本日はカラオケの新たなコンセプトに関して記載します。
【コアなファンを囲い込む「カラオケの鉄人」】
少し前にカラオケに行った時、アニメ好きの人たちのオフ会が開かれていて、ドリンクバーの前はコスプレした人たちが集まり、隣の部屋からはアニメソングらしき歌がずっと流れてくるという場面に遭遇しました。この時はたまたまなのでしょうけれど、たまに歌の履歴を見てみるとアニソンが連続して入っているということもよくあります。僕もカラオケに行くと金爆やら筋少やら偏って歌っているので気持ちは分かります。
さて、こういった時代背景を受けてか、大手カラオケチェーンとしては後発組である「カラオケの鉄人」では、アニメやボーカロイド、ご当地ヒーローなど多様なジャンルのカラオケ未配信曲を単独配信することで、ニッチな需要に応え、固定客を獲得しています。追加したオリジナル楽曲はこの取り組みを始めてから2年間で15000曲に及ぶといいます。また、楽曲配信しているアニメなどのコンテンツとタイアップし、期間限定でそのコンテンツの世界観で演出した部屋を用意しています。このように「カラオケの鉄人」ではニッチな需要に応えることでコアなファンの囲い込みを図っているわけです。
【価値構造の見直し:歌を歌わないカラオケルーム】
「シダックス」等、カラオケルームを会議室として使用することを提案する企業が現れています。フロントに貸し出し用のホワイトボードを用意し、室内大型モニターへのパソコン接続もできるようにしているそうです。当然のことながら、カラオケルームには防音が施されていますので、外に音が漏れる心配もありませんし、会議に参加する人数に応じて部屋の大きさを選ぶことが出来ます。
カラオケ本来の価値構造を見てみると、“顧客が手に入れる便益(中核価値)=歌を歌う”“製品の特性を構成する要素(実体価値)=個室・防音”“中核価値には直接影響を及ぼさないが、それがあることで製品の魅力が高まる要素(付随機能)=飲食の提供”ということになります。その中で「シダックス」等は実体価値の「個室・防音」に注目し、そこから「会議室として使用する」「プレゼンに使用する」という新たな中核価値が現れたのです。オフィス街隣接立地のカラオケであれば、昼間はアイドルタイムとなりますので、カラオケルームを会議室として使用してもらい、少しでも売上を上げられるようにした方が良いと言うことにもなります。
価値構造を見直すことにより、新たなコンセプトが現れるということです。
シダックスでは会議室という使用方法以外に楽器練習にも使えるとアピールしています。自らの価値を整理し見直すことで新たな価値が見えてくるようです。 (参考文献 「販促会議February 2014」「ポーター×コトラー仕事現場で使えるマーケティングの実践法が2.5時間でわかる本」)