吉野家から見るターゲティングに関して

本日は吉野家から見るターゲティングに関して記載します。

【ターゲティング(顧客の選別)に関して】

企業が自社の商品やサービスを購入してもらえる顧客を選ぶ際には、まずニーズを把握し、次に顧客をニーズで分類(セグメンテーション)し、そして複数に分類したセグメント(顧客集団)から自社がターゲットとする顧客を選びます。

このようにして企業は顧客の選択(ターゲティング)を行うのですが、これを行う際には大きく分けて3つのパターンがあります。その3つのパターンは“無差別型マーケティング”“差別化型マーケティング”“集中型マーケティング”です。

■無差別型マーケティング:単一の商品やサービスで市場全体をターゲットとする方法

■差別化型マーケティング:複数のセグメントをターゲットにし、それぞれに別々の商品やサービスを提供する方法

■集中型マーケティング:1つのセグメントをターゲットとして、そのセグメントに自社の経営資源を集中投下する方法

無差別マーケティングは品不足の時代に多くの企業が用いたやり方だそうです。当時は、セグメンテーションなど考えずに、作った商品を市場に出せば売れたということがあったようです。

差別化型マーケティングと集中型マーケティングに関しては吉野家を軸にして内容を見てみます。

【差別化型マーケティング 吉野家の女性・家族客をターゲットとした戦略】

吉野家はカウンター席が主体なこともあり、利用客の85%が男性です(すき家は約30%が女性客・家族客)。このことから同社は女性客・家族客を増やすため「レンガ風のタイルを貼った外装」「白を基調とした明るさと開放感を演出した内装」「テーブルの併用」といった女性や子供が親しみやすい内外装へ切り替えています。

他にも女性専用メニューの試験的な販売やお子様セットの提供を行っています。更には「よっぴー」というUFOに乗ったキャラを生み出し、子供に親しみを持ってもらえるようにしています。

吉野家のこの戦略は、店舗の内装やメニューを女性客や家族客に合わせて変更する、差別化型マーケティングと言えます。

【集中型マーケティング フォルクス】

吉野家ホールディングス傘下の“どん”は高級路線に向けてステーキ店“フォルクス”の事業を強化しているのですが、このフォルクスは家計に余裕のある団塊世代の囲い込みを目指しています(すかいらーくやロイヤルホールディングスは家族連れをターゲットにしています)。そのためにフォルクスは、「ワンランク上の牛肉」「コース料理」「レンガと木目調の店内」「個室風の席」など、静かに落ち着いて食事をしたいという団塊世代のニーズに応えるようにしています。

フォルクスは団塊世代に経営資源を集中させている戦略を採っていると言えそうです。

なお、集中型マーケティングは、特定のセグメントに特化しますので、狙った顧客にだけ絞った商品開発、販売促進を行うために、各種費用を減らすことができるというメリットもあります。

企業が自社の商品・サービスをどんな人に売るのかを考えるに当たってはターゲットをどうするのかということを十分に考えることが必要そうです。

(参考文献 明解!経営戦略がわかる~消費者視点から読み解く“戦略”のキホン~)