コカ・コーラのO2O「Share a Coke and a Song」

本日はコカ・コーラのO2O「Share a Coke and a Song」に関して記載します。

【成功を収めたO2Oキャンペーン「Share a Coke and a Song」】

「Share a Coke and a Song」とは2013年3~6月に日本コカ・コーラがソニーの定額制音楽サービスと提携し全国で展開したO2Oキャンペーンです。このキャンペーンは参加者140万人以上で、売上については具体的な数字は公表されていないものの前年同日と比べて2ケタ増になった日もあるそうで、大成功を収めたキャンペーンと言えます。

具体的な内容としては以下のようなものです。コカ・コーラやコカ・コーラゼロの限定ボトルのパッケージに“年”を表す“1957”~“2013”という4ケタの数字を記載。消費者は自分の好きな年のコカ・コーラを選んで購入。そして、パッケージに9ケタのシリアルコードが記載されているので、スマホを利用して専用サイトにアクセスし、それを入力します。そうすると、ボトルに記載された年にヒットした、国内外の人気アーティストの10曲分のプレイリストを全曲フルバージョンで聴くことが出来ます。

また、このキャンペーンではFacebookなどのソーシャルメディアで消費者が手に入れたプレイリストを共有できる仕組みも用意しました。そして、その投稿を見た人はプレイリストの各曲を30秒ずつ視聴できるようにしていました。このように「Share a Coke and a Song」のキャンペーンはバイラルで情報が拡散するようにも工夫が凝らされていたのです。

【ブランディングを重視したO2O「Share a Coke and a Song」】

この「Share a Coke and a Song」では消費者にテレビCMや屋外広告、イベント、店頭などでのキャンペーンを通じて認知してもらいました。店頭で消費者が記載されている4ケタの数字を見て“年”を表していると理解してもらう必要があるためです。例えば渋谷と福岡では、街中に巨大なコカ・コーラ型スピーカーを登場させ、音楽を流すと言うプロモーションイベントを実施しました。参加者が巨大ボトルの横に設置された端末から4ケタの“年”を入力すると、巨大ボトルのラベルに入力した数字が表れ、その年のヒット曲が街中に流れるというイベントです。このようにコカ・コーラは「Share a Coke and a Song」を消費者に認知してもらうために、ネットとリアルを活用し、様々な角度から消費者にコカ・コーラの関心度を高めてもらえるように工夫を凝らしました。

「Share a Coke and a Song」は、音楽をきっかけとして消費者にとって思い出のある時代を思い出してもらう「思い出のそばに、コカ・コーラと歌がある」というコンセプトの下実施されました。日本コカ・コーラがO2Oで最重要視していることはブランド体験だと言います。同社はこのO2Oキャンペーンにより、消費者の体験がコカ・コーラのブランド価値を高め、ファンの育成につなげていこうと試みたのです。

今キャンペーンではO2Oが数多くあるメディアの一つとして活用されたと言えます。商品と消費者の結びつきを強めることによって、最終的な目的である売上増にも結び付けたのです。

(参考文献 O2O、ビッグデータでお客を呼び込め!)

コカ・コーラのクロスマーチャンダイジング

本日はコカ・コーラのクロスマーチャンダイジングに関して記載します。

日本コカ・コーラ社の調べによると、スーパーマーケットで購買者が本人以外のために清涼飲料水を買った割合は70%で、消費者と購買者は必ずしも一致していないという結果になったようです(自動販売機でも90%以上が自分自身のための購買。100%自分自身のための購入ではないとのこと)。また、49%の割合の人が、店頭で清涼飲料水の購買を意思決定しているといいます。このことから、消費者と購買者は必ずしも一致しておらず、消費者に対するマーケティングに注力するだけでなく、購買者(ショッパー)に働きかけていくことが必要であるということが言えます。また、来店前に何を買うか決めていない非計画購買者に対して、店頭において何らかの商品の魅力を提供し、来店客を購買客へ変えていく施策が重要だということが言えます。

メーカーサイドが売上を伸ばしていく施策として“商品の価格を下げて販売する”という方法がありますが、これは企業の体力的に長く続かない施策となります。そのため、“新しい商品をどんどん市場に投入する”“利用するシーンを喚起し、既存の商品の売上を伸ばす”という施策をとることになります。今の時代のようにモノが簡単に売れない時代においては、新商品をどんどん出しても売れ残りが発生し在庫リスクが高まる可能性があります。そのため、既存の商品の売上を拡大する施策を打ち出す方が効果的な施策となります。

このような観点からコカ・コーラは日清フーズと共同企画しクロスマーチャンダイジングでの売場提案を行いました。クロスマーチャンダイジングとは関連性のある商品をある意図のもとに集約し、陳列・販売することで、関連商品購買、衝動買いを促し、客単価をアップする施策です。例えば、お酒とウコンドリンク、焼肉と黒烏龍茶、浄水器とエスプレッソマシンといった感じです。

リーマンショック以降、ライフスタイルとして「イエナカ消費」という言葉が生まれ、家族全員が家の中にいて、家庭内の生活を充実させようという消費が進みました。その中で空気清浄機や床暖房、加湿器といった商品が飛ぶように売れていくのですが、それに合わせて食生活も変化していきます。それまでお皿がいくつも並んで一人ひとりが個食している状況が続くという環境があったのですが、家に家族が全員いるので、それでは食事の用意や後片付けが面倒という感覚となってきます。その中でオコバー・タコバー(ホットプレートを家族や友人と囲んでお好み焼きやたこ焼きを作って皆で気軽に楽しむこと。お好み焼きパーティー、たこ焼きパーティーの略)という行動が始まります。

コカ・コーラはそこに目をつけ、日清フーズとのクロスマーチャンダイジングを図り、飲料売場に粉物を、粉物売場に飲料を同時展開して露出を最大化していきます。その結果、特売という手段ではなかったにもかかわらず、期間中の売上をコカ・コーラ29.4%増、お好み焼き粉・たこ焼き粉32.3%増、他関連SKU12.8%増、関連商品トータルでは21%増と大きく伸ばすことができました。新しい購買体験を通じて新しい購買習慣を作り出すことに成功したのです。

従来の枠組みにとらわれず購買者へその商品を使用している際の状況を喚起してもらうように商品陳列・販売を行うと売上増につながる可能性が高まるということでしょう。そのためのクロスマーチャンダイジングという手法は有効だと言えそうです。

(参考文献 ショッパー・マーケティング)

コカ・コーラの販売戦略

コカ・コーラの販売戦略に関して記載します。

コカ・コーラを買おうと思った時、販売場所を思い浮かべるとコンビニやスーパー、自動販売機、レストラン等いろいろな場所が思い起こされます。しかしながら、実際にどこで購入するかによって価格が異なります。つまり、このことはコカ・コーラ社側から見るとそれぞれの販売場所によって利益率が変わるということになります。

【どこで販売されている商品が、利益率が高いのか】

コカ・コーラの販売場所で最も利益率が高いのが、レストランでの販売になります。これはレストランでのコカ・コーラの販売価格を考えてみると比較的簡単に想像できます。ホテルでの販売でもそうでしょうけれど、レストランという場所の付加価値がついているため高い価格での販売が可能となっているようです。

ではコンビニと自販機を比較するとどちらが儲かるかというと、自販機になります。スーパーやコンビニは消費者に選択権があるので、低価格で販売せざるを負えません。それに比べて自販機はコカ・コーラ社の直販となりますし、その場所に1台しか自販機がなければ消費者に他に選択肢はありません。

【利益率が低いスーパーやコンビニで商品を販売するメリット】

1970年以降、ペプシ・コーラが台頭してきました。それによって、コンビニやスーパーに商品を置かないわけにはいかない状態になっているといいます。コンビニやスーパーに商品を置くのは、消費者にコカ・コーラをアピールするための宣伝効果もあるわけです。コカ・コーラ社はコンビニやスーパーに商品を展開しつつ、レストランと契約したり、自販機網を拡大したりして、自社の利益が上げられるようにしながら、価格のコントロールができるようにしているのです。

普通は商品を変えることによって利益率を調整しますが、コカ・コーラ社は、同じ商品の販売ルートを変えることによって価格を変え、利益を上げるビジネスモデルを構築しています。

日本の自販機の1/4はコカ・コーラが占めているそうです。利益率を上げるためには巧みな流通戦略が必要になるようです。

(参考文献 カール教授と学ぶ成功企業31社のビジネスモデル超入門)