フランチャイズチェーンに関して

フランチャイズチェーンに関して記載します。

 日本のフランチャイズチェーンのチェーン数は全体的な傾向でみると増加傾向にあり、1986年に619だったところ、2010年には1233となっています。そのうち、小売業は1986年201→2010年333、外食業は1986年291→2010年518、サービス業は1986年127→382という状況です。また、店舗数で見ても全体的な傾向でみると増加傾向にあり、1985年89,267店→2010年234,146店となっています。内訳をみると、小売業は1985年27,595店→2010年90,632店、外食業は1985年35,484店→54,757店、サービス業は1985年26,188店→2010年88,757店となっています。セブン-イレブンやローソンのコンビニの出店数が増加することが見込まれている2013年、小売業のフランチャイズチェーンの店舗数はさらに増えていくかもしれません。

そもそもフランチャイズチェーンとは、小売業やサービス業の店舗形態の一形態で、本部と加盟店がフランチャイズ契約を結び、本部(フランチャイザー)が加盟店(フランチャイジー)に経営ノウハウの一式を与え、加盟店は本部に対して対価として加盟金やロイヤリティなどを支払う形態を言います。

 世界初のフランチャイズはアメリカ生まれのケンタッキーフライドチキン。話は逸れますが、60歳を過ぎてからフライドチキンをワゴン車に積んで各地を回り成功をしたケンタッキーフライドチキンのカーネル・サンダースは本当にすごいと思います。日本で初のフランチャイズは1960年の不二家。ちなみにまた話は逸れますが、不二家のマスコットのペコちゃんとポコちゃんは、日本ケンタッキーフライドチキンのカーネル・サンダース像に続いて、立体商標として登録されているそうです。

フランチャイズシステムは、ブランド化されているサービスを、地政学的・文化的事情が異なる様々な地域に展開するためにも有効です。マクドナルドやセブン-イレブンなどの世界的に認知され、販売しているブランド(グローバルブランド)においては、本部企業がエリアフランチャイズ契約をある一企業と結び、その国での独占的な権利を与えています。

フランチャイズを行うにあたって、本部のメリットとしては「低コストで事業展開できる」「新規事業を急速に拡大し、ブランド力を確立できる」ということがあり、加盟店のメリットは「ビジネスノウハウを短期間で容易に身につけられる」「本部のブランド力、マーケティング力によって、初期段階から安定した経営が期待できる」ということがあります。

フランチャイズチェーンは本部にとって急速に事業を拡大でき、規模の経済性を発揮できる点は魅力ですし、新たに加盟店になるにあたっては、自分で0から作り上げる必要がないので、その分リスクを負わなくてよいという部分は大きいです。何よりもフランチャイズチェーン。この「仕組み」を作り上げたことそのものが重要だと感じました。

 (参考文献 ブランド・マーケティング)

O2Oに関して

O2Oに関して記載します。

O2O(Online to Offline)とは、オンラインとオフラインの購買行動が連携し相乗効果を出す、または、オンラインでの活動がリアル店舗での購買を促すといったマーケティング手法のことです。このO2O市場は現在スマートフォンの普及もあるからか急速な伸びを見せていて、2017年度には50兆円の市場規模になると予測されています。

 (2010年度には、いわゆるガラケーの従来型携帯電話が2,790万台、スマートフォンが800万台という販売台数であったが、2011年度にスマートフォンが急激に販売台数を伸ばし、2,250万台へ。2017年度には従来型携帯電話が1,406万台に対し、スマートフォンが2,972万台になると想定されている。)

O2Oの例として、2011年9月にサービスを始めたスマホアプリ「スマポ」があります。「スマポ」はユーザーが契約店舗へ行き、スマポアプリを起動し、チェックボタンを押すだけで、ポイント(1ポイント=1円)を得られる、来店促進サービスです。貯まったポイントは全国提携店舗のハウスポイントや商品券などに交換できる使い勝手の良さが特徴となっています。今まで同じようなアプリもあったようですが、GPSやWi-Fiを使っていたことから店の近くにいれば反応してしまうということがあったようです。その点、このスマポについては独自の「超音波発信機」を使用。店頭に置いた発信機が超微弱な超音波を出し、ユーザーのスマートフォンのマイクで受信する仕組みとなっていて、確実に当該場所に来店しないとポイント加算がされないようになっているようです。さらにスマポと店舗の契約は来店数に応じた従量課金制(1送客に対し30~150円程度)となっていて、店舗側にとってもコストパフォーマンスの高い販促となっています。参加企業はビックカメラやユナイテッドアローズなど。ある大型店舗では1ヶ月で1万人のスマポユーザーが来店し、うち3割が商品購入に至るという結果を残しているそうです。

Eコマースサイトの弱点を補完するという観点並びにユーザーへのサービス向上という観点からO2O戦略を取っている企業もあります。それはメガネ専門店のEコマースサイト「オーマイグラス」です。現在メガネ業界はZoffやJINSといった低価格SPAの登場や消費低迷により競争が激化しています。そのような中、オーマイグラスは大手のネット通販会社が扱いたがらないメガネをネットで販売。市価より安く豊富な種類を取り扱っています。ある意味ブルーオーシャン的な戦略ともいえると思います。大手ネット通販会社がメガネのEコマースを嫌がる理由として、顔の印象を左右するメガネは試着が必要ということと、視力測定や掛け心地を見るためフレームの微調整が必要だということがありますが、オーマイグラスは、メガネドラッグやメガネのアイガンといった老舗チェーンを含めた既存のメガネ店と提携を結び、レンズ加工やフィッティング、さらにアフターフォローまで受けられるサービスを実施しました。老舗チェーンにしても新たな顧客が得られることからオーマイグラスと組むことにはメリットがあるようです。合わせて、オーマイグラスでは無料でフレーム5本までを自宅で試せるサービスも実施しています。

ファーストリテイリンググループのブランド「ジーユー」では2013年春に、スマートフォンのジーユーのアプリを立ち上げ、画面のUFOのアイコンを押しながら「キュッキュー(990)」と叫ぶと、人気タレントのきゃりーぱみゅぱみゅのおしゃれインベーダーのカレンダーの壁紙がもらえるというキャンペーンを実施しました。ジーユーは今春から新価格戦略「990円」を掲げていて、この新戦略の認知度のアップを狙ったものとなります。ジーユーではこのきゃりーぱみゅぱみゅの企画以外にも、2013年1月には消費者がアプリを立ち上げてスマートフォンを5回シェイクすると抽選で各日1000名に「990円ジーンズ」が当たるお正月おみくじキャンペーンを4日間実施したり、3月に、新しいブランドロゴの認知度アップを目的に、ポスター、ウェブサイト、看板などにある「GU」の新しいブランドロゴにカメラをかざすとさいころが出現し、さいころをクリックすると100円クーポンが当たるというキャンペーンを実施したりしています。一連のキャンペーンは「叫んだ言葉を認識する『音声認識技術』」「シェイクの回数を判別する『加速度センサー』」「ロゴを認識する『AR技術』」などスマートフォンの最新機能を駆使したものです。しかしながらジーユーは消費者に対して楽しさや感動をアピールすることを意識して、これらIT技術は一切伝えず、意識すらもさせないようにしていたということです。また、ジーユーは費用対効果の面でも、チラシよりスマートフォンを利用したO2Oのほうが優れていると言います。紙のチラシは配布枚数が増えればコストも増えますが、アプリは配信人数が増えてもコストは変わらないからです。

 以前はEコマースとリアル店舗では市場の奪い合いという関係から対立関係にありましたが、現在ではネットとリアルの区別がなくなってきています。どちらかではなくどちらも戦略的に組み込んでいく時代になってきています。時代が変わってきているということなのでしょう。

 (参考文献 週刊東洋経済 臨時増刊 ネット通販大解明)

セブンイレブン

セブンイレブンに関して記載します。

コンビニエンスストアの売上高は年々増加傾向にあり2007年7兆4,895億円だったものが2011年8兆7,747億円。店舗数についても2007年40,405店に対して2011年は43,373店と増加傾向にあります。その中でセブンイレブンジャパンのチェーン全店売上高(2012年度)は小売業の中でも群を抜き3兆5,084億円、店舗数においては国内で約15,000店という圧倒的な店舗網を誇っています。商品群での年間販売額を見てみると、おにぎり(17億個)、弁当(4億6000万個)、ビール系飲料(4億6000万本)、雑誌・書籍・コミックス(2億4000万冊)などについては日本一多くの売上を上げています。このセブンイレブンが今攻めの姿勢を見せています。セブンイレブンは2012年度から出店ペースを加速させていて2012年度に1,067店の店舗純増し、2013年度は1,150店の店舗増をもくろんでいます。このセブンイレブンの動きに追随するように業界3位のファミリーマートも今年度1150店の店舗純増をもくろんでおり、セブンイレブンが他チェーンを出店競争に巻き込んでいる状態のようです。

セブンイレブンの商品に関する攻めの姿勢として、ファストフードとしてセルフ式のドリップコーヒー「セブンカフェ」の販売を2013年1月から全国展開を始めています。本格展開から半年足らずで累計5000万杯販売していて、初年度の販売数4.5億杯を見込んでいます。もともと日本のコーヒー市場は大きく、全日本コーヒー協会によれば、日本では1週間に1人当たり10.7杯のコーヒーが飲まれているようで、セブンイレブンはその市場のシェアを取ることを狙っているようです。セブンカフェ購入者のうち2割が一緒にサンドイッチや菓子パン、スイーツを買うという買い回り効果も出ているようです。

また、PBにおいては高付加価値型PB「セブンゴールド」を手掛けています。大手メーカーとセブンイレブンの共同開発商品で、いわゆる“ダブルチョップ”と言われるNBとPBの中間のいいとこ取りPBです。ちなみに「セブンゴールド」商品の、今年6月末からセブンイレブンとサントリーが組んで販売されたビール「ザ・ゴールドクラス」を買ってみたのですが、350ml、218円で他のビールとそれほど値段は変わらず、味はまろやかな飲みやすい感じでした。

また、セブンイレブンでは店内の品揃えを抜本的に見直しました。女性や高齢者を狙って、惣菜のほか、牛乳や豆腐などの日配品、コメや調味料、日用雑貨を強化しています。そして、商品の日持ちの改善を図り、従来に比べて廃棄ロスの出にくい商品を増やしました。例えばパスタは過去40時間程度で店頭から外していましたが、64時間に伸びました。これらの取り組みにより1店舗当たりの廃棄ロスはピークに比べ3割程度減少したそうです。商品の廃棄が増えれば、負担を避けたい加盟店が発注量を絞り、販売の減につながってしまいます。廃棄ロスは加盟店の負担にもなるため、廃棄ロスの出にくい商品を増やせば、加盟店も積極的に品揃えをするようになり、それが売上増につながるという好循環につながっていき始めているようです。

 商品力の強化による売上増、廃棄ロスの減による出費の削減という視点を持って利益拡大を図っているというところでしょうか。今後、セブンイレブンの店舗数拡大がコンビニエンス業界にどう影響を与えていくのか、注目だと思います。

 (参考文献:週刊東洋経済7/13 ブランドマーケティング)

PB(プライベートブランド)に関して

PB(プライベートブランド)に関して記載します。

 「マツモトキヨシ」に高付加価値のPBがあるという話を聞いて地元のマツモトキヨシに行ってみました。PBというと例えばセブン&アイ・ホールディングスの「セブンプレミアム」やイオングループの「トップバリュ」のような単価が低いイメージがあるのですが、マツモトキヨシはNB(ナショナルブランド)にも劣らぬ高付加価値なPBを販売しています。今日見たのはシャンプー・リンスの「ARGELAN(アルジェラン)」。今はやりのノンシリコンで、さらにオーガニックの要素も入っている商品。2本セットで3000円オーバーの価格で販売していて、ほかのシャンプーと比べて少し高めの価格設定かなと思いました。PB商品である「ARGELAN(アルジェラン)」を打ち出すためと思われますが、商品陳列場所は店を入ってすぐ、陳列棚のエンドに置かれていて、大きくPOP表示もされていて目立つようになっていました。マツモトキヨシが取り扱うPBは約2100品目、売上規模は約400億円にも及ぶそうです。日用品の低価格化が進む中で利益を創出するため、PBの高付加価値品を販売しているということのようです。

そもそもPBとは、流通業者(小売業、卸売業)が開発し、保有・管理するブランドのことで、流通業者が仕様書を作成し、メーカーに発注、大量購入で低価格を実現させているものです。流通業者がPBを開発する目的としては「企業の独自性・競合他社との競争を有利に進めるため、品揃えの独自性の発揮」「PBは流通業者が全品買取をすることが原則である一方、流通業がメーカー機能(広告宣伝、展示陳列、販売促進など)を代行するため、NBより高い利益を確保できる」「PBを大量に発注すればNBの仕入れ交渉において、流通業が有利に交渉を展開できる」ということが挙げられます。

PBに対してNBとはメーカーや生産者が製造し、保有・管理するメーカーブランドの総称のことです。NBのコストは製造コスト(製造原価)と流通コスト(テレビCM、新聞・雑誌広告、卸売業へのマージン、運送コスト)が発生します。

PBに関しては2008年のサブプライムローンに端を発する経済危機の発生により、NBに対してPBの利益率が高いことから、大手流通グループが一斉にPB比率の引き上げに走りました。富士経済によるとPB食品市場の2012年見込みが2兆6385億円で、2017年予測が3兆2093億円となっていて、継続的に市場拡大が予想されています。

PBを導入するメリットとしては小売業として「店の独自性の表現をしやすい」「中間マージンのカットにより、仕入れ価格の引き下げが可能となり、粗利益率が向上する」「NBと同価格なら、性能・品質の高い商品を販売できる」「独自で売価設定できる」「商品の質、機能、ロットを自由にコントロールできる」「バイヤー・マーチャンダイザーの商品企画力・開発力が上がる」ということが挙げられます。一方でデメリットとしては「売れ残ったときの在庫リスク」「値引き販売が小売業のブランド・ロイヤルティの低下につながる」といったことが挙げられます。

 店舗におけるNB・PBとの販売額の割合などを見ながら商品展開をしていけば、PBは店舗の利益向上や独自性の発揮を行うための武器になると思います。PBは低価格で販売されているものというイメージが強いのですが、マツモトキヨシの高付加価値のPBという視点は店舗の体質強化にもつながるでしょうから、非常に面白い視点だなと感じました。

 (参考文献:ブランド・マーケティング)

機械の導入による利便性の追求

機械の導入による利便性の追求に関して記載します。

 渋谷駅(渋谷第一勧業共同ビル)にバナナの自販機があります。初めて見た時は驚愕し、ずいぶん奇をてらった自販機だと思いました。しかしながらそれは自分が知らなかっただけで、この自販機、2010年の6月から設置されていて、ビジネスパーソンに利用されているようです。株式会社ドールの自販機でバナナ1本130円。手ごろでフルーツをちょっと食べたい方には便利なのでしょう。

バナナの自販機のように、様々な商品を販売する新手の自販機やスペース的に店舗を設置できない場所で消費者に利便性を提供する自販機が近年増えてきているそうです。アメリカではホテルや空港に旅行時に必要な商品を販売する自販機があったり、タクシーにノンアルコール飲料の自販機を搭載していたりするようです。日本においてはファミリーマートが「自販機コンビニ(オートマティック・スーパー・デリス(ASD))」を企業内や公共施設内に設置し、おむすび、サンドイッチ、スイーツなどの販売を行っています。

 上記のような自販機以外でも機械を使用し利便性の向上を行っているものとして、デジタルキオスクの設置というものがあります。アメリカの百貨店チェーンのコールズではサイズ切れを起こしやすい靴売場のそばにデジタルキオスクを設置。店舗で在庫のない商品や在庫切れのサイズを、その場でオンライン注文できるようにしています。さらにオーダーした商品は自宅に無料で配達されます。お客様にしてみれば、欲しい商品をその場で注文できますし、店舗側としてみれば販売のチャンスロスを防ぐことができます。(キオスク端末:街頭や店舗内に設置される、銀行のATMくらいの大きさの情報端末。液晶画面に情報を表示し、操作は画面に触れるタッチパネルを利用することが多い。例:コンビニのチケットのオンライン販売)

 韓国の地下鉄ホームの壁面には「バーチャルストア」が登場。スーパーの棚がポスターで表示されていて、その商品をスマートフォンで読み取ると、商品の発注ができ、自宅に配送されるというものです。この「バーチャルストア」、もともとはイギリスのTescoと韓国サムスンの共同出資のディスカウントストア「Home plus」のプロモーション的な企画でしたが、結果的に「Home plus」のオンラインサイトの売上が130%も増加したそうなのです。通勤のついでにホームで買物ができるとなれば、消費者にとってみれば時間の効率化が図れるという大きなメリットがありますから、この売上の増は企業側が消費者に与えたメリットがそれだけ大きかったことの表れだと思います。

 最近ではスーパーマーケットにセルフレジを導入している店があります。少量の買物の場合、並ぶよりも自分で会計したほうが早いのでセルフレジはとても便利だと思いますが、これなども機械の導入により「消費者のレジ待ちの時間を効率化する」という点で店舗の利便性を高めていると言えると思います。近年、ネットショッピングの急速な普及もあり、店頭で待つのは苦手だという人も増えていると言います。世の中が便利になればなるほど更なる便利さが求められるということでしょうか。店舗の特性によってというところではありますが、上記のような例は消費者から小売業に対してスピーディなサービスや忙しい人を満足させるサービスの強化が求められている結果の表れといったところだと思います。

(参考文献:実店舗で商品を売るにはどうしたら良いのか!?)

シニア対策

小売業が取り組んでいるシニア対策に関して記載します。

 日本においては全人口に占める65歳以上の年齢の割合が、2010年に約23%、2013年に約25%、2040年に36%、2060年には約40%と、どんどん増えていくことが想定されています。また、2011年の世帯主の年齢階級別の1ヶ月平均の消費支出(二人以上世帯)を見ると、働き盛りと思われる30~39歳が263,197円に対して60~69歳が281,022円という具合に、高齢者も多くの支出をしています。高齢になればなるほど保健医療の支出が増え(保険医療の支出 30~39歳9,424円→60~69歳14,721円)、洋服や通信の支出は40代以降減るという年齢に伴う消費構造の変化は見られますが、家庭用耐久財や書籍など支出の割合にそれほど大きな変化の見られないものもあります。何れにせよ高齢者市場は今後確実に拡大することが想定されますし、最近では元気で活動的なアクティブシニアが増加していることから、その年齢層の方を対象とした商品・サービスが強化されてきています。

イオンは2011年を起点とする3ヶ年のイオングループ中期経営計画において、グループ共通戦略の一つに、シニア層への商品・サービスなどを強化し飛躍的な成長を目指す「シニアシフト」を掲げています。その一環としてシニア世代を年齢にとらわれず豊かに人生を楽しむ世代と捉え、「GRAND GENERATION(グランド・ジェネレーション)」と名付けました。そして、2012年9月に55歳以上を対象とした「G.Gイオンカード」「G.G WAON」を誕生させ、年金支給日の15日を「G.G感謝デー」に制定し、「イオン」「マックスバリュ」「イオンスーパーセンター」などの店舗でこれらのカードを使用すると支払額が5%引きとなるサービスを実施しています。イオン同様、セブン&アイ・ホールディングスに関しても、電子マネー「ナナコ」に2012年4月から65歳以上対象の「シニアナナコカード」を設け、年金支給日の15日をシニアナナコデーとして、衣料、食料、住まい品を表示価格より5%引きしています。また、店舗購入商品の宅配サービス「きいろい楽だ」の配送料金を通常315円から80円に割引なども実施しています。

2012年3月1日に新しい建物に建て替えてオープンしたダイエー赤羽店はヤングと子供をカットした「アクティブシニアの館」へとリニューアルを行いました。商圏の居住者の4割が50歳以上、2人以下の少人数世帯が72%という状況の中、シニア向けのMDを強く意識して「こだわり」「美容・健康」「趣味・ライフスタイル」をキーワードに店づくりを行っています。なお、施設面から見ても、この店舗のエスカレータ、とてもゆっくりです。

コンビニもシニアの取り込みを大きな課題としていまして、ファミリーマートは、元気で毎日はつらつと過ごすアクティブシニアを「おとな」と位置付け、新しいおとなのコンビニ文化創造を目指し、2010年9月に「おとなコンビニ研究所」を立ち上げました。実際にアクティブシニアの声を聞いて開発した「おとなコンビニ研究所」の商品は、見た目や彩り、素材、ひと手間かけた調理、健康や環境への配慮などをコンセプトに作られています。また、シニア扱いされることを嫌うアクティブシニアの声を反映して、まとめてコーナー化するのではなく、各カテゴリーの商品の一つとして陳列されています。

シニア世代がかわいい孫に買ってあげるということを狙って、アメリカでは10月の第3日曜日を「孫の日」としてキャンペーンを展開しています。日本においても日本百貨店協会が10月第3日曜日をまごの日と制定しPRを図っています。アメリカにおいては特定の日の設定だけでなく、多くの小売業が「Upromise(ユープロミス)」と提携して、孫の教育資金としてポイントを蓄えることもしています(Upromiseとはお買い物額の何%かを大学の学資としてUpromiseの口座に貯金することができるシステム)。

 社会の変化に対応して様々な動きが出てきています。そして身近なところで変化が着々と進んでいます。気づかずスルーしてしまいそうなことの中にも社会の変化を裏付ける何かがある場合があるのかもしれません。

 (参考文献:実店舗で商品を売るにはどうしたら良いのか!? データ:流通統計資料集)

小売業各社の客層の拡大に向けた対策

本日は小売各社の客層の拡大に向けた対策に関して記載します。

 日本の家族の世帯数の推移をみると近年増加傾向にあり、国立社会保障・人口問題研究所の資料によると、世帯数総数は1980年に35,824千世帯に対し2010年には51,842千世帯に増加しています。この内訳を見ると単独世帯の増加の割合が大きく、1980年7,105千世帯に対し2010年に18,457千世帯と急増。核家族に関しては夫婦のみの世帯やひとり親と子の世帯が増加傾向にあるのに対し、夫婦と子の世帯は減少傾向にあり、1家族当たりの人数が減ってきているということが言えます。この流れの中、単独世帯、いわゆるお一人さまを取り込むための商品やサービスが増えています。年末年始のイベントのお一人さま需要が多いことを踏まえて、三越が小分けの歳暮「三越個包ギフト」を用意したり、ローソンが1~2人前のクリスマス用オードブル販売を行ったりするなど、個食向け商品の販売を始める企業が出てきています。また、焼き肉店「ひとり」という店では一人客専用の焼き肉店でテーブルとテーブルの間に背の高い仕切りを作り、一人でも気兼ねなく焼き肉を食べられるようにしています。このように時代の流れを見て、新たに増加してきている市場“お一人さま”をターゲットにして客層の拡大を狙う企業が出てきます。

 新たな客層の拡大という点で他の例としては、大丸松坂屋が2012年のクリスマスにO2Oによるネット客の獲得を図る動きをみせました。野村総合研究所の『インターネット経済調査報告書』によると、2010年度のデータを使用した結果、国内において市場規模約110兆円のリアル店舗での購買行動のうち、「インターネットからの情報収集に基づく消費(お2O)」による消費規模は約22兆円という結果になっています。その状況の中、大丸松坂屋はミクシィとの共同事業に取り組みクリスマス商戦の集客拡大を図ったのです。ミクシィがネット上で展開するクリスマスイベント「ミクシィクリスマス」には、期間中200万人以上の人々が参加するのですが、大丸松坂屋はそこに注目し、今まで百貨店をあまり利用しなかった年齢層の店舗への誘導を狙ったのです。

また、銀座三越とプランタン銀座は20~30代の女性客獲得策として女子会を活用。2012年に「GINZAテラスナイト」という、人気レストランの特別メニューの提供・コスメや占いの無料体験などが楽しめる女子会を開催しています。

 人口の減少が進む日本において、多くの業種業態において客層の拡大が必要となってきます。その中で上記のように新たな客層を取り込む動きを見せる企業が出てきています。自ら変化をしていかなければ生き残ることができない時代。このような動きは今後も継続していくと思われます。

 (参考文献:実店舗で商品を売るにはどうしたら良いのか!?)

クレジットカードによる既存顧客の囲い込み

クレジットカードによる既存顧客の囲い込みに関して記載します。

 現在、いろいろな小売業でクレジットカードによる顧客の囲い込みを行っています。例えば日本のあるドラッグストアでは、前月の購入金額に応じて当月のポイント還元率が変わるという制度を取っているところがあるそうです。お買い上げ額に応じてポイント還元率を増やしていくという方法は百貨店のカードでもよく見られ、例えば「東武百貨店 東武カード(年会費無料):年間お買上げ 20万円未満3%→20~50万円未満5%→50万円以上7%」「大丸 DAIMARU CARD(年会費1,050円・初年度無料):半年お買上げ 10万円未満5%→10~20万円未満6% 20~30万円未満7.5% 30万円以上10%」などといったようになっています。自社カードを活用した顧客の囲い込みは日本だけではなくアメリカでも行われていて、チェーンデパートメントストア「ブルーミングデールズ」においては、自社のクレジットカードを使用しての買物で3ポイント→化粧品やフレグランスの買物はダブルポイント→セールによっては2倍、3倍のポイント取得、となっているようで、5000ポイントにつき25ドルの買物券がもらえるとのことです。様々な施策を行い、顧客の再来店を促し固定客化することは小売業が生き残る上で非常に重要なことです。

さて、近年において日本のクレジットカードの発行枚数は年々増加傾向にあります。全体的なクレジットカードの発行枚数でみると1998年度に245百万枚が2010年度には322百万枚へ増加。その中で流通系(百貨店・量販店・流通系クレジットカード会社)を見ると1998年度63百万枚だったのに対し2010年度103百万枚へ増加。クレジットカードの発行枚数で一番多い銀行系の発行枚数が1998年度97百万枚、2010年度134百万枚の増で38.0%伸びているのに対し、流通系の伸びが62.9%ですから、流通系のクレジットカード発行枚数の伸びの高さが伺えます。流通系クレジット枚数の発行枚数の増加を踏まえると先ほどの囲い込み戦略が流通業界全体において積極的に行われているだろうことが見て取れます。

 業種別の販売信用供与額の推移を見てみましても、「流通系クレジット会社 1999年35,864億円→2010年111,762億円」「サービス・小売業者等 1999年18,371億円→52,646億円」「百貨店 1999年18,156億円→2010年9,805億円」と百貨店を除いてその額は増加傾向にあります(百貨店の販売信用供与額が低下しているのは売上高が1998年9兆1773億円から2011年6兆1525億円と市場規模が縮小していることが要因として考えられます。)。この結果は、以前よりも買物の際にお客様がクレジットカードを利用することが多くなっているという証左だと思われます。昔はニコニコ現金払いとか言いましたけど時代が変わったものです。企業側はクレジットカードにより顧客の囲い込みを狙い、消費者側は買物の際、自分のメリットを最大化するにはどうしたらよいかを考えるようになってきているということでしょう。

 最近、どこに行ってもポイントカードはどうですか的な流れになって、1回しか言ってない店のポイントカードが結構たまっているなんてこともあります。ポイント還元による店舗の魅力化は非常に重要なことと思いますが、一方でそれ以外の魅力も同時に高めていかないと、店側からすればポイントカード代の無駄にもなってしまうかもしれません。バランスよく全体を良くしていけるように目指すことが重要だと思います。

ネット販売とPB

本日はネット販売とPB(プライベートブランド)に関して記載します。

アメリカにおいて1916年にグローサリーストアのピグリーウイグリーが、顧客が自分で商品を手に取って選び、買物かごやショッピングカートに入れ、レジで一括会計して代金を決済するというセルフサービス方式を導入して以来、豊富な品揃えとローコストオペレーションが実現し、小売店では対面販売の小売店からセルフサービス方式が発展するという変化が起きました。そして現在、その時と同じような小売業の変化がアメリカで起きているといいます。それがネット販売の急成長です。2012年のアメリカのネット販売市場は小売業トータルの約5%のシェアを占め、前年比で15%強の成長を示しているようです。

その中で、アメリカにおいて、リアル店舗で商品の実物を見て、実際の購入はアマゾンのようなネットショップで行う「ショールーミング」という消費行動が常態化してきています。

ウォルマートのようなスーパーセンターの大型店は圧倒的な品揃え数によるワンストップショッピング機能で人々に支持されてきました。それと同時に「エブリデーロープライス」などの価格訴求を行ってきました。しかしながら、品揃え数についてはネットの方が豊富になってきていますし、最低価格は、スマホで簡単にどこが一番安いか確認が取れるようになり、小売業の低価格戦略が以前ほどの強みではなくなってきました。スーパーセンターの強みが弱体化してきているのです。その状況に対抗するため、アメリカの大手ディスカウントストア「ターゲット」は、商品はリアル店舗で見て買い物はネットという「ショールーミング」を避けるため、大手トップブランド企業に「差別化のできるPB商品の開発」を迫っています。PBで独自の商品を提案することでネットとの価格比較を避ける作戦です。今後もPB商品の開発が進むことが想定されます。PBが増えるということは、メーカーにとっては商品の陳列スペースが減るということになります。メーカーとしては対策を取らなければならないわけで、生き残りをかけてネットを使って消費者へ直接販売を始めているようです。そのことが小売業とメーカーの間で軋轢を生んでいることもあるとのことです。

さて、日本のPBの購入率を見てみると、その数値は意外と高いものとなっています。例えば2012年で最近1年間に最もよく利用したスーパー・コンビニにおける「菓子/デザート/おつまみ」の購入率を見てみますと43.8%という数値になっています。さらに20代の購入率においては50.3%と約半数もの人がPB商品の購入を行っているという結果となっています。また、清涼飲料やお茶もPBの購入率は高く、ともに30%を超える数値となっています。最近、スーパーやコンビニへ行くとだいぶPBが多いなあというような実感もあります。2012年に「ファミリーマートコレクション」にブランド統一されてはいますが、「ボクのおやつ」は税込105円で安かったですし、PBのお茶系も安いから商品棚で選んでいる時にはすぐに見てしまう自分がいます。日本においても小売業者ごとに差別化を図るためPBを強化する=メーカー独自商品の陳列スペースが減るということが確実に起こっているということが言えると思います。

ネット販売とPB、相関関係がないように思っていましたが、そうではないということを感じました。

 (参考文献:実店舗で商品を売るにはどうしたらよいのか!?)

広告媒体費に関して

本日は広告媒体費に関して記載します。

 最近、SNSを使った売上対策の本をよく見ます(FaceBookやTwitterで売れる方法みたいな)。これらSNSは無料で使用でき、バイラル効果(口コミによる情報拡散)も期待できることから、こういった本がよく売れるようになってきていると思われます。新しい情報発信方法であるため、いろいろな人がいろいろと効率的な方法を探っているということの表れでもあるようにも思われます。

 情報発信という視点から企業の広告費の推移をみると近年低下傾向にあります。総広告費の推移を見てみると2006年に69,399億円であったのに対し2011年は57,096億円と減少。2010年の総広告費が58,427億円ですので震災影響があったとしても総広告費の減少傾向が読み取れます。総広告費の50%以上の割合を占めていたマスコミ4媒体(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ)も激減。その中でも大きな割合を占めるテレビに関しては2006年から2011年にかけて△14.5%広告費が減少しています。一方で全体的な広告費が減少する中で特筆すべきはインターネット広告費で2006年から2011年にかけて67.1%増しています。この状況は企業が従来からあるマスコミや折込、つり革広告といった媒体方法からネットを使用した媒体方法への方向転換を模索している時期とも言えるかと思います。

 次にマスコミ4媒体における業種別広告費の推移を見てみます。これは先ほど述べたように2006年から2011年に広告費が激減している中で、どの業種についても広告費を減らしています。(ただし、官公庁・団体の広告費のみ2011年急増。2010年と2011年の対比で166.4%増。ACの「あいさつの魔法。(ポポポポ~ン)」等の広告が一気に増えたことが原因と考えられます。)流通・小売業に関しても2006年23,486千万円に対し2011年18,694千万円という結果になっています。

 最近では「続きはネットで」のようなテレビCMとネットを融合させた手法も一般化してきていますが、ネットの登場により広告のあり方も費用対効果の観点から変化が求められてきている時代になってきたということが言えると思います。一方で非常に多くの企業が情報発信方法としてネットを活用するようになってきていることから、十分に学んでから参入しなければその効果性も薄くなってしまうようにも思います。

 (データは「流通統計資料集」より)