということだと思います。

 先行者利益とはちょっと意味合いが違うかもしれませんが、ブルー・オーシャン戦略というものがあります。ブルー・オーシャンとは、今はまだ存在していない市場=新たな需要を創造するという意味合いです。新たに創造された市場にはまだルールがありませんので、利益の伸びは大きくなり、自社の成長スピードも速くなります。

ブルー・オーシャンと比較する考え方としてレッド・オーシャンという言葉もあります。レッド・オーシャンの状況では市場の参加者は限られたパイを奪い合うべく、しのぎを削っています。多くの企業が「競争に打ち勝つ」ことを戦略の目標として多くの時間を費やしている状態となっているのです。そのような状況なので競争のルールも広く知れ渡っています。また、競争相手が増えるにしたがって製品がコモディティ化していくという問題も出てきます。

さて、ブルー・オーシャンの例としてアスクルの戦略があります。過去、文房具業界においては従業員30人未満の小規模企業やソーホーは、一般消費者が行くような文房具店で購入するのが当然という時代でした。また、小規模企業やソーホー側も自分たちが文房具メーカーから直接サービスを受けられる顧客とは考えていませんでした。小規模企業やソーホーの方がいろいろ文房具を見たい場合、品揃えが豊富な都心の大型文房具店にまで行かなければなりませんでした。また、オフィス用品を一か所で揃えることも難しく幾つかの店舗を回ることも普通でした。こうした状況でしたので、小口顧客はいつでも他の製品や店舗に乗り換えることができる消費者だったのです。

アスクルは、上記のような小規模企業やソーホーにオフィス用品や日用品を販売する販売事業部として1993年にサービスを開始。小規模企業層から直接注文を受け、そして直接配送する大企業へのサービス並みの利便性と1万品目を超える幅広い品揃えで、「ワンストップで、幅広い商品を簡単に購入したい」という市場を開拓しニーズを満たすことに成功しました。その結果、1998年から2000年までに売上高を106億円から471億円と急成長させ、今でも売上高を伸ばしています。

 閉塞感漂う状況に置かれている場合、このブルー・オーシャンの考え方を活用していくことも重要だと感じます。

 (参考文献:日本のブルー・オーシャン戦略)