コンビニの位置づけと買上点数増加策

本日は消費者から見たコンビニエンスストアの位置づけと買上点数を増やす施策に関して記載します。

 流通経済研究所が東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3県在住の女性消費者を対象として2006年に実施したアンケート結果によると、コンビニの利用頻度は最も多いのが「週に1日程度(27.5%)」、次いで「週に2~3日(25.7%)」、「月に2~3日(18.2%)」という回答になっていました。店舗までの来店手段は「徒歩」が約6割。店舗までの所要時間は「5分未満(51.4%)」「5~10分未満(35.7%)」と10分未満がほぼ9割に達しています。普段の生活を思い起こせば当たり前のことではありますが、アンケート結果からコンビニは消費者にとって基本的に自宅や勤務先から歩いていく店だと位置付けられているということがわかります。また、店舗選択時の重視項目の結果を見ると、消費者が最も重視していることが「自宅や勤務先から近い」ということになっており、店舗へのアクセス面を重要視しているということが伺えます。

さて、コンビニにおいて、総買上点数が動線長に比例して増加する傾向があります。来店前にその商品を買うことを決めていた者が商品購入者のうちどの程度あるのかを“計画率”、その商品を買う者が来店客のうちどの程度あるのかを“購入率”とすると、動線長を長くし買上点数を増やすためには、計画率が高く購入率も高い商品を分散配置することが有効的になります。コンビニで計画率が高く購入率も高い商品は日本茶、おにぎり、タバコなどになります。これらはコンビニの来店目的となる商品群となりますので、集客のカギとなるものです。さらに買上点数を増加させるには、計画率が高く購入率も高い商品を陳列している売場の間に、計画率は低いが購入率が高い、ついで買いされるような商品を配置することが重要です。計画率が低く購入率が高い商品としてはファストフードのようなものがあります。米飯類→飲料→レジ、もしくは飲料→レジの動線上にチョコレートなどの菓子、またレジ台にファストフードを配置することによって、総買上点数の増加が見込めます。

 東日本大震災後、コンビニはそれまで以上に身近な存在になりました。そして、今現在もコンビニ各社は出店攻勢をかけています。競争が激しくなる中で、様々な手法を用いて各社が他社との競争に打ち勝とうとしていきますので、いろいろな観点からどのような対策をとっていくのか興味深いものがあります。

 (参考文献 インストア・マーチャンダイジング)

店舗数が増大するコンビニ

本日は店舗数が拡大するコンビニに関して記載します。

コンビニの国内の総店舗数が5万を超えると飽和状態になると言われていましたが、2012年にその数を超えました。そして、2013年、大手5社(セブンイレブン。ローソン。ファミリーマート。サークルKサンクス。ミニストップ。)の合計出店数は4500店。過去最高を更新するようです。優秀な開発担当者であれば、1ヶ月に1店舗のペースで新規出店を続け、コンビニ業界がバブルの時には1週間に1店舗開発する人もいたようですが、コンビニの店舗数は、今後も増えていきそうです。2012年度に店舗数が最も増えたのは、東京414店、次いで大阪206店、そして愛知199店という3大都市圏でした。このエリアは人口が流入している地域ですので、コンビニとしても成長を見込めるため出店数を増やしたというところでしょう。一方で都市圏以外においても徳島県以外のすべて都道府県で店舗数が増加しています。セブンイレブンは2018年までに四国に570店出店する予定ですし、ファミリーマートも都道府県別にみると100店に満たない地域が24あるので、その地域に経営資源を投下しようと考えているようです。

このような出店攻勢により2012年度の国内のコンビニの全店売上は9兆4556億円(前年比3.5%)と売上を伸ばしていますが、一方で既存店の売上高は1.0%減。店舗数の増加に伴い競争が激化していることが伺えます。

 海外に目を移すと、セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート、ミニストップの4社合計の海外店舗数は2012年度末時点で5万128店。コンビニの国内総店舗数が5万439店でしたので、国内の店舗数に肉薄してきている状況です。これらコンビニの海外進出を後押ししている要因として、アジア各地での中間層の厚みが増してきているということが大きいと言います。英ユーロモニターインターナショナルは、店舗販売ベースの2013年の小売市場は、インドネシア12兆4000億円(前比5%増)、タイ6兆5500億円(前比3%増)、フィリピン5兆4000億円(前比3%増)、中国148兆2000億円(8%増)と予測しています。

このような数字を見ると海外のコンビニの利益は非常に大きいのであろうと想定してしまいますが、現時点ではそういったことはないようです。ファミリーマートでは海外店舗数が約1万2000店と国内店舗数9600店を上回っていますが、経常利益に占める海外比率は2012年度で約1割だそうです。またローソンについては海外事業が赤字だそうです。現時点では海外への進出は先行投資的な位置づけが強く、利益を確保する基盤は国内といった状況のようです。

 海外進出するにあたっては、店舗開発、サービス、商品開発など“現地化”していく取組が必要だと言われています。個人的に、現地化に関しては、過去から地域とともに成長してきた日本的な商売のあり方が活かせるような気がします。

 競争が激化するコンビニ各社が、国内・国外を舞台にどのように生き残りをかけて戦っていくのか、興味深いです。

 (参考文献 日経MJトレンド情報源2014)

ファミリーマート 海外進出の際の現地パートナーとの協力

本日は「ファミリーマート:海外進出の際の現地パートナーとの協力」に関して記載します。

ファミリーマートは日本のコンビニとして最も早く海外進出を果たした企業です。そして、アジアを中心とした海外市場に、日本で進化したコンビニという業態を輸出することで、今では国内より海外の店舗数の方が多くなっています。そして海外進出の際には日本のファミリーマートのノウハウを上から押し付けるようなことせず「コンビニ事業は地元に根ざしたローカルビジネスだ」という考え方の下、現地パートナーと合弁会社を設立するスタイルを基本としています。進出先の商品の品揃えや陳列方法、店舗づくり、接客などは、現地での経験の積み重ねが必要となります。また、進出先のエリアで求められる商品も日本とは異なります。そういった考えから、上記のような海外進出戦略を採っているようです。

そもそもコンビニは他の小売業と異なり特有の仕組みを持つ面があります。コンビニはロットが大きい商品をそのまま店舗に納品するのではなく、ベンダー(問屋)から納品された商品を一旦配送センターに納品し、それを小分けにしてから店舗に納品しています。それにより各店舗に適切な商品量が納品されると同時に過剰在庫も抑制される仕組みとなっています。また、弁当や惣菜を製造し提供する中食ベンダーの存在がありますし、POSシステム等のITシステムの整備も不可欠です。品質管理もしっかりと行っており、例えば温度管理においては基本的な商品の温度帯を4つに分けて管理しています(20℃:米飯類 5℃:チルド商品(牛乳など) 冷凍:アイスクリームなど 常温:カップラーメンなど)。こうした仕組みが存在し、機能して初めて、新鮮でおいしい商品が店頭に並ぶコンビニになります。

 新興国には日本の中食ベンダーに該当するところが少ないので、現地で食品工場を持っている企業と日本の中食ベンダーの協力を得て、惣菜を製造するラインを作っています。このように、現地の実情に合わせた仕組みを産み出して対応を行っています。海外でコンビニを展開する場合には、コンビニの基本的な形は同じでも、現地に適した仕組みを作り上げなければなりません。ファミリーマートは現地パートナーとともにノウハウを持ち寄って、最適な仕組みを作り上げることによって成功につなげているのです。郷に入っては郷に従えということでしょうか。風土・文化が異なる場所での成功はそのエリアとの連携が必要ということのようです。

 (参考文献 成功事例に学ぶマーケティング戦略の教科書)

コンビニの万引き

コンビニの万引きに関連して記載します。

【コンビニの万引き被害額】

過去、歌舞伎町で経営していたファミリーマートの店舗が「万引き被害額が多すぎて経営できない。」といって店舗を閉店し話題となったことがあったようです。実際にコンビニで万引きされている商品の額は馬鹿にならないようで、その被害額は平均的に見て年間で48万円にもなるようです(平均棚差ロス額=売上×3/1000。コンビニ1店舗当たりの平均売上高が1億6000万円(平成19年度商業統計)。そこから算出)。万引きされる代表的な例としては“酒”“雑誌”“化粧品”といった高額商品が多くなっているようで、自分で使うために万引きする人もいれば、換金目的のために万引きする人もいるようです。

【コンビニの万引き対策】

万引きの防止策として、防犯カメラ、ダミーの防犯カメラ、防犯ミラーなどの設置が行われています。防犯カメラを増やせば増やすほど、万引きは減っていくのですが、一般的なもので80万円程度するらしく、コストが高くついてしまいます。簡単に防犯カメラを設置できないのも現実のようです。また、レジにいる従業員が店内をくまなく目視できるように、コンビニの什器の棚の高さは低く設定されています。上記のような対策が取られているわけですが、依然として有効な防犯対策は「従業員の元気な挨拶」に尽きるようです。基本的な接客がしっかりと行えている店には、お客様に気持ち良く買い物をしていただくということと万引きを防ぐというダブルの効果が期待できるということになります。

 (参考文献 コンビニのしくみ)

コンビニの国際展開

コンビニの国際展開に関して記載します。

【コンビニの国際展開の現状】

 日本の小売業の海外進出が進んでいますが、コンビニエンスストアも同様の動きを見せているようです。2013年6月末現在でセブンイレブンは海外に35,440店舗、ローソンは2013年7月末現在で海外に466店舗、進出しています。セブンイレブンはアメリカに8,144店舗、タイに7,210店舗、韓国に7,064店舗など、台湾、マレーシア、メキシコフィリピンなどなどに展開。ローソンは中国に371店舗、インドネシアに83店舗、ハワイに3店舗、タイに9店舗となっています。

【ファミリーマートの国際展開】

ファミリーマートについては1988年に台湾に海外進出をスタートさせ、その後、韓国、タイ、中国、アメリカ、ベトナムへと拡張していきました。2009年には海外の店舗数が国内を上回り(国内7,688店舗 海外8,101店舗)、2013年7月末段階においてもその状況は変わりません。

ファミリーマートが海外展開するときにはホスピタリティの訴求に力を入れています。「心のこもった接客サービス」「魅力ある売場づくりと品質管理によるクオリティ」「隅々までの清掃」といったことを、マニュアルを活用したり、すべての進出国において研修センターを設置したりすることにより、徹底を図っています。

また、海外のコンビニではバラエティと品質にかける中食(弁当、サンドイッチ、サラダ、デザートなど)の提供に力を入れています。中食中心の商品構成を訴求するためには、商品の製造体制を整備し、鮮度を維持しながら配達する体制を構築する必要があります。ファミリーマートはその点をクリアするために、2010年5月に上海で大規模な生産能力を持つ中食工場と膨大な配送能力を備える全温度帯物流センターを擁する大規模な総合センターを設置しています。

ファミリーマートは、日本で構築してきたノウハウを基に、品揃えや店舗特性を対応させながら現地にあったモデルの構築に取り組んでいます。

【まとめとして】

 少子高齢化に伴い日本の市場縮小が想定される中、小売業の海外進出が進んできます。一方で海外進出を検討するに当たってはカントリーリスクを十分に織り込んでから考える必要があると思います。例えば、小売業の海外現地法人企業数のエリアごとの数値を見ると中国が多くなっています。将来到来する少子高齢化社会の前段階の状況である現在の中国に進出することは、十分に利益の創出ができることが見込めますが、過去にあった政治問題で暴徒化した人々が起こした事件を思い起こせば、日本国内で商売をするのと同様ではできないということがわかります。何でもそうなのでしょうが、物事を実行するにあたってはリスクが伴い、それを覚悟して行動を起こしていくことが必要なのでしょう。

 (参考文献 1からのリテール・マネジメント)

コンビニが抱える後継者問題

コンビニが抱える後継者問題に関して記載します。

 日本社会の高齢化が進む中で、例えば商店街においては、「経営者の高齢化による後継者難」が、商店街の抱える大きな問題として考える人が、51.3%と非常に大きな割合を占めているということがアンケート結果からわかっています。コンビニにおいては若いアルバイトの方がレジのところにいたり、品出しをしたりしている光景をよく見るので、高齢化に伴う後継者問題という意識をすることはそれほどありませんでした。ところが、このコンビニにおいても後継者問題があるようなのです。

そもそも、コンビニの経営者は非常に激務のようです。早朝5時頃からお客様の来店が始まり、10時ごろまで出勤前のサラリーマン・OLの来店が続きます。お昼需要のお客様の来店ピークがやってきた後、比較的落ち着いた昼下がりが過ぎて、学校帰りの中学・高校生の来店が始まります。夜の時間は会社帰りのサラリーマン・OLの来店が増えてきます。このような一日の流れの中で接客対応だけでも朝の5時頃から23時ごろまで行う必要がありますが、コンビニ経営者にはそれに加えて商品の発注・納品業務もあります。通常は深夜時間に納品・品出し業務を行っていますから、夜遅くまで業務を行う必要があります。通常のコンビニ経営者は夫婦2人で勤務していますので、接客や納品・品出しなどの業務を行うために、夫婦2人で勤務時間をずらして対応を行っているようです。信頼できるアルバイトが見つからない場合は、金銭トラブルを防ぐためにも、夫婦のうちどちらか1名が必ず店内にいるようなシフトになってくるのです。このようにコンビニ経営は非常に激務のようなのです。

コンビニの加盟店が増加した時期は1980年~2000年ですが、このころ脱サラして店舗をオープンしたとしても、そういったコンビニ経営者も今では高齢になっています。コンビニの経営は上記に記載したように非常に体力的に厳しいものがあります。経営者の中には「もう経営しなくてもよいか」と考える人が増え始めます。これによって経営者が大量に退職し、店舗の経営者が足らなくなってくるのです。また、コンビニ経営者の子どもが店舗を引き継ぐということもあるようですが、激務を知っている親が継がせたがらないということもあるようです。

チェーン本部によっては後継者難による空き店舗を「直営店」として運営していくことを考えているところもあるようです。しかしながら、直営店の比率が高まると、チェーン本部の営業利益率はコスト増により、悪化してしまいます。

 日本社会で進む高齢化は普段は意識していないようなところでも着実に進行しているということでしょう。

 (参考資料:『平成21年商店街実態調査報告書』『コンビニのしくみ』)

コンビニの種類

コンビニエンスストアの種類について記載します。

コンビニエンスストアというとイメージとしてフランチャイズチェーン(FC)のイメージが大きいですが、それ以外にもボランタリーチェーン(VC)やレギュラーチェーン、単独店があります。小売業の業態別チェーン組織加盟事業所数でFCとVCの店舗数を比較してみると、専門スーパーやドラッグストアについてはFCよりVCが多くなっていますが、コンビニエンスストアは圧倒的にFCの店舗数が多くなっています(・専門スーパー FC:2,923店 VC:4,632店 ・ドラッグストア FC:470店 VC:5,387店 コンビニエンスストア FC:38,175店 VC:1,290店)。

そもそもFC、VCやレギュラーチェーン、単独店の違いは以下のようなもののようです。

1.フランチャイズチェーン(FC)

 本部組織があり、本部が作り上げた店舗のノウハウなど(FCパッケージと呼ぶ)を総ての加盟店に提供して経営する形態。加盟店はFCパッケージの使用対価として、ロイヤリティを本部に支払う。

 2.ボランタリーチェーン(VC)

 本部組織は存在するが、本部は経営ノウハウや店舗パッケージを持っているわけではなく、単独店が集合して仕入れを共有化する機能を担っている。本部は集中仕入れによる有利な商品原価交渉や販売促進策への協力依頼などを行う。加盟店は低額のロイヤリティを支払い、全加盟店の協力により本部を支えていく仕組み。

 3.全店が本部直営店で運営され、店舗勤務従業員も全員が正社員。個店の売上・利益の積み上げがチェーン全体の売上・利益になる。

 4.単独店

 元酒屋さんなどの業態変更が大半。独自の商品仕入れルートを持ち、店舗展開も経営者自身が考えて実践。いわゆる『パパママストア』が大半を占める。

コンビニエンスストアのFCというとセブン-イレブンがすぐ出てきます(直営店も2%くらいあるようですが。)。それに対してVCは国分グローサーズチェーン株式会社が運営する『コミュニティ・ストア』があります。コミュニティ・ストアは関東・東海・関西地方で展開していて、もともと国分株式会社が取引先酒販店の経営支援を狙って結成したことからVCの形をとっているようです。

FCは本部の経営ノウハウをはじめ店舗経営に関わる全てを本部が提供し、それが適正に運営されているかチェックしていきますが、VCの場合は共同仕入れなどのスケールメリットを享受できる業務以外は、全て個店が独自に経営します。ですので、個店独自の経営スタイルを貫きたい経営者はFCに加盟するよりもVCに加盟したほうが良いということになります。一口にコンビニエンスストアといってもその形に種類や特徴があるというのは興味深く、表面のみを見ていると見えてこない部分もあるのだろうと感じさせます。

 (参考文献 コンビニのしくみ)

セブンイレブン

セブンイレブンに関して記載します。

コンビニエンスストアの売上高は年々増加傾向にあり2007年7兆4,895億円だったものが2011年8兆7,747億円。店舗数についても2007年40,405店に対して2011年は43,373店と増加傾向にあります。その中でセブンイレブンジャパンのチェーン全店売上高(2012年度)は小売業の中でも群を抜き3兆5,084億円、店舗数においては国内で約15,000店という圧倒的な店舗網を誇っています。商品群での年間販売額を見てみると、おにぎり(17億個)、弁当(4億6000万個)、ビール系飲料(4億6000万本)、雑誌・書籍・コミックス(2億4000万冊)などについては日本一多くの売上を上げています。このセブンイレブンが今攻めの姿勢を見せています。セブンイレブンは2012年度から出店ペースを加速させていて2012年度に1,067店の店舗純増し、2013年度は1,150店の店舗増をもくろんでいます。このセブンイレブンの動きに追随するように業界3位のファミリーマートも今年度1150店の店舗純増をもくろんでおり、セブンイレブンが他チェーンを出店競争に巻き込んでいる状態のようです。

セブンイレブンの商品に関する攻めの姿勢として、ファストフードとしてセルフ式のドリップコーヒー「セブンカフェ」の販売を2013年1月から全国展開を始めています。本格展開から半年足らずで累計5000万杯販売していて、初年度の販売数4.5億杯を見込んでいます。もともと日本のコーヒー市場は大きく、全日本コーヒー協会によれば、日本では1週間に1人当たり10.7杯のコーヒーが飲まれているようで、セブンイレブンはその市場のシェアを取ることを狙っているようです。セブンカフェ購入者のうち2割が一緒にサンドイッチや菓子パン、スイーツを買うという買い回り効果も出ているようです。

また、PBにおいては高付加価値型PB「セブンゴールド」を手掛けています。大手メーカーとセブンイレブンの共同開発商品で、いわゆる“ダブルチョップ”と言われるNBとPBの中間のいいとこ取りPBです。ちなみに「セブンゴールド」商品の、今年6月末からセブンイレブンとサントリーが組んで販売されたビール「ザ・ゴールドクラス」を買ってみたのですが、350ml、218円で他のビールとそれほど値段は変わらず、味はまろやかな飲みやすい感じでした。

また、セブンイレブンでは店内の品揃えを抜本的に見直しました。女性や高齢者を狙って、惣菜のほか、牛乳や豆腐などの日配品、コメや調味料、日用雑貨を強化しています。そして、商品の日持ちの改善を図り、従来に比べて廃棄ロスの出にくい商品を増やしました。例えばパスタは過去40時間程度で店頭から外していましたが、64時間に伸びました。これらの取り組みにより1店舗当たりの廃棄ロスはピークに比べ3割程度減少したそうです。商品の廃棄が増えれば、負担を避けたい加盟店が発注量を絞り、販売の減につながってしまいます。廃棄ロスは加盟店の負担にもなるため、廃棄ロスの出にくい商品を増やせば、加盟店も積極的に品揃えをするようになり、それが売上増につながるという好循環につながっていき始めているようです。

 商品力の強化による売上増、廃棄ロスの減による出費の削減という視点を持って利益拡大を図っているというところでしょうか。今後、セブンイレブンの店舗数拡大がコンビニエンス業界にどう影響を与えていくのか、注目だと思います。

 (参考文献:週刊東洋経済7/13 ブランドマーケティング)

コンビニエンスストアの商品別売上構成比

本日はコンビニエンスストアの商品別の売上構成比を見てみます。

コンビニの店舗数は年々増加傾向にあり2002年から2012年の10年間で1万店ほど店舗数を増やしています。それに合わせ年々コンビニの商品販売額は増えているのですが、その売上の商品別の構成比をみると、売れてきている商品が変わってきていることがわかります。2002年と2007年の年間商品販売額の割合を比較してみると、たばこ・喫煙具の売上の割合が10.7%から14.9%と増加しています。これは2006年からのたばこの値上げに伴う駆け込み需要の影響が考えられますが、このような外的要因がコンビニの売上に大きく影響していることが多々あります。

その他にコンビニの売上構成比に影響を与えているものに「タスポ効果」がありました。自動販売機でたばこを買うときはタスポによる成人識別が必要になったことから、2008年からコンビニの非食料品(たばこが含まれる項目)の売上が増。2007年から2008年で約3,500億円売上を伸ばしています。

 他には2011年には震災による一部商品の特需があり、乾電池や懐中電灯を含む非食品の売上が増しています(非食品2011年から2012年で4,500億円売上増)。

 震災のような例外的な特需も確かにあるのでしょうけれど、コンビニの商品別の売上推移をみる中で注目すべきはタスポだなと感じます。規制緩和によって景気を良くするというような話がありますが、法改正のような外的要因の変化で小売業を取り巻く環境が変化するということを押さえておく必要性があります。タスポの登場によりたばこ自動販売機の売上は落ちたともいいます。外的要因の変化に合わせてその都度自らを変えていくようでは、機関投資家に踊らされる株主のように損をする一方ですから、外的要因の変化にも対応できる強い体質を作ることが必要なのかもしれません。

コンビニエンスストア業界の現状

本日はコンビニエンスストア業界の現状に関して記載します。

【コンビニ業界の状況】

国内コンビニエンスストアの店舗数の限界と言われた4万店を2012年に突破した後も、セブン-イレブンやファミリーマートを中心に出店競争が続いています。その中で既存店の売上高は厳しい状況にあります。そして、新規出店や商品開発を進める上位チェーンと体力のない中堅以下の格差が鮮明になってきています。

【セブン-イレブンに関して】

セブン-イレブンはパウチ惣菜など使い切りサイズの品揃えを厚くして、高齢者や単身者の支持を得ています。また、2013年に淹れたてコーヒーを導入し、一部ファストフード店の顧客を奪って業態を超えた顧客の争奪戦となりました。出店数を加速させており、2012年度に1350店、2013年度に1500店と出店しています。

【ローソンに関して】

2013年10月にローソンはキャッチコピーを「マチの健康ステーション」へ変更し、高齢化による顧客の健康志向が今後増すことを想定し、「健康に配慮した商品ならローソン」を連想させるような店づくりを進めています。2013年にローソン初の直営調剤薬局併設店、ローソンホーム薬局蒲田店がオープン。在宅介護を受けている人に薬の出張調剤を行っています。その中で宅配する薬と一緒にコンビニのお菓子を持っていくこともあるそうです。東京都大田区にある久が原一丁目店では、無料で使えるタニタの業務用体組成計を設置し、顧客の定期的な来店を促しています。その他、野菜販売の拡大、医薬品の販売に取り組み、健康をテーマとした店づくりを試験的に行っています。

【ファミリーマートに関して】

ファミリーマートは2012年10月に新PBの「FamilyMart collection」を立ち上げ、品揃えの幅を拡大。高質な商品を開発し、価格よりも質を重視した戦略を採っています。また国内の新規出店においては地方都市や駅ナカを中心に展開。2012年に大阪市営地下鉄の駅構内に2012年開店したり、2013年に近畿日本鉄道と駅ナカ売店・コンビニ事業について業務提携し、近鉄の駅ナカ売店等をファミリーマート店舗に順次転換していくことに基本合意したりしています。

【コンビニの大量出店に伴って】

コンビニが大量出店するのに伴って、加盟店オーナーが不足するという問題が発生しているようです。各チェーンとも一人のオーナーが複数の店舗を経営する「複数店経営」を推進しているようです。店舗の質を維持しつつ、大量出店を続けられるかは、各チェーンの対策にかかっています。

【参考:現在のコンビニエンスストア各社の状況】

コンビニ売上高1位はセブン-イレブン・ジャパン。チェーン全店売上高3兆5,084億円で、営業利益1,867億円とコンビニ業界では群を抜く利益水準となっています。全店平均日販は66.8万円とこちらも高水準。国内店舗数は1万5,072店です。

続く売上高2位はローソン。チェーン全店売上高は1兆9,065億円、営業利益662億円。全店平均日販54.7万円、国内店舗数は1万1,130店となっています。

3位は伊藤忠系のファミリーマート。チェーン全店売上高は1兆5,845億円、営業利益431億円、全店平均日販52.3万円、国内店舗数は9,481店となっています。前述のように鉄道10社(西武・東武・京成などとも提携)と駅売店で提携し駅ナカでも強みを見せています。

4位はユニーグループ・ホールディングスの完全子会社、サークルKサンクス。チェーン全店売上高8,788億円、営業利益182億円、全店平均日販46.7万円、国内店舗数6,242店となっています。

5位はイオンが54%出資する、ファストフードに特色のあるミニストップ。チェーン全店売上高、3,526億円、営業利益50億円、全店平均日販46.5万円、国内店舗数2,192店となっています。イオンとの連携を強化し、惣菜や日配品を拡大しています。

その他のコンビニとして、神奈川など首都圏を中心に展開するスリーエフ(チェーン全店売上高977億円、営業利益0.5億円)、北海道を中心に展開するセイコーマート(チェーン全店売上高1,846億円、営業利益17億円)、広島が地盤のポプラ(チェーン全店売上高868億円、営業利益2.1億円)、2013年7月に山崎製パンが吸収合併したデイリーヤマザキ(チェーン全店売上高2,256億円、営業利益▲6.9億円)、中部・近畿を中心に展開するココストア(チェーン全店売上高1,089億円)などあります。

コンビニ業界においても他業態との競争が激化しています。例えば2014年からアマゾンが自社で酒販売を開始するなど、ネット企業が食品・飲料分野での販売を拡大しています。今後、ネット企業を含め、縮小する国内市場のパイの奪い合いが激化してくることが想定されます。

(参考文献 会社四季報2014年版業界地図 週刊東洋経済2014 4/26)