訪日外国人旅行者

訪日外国人旅行者に関して記載します。

【国内内需対策としての訪日外国人旅行者数増に向けた動き】

日本は人口減少していきます。2010年には1億2800万人だったのに対し、東京オリンピックが予定されている2020年は推定1億2400万人、2030年に1億1700万人と徐々に減少していきます。人口が減少するということは国内の内需が縮小していくことが想定されます。その対抗策として、今、日本政府は訪日外国人旅行者数をどんどん増やしていこうと目論んでいます。直近の訪日外国人旅行者数のピークは2010年で860万人だったのですが、2030年には3000万人まで増やそうとしています。12月20日に2013年の外国人旅行者が1000万人を超えたという報道もありました。

【訪日外国人が日本に来る理由】

まず、訪日外国人が日本に来る理由としては、円安が進んだことがもちろんあります。それ以外の理由として、例えば7月1日にタイとマレーシアからの観光客向けにビザの取得を免除する措置が講じられるなどがなされています。それにより、7月のタイの訪日客は前年同月比の85%増の3万人。マレーシアも同25%増の9900人となりました。

訪日外国人が国内で消費する額は2010年には1.3兆円だったと言います。これを訪日外国人の数を増加させることにより2030年には4.7兆円にまで増やそうとしています。

訪日外国人は2012年総計836万人。そのうち626万人がアジアからの観光客となります。今後、活力ある日本を作り上げていくためには、アジアを意識した国際化が重要なポイントとなりそうです。

 (参考文献 週刊東洋経済 9/14号)

コンビニの万引き

コンビニの万引きに関連して記載します。

【コンビニの万引き被害額】

過去、歌舞伎町で経営していたファミリーマートの店舗が「万引き被害額が多すぎて経営できない。」といって店舗を閉店し話題となったことがあったようです。実際にコンビニで万引きされている商品の額は馬鹿にならないようで、その被害額は平均的に見て年間で48万円にもなるようです(平均棚差ロス額=売上×3/1000。コンビニ1店舗当たりの平均売上高が1億6000万円(平成19年度商業統計)。そこから算出)。万引きされる代表的な例としては“酒”“雑誌”“化粧品”といった高額商品が多くなっているようで、自分で使うために万引きする人もいれば、換金目的のために万引きする人もいるようです。

【コンビニの万引き対策】

万引きの防止策として、防犯カメラ、ダミーの防犯カメラ、防犯ミラーなどの設置が行われています。防犯カメラを増やせば増やすほど、万引きは減っていくのですが、一般的なもので80万円程度するらしく、コストが高くついてしまいます。簡単に防犯カメラを設置できないのも現実のようです。また、レジにいる従業員が店内をくまなく目視できるように、コンビニの什器の棚の高さは低く設定されています。上記のような対策が取られているわけですが、依然として有効な防犯対策は「従業員の元気な挨拶」に尽きるようです。基本的な接客がしっかりと行えている店には、お客様に気持ち良く買い物をしていただくということと万引きを防ぐというダブルの効果が期待できるということになります。

 (参考文献 コンビニのしくみ)

東京オリンピック

東京オリンピックに絡んで記載します。

オリンピックの東京開催が決まり、東京湾岸地域に水泳やバレーボール、バドミントンの競技施設などの新設、増改築に1300億円投じられる方針で、東京外郭環状道路も20年までには開通するなど、様々な投資が行われる予定となっています。

これらの投資による経済への効果は、東京都の報道発表資料によると、需要増加額は東京都で見て9669億円、全国では12,239億円で、その波及効果までを含めて7年間で3兆円ということです。日本の名目GDPが500兆円弱ですので、そう見ると決して大きなものではないということも分かります。

オリンピック誘致はアベノミクスの第4の矢とも言われているようですが、アメリカのヘッジファンドの中ではアベノミクスで評価されているのは金融緩和だけで、それ以外は評価されていなくて、オリンピックによる株価の効果は半年くらいしか持たないだろうとも言われています。

リニア中央新幹線をオリンピックに間に合わせよう、というような動きもありましたが、結果無理という話も出てしまいました。オリンピックの誘致はプラスの効果をもたらし良いことでもあるのですが、その効果を過剰に期待しすぎることにも気を付けたほうがよさそうです。

iPhoneから見るライフサイクル

ライフサイクルに関して記載します。

iPhone5sとiPhone5cが2013年9月20日に販売されることが決定しました。それを持ってついに、3キャリア(ドコモ、KDDI、ソフトバンク)揃い踏みで、iPhoneを販売することになったわけです。上記のようなiPhoneの販売体制が組まれ、iPhoneが盤石かというと、そう言いきれない部分もあります。

【iPhoneから見る“ライフサイクル”】

『「2022-これから10年、活躍できる人の条件」 神田昌典著 2012年2月第1刷発行』にこう記載されています。

■iPhone5の販売時期は2013年6月、iPhone6は2014年6月、iPhone7は2015年4月。■iPhone5の後半モデルから多色展開。

1番目の予想に関してはiPhone5の販売時期が2012年の9月ですから、想定より早く市場に投入され、iPhone6の前に5s/5cという新機種が投入されています。2番目の予想に関しては当たっていてiPhone5cは5色展開です。神田氏はこのタイミングに関して累計販売台数をライフサイクルの成長カーブに当てはめて予想したようです。

【ライフサイクルとは】

モノにはライフサイクルがあり、導入期・成長期・成熟期と進んでいきやがて衰退します。立ち上がり時期である導入期はゆっくり成長し、成長期で一気に伸びで、成熟期で成長は鈍化します。この曲線のことを成長カーブといい、またS字型を描いているので、S字曲線とも言います。イノベーションが起きて新たな成長局面に入らない限り、成熟期に入ったモノは衰退していくのです。

iPhoneの販売台数の伸びが鈍化するにしたがって、新機種登場のタイミングが早くなり、そのままで行けば、例えばウエアラブル端末のような、他の新たな形態の登場し、そのうち世間ではiPhone自体あまり見られなくなってくるという状態になってくることも想定されます。その前にアップルがどのように手を打ち、新たな成長カーブを描いていくのかということは、重要な戦略となると思われます。

カクヤスの出店戦略

酒屋チェーンのカクヤスの出店戦略に関して記載します。

 東京23区に集中出店しているカクヤスというお酒のチェーン店があります。このチェーン店はビール1本でも2時間以内に無料配達してくれます。このことを可能にしている要因は、23区内を中心に250店舗という、非常に多くの店舗を出店することにより、近くの店から目的の場所まで配達することができる、ということです。つまり店舗を密集かつ適切に配置することによりそのことを可能としていると思われます。

カクヤスは1999年に着想し、2004年までは赤字だったようですが、今や東京の酒類販売シェア11%を持つチェーン店にまで成長しています。

このような多店舗出店することによりお客様の利便性を高めるスタイルは、はじめは厳しい状況に置かれやすいですが、一定の期間を乗り切れば軌道に乗るということでしょうか。店舗を“販売をするお店”として考えるだけでなく、お客様のお宅へ宅配する商品のための“倉庫”としても活用し成功している面白い事例だと思います。

行動経済学 双曲型割引

行動経済学『双曲型割引』に関して記載します。

 例えば今日、暑いさなか、非常にハードだった仕事を終えて、疲れ果てていて、どうしてもビールを飲みに行って疲れを癒したいという状態に陥ったとします。ホッピーでもウーロンハイでもなく、ビールでなければダメな気分です。

その際に、キンキンに冷えた1杯ビールが600円で販売していました。他の店までは距離もあるし、なかなか行けないと想定します。やっと店の中に入り、ビールを頼むと店員のお姉さんが「今日飲むのを我慢していただければ、明日には600円で2杯にサービスしますよ。」と言ってきます。

多くの人が、そう言われても、今、飲みたいのであって、明日まで待ちたくないので、そんな割引サービスはきっぱりとお断りすると思います。

 今度はもっと長い時間で考えて、「50日後はビール1杯600円ですが、51日後はサービスデーなので2杯セットで600円ですよ。」と言われれば、ほとんどの人が、わざわざ50日後にビールは飲みに行かず、51日後にビールを飲みに行くと思います。

 以上のように、僕たちは近い将来に対してはせっかちに手に入れようとし、遠い将来に対しては我慢強く安くなるのを待つことができます。このようなことを行動経済学で双曲型割引というそうです。

この欲しいと思うレベルに“時間”が影響してくるというのは面白い考え方です。

 (参考文献 行動経済学の基本がわかる本)

店舗レイアウト 買物をする際のお客様の目線

買物をする際の“お客様の目線”に関して記載します。

お店に行った時、店の前の方に背の高い什器が置かれているということが、たまにありますが、店の什器の高さは工夫が必要です。お客様は、店内に踏み入れた時に全体を見渡して、どんな店かを判断するからです。ですので、店の前の方に背の高い什器があると、全体を見渡すことができず、店の奥に進んでいこうという気にならないということにつながります。奥の方に何の商品があるのか見渡せるように売場レイアウトを工夫することが必要です。

また、お客様の視界は、左右90cm、上下50cmが基本です。ターゲット顧客をイメージしてその高さで主力商品の陳列を行うことが効果的です。

お客様目線で考える。まさしく、目の位置は重要ということでしょう。

 (参考文献:繁盛店が必ずやっている商品陳列最強のルール)

回転寿司から見る廃棄ロスに関して

回転寿司から見る廃棄ロスに関して記載します。

 過日、久々に職場の近くにある回転寿司に食べに行ったのですが、回転寿司屋にもかかわらず、お寿司は一個も回っておらず、代わりに商品POPがくるくるとコンベアの上を回転していました。結局最後まで寿司が回ることはありませんでした。

これは廃棄ロスを踏まえての対応と考えられます。

例えば「あきんどスシロー」という回転寿司のチェーン店があります(売上高1133億円、経常利益66億円(2012年9月期)、1店舗当たりの客席は約200席、売上高は3億円。かっぱ寿司やくら寿司と競い、売上高トップにもなっている規模の回転寿司チェーン)が、この「あきんどスシロー」は業界の中でも廃棄率が少ないということでも有名です。

通常、回転寿司は先に「これが売れるだろう」と見込んで商品を生産します。ですので、その商品がお客様から選ばれなかった場合、鮮度が落ちて、時間が経てば捨てられてしまう運命を辿ります。よく、回転寿司で何回も目の前を回ってカピカピになっている寿司を見ることがありますが、そういった商品は最終的に廃棄されてしまうのです。回転寿司には上記のような廃棄ロスがどうしても出てきてしまいます。この廃棄率、業界の平均は4~5%です。ところが「あきんどスシロー」は廃棄率が約1.5%です。

このように廃棄率が低いのには理由があります。それは回転寿司にインターフォンをつけたのです。回転寿司なのに普通の寿司屋同様、商品を受注してから生産するようにし始めたのです。また、お客様が入店するごとに大人と子供の人数をコンピュータ入力し、そのデータをもとにバックヤードのモニターに、時間帯別に投入すべき寿司の種類と量が表示されるようにもしています。

 廃棄ロスは利益率を低下させてしまうものですので、企業ごとにいろいろと工夫がされているようです。また、無駄を省くために常に工夫し続けていくことが必要です。いずれにしても、寿司がカピカピだった時の残念な思いは、あまりしたくないものです。

 (参考文献 小売・流通業が知らなきゃいけない物流の知識)

行動経済学 現状維持バイアス

行動経済学の「現状維持バイアス」について記載します。

 現状維持バイアスとは、人は現状を好む傾向にあることを言います。

プロスペクト理論という理論がありますが、人は1万円のお金をギャンブルでかけて1万円得するというものには、あまり参加しません。1万円をかけて2万円とか2万5千円とかの儲けがでれば、そのギャンブルに参加する人が増えていきます。人は同じ額であれば、得をするよりも損をする方がダメージを大きく感じるのです。

このようなことから、過去のやり方を捨てて新たな道を選ぶという行為にはリスクが高いと人は感じてしまいます。結果、人は新たな一歩を踏み出すことをせず、現状を好む傾向が強くなるのです。これを行動経済学では現状維持バイアスといいます。

しかし、この現状維持バイアスの傾向は非常に良くないことを引き起こす可能性があります。カエルを水の中に入れて、その水を徐々に熱していくと、カエルは熱がることもなく、やがて死んでしまうそうです。現状維持を続けたことによって、結果、危機を回避できず最悪の事態を招いたのです。

 現状を維持・前年踏襲は一見安全なように見えますが、現状維持は危険をはらんでいる可能性があることも十分に頭に入れておく必要があります。

 (参考文献 行動経済学の基本がわかる本)

ダイシン百貨店

ダイシン百貨店に関して記載します。

 随分前にダイシン百貨店に行ったのですが、場所はJR京浜東北線の大森駅から徒歩10分くらい、昔ながらの商店街を抜けていくと、ダイシン百貨店があります。2010年に工事を始め、1年半くらい前の2012年春にグランドオープンしています。

【特徴1.日本百貨店協会には加盟していない“百貨店”】

ダイシン百貨店はいろいろとユニークなお店です。まず、百貨店と名乗ってはいますが伊勢丹や三越などが加盟している日本百貨店協会には加盟していません。ですので、百貨店の売上を日本百貨店協会から調べたとしても、その中にダイシン百貨店の売上は入っていないこととなります。

【特徴2.超・地域密着経営】

同店は「半径500メートル圏内シェア100%」という方針を打ち出し、「電気、水道、ガス、ダイシン」をキャッチフレーズに、超・地元密着経営を実践しています。その結果、来店客の7割を占める50歳以上のお客様の160名が1日も欠かさずダイシン百貨店に来店すると言います。

【特徴3.品揃えの多さ】

品揃えのアイテム数が非常に多いという特徴もあります。そのアイテム数は18万点(なお、東急ハンズ渋谷店のアイテム数16万5,000点)。ペットフードは3,000種類。トイレットペーパーが50種類。ネズミ取り、ヤニ取りハミガキから年に4個しか売れない洗顔料「うぐいすの粉」まで、高齢者に向けて昔懐かしい商品も様々取り揃えています。インターネット通販でロングテール理論(あまりたくさん売れていないアイテムでも積み重なると大きな売上を作り上げる)という話がありますが、ダイシン百貨店はリアル店舗でこのロングテール理論を実践しているのです。

【特徴4.高額商品をしっかり販売】

また、安売り一辺倒のようなことも行わず、“生鮮売場で尾頭付きの鯛やカレイ”“精肉売場で100グラム2000円の神戸牛”“衣料品売場で20~50万円のカシミアや毛皮のコート”というアイテムも販売。全ての売場が自前で行っているため、商品知識が豊富な社員が丁寧に接客することで、高額商品の販売にもつながっているそうです。

 日本の小売業は商圏の拡大一辺倒で売場面積の拡大を図ってきました。しかしながら時代は移り変わり、店舗面積当たりの売上高は減少傾向にあり、店舗面積を拡大することが必ずしもメリットがあるとは言い切れない時代となってきていると言えます。ダイシン百貨店のように小商圏で生き残りをかける戦略は、今後の小売業の形の一つとなっていくと思われます。

 (参考文献 “下町百貨店・ダイシン”はなぜ、不況に強いのか)