セブンイレブン

セブンイレブンに関して記載します。

コンビニエンスストアの売上高は年々増加傾向にあり2007年7兆4,895億円だったものが2011年8兆7,747億円。店舗数についても2007年40,405店に対して2011年は43,373店と増加傾向にあります。その中でセブンイレブンジャパンのチェーン全店売上高(2012年度)は小売業の中でも群を抜き3兆5,084億円、店舗数においては国内で約15,000店という圧倒的な店舗網を誇っています。商品群での年間販売額を見てみると、おにぎり(17億個)、弁当(4億6000万個)、ビール系飲料(4億6000万本)、雑誌・書籍・コミックス(2億4000万冊)などについては日本一多くの売上を上げています。このセブンイレブンが今攻めの姿勢を見せています。セブンイレブンは2012年度から出店ペースを加速させていて2012年度に1,067店の店舗純増し、2013年度は1,150店の店舗増をもくろんでいます。このセブンイレブンの動きに追随するように業界3位のファミリーマートも今年度1150店の店舗純増をもくろんでおり、セブンイレブンが他チェーンを出店競争に巻き込んでいる状態のようです。

セブンイレブンの商品に関する攻めの姿勢として、ファストフードとしてセルフ式のドリップコーヒー「セブンカフェ」の販売を2013年1月から全国展開を始めています。本格展開から半年足らずで累計5000万杯販売していて、初年度の販売数4.5億杯を見込んでいます。もともと日本のコーヒー市場は大きく、全日本コーヒー協会によれば、日本では1週間に1人当たり10.7杯のコーヒーが飲まれているようで、セブンイレブンはその市場のシェアを取ることを狙っているようです。セブンカフェ購入者のうち2割が一緒にサンドイッチや菓子パン、スイーツを買うという買い回り効果も出ているようです。

また、PBにおいては高付加価値型PB「セブンゴールド」を手掛けています。大手メーカーとセブンイレブンの共同開発商品で、いわゆる“ダブルチョップ”と言われるNBとPBの中間のいいとこ取りPBです。ちなみに「セブンゴールド」商品の、今年6月末からセブンイレブンとサントリーが組んで販売されたビール「ザ・ゴールドクラス」を買ってみたのですが、350ml、218円で他のビールとそれほど値段は変わらず、味はまろやかな飲みやすい感じでした。

また、セブンイレブンでは店内の品揃えを抜本的に見直しました。女性や高齢者を狙って、惣菜のほか、牛乳や豆腐などの日配品、コメや調味料、日用雑貨を強化しています。そして、商品の日持ちの改善を図り、従来に比べて廃棄ロスの出にくい商品を増やしました。例えばパスタは過去40時間程度で店頭から外していましたが、64時間に伸びました。これらの取り組みにより1店舗当たりの廃棄ロスはピークに比べ3割程度減少したそうです。商品の廃棄が増えれば、負担を避けたい加盟店が発注量を絞り、販売の減につながってしまいます。廃棄ロスは加盟店の負担にもなるため、廃棄ロスの出にくい商品を増やせば、加盟店も積極的に品揃えをするようになり、それが売上増につながるという好循環につながっていき始めているようです。

 商品力の強化による売上増、廃棄ロスの減による出費の削減という視点を持って利益拡大を図っているというところでしょうか。今後、セブンイレブンの店舗数拡大がコンビニエンス業界にどう影響を与えていくのか、注目だと思います。

 (参考文献:週刊東洋経済7/13 ブランドマーケティング)

コンビニエンスストア業界の現状

本日はコンビニエンスストア業界の現状に関して記載します。

【コンビニ業界の状況】

国内コンビニエンスストアの店舗数の限界と言われた4万店を2012年に突破した後も、セブン-イレブンやファミリーマートを中心に出店競争が続いています。その中で既存店の売上高は厳しい状況にあります。そして、新規出店や商品開発を進める上位チェーンと体力のない中堅以下の格差が鮮明になってきています。

【セブン-イレブンに関して】

セブン-イレブンはパウチ惣菜など使い切りサイズの品揃えを厚くして、高齢者や単身者の支持を得ています。また、2013年に淹れたてコーヒーを導入し、一部ファストフード店の顧客を奪って業態を超えた顧客の争奪戦となりました。出店数を加速させており、2012年度に1350店、2013年度に1500店と出店しています。

【ローソンに関して】

2013年10月にローソンはキャッチコピーを「マチの健康ステーション」へ変更し、高齢化による顧客の健康志向が今後増すことを想定し、「健康に配慮した商品ならローソン」を連想させるような店づくりを進めています。2013年にローソン初の直営調剤薬局併設店、ローソンホーム薬局蒲田店がオープン。在宅介護を受けている人に薬の出張調剤を行っています。その中で宅配する薬と一緒にコンビニのお菓子を持っていくこともあるそうです。東京都大田区にある久が原一丁目店では、無料で使えるタニタの業務用体組成計を設置し、顧客の定期的な来店を促しています。その他、野菜販売の拡大、医薬品の販売に取り組み、健康をテーマとした店づくりを試験的に行っています。

【ファミリーマートに関して】

ファミリーマートは2012年10月に新PBの「FamilyMart collection」を立ち上げ、品揃えの幅を拡大。高質な商品を開発し、価格よりも質を重視した戦略を採っています。また国内の新規出店においては地方都市や駅ナカを中心に展開。2012年に大阪市営地下鉄の駅構内に2012年開店したり、2013年に近畿日本鉄道と駅ナカ売店・コンビニ事業について業務提携し、近鉄の駅ナカ売店等をファミリーマート店舗に順次転換していくことに基本合意したりしています。

【コンビニの大量出店に伴って】

コンビニが大量出店するのに伴って、加盟店オーナーが不足するという問題が発生しているようです。各チェーンとも一人のオーナーが複数の店舗を経営する「複数店経営」を推進しているようです。店舗の質を維持しつつ、大量出店を続けられるかは、各チェーンの対策にかかっています。

【参考:現在のコンビニエンスストア各社の状況】

コンビニ売上高1位はセブン-イレブン・ジャパン。チェーン全店売上高3兆5,084億円で、営業利益1,867億円とコンビニ業界では群を抜く利益水準となっています。全店平均日販は66.8万円とこちらも高水準。国内店舗数は1万5,072店です。

続く売上高2位はローソン。チェーン全店売上高は1兆9,065億円、営業利益662億円。全店平均日販54.7万円、国内店舗数は1万1,130店となっています。

3位は伊藤忠系のファミリーマート。チェーン全店売上高は1兆5,845億円、営業利益431億円、全店平均日販52.3万円、国内店舗数は9,481店となっています。前述のように鉄道10社(西武・東武・京成などとも提携)と駅売店で提携し駅ナカでも強みを見せています。

4位はユニーグループ・ホールディングスの完全子会社、サークルKサンクス。チェーン全店売上高8,788億円、営業利益182億円、全店平均日販46.7万円、国内店舗数6,242店となっています。

5位はイオンが54%出資する、ファストフードに特色のあるミニストップ。チェーン全店売上高、3,526億円、営業利益50億円、全店平均日販46.5万円、国内店舗数2,192店となっています。イオンとの連携を強化し、惣菜や日配品を拡大しています。

その他のコンビニとして、神奈川など首都圏を中心に展開するスリーエフ(チェーン全店売上高977億円、営業利益0.5億円)、北海道を中心に展開するセイコーマート(チェーン全店売上高1,846億円、営業利益17億円)、広島が地盤のポプラ(チェーン全店売上高868億円、営業利益2.1億円)、2013年7月に山崎製パンが吸収合併したデイリーヤマザキ(チェーン全店売上高2,256億円、営業利益▲6.9億円)、中部・近畿を中心に展開するココストア(チェーン全店売上高1,089億円)などあります。

コンビニ業界においても他業態との競争が激化しています。例えば2014年からアマゾンが自社で酒販売を開始するなど、ネット企業が食品・飲料分野での販売を拡大しています。今後、ネット企業を含め、縮小する国内市場のパイの奪い合いが激化してくることが想定されます。

(参考文献 会社四季報2014年版業界地図 週刊東洋経済2014 4/26)

コーヒー戦争

本日はコーヒー戦争に関して記載します。

【コンビニコーヒー、ブレイク】

2013年1月、セブン-イレブンはドリップ式コーヒー「セブンカフェ(Sサイズ100円)」の販売を始めました。この商品は大ヒットとなり2013年12月12日で累計3億杯を販売するに至りました。そしてこの「セブンカフェ」が登場したことにより、競合他社はコーヒー戦略を見直し、その結果コンビニコーヒーの販売数は各社合計で7億杯以上となりました。コンビニ業界2位のローソンは「マチカフェ」というコンセプトを打ち出しました。「マチカフェ」はスターバックスなどを手本としており、本格的なコーヒー関連商品を10種類以上販売するとともに、同業他社がセルフ方式なのに対し「挽きたて、淹れたてコーヒー」を店員が作ります。ローソンはさらに2015年春までに商品を店内で調理し、出来立て、手作り感にこだわった「まちかど厨房」を5000店に広げる計画を立てています。この「まちかど厨房」はカツサンドやハンバーガーなどを店内で調理したり、惣菜の量り売りをしたりしています。ローソンは「まちかど厨房」によりカフェやファストフードから顧客を奪うことを狙っているのです。コンビニ業界3位のファミリーマートも「ファミマカフェ」を展開するとともに、新店ではイートインコーナーを設ける方針で、「すぐに食べられるコンビニ」への転換を進めようとしています。2014年にはコンビニコーヒーは10億杯を突破すると想定されています。

【コンビニコーヒーに浸食される缶コーヒー・チルド系のコーヒー】

セブン-イレブンが「セブンカフェ」で100円コーヒーを展開した時に、最初に影響を受けたのが缶コーヒーとチルド系のコーヒーでした。もともと缶コーヒーとチルド系のコーヒーは店内でカニバリズム(共食い)を起こしていたのですが、そこに「セブンカフェ」が登場し、それらのシェアを奪っていったのです。缶コーヒーの上位銘柄には日本コカ・コーラの「ジョージア」、UCCの「UCCミルク&コーヒー」、サントリーの「BOSS」がありますが、軒並み売上を落としています。そもそも缶コーヒー自体、競合が激しい商品となっており、スーパーやディスカウントストアでは安売りされるため、利幅が取りにくくなっています。コンビニで販売すれば、110円以上で販売できるので利益が取りやすいのですが、そこをコンビニコーヒーに奪われている形となっています。

【コーヒーを取り巻く企業の変化】

コンビニコーヒーの勢いは回転ずしの「くら寿司」や牛丼の「すき家」などにもコーヒーメニューを登場させることとなりました。また、「ミスタードーナツ」は2013年9月にコーヒーの刷新に取り組み逆襲に転じようとしています。

ドトール・日レスホールディングス傘下の「ドトールコーヒー」では、古くなった店舗を「白ドトール」と呼ばれる新店舗に改装。白ドトールは外壁や店内の壁紙を白で統一し、女性が入店しやすい雰囲気作りを行っています。また、ブランド力の落ちる「エクセルシオールカフェ」の見直しも進めるとともに、コメダ珈琲店を参考にフルサービス型の喫茶店「星乃珈琲店」も展開。また、都心部立地の「銀座ルノアール」も2013年にキーコーヒーと資本提携し、郊外型立地「ミヤマ珈琲」で成功を収めています。

コンビニの店舗数の飽和が言われる中、セブンカフェのような商品を販売することにより、その存在感をますます強めているように思われます。今後、国内市場が縮小していく中で、「どこで新規市場を作るか」「どこからパイを奪うか」という考え方が、より重視されていくのかもしれません。

(参考文献 月刊BOSS 2014年3月号臨時増刊号)

セブン‐イレブンの小売事業システム

本日はセブン‐イレブンの小売事業システムに関して記載します。

セブン‐イレブンはファーストフードや惣菜に強い日本型のコンビニを生み出しましたが、それを支えるシステム面においても革新的な取り組みを行ってきました。そのシステムを以下3つの視点で見てみます。

【組織設計】

セブン‐イレブンのフランチャイズ組織の柱となったものとして“粗利益分配システム”があります。フランチャイズチェーンにおいて、本部が加盟店から徴収するロイヤルティ(看板料や経営指導料の総称)の設定方法として、売上げ歩合方式が一般的でした。この方式は、加盟店にたとえ利益が出ていなかったとしても、売上高に応じたロイヤルティを本部に支払う必要のあるものです。それに対して粗利益分配方式は、加盟店の粗利益額に応じてロイヤルティを設定する方式です。この仕組みだと、本部も自社の収益を増やすためには、店の利益を増やす必要があり、本部と加盟店が同じ目標に向けて協業するという関係が成立しやすくなります。本部は各店の売上高や仕入れ状況などを把握することによって、加盟店に対して様々な経営指導や販促協力を行い、加盟店は地域情報に根ざしたきめの細かい在庫管理を行うという、共栄共存の関係が構築されていったのです。

【情報システム】

コンビニという狭い売場面積で生産性を最大限高めていくには、商品回転率を高める「単品管理」による廃棄ロス・機会ロスの最小化を図ることが必要で、そのために同社は常に情報システムに対して積極的に投資を行ってきました。単品管理とは、これ以上細分化できない単位で商品の販売動向を把握し、在庫管理を行っていくことで、POSレジの普及とともに実行が用意となってきました。単品管理は単品ベースの販売動向分析に基づき、それぞれの店舗に適切な在庫の補充を行うための商品発注と、商品の取り扱いの有無を決定する品揃えが中心的な課業となります。同社は単品管理には大規模な情報システムの構築が必要だと考え、1982年に全店にPOSレジを導入(ローソンが90年7月、ファミリーマートが90年6月に同システムを導入)。死に筋の排除と売れ筋となる可能性のある新製品の投入を徹底的に進めるとともに、欠品による機会ロスの減少により、業績を急速に改善させていきます。90年には検品スキャナーST(スキャナー・ターミナル)を導入。店に納品される商品をSTでスキャンし、検品作業を簡素化かつ精度も向上させます。そして、91年にはISDN回線、97年からは衛星回線、06年からは光ファイバー通信網の整備、と同社の情報システムの強化を図ってきました。

【物流システム】

セブン‐イレブン誕生当時の小売業界では、卸からメーカーケース単位で店舗に納品されるのが普通でしたが、そのような物流をそのまま店舗面積の小さいコンビニに持ち込むと、店のバックヤードがすぐに在庫であふれ、店頭は過剰在庫の状態に陥りやすくなってしまいます。コンビニには、納品頻度が高く、納品単位が小さく、精度の高い物流サービスが必要でした。同社は1976年に物流改革プロジェクトを立ち上げ、3つのことに取り組みます。まず、一つ目は一定の配送地域にまとまった数の店舗を設け(ドミナント戦略)、配送量を拡大するということです。そして、二つ目は各店に商品を供給するベンダー(製品の供給業者)数を集約し、ベンダー1社当たりの配送規模を拡大するということです。食品から雑貨まで幅広いカテゴリーの商品を品揃えするコンビニは、小さな店舗であるにも関わらず、取引先が多くなっていました。そこで、作業効率のためにベンダーを絞り込む必要がありました。最後に3つ目は、複数メーカーの商品をトラックに混載する共同配送を採用することです。これにより配送及び店内の荷受け作業の合理化を図りました。

セブン‐イレブンは慣習に囚われずに業務改善を進めてきたことによって、力強い同社の仕組みを作ってきたように思われます。時代が変わってもそのことは重要なのでしょう。

(参考文献 日本の優秀小売企業の底力)