JR東日本 自動販売機のビッグデータ活用

本日はJR東日本、自動販売機のビッグデータ活用に関して記載します。

【JR東日本の駅構内にある『カメラ付きの自動販売機』】

JR東日本の駅構内を歩いていると、大型ディスプレイで商品を映し出している自動販売機をよく見かけるようになりました。この自動販売機のディスプレイの大きさは47インチとかなり大きなものとなっているので、近くを歩くと目を引きます。この自動販売機が初めて登場したのは、2010年8月10日。JR東日本の自動販売機事業などを行うJR東日本ウォータービジネスが品川駅のコンコースとホームに2台設置したことに始まります。今では様々な駅で見られるようになりました。

この自動販売機、上の方を見上げてみるとカメラがあることに気づきます。このカメラを活用して顧客の顔画像を捉え、性別や年齢を推定。その顧客にあった最適な商品をおすすめしたりしています。性別と年齢の両方を正しく判断する確率は75%にもなるそうです。顔画像以外にも時間帯や気温などの要素を考慮に入れて商品をおすすめしているようです。

このようにJR東日本ウォータービジネスが設置している自販機は、今までの自販機と異なり、様々なデータを収集することができるものとなっているのです。

【ビッグデータ 自動販売機のデータ活用】

JR東日本ウォータービジネスは自販機から得られた大量のPOSデータを分析して、商品開発や販売戦略に役立てています。まさしく自販機のビッグデータの活用と言えると思います。

自販機からは大量にデータが得られるわけですが、同社がそのデータ分析から生み出した成果の一つに、2012年にリニューアル販売したペットボトル入り飲料水「フロムアクア」があります。同社は自販機から集めたデータを基に「フロムアクアは移動中に飲まれる場合が多い」という仮説を立てて、片手での飲みやすさを重視した、落ちないキャップを開発しました。リニューアル後、フロムアクアの年間売上は従来比で1.5倍に増えたと言います。確かに、実際に使ってみると、落ちないキャップは便利だと感じます。

その他にもデータ分析を基に自販機内の商品選定を行い、売上の増加を実現しています。例えば、午後の早い時間に自販機の売上が落ち込みやすい点に着目しデータ分析をした結果、500ミリペットボトル飲料は朝に売上のピークがあるのに対し、280ミリペットボトル飲料は全体の売上が下がる午後によく売れるということがわかりました。また午後の販売状況を細かく分析すると、40代女性が280ミリペットボトル飲料を買っていることがわかりました。そこで、40代女性にヒットしそうな商品を積極的に投入したところ、その時間帯の売上増につながったそうです。40代女性の購入者層は全体からみると少なかったため、データ分析を行う前まではその層に販売施策を打ち出すことはしていなかったそうです。しかし、購入者の属性、買った商品のカテゴリ、時間帯などを複合的に分析することで、隠れたニーズが発見され、売上の増加につながったのです。

カメラ付きの自販機によりJR東日本ウォータービジネスは顧客の年齢、性別ごとにどういった商品を購入しているかわかるようになったわけですが、この情報の蓄積は今後の自販機の販売活動にもプラスになっていくことと思われます。話は変わりますがローソンではPontaによる蓄積された情報を分析し、売上ランキングが上位でないけれど継続的に購入されている菓子を店頭に常に置くことによってリピート率を高めています。ビッグデータが言われる中、情報の活用は今後ますます重要になってくると思われます。

ビッグデータを活用した各社の対応

本日はビッグデータを活用した各社の対応に関して記載します。

ビッグデータとは、従来は扱うことが難しかった、大量かつ多量なデータのことを指します。大量のデータを分析することで同時に購入される頻度の高い商品を明らかにしたり、一人ひとりの顧客に向く商品を薦められたり、といったことができます。

ローソンは一人ひとり異なるIDを付与したポイントカードを活用して、購買データを収集し、POSデータだけでは分からない個々人の購買行動を分析していると言います。例えば「プレミアムロールケーキ」という売れ筋スイーツよりも「エッグタルトパイ」の方が、同じ人が複数回購入していて、リピート率が高いということがわかりました。更に来店頻度が高い顧客ほど「エッグタルトパイ」を購入する割合が高いことを突き止めたのです。このことからエッグタルトパイを棚に陳列すると、リピート率の高い顧客の来店促進につながることが期待できる、ということが判明しました。

ビッグデータの活用は急速に広がっていて、企業が連携したり、業界の枠を超えて共同したりする例も出てきています。その例としてローソンが展開する「Ponta」やカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)系の「Tカード」などが挙げられますが、運営会社が加盟店での消費者の履歴を収集し、加盟企業の要望に応じてマーケティング分析をしたり、消費者に商品やサービスの推奨をしたりしています。CCCはTカードの利用履歴などから、缶コーヒーの購買者がカー用品店、ガソリンスタンド、レンタカー、駐車場を利用する頻度が高い傾向を発見。データから見て缶コーヒーの購入と「運転免許の所有」に強い相関関係があることを見出したと言います。

ヤフーはアスクルを買収していますが、両社は2012年10月より直販サイト「ロハコ」をスタートさせています。ロハコは主に30~40代の働く女性を対象にしたサイトで、日用品を中心として注文した日にその商品が届くことを売りにしています。ロハコのビッグデータの活用方法としては、商品ページが閲覧されているのに購入に結び付いていないデータを確認したら価格設定の変更を行ったり、検索にかからない商品が出たらそれをリスト化し仕入れに活かしたりしています。顧客の購買履歴からリアルタイムで仕入れや価格の見直しを行っているのです。カルビーの「フルーツグラノーラ」販売の際、価格と購買状況、さらにはリアル店舗の市場価格を踏まえ、段階的に価格を調整したことにより、爆発的に売れる価格を見出すことに成功したと言います。

膨大な情報がSNS等により発信されていますので、このビッグデータの活用は今後一層進んでいくと思われます。

(参考文献 「週刊ダイヤモンド2013 12/7」「最新マーケティングの教科書」)