ゲーミフィケーション

ゲーミフィケーションについて記載します。

 何か月か前に、電車に乗っているとGungHoのパズドラ(パズル&ドラゴン)をしている人がいました。このゲーム、非常にヒットしているようで、サービス開始から1年4ヶ月余りたった2013年6月29日には累計1600万ダウンロードされています。これはスマホ利用者の3人に1人が遊んだ計算となるようです。ゲームの内容としては、同じ色の球をそろえて消すというもので、球を消した数で攻撃力が決まり、ドラゴンなどを倒していきます。このゲームでは、育てて・集めて・戦うというRPG的な要素も取り入れています。

 上記のようなソーシャルゲームはGREEやDeNAといった企業によって一躍有名になりました。実際GREEやDeNAは企業としても急成長していて、GREEは2006年決算時には売上が107百万円だったのに対し、2010年6月には35,231百万円、DeNAは2009年3月の決算時には37,607百万円だったのに対し、2013年3月には202,330百万円という状況です。

ソーシャルゲームには、ミッションをクリアしなければならなかったり、一定の条件をクリアすると勲章がもらえたり、レベルを上げる楽しさがあったりと様々な楽しみがあります。現在、こういった要素はソーシャルメディア以外にも活用されています。それをゲームフィケーションと言います。ゲーム的な仕組みを使って、プレイヤー(ユーザー)を楽しませる、つまり、ある企業がゲームの仕組みを応用して、顧客の問題解決や契約を獲得する、という手法です。

このゲーミフィケーションの一つとしてミッション制があります。ミッション(課題)を作って、クリアすることでユーザーに達成感を与えます。これは身近な例で言うと「ポイントを集めて、グッズをもらう」というものがあります。例として楽天レシピがあります。楽天レシピは会員が料理を投稿し、それに対し“つくったよレポート”が来ると10ポイント得られるという仕組みです。料理を投稿して、ポイントをどんどん集められるという、楽しさと実益を兼ねたものだと思います。

ゲーミフィケーションとしてもう一つ、バッヂシステムというものもあります。これは物事を達成できたときにバッヂ(勲章)がもらえるという仕組みです。例えば居酒屋の塚田農場。この店、料理もおいしいのですが、来店したお客様にオリジナルの名刺を渡しています。そこには「主任」と書かれていて、来店回数が増えると「係長」「課長」と昇進していきます。小売業の例としては、2011年の始めBlueFlyが、サイト上で動画を見る、ウィッシュリストを書く、レビューを書くなどすると、それに対してバッヂをもらえるということを行いました。より多くのバッヂをもらった人は特別セールや商品へのアクセスが提供されるという仕組みです。

ゲームの要素を取り入れるということは、情報過多の時代において、お客様から自社の商品・サービスに対して共感を持って接してもらうための手段の一つになると思われます。これからますます情報が増え、商品・サービス内容がコモディティ化していくことが想定されますので、ゲーミフィケーションの要素を取り入れていくことも必要になってくるのかもしれません。

 (参考文献 萌えビジネスに学ぶ「顧客を熱中させる」技術)

ゲーミフィケーションとO2O

本日はゲーミフィケーションとO2Oに関して記載します。

 今日、久々に銀座線に乗っていたら「縦横無尽線隊メトロン9」という中吊り広告がありました。これは東京メトロとセブン&アイグループがタイアップしている企画で、MANTA(東京メトロの情報配信サービス)で3枚のデジタルトレカを入手し、セブン-イレブンのセブンスポット(無料Wi-Fiサービス)にアクセスすると、最後のデジタルトレカ「プレミアム・メトロン9 ナインライブス」が手に入るというものです。そしてその後ゲームにチャレンジして勝利すると「東京メトロオリジナルグッズ」が抽選でプレゼントされます。これは、駅から店舗へ、そして店舗から駅への送客効果が見込める、O2Oと言えます。

 縦横無尽線隊メトロン9のようにゲームの要素を取り入れて店舗の集客を図る“ゲーミフィケーション”は、現在、世界のIT業界で注目されていている単語です。大手IT調査会社のガートナーはゲーミフィケーションの可能性を高く評価し、2015年までに50%以上の企業がゲーミフィケーションの手法を導入すると予測しています。O2Oを活用して、消費者を店舗に誘導し、その後の再来店を促し、さらにお得意様になってもらうために、ゲーミフィケーションは非常に有効な手段のようです。

 株式会社ゆめみが、2011年11月に位置情報ソーシャルサービス「MyTown iPhone版」を提供しました。これは利用者がリアル店舗へ訪問しチェックインを行うと、実際の店舗の外観そっくりにデザインされた建物アイテムが獲得でき、それをアプリ内の自分の土地に自由に配置でき、自分好みの理想の街づくりを行うことができるものです。このMyTownにはローソン、ドン・キホーテ、東急ハンズ、牛角、ケンタッキー・フライド・チキンなど大手14社が参加(2012年1月31日現在)。その中でドン・キホーテは2011年12月21日から2012年1月31日まで、MyTownとレシート広告と連携したキャンペーンを実施しました。これは、実際のドン・キホーテの店舗付近でチェックインを行うと回数に応じて「宝箱」アイテムを入手できるものです。そして「宝箱」を開けるには「鍵」アイテムが必要で、それを入手するためにはドン・キホーテで商品を購入し、レシートについているQRコードを読み取ることが必要となります。「宝箱」を開くとMyTownの限定アイテムがもらえます。このように、ゲームでの限定アイテムを手に入れるために、店舗に何度も来店し、更には商品の購入にまで進んでいくのです。

 様々な情報があふれる中で消費者から自らの店舗に愛着を持ってもらうための手法がゲーミフィケーションということでしょう。実際のゲームのことを考えると、ゲームソフトがたくさんある中でヒットするものはわずかであり本当に面白いものだと思います。O2Oを活用したゲーミフィケーションの流れは今後より大きなものになっていくと思いますが、それを活用する企業が増えれば増えるほど、ゲームの中身や企業の販売する商品・サービスのレベルが高いかどうかが、今まで以上に消費者に求められるようになってくるであろうなとも思いました。

 (参考文献 新・消費革命 ネットで客を店舗へ引きつける)