スペインの小売業

本日はスペインの小売業に関して記載します。

【スペインの小売業の特徴】

スペインは、第2次世界大戦中から1975年までのフランコ将軍の統治していた時代、文化・経済両面で閉鎖的な社会となっていました。

スペインにおいて経済の自由化が行われたのは1975年以降で、小売業に関しても1970年代以降に急速に変化していきます。その変化は、小規模な家族経営の食料品店→スーパーマーケット→ハイパーマーケットというような流れで、徐々に小売業者が集中化していくという流れではなく、家族経営から一気に、巨大なハイパーマーケットが取って代わるというような、間を抜かした変化を起こしています。

また、スペインの小売業では営業時間に関連して面白い特徴があります。小売店は午前10時か10時半から開店し、午後8時か10時までオープンしているのですが、大半の小売店は午後2時から5時まで昼食とシエスタ(スペインの昼休みの習慣)のために店を閉めています。そして営業時間中で、最もショッピングに好まれる時間帯が、午後6時以降となっており、その時間帯での売上が50%を占めていると言います。レストランに関しても午後8時半まではオープンしないそうですので、比較的、夜型な人々の多い社会なのかもしれません。

【スペインの百貨店とザラ】

スペイン最大の小売業者は“エル・コルテ・イングレス”という企業で、50店舗以上の百貨店と32店舗のハイパーマーケットを経営しています。スペイン唯一の百貨店チェーンであるとともに、インターネット取引においても国内で最も成功している企業です(スペインの全インターネット取引の12%の売上シェア)。

ファストファッションのザラを持つインディテックス・グループは国際市場で急速に拡大している企業で、マッシモ・ヂュッティ、プール・アンド・ベア、ベルシュカ、ストラディバリス、オイショといったブランドを持っています。ザラは高い在庫回転率によって、「次に行ったときには同じ商品はない」という状態を作りだし、消費者の消費喚起につなげています。

(世界の小売業売上高(2010年度) エル・コルテ・イングレス47位 インディテックス49位)

【スペインのハイパーマーケット】

スペインでは多くの女性が労働市場に参入していることにより、個々の食料品専門店に行くよりも、ワン・ストップ・ショッピングができる、ハイパーマーケットやスーパーマーケット、ハード・ディスカウントといった店へ足を運ぶ傾向が強くなりました。

スペインには4つの主要なハイパーマーケットがありますが、そのうち2つがフランスの会社と関連するものとなっています。その一つはカルフール、もう一つはオーシャンです。フランスのハイパーマーケットはスペイン郊外の至る所で見られるそうです。

1960年代にスペイン人の自動車保有者は100人中1人でしたが、今では3人に1人が自動車を所有するようになりました。そのことが大型スーパーの成長につながったのです。

スペインでは、社会的に閉鎖されていた状況から解放された際に、海外からの企業の市場参入により、小売業界は大きな変化を遂げました。また、女性の社会進出によりハイパーマーケットの需要が大きくなったということからも、社会の変化と求められる小売システムの変化には相関関係があるということが言えそうです。

(参考文献 変わる世界の小売業)