ソニーとアップルから見るクリエイティブな経営の重要性

本日はソニーとアップルから見るクリエイティブな経営の重要性に関して記載します。

アップルは「iPhone」「iPad」「iPod」「Mac」という4つの製品と、それらをつなぐアプリケーションソフト「iTunes」というシンプルなビジネスモデルを採っています。それに対しソニーはエレクトロニクス事業、映画や音楽などのエンターテイメント事業、ソニー銀行などの金融事業など多角的な経営を行っています。アップルは製品数を絞ることによって1製品当たりの広告宣伝費を増やしたり、同一製品を大量生産したりすることによって、高い営業利益率を出しています(2012年9月期 営業利益率35.3%)。それに対してソニーは2012年3月期の営業利益率△1.0%と苦しい状況です。多角化経営はリスクが分散されるため経営成績が安定するというメリットがあります。その一方で経営資源を集中できないため高い収益を上げ辛くなると言います。また、ソニーはスマホや携帯音楽プレーヤーなどのハードに加え、映画や音楽といったソフトを持っているけれども、グループ内でそのソフトとハードの融合があまりうまくいっていないという課題もあるようです。

ソニーの一番売れているスマホが2250万台。それに対してiPhoneは1億2505万台。デジタルミュージックプレーヤーはソニーが820万台に対してiPodは3517万台。このようにソニーとアップルの間には現在かなりの差が開いてしまっています。このような差が出来てしまったのには、技術革新が進むにつれてソニーが得意としていた技術力での勝負が難しくなり、消費者がどれだけ快適に使用できるかという部分での勝負になってきているということがあります。技術力が平準化したことによる影響でしょう。例えばソニーのウォークマンにはiPodに搭載されていない、ノイズキャンセリング機能や高音質のデジタルアンプが搭載されているモデルがあり、技術力では決してアップルに劣っているわけではありません。しかしながら、アップルはスタイリッシュなデザインと直観的使いやすさという柱を持って、セールスポイントをうまく伝えるCMや、アップルストアや家電量販店でアップル製品に触れる機会を増やすことによって、消費者のニーズを盛り上げています。コモディティ化が進んでしまっているからこそ、新たな視点を持った消費者のニーズを満たすような軸を持ったモノを提案していくことが重要ということでしょう。

この流れの中、ソニーの平井社長は過去のように、革新的な製品を開発することに力を入れるクリエイティブな経営に回帰してきています。クリエイティブな経営を行っていくに当たり、ニーズの把握、生産管理、投資家からの評価という3つの難しい面があります。そのため多くの企業ではクリエイティブな発想を持って積極的に攻める経営よりも、既存の経営資源をうまく利用することで、安定的な業績を目指そうというマネジメントを行うことになります。投資家目線から言っても、成果が上がるまで時間もかかるし、失敗するリスクもあるクリエイティブな経営よりも、既存の資源を活用して効率的に利益を上げていくようなマネジメントの方を評価するということになります。しかしながら、現状を維持するようなマネジメントを行い続けることは長期的にみると競争力の低下を招きます。ウォークマンやプレイステーションを産み出したクリエイティブな経営をソニーは再び行うことで、企業の力を盛り返そうとしているということが伺えます。

 現状維持は利益を生み出す額がどれくらいになるか想定しやすいですし、体質を変える必要もないので、非常に楽です。しかしながら、新たな発想を持って顧客ニーズに即した経営を行っていかなければ長期的な視点で見れば企業の成長はないということです。

 (参考文献 ビジネスモデル分析術)