テレビショッピング

テレビショッピングに関して記載します。

 昔、テレビショッピングを通じてビリーズ・ブートキャンプが流行りました。あのビリーの厳しい中に優しさのある指導と激しい動きに惹かれて、僕も購入したのですが、1ヶ月も続けていると、なかなかいい感じで体脂肪が減ったものです。他にもおなかでぶるぶるいわせて痩せるEMSとかもありました。グルコサミンとかスチームクリーナーとか真珠のネックレスとか、買うわけではないけどついつい見てしまう、不思議な魅力がテレビショッピングにはあります。

そもそも、テレビショッピングの多くはアメリカで生まれたノウハウ「インフォマーシャル(インフォメーションとコマーシャルを組み合わせた言葉)」という制作手法を活用していて、情報提供しながらコマーシャルをしていきます。このインフォマーシャルという手法では前半・中盤・後半でどのような内容を提供するかというノウハウが確立されていて、日本で放送されているものは日本流にアレンジして番組提供がなされているそうです。

カタログ通販がカタログの制作費にお金をかけるように、テレビ通販では番組制作にお金を投資しますが、テレビ通販の会社によって、いくつかのビジネスモデルがあります。

(1)テレビ番組内での通販コーナーで販売する会社。例:日本文化センターや日本直販。

(2)テレビ番組自体を買って通販を行うモデル。例:ディノス(フジテレビ子会社)、ジャパネットたかた、オークローンマーケティング。

(3)自社で専門のチャンネルを持ち、生放送で商品を説明して販売する会社。例:QVCやジュピターチャンネル(SHOP CHANNEL)。※自社内にスタジオを持って24時間放送を行っています。

なお、テレビショッピングの場合、販売する側のメリットとして、ネット通販とは異なり、商品が単品のため、梱包場所や検品場所が少なくて済むということがあるようです。

 同じ内容を繰り返し流しているテレビショッピングもついつい見てしまったりしてしまう時があります。あの実演販売的な面白さが魅力なのかもしれません。

色のイメージに関して

季節と色は不思議とイメージが結びついているものです。以下、簡単に春夏秋冬を象徴するような色について記載します。

■春の色:花が咲き新緑であふれる時期。ピンク系や黄緑系が春をイメージするのにはよいです。また、ペールトーンやブライトトーンと言われる、元の色に白い色を多めに混ぜた色の組み合わせをすると春っぽさが表現できます。

■夏の色:ぎらぎら太陽が照りつけるこの時期。青・赤・黄色といったはっきりした色(ビビッドトーン)を使うと夏っぽさを演出できます。また、コントラストをつけると良いです。

■秋の色:収穫の時期、紅葉の時期。この時期を表す色はベージュ、茶、黄土色、カーキなどのナチュラルカラーです。ディープトーン、ダルトーン、ダークトーン(元となる色に黒、もしくは濃い灰色を混ぜたような色)を使うと良いです。

■冬の色:冬は寒い閉塞された感じのする時期です。イメージカラーとしては白、グレイ、アイボリーなどのモノトーンの色がこの時期を表現するのには良いです。

 上記のように色の使い方で四季を感じさせることができます。

また、季節感を出す以外にも、商品ディスプレイを行う際に色を意識して配置するとイメージ通りのディスプレイを作り上げることができます。以下、簡単に記載します。

■メルヘンティック(ロマンティックで可憐で優しい表現):淡いパステルトーンやオフニュートラルカラー、クリーム、ピンク系などで柔らかい雰囲気に配色します。

■ナチュラル(自然派志向の配色):ベージュ、アイボリー系を中心にトーンを微妙に変化させると良いです。草木のイメージ。

■エレガント(上品で優雅、しなやかな気品の良さと都会的な感覚):グレイッシュカラー(元の色にグレイがたくさん混じった色)を中心にコントラストを抑えて配色。ラベンダーなど低彩度の紫系を用いると高級感がでます。

■シック(知的で奥ゆかしく、あか抜けした雰囲気):地味なグレイやグレイッシュカラーを基調にまとめると良い。適度なコントラストが必要になります。

■クラシック(伝統的な雰囲気):黒やブラウン系、ボルドー、暗いグリーンなどを使います。暖色系の深みのある濃い色や中間色が中心となり、同一トーンや類似トーンでまとめます。

■ダンディ(しゃれて格調高く、落ち着いた渋い感覚):ブラウン、ダークグレー、暗い色調の青紫などハードな色を基本に落ち着いた濁色使いでまとめます。

■ポップ(自由で明るい雰囲気):清色調(元の色に白を混ぜた色)の鮮やかな色を中心に、色相コントラストで色と色をぶつけ合い明快なリズム感を出す。

■スタイリッシュモダン(ハイテク調のシャープな雰囲気):濃いブルー系やグリーン系にモノトーンやニュートラルカラーを組み合わせてコントラスト感を強調します。

 色使いだけでいろいろとイメージが変わりますので、ぜひ活用したいものです。

店産店消

「店産店消」に関して記載します。

 「地産地消」という、地元でできたものを食べるという話を聞くようになりましたが、今では「店産店消」というコンセプトの店まで登場してきています。例えば、日本サブウェイは2010年7月に東京駅にある丸ビルの地下に「813LAB」という、店の中に植物工場がある店を出店しました。植物工場では、太陽光の代わりに人口工でレタスを照らし、49日間で収穫に至るようになっています。新鮮で安全な野菜をその場でお客様に提供できるというわけです。店内はこの植物工場のレタスを見ながら食事ができるようになっています。

 地産地消や上記の店産店消をコンセプトにする店が増えてきていると聞きます。この目的としては物流時にかかる二酸化炭素の排出量を減らすということと同時に『物流コスト』を減らすという目的があります。日本は非常に食品自給率が低く、多くの食品を輸入に頼っているところがあります。そのこともあり日本はフードマイレージが総量ベースで世界一、かつ国民1人当たりでも世界一というような状況です。(フードマイレージ:食べ物の輸送距離を表す。その計算は重量×距離。食品の生産地と消費地が遠ければフードマイレージは高くなる。)フードマイレージが大きくなれば、輸送距離が増えるわけですから、当然、環境負荷が大きくなりますし、経営的な視点で見て、当然、物流コストも上がります。

 近年、植物工場の数が増えていて、2009年に約50か所だったものが、2012年3月末には127か所まで増加しているそうです。この原因は、政府が補助金を出しているということと、東日本大震災後の“放射能汚染”の問題を抱える被災地復興の手立てとして注目を浴びているということがあるようです。実際の話、植物工場で作られる野菜の生産コストは露地物より高く、植物工場産のレタスの価格が1キログラム当たり1,100円~1,500円に対して、露地物は300円~600円という状況でもあります。しかしながら、居酒屋「北海道」などを経営する「コワロイド」は2億円を投じて神奈川工場に植物工場を設置している企業もあります。理由としてはここ数年も猛暑で葉物野菜を中心に頻繁に価格が高騰しているためです。コワロイドでは今後増産を図り露地物と同じくらいの価格まで持っていこうと考えているようです。

 店産店消は出来立ての野菜をすぐに食べられますし、運搬に伴う二酸化炭素の発生やコスト増を防ぐことができますので、消費者側から見ても店舗側から見てもイメージが良いものだと考えます。また、今後世界的な食糧難が想定される中で、植物工場のような動きは加速していくようにも思います。最近では自宅で育てられる野菜キッドのようなものも良く売っているように思いますが、今後も「安全」「安心」「コストカット」は企業・個々人ともに重要なポイントになると思います。

 (参考文献 小売・流通業が知らなきゃいけない物流の知識)

非正規従業員 しまむらの事例

本日は非正規従業員に関して記載します.

【増える非正規従業員】

日本においてはパート従業員やアルバイトなど非正規従業員を活用する産業が増加していて、正規従業員を削減する雇用戦略をとる企業が増加しています。役員を除く雇用者に占める正規従業員の割合は1985年には男性92.6%、女性67.9%、男女計83.6%だったのに対し、2004年には男性83.7%、女性48.3%、男女計68.5%と徐々に減ってきています。更に、産業別の非正規従業員の比率で女性に絞ってみると、卸売・小売業における女性の非正規従業員の比率は65.5%と高い数値となっています。そして、スーパーのパート従業員比率を見ると70%前後。スーパーの店舗運営を行っていくうえではパート従業員の存在は欠かせないものとなっています。

【非正規従業員の活力を高める方法:衣料品スーパー「しまむら」の事例】

 衣料品スーパー「しまむら(本社さいたま市)」では、このような時代背景の中、パート従業員が店長にまで昇進できるような仕組みを持っています。まず、しまむらはパート従業員の女性たちに生活とのバランスで無理なく働いてもらえるように、週5日勤務のうち、週3回は開店から閉店まで、週2回は開店から昼過ぎまでを組み合わせた勤務形態を採っています。また、作業マニュアルがしっかりしているため、パート従業員は割り当てられた仕事を素早く無駄なくこなせるようになっています。そしてパート従業員が店舗内の仕事を覚え、様々な部門を担当し、仕事の経験を積むと、やがて店長代理になることができます。そして、さらに数年のキャリアを積むと、今度は正社員として店長にまで昇格することができるのです。

 様々な働き方がある中で、それぞれの立場の人がそれぞれモチベーションをもって仕事ができるようにしていくことが、企業活力を生み出します。今後、女性の活躍が今まで以上に期待される中で、こういった動きを見せる企業はどんどん増えていくだろうと思われます。何はともあれ男女ともに働き甲斐のある会社は底力のある企業になると思います。

 (参考文献 1からのリテール・マネジメント)

FSP:オギノの事例

FSP:オギノの事例に関して記載します。

FSPとはCRMで用いられる手法の一つで、高頻度で自店へ来店される優良顧客に注目して、階層に応じてプロモーションを展開することを言います。この手法を上手に取り入れている企業に山梨県を地盤とする「オギノ」という食品スーパーがあります。

オギノでは、顧客データを分析し、顧客を年代や好み、ライフスタイルなどで分類する“顧客クラスター分析”とその活用をFSPの最重要課題に設定。顧客を「健康志向だがレトルト食品などをよく利用する簡単調理派」「素材にこだわる健康志向派」など約20種類に分類。その分類別に最も適したサービスや特典ポイントを付与し顧客の維持・拡大につなげたり、店舗ごとの販促や品揃えにも活用したりもしています。この顧客クラスターを活用したFSPでは、単純に前にレトルトカレーを買った顧客に、レトルトカレーの割引クーポンを発行するというものではなく、レトルトカレーに加え、レトルトカレーと同じ属性を持っている商品の提案も行っていくものとなります(レトルトカレーを買う人は簡単に料理をしたいという観点から、冷凍ハンバーガーを進める等)。

 上記のように購買歴のない商品までDM等でお客様にお勧めしていくということは、顧客に魅力ある商品を幅広く提案できるだけでなく、PB商品のようにより収益性の高い商品を提案できるというメリットもあります。こういったことを効率よく実行するためにオギノでは全商品に対して、「この商品は手間を短縮したい顧客に向いている」「この商品は健康志向が強い顧客に向いている」など、顧客のライフスタイルを考慮したコードを付けています。これにより、それぞれのクラスターの顧客ニーズに対応する属性を持つ商品をDMに載せることが効率的に行え、FSPの活用のスピードを上げることができます。このような作業は顧客ニーズを分析する情報処理能力と時間・労力を伴う大変な作業となります。しかしFSPの実行をしっかりと行うことでオギノは競争基盤を作り上げているのです。

また、オギノはFSPを活用したDMの精度を高めると同時にコスト削減の目的から「ダイレクトレシート(DR)」という新しい販促手段を開発しました。DRはレシートにDMの内容を告知するものです。事前に分類されている顧客クラスターに基づき、顧客にレジで渡すレシートに同じ属性の商品をポイント付きで印刷するのです。

FSPを導入する小売企業の中には、他社が採用しているからという理由で、活用計画や情報分析能力強化、費用節減への対策が行われないままに、急いで採用し、結果としてFSPが時間の経過とともに経営を圧迫する要因になってしまうということがあるようです。オギノの例でみるようにFSPの活用には手間と時間と情報処理能力が必要になってきます。隣の芝生が青いという理由で導入するものではなく、覚悟を決めて導入する類の物のようです。新しいものは輝いて見えますが、結果的には泥臭い作業も行わなければならず、その作業一つ一つこそが企業を強くしていくものなのかもしれません。

 (参考文献 1からのリテール・マネジメント)

ダイエーと松下電器の「30年戦争」

本日はダイエーと松下電器の「30年戦争」に関して記載します。

1964年の東京オリンピック以降、ダイエーと松下電器は30年戦争と言われる戦いを繰り広げていました。

 戦いの経緯は次なようなものとなります。1950年代、白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫の三種の神器と言われる商品が大ヒットし、1959年には当時の皇太子殿下のご成婚パレードの中継を見るためにテレビの購入者が増えたそうで、その普及率は50%を超えました。ダイエーが家電製品の取り扱いを始めたのは1960年から。それらの販売価格は平均して30~40%ほど他の小売店よりも安く販売されていました。当初、大手メーカーはダイエーのそのような動きを相手にしていませんでした。ところが1964年東京オリンピック後、事態は一転します。東京オリンピック後、日本は不況となり、製品が売れなくなりました。そのような中で安売りをするダイエーの動きは、家電メーカーにとって主要な取引先である個人経営の家電販売店を苦しめることになり、見過ごすことができなくなったのです。松下電器は、ダイエーの安売りを抑えられないようでは取引先との信頼関係にひびが入ると考え、松下電器が指示する定価販売ができなければ出荷停止するという措置を取りました。それに対しダイエーは、大手メーカーの商品が販売できないとなるとお客様に評価されなくなってしまうと、バイヤーが全国を回って現金問屋など松下電器のテレビを売ってくれる業者から仕入れてきました。今後は松下電器が部品のロットナンバーからダイエーに販売した業者を見つけ出し取引をできないようにしました。ダイエーも商品のロットナンバーを消して店頭に並べるといった対抗策をとりましたが、これに対して松下電器は肉眼では見えない特殊な光線で判別できるブラックナンバーを自社製品につけて取引先を見つけ出せるようにするという対策を取りました。このようなイタチごっこの後、1970年にはダイエーが独自の低価格テレビ「ブブ」を販売。今ではPBやSPAと珍しいことではありませんが、当時は小売業であるダイエーが製造段階まで進出したと大きなニュースになったようです。1975年、松下幸之助が中内㓛を京都にある別邸に呼び、「もう覇道はやめて王道を歩むことを考えてはどうか。」と投げかけますが、物別れに終わります。1989年、ダイエーと和解できないまま松下幸之助は逝去。その5年後、1994年、松下電器と取引のあった東京のスーパーマーケット忠実屋をダイエーが吸収合併したのを機に、その取引を継承する形で和解に至りました。

この両者の戦いはカリスマ的な経営者の松下電器創業者「松下幸之助」とダイエー創業者「中内㓛」の考え方の違い・立場の違いがもたらしたものでした。松下幸之助は「水道哲学」と言われ、「水道の蛇口からあふれ出る水がとても安い料金であるのと同じように、自分たちメーカーが大量の製品を安く提供できれば人々を幸せにできる」という考えでした。一方で中内㓛は「小売業が努力して事業規模を拡大し、大手メーカーとの取引を主導できるような状況になれば、店頭で消費者に販売する際の価格をもっと下げることができる。そうすれば、多くの消費者が製品を安く購入することができ、節約したお金でさらにほかの製品やサービスを手に入れ、国民生活が向上する」という考え方でした。

 価格設定は利益率に影響する重要な戦略の一つです。この30年戦争、メーカー側の戦略・小売側の戦略ともに良い商品を安く消費者に提供するという考え方であったにもかかわらず、長い間和解に至ることができなかった出来事です。考えるに、ダイエー側としては安売りで回転率を上げ、利益を得るという立ち位置だったのに対し、松下電器としては、そこまでの安売りは自社の利益を目減りさせブランド価値を下げると判断したのではないかと思います。また、この戦いは川上と川下の壮絶な勢力争いだったのではないかとも感じました。

 (参考文献 1からのリテール・マネジメント)

スーパーのカイゼン活動 ユニーの事例

スーパーのカイゼン活動(整理・整頓)に関して記載します。

【業務の効率化・コスト削減につながる『整理・整頓』

 工場でよく5Sと言われる、「整理(Seiri)」「整頓(Seiton)」「清掃(Seisou)」「清潔(Seiketsu)」「しつけ(Shitsuke)」というものがありますが、その中で、整理・整頓は業務の効率化・コスト削減を行う上での最初のステップとなる行動です。整理とは「必要なものと不要なものを分け、不要なものを捨てる」ことを、整頓とは「必要なものを必要なときにすぐに取り出せる」ことを意味しています。この整理・整頓は工場だけの話ではなく、スーパーマーケットにおいても効率化の手段として活用されているようです。

【ユニーの事例】

 東海圏をメインとする全国第3位のスーパーマーケット「ユニー」は2005年ごろ売上高の伸びが減り、売上の増加で利益を確保することが難しくなりました。そこで安定的に利益を生み出す経営体質を目指すべく、2005年3月、ユニーは経営効率化手法として当時注目を集めていた、トヨタ自動車が行うカイゼン活動の導入に踏み切りました。そのカイゼン活動の導入に当たっては、トヨタグループの中心企業である豊田自動織機の協力の下、プロジェクトを立ち上げ、アピタ東海通店の食品売場を対象に実験を行いました。その結果、1年後、同店の利益は前期比でほぼ倍増したそうです。

アピタ東海通店で最初に行われたものは「2S」と呼ばれる品揃えの「整理・整頓」でした。アピタ東海通店で行われた整理とは“来店客が求める商品と求めない商品を分け、あまり求められていない商品を棚から外す”であり、整頓とは“来店客が求める商品がどの売場にあるのかをすぐに把握できる状態にする”ということです。つまり、売れていない商品を店頭から外し、お客様が求める商品を多く取りそろえ、そして、お客様が買い物をしやすいように、欲しい商品を見つけやすくなるよう取り組んだのです。2Sを行うためにユニーは店頭に商品が並んでいない状態を「欠品(開店時に商品が並んでいない状態)」と「品切れ(16時の時点で商品が並んでいない状態)」に分けて考え、欠品や品切れが生じている商品の件数を調査し、それを集計することで、お客様から求められている商品を欠かさないようにしたのです。

【まとめとして】

 業務の効率化を行うに当たっては、整理整頓を行い無駄な動きをなくしていくことが重要です。お客様の立場であれば、欲しい商品がすぐに手に入る方がいいので、品揃えの整理・整頓はありがたいことです。機会損失を防ぎ、品揃えを強化するために、どれを整理するか(どの商品の販売を止めるか)を検討・実行し、お客様から求められている商品を補充・拡大し続けることが、大量の商品数・商品量がある中、小売店にとっては大変な作業ではあるものの、大切なことなのでしょう。

 (参考文献 1からのリテール・マネジメント 世界一わかりやすいコスト削減の授業)

EDLP(エブリデーロープライス)を支えるローコストオペレーションの取り組み

EDLP(エブリデーロープライス)を支えるローコストオペレーションの取り組みに関して記載します。

【西友の変化】

だいぶ前の話にはなりますが、西友がウォルマート傘下に入ってから、店内の什器が一斉に変わって、店内の雰囲気がずいぶんと変わりました。昔と比べてそぎ落とされたシンプルな店内の雰囲気になったと思います。この店内の什器内容の変更はEDLPを支える重要な施策の一つとなっています。この什器変更を行った目的とは「店舗で人手のかかる商品補充などの作業を効率的に行う」ということです。

【ローコストオペレーション 什器の工夫の事例】

 例えば、よくスーパーマーケットなどで見かける冷凍・冷蔵オープンケース。西友に行くとこの什器を見ることがないような気がします。西友では冷蔵・冷凍オープンケースの替わりにコンビニでよく見るような什器、「リーチインケース」言われるガラス扉のついた縦型の什器が使われています。この什器の使用目的は、開閉式の扉がついているおかげで、冷気が外に逃げにくく省エネ効果が高いということと、飲料や冷凍食品を一度に大量に収納できて効率がよいということです。

【ローコストオペレーション 陳列の工夫の事例】

 他の例としては、店舗の陳列棚の両側にあるエンドでは「1品大量陳列」を行うようにしているということも挙げられます。併せて、エンドで使用している棚の横には「サイドキック」と言われる陳列什器が設置され、お菓子などの小さな商品が1種類並べられています。これは1種類・1価格の商品をまとめて陳列することによって商品のボリューム感を出すと同時に、商品陳列の作業負担を減らすことを目的としています。

それ以外にも、婦人服はカウンターやワゴンに平積みされている商品は少なく、ハンガーに吊るして陳列することをメインとしています。陳列や商品移動の負担を減らすことが目的です。

【ローコストオペレーション 発注から物流システムに至る工夫の事例】

また、店内の陳列以外にも、発注から物流システムにわたって、いろいろと工夫がなされているようです。精肉の加工では、店内での作業を止め、複数の店舗に供給する商品の加工を一手に引き受けるセンターの作業に移行したそうです。また、惣菜についても店内加工を減らしていると言います。

【まとめとして】

 以上のようにEDLPという低価格戦略を継続的に実行していくために“作業効率を向上するための工夫”“発注から物流システムに至る仕組みの工夫”が行われています。安売りをするためにウォルマートは相当な企業努力を行っているということが言えます。こういった一つ一つの積み重ねがウォルマートを世界最大の小売業に押し上げた要因の一つではないかとも思います。

 (参考文献 1からのリテールマネジメント)

価格戦略の「ハイ・アンド・ロー」「エブリデーロープライス(EDLP)」について

価格戦略の「ハイ・アンド・ロー」「エブリデーロープライス(EDLP)」について記載します。

【ハイ・アンド・ロー】

「ハイ・アンド・ロー」はスーパーの特売のような、価格を下げたり、時期が過ぎると価格を上げてもとに戻したりと、価格を上下させる手法のことです。

この価格手法は消費者の購買意欲を喚起し、「プロモーション効果」がありますので、店舗への集客効果が見込めます。特定の商品を「ロスリーダー(目玉商品)」と設定し、特売価格で消費者を店舗に誘い込む戦略です。値下げしていますので、ロスリーダーとなる商品は粗利益率は低くなります。しかしながらほかの商品の購入も促せますので、全体的な粗利益率を確保することができます(この手法は「粗利ミックス」と呼ばれます)。

 他の店舗での販売価格という比較対象があることから、有名ブランドほど価格引き下げの効果は大きくなりますが、一方で消費者がイメージする「参照価格」を低下させてしまう可能性があります。参照価格とは、消費者の過去の購買経験によって作られている記憶による価値を指します。例えばペットボトルのお茶がいくらかと聞かれて「88円」と答えれば「88円」が参照価格となります。参照価格が下がると、価格を元に戻した際に購入してもらえない可能性が出てきます。消費者は一般的に、損得の「得」よりも「損」に反応する傾向があるためです。また、値引き販売はブランドイメージが下がるという危険性も含んでいます。

【EDLP】

「EDLP」ですが、これはウォルマートの価格戦略で、特売品などの価格訴求を実施せずに、毎日低価格で販売する手法です。この手法を用いることで、特売時に発生するチラシの費用・商品の値札の付け替え・特売に伴う売場の変更の手間、といった作業が不要となり、ローコストオペレーションが可能となります。値段の上げ下げがないので、売上の予測もつきやすくなり、メーカーにとっても安定的な生産で対応することができます。

【まとめとして】

 近年ではこの「ハイ・アンド・ロー」と「EDLP」2つの価格戦略を併せたものも出てきていると言います。どういった価格戦略を取るかは企業にとって重要な戦略の一つです。ウォルマートが日本市場に進出してきてEDLPの考え方も一般化してきているように思われます。今後、日本のスーパー各社がどのような価格戦略を取っていくのか、興味深くあります。

 (参考文献 1からのリテール・マネジメント)

店舗やSCの空調設備に関して

暑い日が続くと、店舗やSCにある空調設備は顧客視点から見るととてもありがたく感じる物ですが、その空調設備に関して記載します。

この空調設備は1980年代後半からは、店舗やSCには導入が当たり前と考えられているようです。しかしながらこの空調設備が店舗に導入されたのは、それほど昔のことではないようです。アメリカにおいてもその設備が導入されたのが1950年代に入ってからで、日本はそれよりも後になります。今でも普通の商店街においては、路上にも店内にも空調がないところもあります。たまに熱帯魚屋に行くのですが、この季節、水温が上がりすぎて魚がへたらないように、窓を全開にして外の風を入れたりしている光景を見たりします。

この空調設備、意外と曲者のようです。今日、年商1000億円あるいは店数100を超えた企業は1970年代の高収益企業の代表で、総資本対経常利益率はいずれも20%を超えていたと言います。しかしながら、今日では10%を超えるところはごくわずかだそうです。この低収益性の原因は、店舗建物または売場面積坪当たりの総資産額が大きく膨れすぎたためと言うことなのです。その原因の一つが、空調施設を含め、エスカレーター、エレベーター、オープン冷蔵ケースなど、必要以上の過剰設備にあるというのです。

 空調に関しては、お客様が入口に入ったときに「涼しい」もしくは「暖かい」と感じ、かつメイン通路にもその冷気・暖気が流れ込むようにしておけば十分なのですが、そうなっていない店舗が多々あるようです。確かに、建物によっては場所によって妙に暑かったり、妙に涼しかったり、というものがあります。

 初期段階に形を作ってしまうと、その後、無駄とわかっていても改修するのに多額の費用がかかってしまい、そのままになるというケースがあります。店舗を0から立ち上げるときには、無駄な経費が発生するような作りになっていないか十分に検討する必要がありそうです。また、営業中の店舗においても、空調の吹き出し口の位置と方向が適切で効率的な費用の使い方ができているかをしっかり見る必要がありそうです。

 (参考文献 店舗レイアウト)