「World of Warcraft」の顧客エンゲージメント・イノベーション

本日は「World of Warcraft」の顧客エンゲージメント・イノベーションに関して記載します。

【World of Warcraft 世界的なヒットにつながるその戦略】

最近、例えばスマホアプリでゲームを見ているとMMORPGという言葉を目にすることがあります。MMORPGとはMassively Multiplayer Online Role-Playing Game:大規模多人数同時参加型RPGのことで、オンラインゲームの一種となります。プレイヤーはPCなどからサーバーに接続し、コマンドを入力して自分のキャラクターを行動させたり、同じサーバーに接続しているプレイヤーとチャットを行ったりします。10~20年くらい前にやっていたRPGと異なりセーブしたところからやり直すということが出来ないので(他のプレイヤーの操作と矛盾が引き起こるため)、個人的には少し違和感ある気もします。

さて、このMMORPGで世界的にヒットした「World of Warcraft」というゲームがあるのですが、このゲーム2004年11月にリリースし、2006年11月には約750万のアカウント数に達し、2008年11月には世界中に1100万人もの月額課金ユーザーを持つまでに成長しました。日本ではその名をあまり聞かないような気もしますが、中国ではコカ・コーラのキャンペーンにも利用されTVCMにもなった、まさしく世界規模のヒット作です。

このWorld of Warcraftを世に送り出した会社ブリザード・エンターテインメントの創業者たちは最初から、プレイヤーを強力にぐいぐい引き込むことに力を注ぐ重要性を強調していたと言います。このゲームのコンテンツの多くがプレイヤー同士の協働を促すようにデザインされていて、プレイヤーがゲームのステージを段階的に上がっていくために、リアルな人間とバーチャルなグループ(ギルド)を組んでいきます。そして、ギルドによっては自分たちのロゴやプレー戦略を作成することもあるそうです。

ブリザード・エンターテインメントは顧客に対して一方的に発信するコミュニケーションを行うのではなく、顧客と企業が双方向にコミュニケーションを行うこと(顧客エンゲージメント・イノベーション)によって成功したのです。

【顧客エンゲージメント・イノベーション】

顧客エンゲージメント・イノベーションは、顧客のニーズやウォンツを理解し、その理解を踏まえた上で、顧客と会社の間に意味のある繋がりを築いていく戦略となります。どのように消費者とつながり、消費者を喜ばせられるかということが重要となってくるのです。例えば、World of Warcraftとは他の事例として、ファブ・ドットコムというウェブサイトが挙げられます。このサイトでは一流のデザイン専門家が選んだ商品を販売していて、次に流行るクールなアイテムを見つけたいときに行くべきサイトという顧客の信頼感を築いています。この事例も顧客と会社の間に意味のある繋がりを作っている事例だと言えます。

2013年現在、World of Warcraft登録プレイヤー数は770万人にまで減少してきているようです。これは他のオンラインゲームの登場による影響があるようで、人気になれば必ず他社からの模倣が始まり、シェアの奪い合いになっていくという事例のようにも感じます。ただ、一方でWorld of Warcraftが長い期間にわたって世界的なヒット作になっているという事実は、“顧客を引き込む”工夫をして、顧客と会社の間での関係性を構築するということの重要性を感じさせます。

(参考文献 ビジネスモデル・イノベーション ブレークスルーを起こすフレームワーク10)