行動経済学 ヒューリスティックス

本日は行動経済学 ヒューリスティックスに関して記載します。

 普段の生活において物事を判断する際に、まず直感的に判断を下し、その判断が正しいかどうかを論理的な思考を持ってチェックするということが多いと思います。ヒューリスティックスとはこの直感的判断のことを言います。ヒューリスティックスの便利なところは判断スピードが速いというところです。車を運転中に、信号が赤になった場合、その赤について四の五の考えを巡らすということは通常ありえず、ただ単純にブレーキを踏みます。このように毎回同じ判断を下している場合、通常論理的に考えることは不必要となります。しかしながら、ヒューリスティックスは往々にして間違った答えをしてしまうことに注意が必要です。

お店で通常価格に×がしてあって、割引価格が表示されているのを見ると、反射的に「お得だ」と考えてしまいます。これは買物をする側が通常価格を基準(アンカー)とするからです。基準となった通常価格とそれより安くなっている割引価格を比べてみれば、当然、その商品はお買い得になっていると考えてしまいます。けれども、もしかしたら、通常価格は適正な価格ではなく、かなり値上げされた値段が表示されているのかもしれません。またセールス手法の中にドア・イン・ザ・フェイスという、最初に高い値段をふっかけて、その後に譲歩するというテクニックがあります。最初に100万円と言われていたものが70万円と言われれば、自分の評価では50万円くらいかなと思っていても、安く感じてしまうものです。

また、このヒューリスティックスの他の例として、株式市場で天気が良いと株価が上がり、天気が悪いと株価が下がるというものがあるそうです。また、ルーレットで赤がずっと出続けた場合、次は黒が出るのではないかと考えてしまうのも、このヒューリスティックスに当たります。赤が出るか、黒が出るかは、ルーレット1回ごとの独立した出来事に過ぎず、連続性はない訳ですので。

 人間が行動する際には直感が働いているということは意識しておく必要がありそうです。

 (参考文献 行動経済学の基本がわかる本)

ユナイテッドアローズのO2O

本日はユナイテッドアローズのO2Oに関して記載します。

アパレル業界では厳しい経営環境が続いていますが、その中で、衣料・小物などのセレクトショップ国内大手のユナイテッドアローズは着実に成長を続けています(平成21年3月 売上高797億円 経常利益43億円。平成25年3月 売上高1,150億円 経常利益126億円)。

そしてユナイテッドアローズの注目すべき数値としてネット通販売上比率があり、2011年9月6日付の『繊維新聞』によると、その数値は10.6%にもおよびます(ユニクロ3.8%)。この数値はユナイテッドアローズがネット通販に注力したわけではなく、ネット通販を始めとした、新しいネットサービスを戦略的に駆使し、リアル店舗への来店や売上向上につなげた結果だと言います。つまり、主体はあくまでリアル店舗でネットはあくまで補完の役割だということです。

ユナイテッドアローズの顧客の特徴として、ネット通販で購入金額が多い顧客は、リアル店舗にも頻繁に来店する傾向があるようです。その中でユナイテッドアローズは「通販サイトで商品を選択すると、取扱しているリアル店舗の一覧や各店の在庫状況が確認できる」「買い上げ金額に応じて付与されるポイントは、リアル店舗とネット通販両方に使える」「ネット通販サイト上で、リアル店舗より約2カ月早めに商品を販売する「先行受注会」を実施する」といったことを行っていて、ネット通販とリアル店舗を融合させることにより、相乗効果で顧客満足度を上げているというのです。

 上記のようにユナイテッドアローズは様々なO2Oを実施することにより、売上・経常利益を毎年着実に伸ばし成長を続けているわけですが、着目するポイントは、主体はリアル店舗という考え方だと思いました。ネットを強化するためには、その受け皿であるリアル店舗の商品・接客レベル・サービスが重要なポイントとなる、つまり、オンライン強化のためにはオフラインの強化が欠かせず、オフラインを強化すればオンラインが強化しやすくなるということです。これはネットの活用が取りざたされる中で、地に足の着いた重要な考え方なのではないかなと感じました。

 (参考文献 新・消費革命 ネットで客を店舗へ引きつける)

膨張するPB(プライベートブランド)市場

本日は膨張するPB(プライベートブランド)市場について記載します。

2006年の石油価格の暴騰や2008年のサブプライムローンという経済危機の発生以来、大手流通業はPBの比率を高めるよう動いています。これはPB商品の方がNB(ナショナルブランド)商品より利益率が高いためです。そして今や、大手スーパーやコンビニのPB販売額は2兆円規模にまで成長しているそうです。PBはNBと比較して高い利益率を誇るだけではなく、当然のことながら他チェーンでは同様のPB商品は販売できませんので、他店との差別化が図れるという優位性もあります。こういった点からも大手チェーンほどPB商品比率を上げようとしているようです。この流れの中、NBの売場での展開スペースが狭まってきています。その状況を受け、食品メーカーの間にはPBの生産を積極的に受け入れる動きやシェア逆転の切り札に活用する動きが広がってきているようです。

例えば外資系NBで高級なアイスクリームの「ハーゲンダッツ」。「ハーゲンダッツ」は高級なアイスクリームとしてトップを走っていましたが、ファミリーマートが「Sweets+」ブランドで販売したPB「GELATO」が、5~8月の高級アイス販売ランキングでその順位を逆転されています。「GELATO」を開発・製造したのは低価格が主力の大手ロッテアイスでした。もともとロッテアイスは高級アイスの市場は不得意ジャンルでしたが、あえてその市場の活路を開くために、PB商品の供給を行ったのです。それが功を奏して成功に至ったようです。

また、味の素のマヨネーズがPB商品の供給によりシェア逆転をしています。マヨネーズの国内市場はキューピーが約7割を占めています。しかしながらセブンイレブンの中の売上では味の素が1位でキューピーを抜いています。2007年度のセブンイレブンへの出荷量はキューピーが114万本、味の素は1万本でした。しかし2008年に味の素がセブンイレブンのPBブランド、セブンプレミアムへの供給を決断したことが転機となり、2011年にはキューピーの144万本に対して、味の素は153万本に達しました。

 過去にあったNB商品の強力なブランド力で流通全体を押さえる“川上が川下を押さえる”戦略ではなく、小売業とメーカーの協働という部分が大きくなってきているようです。

 PBは“他店との差別化が図れる”“利益率が高い”というメリットがありますが、NBほどブランドとして知名度がないというデメリットもあります。今後もPBは拡大していくと思われますが、安いPBだけでなく高級路線のPBも出る昨今、PBブランドとしてのポジショニングをどこに置いて、顧客の認知度を上げていくか、ということも重要になってくるように思われます。

 PB:製造業者や生産者ではなく、流通業者(小売業、卸売業)が開発し、保有・管理するブランド。

 NB:製造業者や生産者が製造し、保有・管理するメーカーブランドの総称。

 (参考文献 日経MJ トレンド情報源2014)

O2Oによる街づくり

本日はO2Oによる街づくりに関して記載します。

2011年3月に東急電鉄は東京都世田谷区の二子玉川に、商業、オフィス、住宅などの複合施設と自然環境が調和した「二子玉川ライズ」という新しい街をオープンさせました。総開発面積は約11.2ヘクタールと、民間の都市開発としては都内最大級で、2015年6月には第2期事業が竣工する予定となっています。

この二子玉川で街全体をネットとリアルで融合させる取り組みが行われています。2011年11月30日から2012年3月31日にかけて「ニコトコ」というサービスが行われました。これは利用者のスマホや携帯電話に、地域や店舗の情報、クーポン、ポイントなどを配布して、街歩きを楽しんでもらうO2Oサービスとなっていました。AR機能を活用し、スマホのカメラ機能で街中を眺めると、街中の風景にクーポン発行店舗のアイコン画像が表示されるということも行っていたようです。このような企画を、今後も改良を加え、イベントごとに実行していくようです。

 昔はマンションを建設すると、別段営業をかけなくても入居者が集まりやすい環境だったそうです。しかし、最近は少子高齢化、人口減少、巣ごもり、ネット消費などの影響により街に人が集まりにくい環境になってきています。そうなってくると街VS街の競争が起こり、魅力の少ない街に人が集まりにくくなってきます。街としても生き残りをかけ魅力を高めていく必要があるようなのです。

 実際問題としては、ニコトコの利用者は4ヶ月で4000人弱ということで、1日30人くらいの利用かなと考えると、現段階ではそれほど大きな効果があるのかどうかはわかりません。とはいえ、ITを使い、商業・オフィス・住宅といった街全体を盛り上げていこうとする試みは非常に興味深いものがあります。

 (参考文献 新・消費革命 ネットで客を店舗へ引きつける)

百貨店の物産展でO2Oに挑戦したコロプラについて

本日は百貨店の物産展でO2Oに挑戦したコロプラについて記載します。

 最近スマホのゲーム「パズドラ」を超えるのではないかと業界で噂されていて、最近TVCMもやっている「クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ」というゲームがありますが、このゲームを制作している会社が“コロプラ”です。この会社ですが地域活性のO2Oで成功している企業として知られています。この会社は「コロニーな生活」というゲームを開発しましたが、このゲーム、携帯電話の位置情報を利用して、実際に1キロメートル移動することでゲーム内仮想通貨1プラを獲得でき、その通貨を使って自分だけの街を育てていくゲームです。そして、このゲームではユーザーが提携店に足を運び、特産品を購入するとゲームの限定アイテムを獲得できるような仕組みになっています。「コロニーな生活」は各地の特産品を販売する提携店とユーザーをつなげるO2Oビジネスなのです。この仕組みは、ゲームを楽しみながら買い物も楽しめるというゲーミフィケーションの要素もあると思います。このコロプラの取り組みは、全都道府県にある提携店との事業で月間2万人を超えるユーザーを全国の店に送客していると言います。まさしく地域を活性化するO2Oと言えます。

この「コロニーな生活」の提携店になるには非常に狭き門です。月に全国から提携店への申し込みや問い合わせが300~400件あるそうですが、実際に提携店となれるのは一月当たり2~3件だそうです。提携店を決めるために毎月行われる試食会には全社員が参加。総勢100人の舌で試食をして、時間をかけて厳選していきます。遠方まで特産品を買いに行ったユーザーが「行ってよかった」と思えるようにしたいからだそうです。

この「コロニーな生活」のO2Oは特産品の提携店に限らず、百貨店の物産展でも取り組まれています。2013年10月17日~23日まで東急百貨店吉祥寺店の催会場並びに屋上にて「日本全国すぐれモノ市-コロプラ物産展2013-」が開催されますが、2011年に初めて開催した際には、“初日会場前に300人以上の行列ができ入場規制がかかる”“前日の閉店前から徹夜で並ぶユーザーがいた”というような状況で、総来場者数4万人、売上合計7,000万円という結果を残しました。同規模会場の催としては東急吉祥寺店開店以来の最大の売上になったそうです。

このコロプラの代表取締役の馬場功淳氏が、会社の業務をこなしながら、平日の深夜と週末にユーザーサポートや開発を一人で行い、5年間毎日3時間睡眠で「コロニーな生活」を一人で立ち上げたというエピソードがあり、尊敬の念が湧き上がったのですが、それはさておき、ゲーミフィケーション、O2Oという2つの要素を兼ね備えたコロプラの取り組みは、今後の小売業の集客の方向性を位置付ける一つとして非常に興味深いものがあります。

 (参考文献 O2O 新・消費革命)

エキナカ・エキチカ

本日はエキナカ・エキチカに関して記載します。

 昔メルマガかTwitterか何かで、世界の駅の乗降客数ランキングで日本の駅が上位を独占している記事を読んだことがありました。それを思い出して、ネットで調べてみると、新宿駅、池袋駅、大阪駅・梅田駅、渋谷駅は国内にとどまらず世界でもトップクラスの乗降客数を誇るようです。東京駅を中心とする半径70キロ圏に居住する12歳~69歳の首都圏生活者2,753万人のうち、66%にあたる1,813万人が週に1回以上鉄道を利用し、さらにその半数強の992万人が鉄道の定期券を保有しているそうです。そして、上記の人たちの1週間の鉄道延べ利用数(在来線)は何と推計2億7,143万人。日本の人口の倍の規模になります。そのような状況下において、近年、駅ビルやエキナカが次々と作られています。ある調査によると、エキナカ(改札内)の買物件数2.5%、駅ビル・駅施設(改札外)7.4%、駅徒歩5分圏の駅前34.1%、という数値が出ていて、エキナカから駅徒歩5分圏内の買物件数は全体の44%の割合を占めているという結果が出ています。

エキナカではスイカやパスモの登場で、買物の少額決済をしやすい環境が整ってきています。少額決済の多いと想定される駅のコンビニ「NEWDAYS」は2001年258店舗から2011年468店舗とその数を増やしています。首都圏生活者(18~49歳)のスイカもしくはパスモの所持者は8割を超えています。そして、改札内の買物の4割、駅ビルなどでも1割強はスイカやパスモが使われているといいます。これらの電子マネーはオートチャージ機能もあるので、チャージする手間もかかりませんので、簡単に買い物ができる環境が整ってきていると言えると思います。

 最近ではデジタルサイネージを使った自販機まで登場しています。エキナカやエキチカでの買物は自分の移動導線の中で済みますので非常に便利です。郊外型SCが飽和気味、人口の首都圏への集中、衝動買いの傾向などを踏まえると、エキナカ・エキチカ立地は今後魅力を増していくかもしれません。

 (参考文献)移動者マーケティング)

非計画的な購入

本日は意外に多い非計画的な買い物という内容で記載します。

 現在、都市部においてはコンビニやスーパー、エキナカの商業施設など、身近な場所に様々な店舗があります。都市に住む人の移動する導線には様々な店舗が並んでいて、移動中にふと思い立ったらすぐに買い物ができるような環境になっています。まるで巨大なショッピングモールの中にいるかのように、都市部にすむ人々が買い物をするには非常に便利な時代になったということが言えます。

そういった環境下において、首都圏に住む人々の買物にはある特徴があります。2009年に実施されたインターネット調査「首都圏買い物調査」で集めた首都圏生活者(18歳~49歳)2750人の1週間の買物(約3万件)の分析結果によると、買物を決めたタイミングが「そのお店を見た時」あるいは「前にいた場所を出た後の移動中」が約4割を占めている状態です。これに対して前日までに計画していた買い物が2割。首都圏生活者の多くの買物が非計画的・衝動的に行われているという特徴があることがわかります。

また別の調査、首都圏で働く男女を対象に平日5日間の会社帰りの寄り道についての調査の結果によると、帰宅の途中の寄り道をしている人が47%の割合を占めており、その寄り道の2/3が帰途の思いつきで来店しているという結果でした。そして、その寄り道の来店がその日どうしても必要だったかというとそうでもないようで、「その日、来店してもしなくても、どちらでも良い来店だった」割合が約4割を占めています。そして驚くべきことに、そのうち3/4の人がお金を使っているというのです。

 現在はモノであふれている時代で、必要不可欠であるというモノはそれほどない時代です。この衝動買い・非計画的な買い物をいかに促せるかが店舗側としては重要な時代のようです。

 (参考文献 移動者マーケティング)

感動で顧客を維持・獲得する企業「ザッポス」

本日は感動で顧客を維持・獲得する企業「ザッポス」に関して記載します。

ザッポスは靴のオンライン小売サイトで日本未上陸の企業です。2009年にアマゾンがこの企業を12億円で買収したのですが、アマゾン自体は経営には参加せず、ザッポスが経営の独自性を保っています。アマゾンにとって12億円の買収は過去最大であったにもかかわらず、そのような対応を採ったということにはザッポスの企業としての優れた面を潰さないようにするための対応のように思われます。

 通常、カスタマーセンターではコスト削減のために顧客との会話時間を短くするように努力しますが、ザッポスではそういった対応は行わず、顧客が満足するまで電話対応を行っています。経営者の一人が試しに「ピザを注文したい」とザッポスのコールセンターに注文したら「ピザは売っておりませんが、デリバリーのピザの電話番号をお伝えできます」という対応をされた、という逸話が残っています。お客様との会話で6時間も話すこともあるそうです。電話を短くして効率を高めようというのではなく、お客様の満足度を高めようということからこのような対応を行っているのです。

 上記のような電話対応を受けた消費者はザッポスのその対応に感動し、ブログやSNSにアップしたりして、新しいお客様を連れてきます。また、書いた本人もザッポスのリピーターになるのです。ザッポスは毎日の購買のうち約75%がリピーター。新規顧客の43%が友人知人からのFacebook、Twitterからの口コミで知った人になります。

 物流に関しても365日24時間稼働。送料無料。返品無料。365日後まで返品可能。できる限り翌日配送。といった具合にリピート顧客を増やすための努力を行っています。

 新規顧客のコストとリピーター維持のコストは5:1と言われます。新規顧客を獲得していくことはそれだけ大変なことなのです。ザッポスはサービスレベルを高めることにより、リピーターを維持し、新規顧客を獲得しているのです。このことは簡単にできる物ではありません。経営者の考え方や従業員の満足度、そういったレベルを日々高める努力を続けている結果だと思われます。

ディアゴスティーニの販売手法

デアゴスティーニの販売手法の強みに関連して記載します。

デアゴスティーニは「創刊号は○○円から」というTVCMでインパクトのある会社ですが、その切り口も「週刊日本の城」だとか「自衛隊モデル・コレクション」だとか特徴があるので目を引きます。

【デアゴスティーニ 販売手法の強み】

デアゴスティーニの販売手法の強みは“分割する”という点です。

デアゴスティーニは1901年創立の老舗出版社で、百科事典や全集などを1冊ずつに分けて販売することで、今のビジネスモデルを確立した企業です。TVCMで創刊号を大々的に宣伝し、割安感を消費者にアピールします。その魅力にひかれ創刊号を買った人は2号目が欲しくなります。続けて3号目も欲しくなります。そして、気づくと、どんどん買っていき、ある程度揃えたら最後まで揃えたくなってしまいます。最初の入り口は「安く買えるから買おう」というものですが、次第に「コンプリートしたい」という状態になっていくのです。“分割”という販売手法は人間の心理を巧みについているのです。

【デアゴスティーニ 販売例】

ネットで調べてみると、例えば「隔週刊 自衛隊モデル・コレクション」。これは全70完結予定の物ですが、創刊号は特別定価で990円、通常価格で2,490円。これに特製バインダーが加わるのですが、全て揃えると総額176,670円になります。他の例でみると「隔週刊ハーレーダビッドソン・プレミアムコレクション」全10号完結予定の物だと、創刊号特別価格890円、通常価格1,990円、特製バインダー1,490円。全て揃えると総額20,290円となります。創刊号だけ見ると、それほど高くないように感じますが、全て揃えるとなると意外と高額なお買い物となるのです。

この商売の方法を採ることで、デアゴスティーニの在庫リスクを小さくすることもできています。創刊号の売れ行きを見れば、それ以降の発行部数の予想が立てやすくなるからです。

あの印象的なCMも面白いですが、デアゴスティーニの商売のからくりも興味深いものです。

 (参考文献 図解カール教授と学ぶ 成功企業31社のビジネスモデル超入門)

行動経済学 比較対象

行動経済学の“比較対象”に関連して記載します。

全く新しいジャンルで新たな商品が登場した場合、僕たちはそれと比較できる商品を探します。そして両者を検討し優劣を判断し購入を決定します。逆を言うと1種類しかない時には比較対象がなく、購入決定の判断をしにくいということになります。

家庭用品のウィリアムズ・ソノマ社が自動パン焼き機を販売した当初は売れ行きが鈍かったそうですが、その後同社がその商品よりも50%以上高価なデラックス版の製品を新たに販売すると、最初のパン焼き機が飛ぶように売れ始めたと言います。

新たなジャンルの商品を販売する際には、最初に市場に投入した商品よりも、より高価な商品を製造して販売すれば、消費者は商品の比較を行うことができるようになり、市場に最初に投入した商品が売れ出すという仕組みです。

上記に加え、新たにもう1つ別の価格の商品の販売を始めた場合は、僕たちは無難な真ん中の価格の商品を選ぶ傾向があります。購入するにあたって、良さを追求せずに悪さを回避するのです。うな重を食べるときに松竹梅の松は高いし梅だと物足りないから竹にしようといった感じでしょうか。

新規に市場に新たな商品を投入する際に、同時に比較対象となる商品を市場に投入すると売上が上がるというのは面白いことです。

 (参考文献 行動経済学の基本がわかる本)