ネットスーパーの店舗型と倉庫型に関して

本日はネットスーパーの店舗型と倉庫型に関して記載します。

ネットスーパーには大きく分けて店舗型と倉庫型の2種類があります。店舗型は実店舗から商品をピックアップしてバックヤードで梱包して作業するスタイルで、イトーヨーカ堂などが行っています。それに対して倉庫型は店舗とは別にネットスーパー専用の倉庫を設け、注文処理、商品の在庫管理、梱包、配送などのすべての業務を行います。例としては広島にあるエブリデイフレスタがあります。(エブリデイフレスタURL http://fresta.everyd.com/)

 店舗型のネットスーパーは、スーパーの広い店内から注文通りの商品をピックアップし、狭いバックヤードで梱包や出荷の作業を行いますので、注文が多くなると多くの人出が必要となり人件費が上がってきます。また、注文が多すぎると作業がさばききれなくなってしまう可能性もあります。それに対して倉庫型のネットスーパーは、顧客別のトレイがベルトコンベアの上を流れて、そのトレイの中に商品を入れていく形となります。どの商品をどのトレイに入れるかはすべてコンピュータで管理されています。また、常温の商品がベルトコンベアの出発点近くにあり、冷蔵の生鮮食料品が終点近くにあるという、品質管理もしっかりと行うような仕組みとなっています。このように倉庫型ネットスーパーは設備的に充実しているため、大量の商品を処理することができ、幅広い品揃えからお客様の買物の代行を行うことができるというメリットがあります。一方で、専用の設備を備えた倉庫を設置する必要がありますので、固定費が高くなり、損益分岐点が高くなります。一般的に店舗型ネットスーパーが数百人の会員でも十分損益分岐点を上回る売上が確保できるのに対し、倉庫型では5,000人以上の会員が必要だと言われます。倉庫型だと損益分岐点が高いので利益が出づらく、多くのネットスーパーが固定費の低い店舗型を選択しているという現状です。

 今後の高齢化社会と男女が共に働く社会が進んでいくとネットスーパーが重要な役割を果たしていくのではないかと考えます。一方でネットスーパーに参入するに当たっては、経費の面や業務の効率化をどうクリアしていくかということが課題のように思われます。

 (参考文献 1からのリテール・マネジメント)

ネットスーパーに関して

本日はネットスーパーに関して。

ネットスーパーとは、消費者がスーパーのホームページで商品を購入し、その商品を宅配するもので、2000年代後半から注目が集まっています。ネットスーパーはその仕組みから「店舗型(店舗に陳列されている商品を配達する仕組み)」と「倉庫型(ネットスーパー専用の倉庫(センター)から商品を配達する仕組み)」に分けられます。日本の場合はほとんどのスーパーが「店舗型」で参入しています。その理由として店舗型は倉庫型よりも初期投資が少ないことが挙げられます。実際に過去、1990年後半にアメリカのWebvan社(ネット専業スーパーマーケット)が地域ごとに流通センターを設けて営業していたのですが、費用負担が重荷になって破たんしています。日本の場合、企業によっては、ネットスーパーの導入に伴って新たに人を雇うことなく、既存の店員が店舗でピッキングや仕分け作業を行うことで、ネットスーパー導入に伴って増加するコストを抑えて運営しているのです。

さて、その店舗型ネットスーパーの基本的な流れですが、『まず顧客がインターネットでネットスーパーのホームページにアクセスし、ホームページ上で商品を選択して注文を確定する→顧客からの発注情報が配送を担当する店舗に送られる→注文を受けた店舗では店員が売場に陳列されている商品をピッキングし、ネットスーパーの専用車にて店舗から顧客の家まで届けられる。支払いはクレジットカード払いや代金引換を選べる』というものとなっています(例:ダイエーネットスーパー https://netsuper.daiei.co.jp/ イトーヨーカ堂ネットスーパー https://www.iy-net.jp/ )。

 日本におけるネットスーパーは2000年に西友が2001年にイトーヨーカ堂が数店舗で実験的に導入したことにはじまります。ネットスーパーに参入する企業が増えたのは2007年以降です。

ネットスーパーの特徴ですが、まず商品を注文してから家に届くまでのリードタイムが短くなっています。スーパーによって違いはありますが、指定時間までに注文すれば当日中に商品が配達されます。次に配達エリアですが、店舗型のネットスーパーは利用できるエリアは店舗周辺に限定されます。チェーンによって半径5km程度であったり2~3km程度であったりと商圏人口の設定に差異があることから、その範囲が異なります。また、人口密度の高い都市圏では配達エリアが狭く設定され、郊外地域では利用者を確保するため配達エリアが広く設定されているようです。3番目にネットスーパー導入に伴って企業が得られる効果ですが、現状では決して大きなものではないです。イトーヨーカ堂のIRなどで売上を見てみたのですが、2011年のイトーヨーカ堂の売上1兆3,736億円に対しネットスーパーの売上350億円(約2%)と売上に大きく貢献しているというものでもないように感じます。「2010年2月期の売上高は当初目標(200億円)を上回り、210億円になった。営業損益も通期では初めて黒字に転換した」という報道も過去あったようで、年々、会員数や売上高を伸ばしているものの、まだまだネットスーパーは収益性が高い事業ではないということが言えると思います。

 高度経済成長期以降、総合スーパーなどのチェーンストアは大量生産された商品を効率的に流通させて大衆消費者に届けてきました。その中で効率化や低コスト化が進められてきました。ところが今総合スーパーが行っているネットスーパーは配送費もかかりますし顧客の代わりに従業員が買い物をするようなものですから決して効率的なものとは言えません。この一見矛盾する施策は社会・消費環境の変化に過去の小売業の仕組みではついていくことができなくなりつつあるということを象徴しているようでもあります。小売業全体的に店舗面積は拡大し従業員も増やさずにサービスを増やしているわけですから、ネットスーパーは将来の新たな総合スーパーの仕組みに向けて現在いろいろ模索しているということを表しているのでしょう。

 (参考文献:小商圏時代の流通システム)

ネットスーパーの販促活動

ネットスーパーの販促活動に関して

2009~2010年にかけてイトーヨーカ堂やイオンなどの大手企業が、ネットスーパーの利用可能エリアを拡大するなど積極攻勢を仕掛けている。また、ネットスーパーをPRするテレビCMも2010年ごろから流れはじめ、ショッパーの間で急速に認知が広がっている。

ネットスーパーでの販促を仕掛けるには、利用者のアクセスが集まるページや、買物サイト内の主な動線上に、ショッパーの関心を誘うような情報・コンテンツを配置することが重要になる。あるネットスーパーでは、利用者が会員IDやパスワードを入力して会員専用の買物画面にログインすると、その直後に、商品特売情報などの紹介ページを表示する仕組みと整えている。これは、ユーザーがウェブページを読み進めるプロセスで、半ば強制的に広告情報を挿入する「インタースティシャル広告」というインターネット広告の手法。そもそも買物することを目的にネットスーパーの会員画面を開こうとしているユーザーがほとんどなので、こうした手法を使って特売情報をアピールすれば、ついでに買われる可能性も高まる。

注文商品を家庭に届ける場面も、有効なプロモーション機会に位置づけられる。商品を配達する際、新製品の試供品を同梱すれば、手に取ってもらえる確率が高く、製品をアピールする格好の機会となる。新製品をプロモーションする際、街頭でのサンプリングを実施するケースがあるが、どこでサンプリングをするのが効果的なのかを見極めるのは、そう簡単ではない。また、ターゲットとする人に確実に渡そうとするには、配布スタッフへの教育や管理もある程度必要となる。不確実な要素が少なくない街頭でのサンプリング活動に比べると、ネットスーパーの商品配達場面を利用したサンプリングは、消費者への到達精度の高い手段。

商品配達には気を使っている。商品配達で不具合が生じるとネットスーパー利用へのイメージダウンにつながりかねないため。注文商品をピッキングする上でも、商品選びに間違いがないかどうか厳重にチェックするほか、ピッキングした商品が傷んでいないかどうかにも神経を尖らす。ある大手のネットスーパーでは、商品を配達するスタッフには禁煙をルール化している。

バナー広告:買物サイトの上部など目立つ箇所に、広告枠を掲出する手法。専用のプロモーションページにリンクすることが一般的。ネットメディアでの代表的な広告手法。バナー広告の表示回数に対して、何回クリックされたのかという割合を表すCTR(Click Through Rate)は市場全体で1%を大きく下回るとも言われている。

インタースティシャル広告:利用者がページを閲覧する最中に、広告情報を半ば強制的に表示する仕組み。目的のページにアクセスすると、そのページに移る前に広告ページが表示される運用が一般的。ページ遷移時にページとページの間に表示する広告のこと。広告を表示して一定時間がたつと自動的に次のページに移動する仕組みになっていることが多い。スプラッシュページと呼ばれることもある。コンテンツとコンテンツの間に広告を挿入する発想はテレビと共通している。トップページが表示される直前のインタースティシャル広告は,イントロマーシャルと呼ばれることもある。これらの広告はページをまるごと広告スペースとして利用できるので,自由なクリエイティブが展開できる。

ダイレクトメール広告:お勧めの商品や特売情報などをメールで伝達する手法。チラシのような役割を担う。見込み客にアプローチできる有力な手段といえる。メールの件名・掲載内容がその開封率を左右しやすい。

配送手数料の割引キャンペーン:ネットスーパーの多くは、一定の配送手数料を利用者に課金する。その手数料を引き下げることで、利用者を増やそうとする手法。手数料が無料になる買物合計額の水準を下げることも、有効な利用促進手段になる。(例:買物合計5,000円以上で配送料無料→合計3,000円以上で無料)

無料サンプリング:商品配達時にメーカーの試供品を配るサービス。街頭でのサンプリング活動に比べると、有力なショッパー(主婦など)の手に届く確率が高い手法。

(参考文献 ショッパー・マーケティング)