本日は大丸松坂屋“さくらパンダ”のO2Oに関して記載します。
ソーシャルメディアなどの普及に伴って、独自キャラクターを立てる企業が増加していると言います。キャラクターを軸としたO2Oを展開することにより集客力の強化や売上の拡大を図ろうという作戦です。小売全般で見てみると、ローソンのあきこちゃん、ファミリーマートの日々野優、ミニストップのミミップくんなど、コンビニ業界にてキャラクターが目立ちます。実際、ローソンがあきこちゃんを通じてLINEにてLチキの半額クーポンを配布したところ10万人が全国のローソンに来店したという話もあり、キャラクター活用による売上嵩上げが成功している事例があることから、コンビニにおいてキャラクターを軸としたO2Oに力が入っていることが想定されます。
一方で現在、独自キャラクターが乱立し、その知名度や好感度を高めることは難しくなっています。その中で、大丸松坂屋の“さくらパンダ”が最近、知名度を上げています。さくらパンダは当初は2007年3月に松坂屋上野店が改装オープンした際に、まさしく“客寄せパンダ”として登場しました。キャラクターとしては上野動物園のパンダと上野公園の桜を組み合わせたものです。ブログも開設。「~まつぅ」と松坂屋にかけた独特の語尾を使います。このキャラが局所的に人気となり、当初は上野店オープン限定のキャラクターの予定が、他店の応援に回るようになり、2010年には経営統合した大松松坂屋の公式キャラクターにまで上り詰めていきます。
大丸松坂屋がキャラクター起用に踏み切った理由には主顧客層が50~60歳という状況から20~30代の客層を呼び込もうというものがありました。さくらパンダは、ブログ、Twitter、Facebook、YouTubeといったソーシャルメディアで、キャンペーン告知、イベント報告、移動中のオフショットなどを投稿。口コミで20~34歳までの女性(F1層)に浸透していきました。
そして2013年3月、さくらパンダはLINEの公式アカウントを開設。友だち登録を条件にスタンプを提供したところ、開設3日にして友だち数が200万人を突破。1000円以上のレシートとLINE画面の提示でメモ帳や蛍光ペンなどのさくらパンダオリジナル文具をプレゼントするキャンペーンを行ったところ8200人が参加。レシートの合計金額は何と5400万円にもなるという成果を残しました。これは一人当たりの売上で見ると6500円以上の売上となります。
さくらパンダを起用したことによって上記のような効果があっただけでなく、他社とのコラボレーションもしやすくなったと言います。2013年2月には13年2月には恵方巻きの販促でキリンビバレッジの「生茶パンダ先生」、味の素の「アジパンダ」と共演し、イベントを盛り上げました。また、山崎製パンとのコラボ商品を販売する「さくらパンダフェア」は2013年春で2回目となっています。
様々なキャラクターが登場する中で、客層を広げるという目的を持って活用されているさくらパンダの位置づけは興味深いものがあります。
(参考文献 最新マーケティングの教科書)