小商圏戦略

本日は小商圏戦略に関して記載します。

【多くの企業が模索する“小商圏戦略”】

小商圏戦略とは、小売業界で1980年ごろから使われ始めている言葉で、狭域の商圏を多数設定したり、既存の広域商圏を分割したりして、そこに小型店を多数立地させていく手法のことを言います。様々な企業が小型店の出店を行っているのですが、一部その取り組みを以下紹介します。

・関西地盤のホームセンター大手、コーナン商事。7~8万点の品揃えのある大型業態「ホームセンターコーナン」に対し、品揃えを約22,000点に絞った小型業態「ホームストック」を展開。売場面積は約1000平方メートル。

・ロフト。2013年4月に東京ドームシティラクーアにアイテムを文房具に絞り込んだ都心向けの超小型店舗「SELF&SHELF LOFT」を出店。多店舗に拡大する予定で、同年9月にJR大塚駅直結のアトレヴィ大塚にも開店している。

・大塚家具。大型ショールームに加え、気軽に立ち寄ってもらえる雰囲気の小型店で消費者との接点を増やす戦略。低価格品で攻勢に出るニトリホールディングスやIKEAに対抗。

【時代背景によって、その位置づけが変わる小商圏戦略】

小商圏戦略はその時代の流れによってその位置づけが変わっています。

戦略的な小型店が注目されたきっかけは、大店法が1978年に改正され、500平方メートル以上のすべての店舗が規制の対象となったことに始まります。各企業は500平方メートル未満の小型店を出店することで規制を免れようとしました。

1980年代。小型店であるコンビニや専門店チェーンが急成長。小型店が「成長モデル」としての意味を持つようになります。コンビニはそれまでの駅前や商業地を離れ、住宅地という場所に成長の拠点を見出し、専門店はロードサイドに成長の拠点を見出していきます。

1990年代。大店法の規制が緩和され、大型店が増大。様々な業界で大型店間競争が激しくなっていきます。それに伴い、小型店は、競合他社の取りこぼした隙間商圏を確保したり、自社の大型店の隙間を補完しセットで市場占有率を上げるドミナント型の役割を担ったりするようになります。

2004年ごろからは社会環境の変化に合わせた小型店へと変化。都心への人口回帰に合わせて、都心で日用品や食品を始めとする多様な需要が新たに増大していきます。また、高齢化に伴い、郊外の大型店へのアクセスが難しくなる消費者が増えてきます。それに合わせて、近年の小型店は大都市部での立地が中心となってきています。例えばイオンのまいばすけっとは、その戦略的な位置づけが「高齢化や都心への人口回帰などをにらんだ地域密着型の戦略的小型店」とされており、売上に関しては既存店で2ケタ増で推移しているといいます。

このように一言に小商圏戦略と言っても時代の流れとともにその位置づけが変わってきていることが分かります。

【小商圏戦略のデメリット】

小型店化で成長を図ろうとした場合、商圏が分割されて店舗数が増えますので、店舗の立地開発や建設資金面での負担が膨らむことが想定されます。居抜き物件などによる出店する際の経費削減が求められるでしょう。また、商圏が小さい分、その狭い地域の顧客ニーズに的確に対応していかなければなりません。品揃えの小さな誤差が売上や収益に大きく影響してくる可能性があるためです。

小商圏戦略が時代の法律であったり社会環境であったりによってその位置づけが変わってきているということからも、小売業が小売システムを置かれた環境に合わせて変化させる必要がある業態であるということが言えそうです。

(参考文献 立地ウォーズ)