アンバサダーに関して

本日はアンバサダーに関して記載します。

アンバサダーとはソーシャルメディアなどを使って、商品やブランド、サービスといったものの良さを、その企業や組織に成り代わってアピールしてくれる消費者のことをさします。かつては一般人の情報発信力は小さなものでしたが、ソーシャルメディアの普及に伴って、その状況は変わりつつあります。仮に、企業やブランドのファンが1000人いて、それぞれが100人の友達にブランドなどについての情報を発信したら10万人伝わるという可能性があります。それだけ大きなバイラル効果が期待できるのです。

そして、アンバサダーを組織化し、商品開発や改善のアイデアを募ったり、実売につなげたりする企業が出てきています(一般人による口コミの発信力に期待して、それをマーケティングに活用する手法を「アンバサダープログラム」と呼びます)。現在、アメリカが先行していますが、ネスレ日本をはじめとして、日本においても取り組み事例が増えてきているといいます。

日本ネスレのアンバサダープログラムは「ネスカフェ アンバサダー」という施策で、「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ」という家庭用コーヒーマシンをアンバサダーになった人に無償提供し、コーヒーの詰め替え品を同社の通販サイトから定期的に購入してもらうことなどを期待しているものとなります。このネスカフェ アンバサダーへの応募者数は約10万人にも達していて、売上アップにも貢献しています。

ユニクロではUNIQLOOKSというFacebookと連動したファッションコミュニティーとして開始したWebサイトがあります。ユニクロファンにユニクロの服を着た写真を投稿してもらうことで、世界中のユニクロファンを可視化しようと試みたものです。

また、「ドロリッチなう」というものもあります。これは消費者から立ち上がっている特徴的なものだなと感じたのですが、グリコ乳業が販売する「ドロリッチ」のファンであるエンジニアが個人で開発したTwitterと連動したコンピュータプログラムになります。Twitterで「ドロリッチなう」とつぶやいたユーザーに自動的に話しかけるbotです。これにより累計で14万件もの「ドロリッチなう」投稿を生み出すことに貢献したといいます。

「ドロリッチなう」のような商品のファンから立ち上がったものは非常に興味深いものがあります。ファンとともに共創していく時代において、こういった動きは今後、さらに加速していくのかもしれません。

(参考文献 最新マーケティングの教科書)

LINEとその費用対効果に関して

本日はLINEとその費用対効果に関連して記載します。

LINEは2011年6月のサービス提供開始から、わずか2年で利用者数が2億人を超えるという急成長を遂げています。そしてLINEをマーケティングに活用する企業は延べ100社を超えるまでになっていると言います。LINEを商売に活用する上で基本となる戦法がLINE公式アカウントとスポンサードスタンプという2つのサービスになります。LINE公式アカウントは友だち登録した消費者に対してメールで情報を一斉配信できるサービスで、スポンサードスタンプは企業のキャラクターや商品をイラスト化したスタンプを制作・配信できるものとなります。

LINEを活用して成功する企業が出ていますが、その経費は意外と高いようです。日経デジタルマーケティングがLINE公式アカウントを利用する52社・ブランドに対して、その実態を探るアンケートを実施したところ、調査時の1ヶ月(2013年6月)にかかった配信コストは「250万円以上500万円未満」の企業・ブランドが6つと最も多くなっていました。1ヶ月で1000万円以上を投資している企業・ブランドも2つあったそうです。このようにLINEを活用することは決して安い投資ではないということが言えます。企業としては費用対効果を見ながらLINEの活用を行っていくということが重要になりそうです。

 一方で月額5250円から利用できる中小企業向けマーケティングサービスのLINE@というものがあり、費用対効果を高める観点からこちらを利用する企業もあります。パルコにおいては2012年12月からLINE@の活用をスタートしました。2013年3月時点で友だち数は数百人だったそうですが、同月に良品計画の協力を得て「無印良品」ブランドの商品が全品10%OFFとなるクーポンをLINE@、Facebook、自社のメルマガでそれぞれ配信したところ、来店者数が自社メルマガ(会員数10万人以上)をLINE@が上回る店舗があったそうです。その後、パルコは2013年5月にLINE@を公式アカウントに昇格させ、翌6月に自社キャラクター「パルコアラ」のスタンプを提供し、友だち数を420万人超まで増。2013年夏のバーゲンで来店者限定のLINEスタンプを配布して、対象14店舗で2万3000人の来店につなげるなど、大きな成果を残しています。

ネットを活用するというとイメージとして経費が安く済みそうだという感覚がありますが、LINEの例でみると決してそういうことはなく、しっかりと費用対効果を見ながら活用していくことが必要そうだと言えます。

 (参考文献 最新マーケティングの教科書)

大丸松坂屋“さくらパンダ”のO2Oに関して

本日は大丸松坂屋“さくらパンダ”のO2Oに関して記載します。

ソーシャルメディアなどの普及に伴って、独自キャラクターを立てる企業が増加していると言います。キャラクターを軸としたO2Oを展開することにより集客力の強化や売上の拡大を図ろうという作戦です。小売全般で見てみると、ローソンのあきこちゃん、ファミリーマートの日々野優、ミニストップのミミップくんなど、コンビニ業界にてキャラクターが目立ちます。実際、ローソンがあきこちゃんを通じてLINEにてLチキの半額クーポンを配布したところ10万人が全国のローソンに来店したという話もあり、キャラクター活用による売上嵩上げが成功している事例があることから、コンビニにおいてキャラクターを軸としたO2Oに力が入っていることが想定されます。

 一方で現在、独自キャラクターが乱立し、その知名度や好感度を高めることは難しくなっています。その中で、大丸松坂屋の“さくらパンダ”が最近、知名度を上げています。さくらパンダは当初は2007年3月に松坂屋上野店が改装オープンした際に、まさしく“客寄せパンダ”として登場しました。キャラクターとしては上野動物園のパンダと上野公園の桜を組み合わせたものです。ブログも開設。「~まつぅ」と松坂屋にかけた独特の語尾を使います。このキャラが局所的に人気となり、当初は上野店オープン限定のキャラクターの予定が、他店の応援に回るようになり、2010年には経営統合した大松松坂屋の公式キャラクターにまで上り詰めていきます。

 大丸松坂屋がキャラクター起用に踏み切った理由には主顧客層が50~60歳という状況から20~30代の客層を呼び込もうというものがありました。さくらパンダは、ブログ、Twitter、Facebook、YouTubeといったソーシャルメディアで、キャンペーン告知、イベント報告、移動中のオフショットなどを投稿。口コミで20~34歳までの女性(F1層)に浸透していきました。

そして2013年3月、さくらパンダはLINEの公式アカウントを開設。友だち登録を条件にスタンプを提供したところ、開設3日にして友だち数が200万人を突破。1000円以上のレシートとLINE画面の提示でメモ帳や蛍光ペンなどのさくらパンダオリジナル文具をプレゼントするキャンペーンを行ったところ8200人が参加。レシートの合計金額は何と5400万円にもなるという成果を残しました。これは一人当たりの売上で見ると6500円以上の売上となります。

さくらパンダを起用したことによって上記のような効果があっただけでなく、他社とのコラボレーションもしやすくなったと言います。2013年2月には13年2月には恵方巻きの販促でキリンビバレッジの「生茶パンダ先生」、味の素の「アジパンダ」と共演し、イベントを盛り上げました。また、山崎製パンとのコラボ商品を販売する「さくらパンダフェア」は2013年春で2回目となっています。

 様々なキャラクターが登場する中で、客層を広げるという目的を持って活用されているさくらパンダの位置づけは興味深いものがあります。

 (参考文献 最新マーケティングの教科書)

ネットスーパーの販促活動

ネットスーパーの販促活動に関して

2009~2010年にかけてイトーヨーカ堂やイオンなどの大手企業が、ネットスーパーの利用可能エリアを拡大するなど積極攻勢を仕掛けている。また、ネットスーパーをPRするテレビCMも2010年ごろから流れはじめ、ショッパーの間で急速に認知が広がっている。

ネットスーパーでの販促を仕掛けるには、利用者のアクセスが集まるページや、買物サイト内の主な動線上に、ショッパーの関心を誘うような情報・コンテンツを配置することが重要になる。あるネットスーパーでは、利用者が会員IDやパスワードを入力して会員専用の買物画面にログインすると、その直後に、商品特売情報などの紹介ページを表示する仕組みと整えている。これは、ユーザーがウェブページを読み進めるプロセスで、半ば強制的に広告情報を挿入する「インタースティシャル広告」というインターネット広告の手法。そもそも買物することを目的にネットスーパーの会員画面を開こうとしているユーザーがほとんどなので、こうした手法を使って特売情報をアピールすれば、ついでに買われる可能性も高まる。

注文商品を家庭に届ける場面も、有効なプロモーション機会に位置づけられる。商品を配達する際、新製品の試供品を同梱すれば、手に取ってもらえる確率が高く、製品をアピールする格好の機会となる。新製品をプロモーションする際、街頭でのサンプリングを実施するケースがあるが、どこでサンプリングをするのが効果的なのかを見極めるのは、そう簡単ではない。また、ターゲットとする人に確実に渡そうとするには、配布スタッフへの教育や管理もある程度必要となる。不確実な要素が少なくない街頭でのサンプリング活動に比べると、ネットスーパーの商品配達場面を利用したサンプリングは、消費者への到達精度の高い手段。

商品配達には気を使っている。商品配達で不具合が生じるとネットスーパー利用へのイメージダウンにつながりかねないため。注文商品をピッキングする上でも、商品選びに間違いがないかどうか厳重にチェックするほか、ピッキングした商品が傷んでいないかどうかにも神経を尖らす。ある大手のネットスーパーでは、商品を配達するスタッフには禁煙をルール化している。

バナー広告:買物サイトの上部など目立つ箇所に、広告枠を掲出する手法。専用のプロモーションページにリンクすることが一般的。ネットメディアでの代表的な広告手法。バナー広告の表示回数に対して、何回クリックされたのかという割合を表すCTR(Click Through Rate)は市場全体で1%を大きく下回るとも言われている。

インタースティシャル広告:利用者がページを閲覧する最中に、広告情報を半ば強制的に表示する仕組み。目的のページにアクセスすると、そのページに移る前に広告ページが表示される運用が一般的。ページ遷移時にページとページの間に表示する広告のこと。広告を表示して一定時間がたつと自動的に次のページに移動する仕組みになっていることが多い。スプラッシュページと呼ばれることもある。コンテンツとコンテンツの間に広告を挿入する発想はテレビと共通している。トップページが表示される直前のインタースティシャル広告は,イントロマーシャルと呼ばれることもある。これらの広告はページをまるごと広告スペースとして利用できるので,自由なクリエイティブが展開できる。

ダイレクトメール広告:お勧めの商品や特売情報などをメールで伝達する手法。チラシのような役割を担う。見込み客にアプローチできる有力な手段といえる。メールの件名・掲載内容がその開封率を左右しやすい。

配送手数料の割引キャンペーン:ネットスーパーの多くは、一定の配送手数料を利用者に課金する。その手数料を引き下げることで、利用者を増やそうとする手法。手数料が無料になる買物合計額の水準を下げることも、有効な利用促進手段になる。(例:買物合計5,000円以上で配送料無料→合計3,000円以上で無料)

無料サンプリング:商品配達時にメーカーの試供品を配るサービス。街頭でのサンプリング活動に比べると、有力なショッパー(主婦など)の手に届く確率が高い手法。

(参考文献 ショッパー・マーケティング)

グーグルを支える広告収入

本日はグーグルを支える広告収入に関して記載します。

グーグルは優れた検索システムを持つ会社として創業されましたが、当時は事業を軌道に乗せるために、「検索エンジンが集めた膨大なデータを処理・保存するための大量のコンピュータを手に入れる資金を調達する」ということと「優れた検索エンジンを使って十分な収益を上げるビジネスモデルを考案すること」という2つの課題をクリアする必要がありました。これらの課題を解決し、更にグーグルの急成長の原動力となったものが、アドワーズとアドセンスという2つの広告サービスの開発でした。

アドワーズは検索連動型広告、あるいはリスティング広告と呼ばれるサービスで、2000年にスタートしました。この検索連動型広告はとても画期的なものでした。アドワーズが開発されるまでのインターネット広告は、例えば“資産運用”という項目を検索する人は“投資”が好きだろうから“投資信託”の広告を載せるという風な出稿が一般的だったようです。しかしながら、資産運用と検索したからといって投資信託とは限らず、株や土地やFXを考えているのかもしれませんし、資産運用と検索しない人の中にも投資信託に興味を持っている人がいるかもしれません。これに対してアドワーズは投資信託と検索した人にダイレクトに投資信託の広告を見てもらうことが出来ます。広告媒体としてのグーグルにとっては少ない表示回数で多くのクリックが期待できるため、多くの広告収入を稼ぐことが出来ます。また、グーグルに広告を出稿する広告主にとっては、クリックした回数にしたがって広告費を払えばいいことから広告の費用対効果を明らかにできるというメリットがあります。

アドセンスは2003年からスタートしたサービスで、ホームページやブログの運営者が自社のサイトの中にグーグルの広告を表示することによって収入を得る仕組みです。グーグルのアルゴリズムが運営者のサイトを分析し、サイトの内容に適した広告を自動的に配信・表示します。サイトを訪れた人が広告をクリックすると、広告主がグーグルに広告料を支払い、グーグルに支払われた広告料からグーグルの取り分を差し引いた金額を運営者に支払われます。

グーグルの売上内訳をみると、広告収入が2兆8,399億円と売上の96.4%(2011年12月期)を占めています。GmailやGoogle翻訳など様々なサービスを取り扱っていますが、グーグルの収益を支えているのはまさしくアドワーズやアドセンスといった広告収入だと言えます。

このアドワーズやアドセンスに絡んで、マイクロソフトとの関係で興味深い件がありました。グーグルは自社の戦略や事業計画などの情報公開をあまりしないと言われているようですが、これは過去のマイクロソフトとの関係が影響しているようです。マイクロソフトのビル・ゲイツは有望なサービスを提供しており、自社のサービスに役立つと考えた企業に対しては買収の提案を行っていました。マイクロソフトからの買収案を受け入れれば問題ないのですが、もしその提案を断ったとなると、マイクロソフトは自社の優秀なエンジニアと潤沢な資金を使って類似のサービスの提供を始め、もともとサービスを提供していた買収を断った企業に大ダメージを与えていたそうです。これはミート戦略と言われる強者が敵対する弱者を打ち負かすときに使う戦略で、強者が弱者と同じようなことを行うことにより、弱者の特徴を打ち消してしまうのです。そういった事態を避けるために、グーグルは株式公開直前まで、できるだけ財務情報を公表しないようにして広告事業の成功を隠し続けていたそうなのです。

アドワーズやアドセンスは広告として画期的な物だと思います。ネットの膨大なデータを活用した効果的・効率的な広告は今後より成長していくように思われます。

 (参考文献 ビジネスモデル分析術)

ネット通販の動画による商品紹介

本日はネット通販の動画による商品紹介に関して記載します。

ネッツ通販の世界では動画による商品紹介がメインになりつつあると言います。アメリカにおいても電子商取引分野で動画通販はビデオコマースと呼ばれ関心を呼んでいます。

テレビ通販のジャパネットたかたは今ネット通販への対応を行っていると言います。その中で高田明社長はネット通販を行う際に消費者を画像につなぎとめるのに必要な要素は「双方向性」だと考え、TwitterなどSNSを活用し商品に対する質問などのやり取りをすることを重視していると言います。今までのテレビ通販だと30分以上をかけてテレビ通販で伝えていましたが、ネット放送の場合だとテレビのように長時間連続して視聴をするわけではありません。ですので、今まで培ってきたテレビ通販の映像表現を、どうネットに活用していくのか、ということは一つの課題となっているようです。また、商品内容も今まではパソコンや映像音響機器に偏っていましたが、酒類、食品、アパレルといったものも取り扱うことを視野に入れ動きをつけつつあると言います。

ネットで女性向け衣料品の企画販売を手掛ける夢展望は2012年春からスマホの通販サイトに動画専用コーナー「ドリームガールズTV」を開設しました。その中では商品の紹介だけでなく出演モデルがコーディネイトを提案するコンテンツの他、ブランドの世界観を再現したPR動画にも力を入れています。夢展望のターゲット顧客層は10~20代の女性です。その世代のスマホの接触時間は長いので、動画で働きかけるのが有効と判断しての対応ということです。

 千趣会も2012年5月に、スマホをかざすと取扱商品の動画が閲覧できるチラシを試験的に195万部配布。AR技術を活用し、衣料品や雑貨など掲載商品の専用マークにスマホをかざすと動画が見られる仕組みのものです。従来のカタログ写真などでは表現できない着心地や質感をスマホ動画で伝え、購買心理を刺激するのが目的なようです。

 動画通販においては、「売り手と買い手の双方向性」「視聴者に魅せる力」といったところになりそうです。

 (参考文献 日経MJトレンド情報源2014)

Facebook

本日はFacebookに関して記載します。

Facebookは2004年にハーバード大学の学生名簿を元に始まった企業で、CEOはマーク・ザッカーバーグ。全世界の利用者が9億人を超えており、“中国、インド、Facebook”というような表現をされているものを見たことがあります。世界のインターネット人口が約22億人と言われるので、その約40%がFacebook使っているということになります。日本での利用者も2012年3月に1000万人を超えたそうです。

Facebookが急成長した要因として「実名制」が言われますが、2007年に行った「オープン化」も成功要因の一つです。オープン化とは、誰でもゲームなどを提供できるようにプログラミングの使用を公開するような方法を言います。これによって、いろいろな企業がツールやゲームのアプリをFacebook上で提供し始め、その結果、ユーザーが遊べるコンテンツが急激に増えたようです。またFacebook側として、意図的に友達を誘って遊ぶようなゲームを多くそろえるようにしたようです。それによってゲーム会社がまるで営業マンのように自動的に会員を集めてくれるようになったわけです。

Facebookは利用者にサービスを無料で提供する代わりに「個人情報」を基にした広告収入で利益を得ています。友人関係や個人の性別、学歴、趣味・嗜好のデータを基に最適化された内容で自動的に広告が配信され、広告価値が高いです。昔「世界のだれとでも6人でつながる」という話を聞いたことがあります。これを「6次の隔たり」というそうですが、友達の友達の友達…と繰り返していくと世界中の誰とでも繋がれるという考え方です。この考え方がFacebookの広告価値を支えています。

 無印良品やローソンなどがFacebookページを使ってO2O施策を行っていますが、従来からあるホームページとの利用の仕方の違いは、ファンとの双方向コミュニケーションを活性化するために、企業の顔が見えるような情報発信をしているという点です。例えばローソンのあきこちゃんは人気商品の情報やお得情報などをほぼ毎日発信し、ファンから数百件の「いいね!」やコメントをもらっています。あきこちゃんはキャラ設定がしっかりしていのですが、これはその効果だと思われます。

 O2Oビジネスで有名なチェックインクーポンというものもあります。利用者が自分の現在地を通知すると、最寄りの店舗のクーポンが取得できる仕組みです。これは2011年にユニクロが実施し、5日間で20万人がチェックインし、大成功を収めています。また、2012年4月からチェックインしなくても入手できるFacebookクーポンが国内で開始されていますが、ローソンは“からあげクン”の半額券を配布するという取り組みで大成功を収めています。Facebookクーポンはクーポンを取得するとFacebookの友人に自動的に共有されるためバイラル効果が高いものとなっています。

 日頃利用しているFacebook。オープン化によって自動的に会員数を増やす仕組みを作り成功を収め、その後、リアル店舗からO2O施策に活用されることにより、雪だるまのようにその価値を高めているように感じさせます。仕組みを作るということは重要なことのようです。

 (参考文献 成功企業31社のビジネスモデル超入門 O2O新・消費革命)

新技術に伴うO2Oに関して

本日は新技術に伴うO2Oに関して記載します。

2012年5月~6月にGAPの原宿店と銀座店で「ハイタッチ!でいいね!GINZAvsHARAJUKU SUMMER T コーデイベント」が開催されました。このイベントはストアスタッフたちが一番人気の“最旬サマーTシャツコーデ”を目指して競い合うものでした。このイベントの面白いところが、「消費者がリアル店舗に行き、自分の好きなコーディネイトを着用している店員を選び、その店員とハイタッチをすると、そのコーディネイトに対してのいいね!が送信される」ということです。この技術的な仕組みはNFCと呼ばれる近距離無線通信技術を使用して実施されました。NFCは通信距離が10cm程度に限定されるものの、「かざす」だけで、誰でも簡単にデータ通信が可能となるものです。消費者がNFCタグのリストバンドをNFCリーダーにかざすだけで、自分のFacebook上に「いいね!」が送信されます。まさしく、リアルとネットの垣根を越えた「リアルいいね!」となるわけです。店舗側からすれば消費者の知人・友人にリアルタイムで情報が拡散されますので、高い宣伝効果が期待できます。実際、GAPのイベント期間中のFacebookページのコメントやいいね!の総数が4倍にもなったと言います。かなりのバイラル効果があったということです。また、GAPはイベント期間中、スタッフのコメントムービーを毎日投稿したり、店内全品レジにて20%OFFのFacebookクーポンを発行したりして、送客強化を図りました。

 他の例では、ブラジルのアパレル企業「C&A」は母の日の際に、商品の人気度が一目でわかるFacebook連動ハンガーを導入しました。これはFacebookアプリ「Fashion Like(キャンペーンはすでに終了)」で気に入った服にユーザーが「いいね!」をするとリアル店舗のハンガーに「いいね!」の数がリアルタイムに表示される仕組みになっていました。「いいね!」の数が高くなればなるほど、消費者の購買意欲が高まっていく仕組みでしょう。

 最近ではウェアラブルコンピューターという、腕時計型(スマートウォッチ)や眼鏡型(スマートグラス)のような身に着けて持ち歩くことができる小さいコンピュータの登場が言われていて、2016年にはスマートグラスは1000万台、スマートウォッチは1億台の出荷台数になると予測されています。最先端の技術が進めば進むほどリアルとネットがシームレスに融合し、その境界線は今後さらになくなってくることが想定されます。これに伴ってリアル店舗のO2O戦略も進化してくると思われます。日進月歩でネットが普及する中、リアル店舗側とするとどれだけ先見性を持って的確に投資に踏み込めるかということも重要そうです。

セブン&アイ・ホールディングスのO2O

本日はセブン&アイ・ホールディングスのO2Oに関して記載します。

セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長が「ネットを制する者はリアルを制する」と言って、現在、グループの総力を挙げてネットとリアルの融合に取り組んでいます。セブン&アイ・ホールディングスの業態はスーパー(イトーヨーカドー)、コンビニ(セブン-イレブン)、百貨店(そごう・西武)、飲食店(デニーズ)、金融(セブン銀行)までを網羅していて、国内で1日あたり約1500万人もの顧客がいるほどの大きなグループとなります。この巨大企業がネットの情報を活用し、業態を超えて集客力を強化していこうという動きをつけています。

セブン&アイ・ホールディングスがネットとリアル店舗の融合をするにあたって武器の一つとしているのが“セブンスポット”です。セブンスポットはセブン-イレブン、イトーヨーカドー、そごう・西武、デニーズといった対象店舗でWi-Fi環境で高速インターネット通信を無料で利用できるサービスとなっています。高速インターネット回線により、様々なネットサービスやコンテンツが快適に動くようになっているので便利です。また、グループ内店舗の買い回りや回遊を意識したクーポンや展示会などの招待券も提供し、顧客にとって利用するメリットもあります。以上のようにセブンスポットを利用してセブン&アイ・ホールディングスは集客や購買促進を図っていく戦略なのです。

ビッグデータというように、現在、急速にデータが増えてきています。それはギガやテラを超えるぺタクラスの情報量と言います。将来的にその膨大なデータを活用し、ネット利用履歴、来店履歴、購買履歴といった情報を分析することで、集客に活用できる販促策や商品企画に活用できるようになってきます。セブン&アイ・ホールディングスで言えば、コンビニや百貨店、ファミレスといった業態を超えて横断的に顧客情報分析ができることになりますので、もしかしたら、デニーズで○○を食べる人はコンビニで□□を買う傾向があるとかが分かり、そのデータをもとに個別にクーポン券を発行して集客を図るとかいうこともできるようになってくるかとも思われます。業態を超えた買い回りということになるわけです。O2Oの形もビッグデータが今後さらに有効活用できるようになるにつれて、その形を変えていくのかもしれません。しかしながら、大企業セブン&アイ・ホールディングスの一貫性を持った素早い動きはすごいことだと思います。

 (参考文献 O2O 新・消費革命 ネットで客を店舗へ引きつける)

ゲーミフィケーションとO2O

本日はゲーミフィケーションとO2Oに関して記載します。

 今日、久々に銀座線に乗っていたら「縦横無尽線隊メトロン9」という中吊り広告がありました。これは東京メトロとセブン&アイグループがタイアップしている企画で、MANTA(東京メトロの情報配信サービス)で3枚のデジタルトレカを入手し、セブン-イレブンのセブンスポット(無料Wi-Fiサービス)にアクセスすると、最後のデジタルトレカ「プレミアム・メトロン9 ナインライブス」が手に入るというものです。そしてその後ゲームにチャレンジして勝利すると「東京メトロオリジナルグッズ」が抽選でプレゼントされます。これは、駅から店舗へ、そして店舗から駅への送客効果が見込める、O2Oと言えます。

 縦横無尽線隊メトロン9のようにゲームの要素を取り入れて店舗の集客を図る“ゲーミフィケーション”は、現在、世界のIT業界で注目されていている単語です。大手IT調査会社のガートナーはゲーミフィケーションの可能性を高く評価し、2015年までに50%以上の企業がゲーミフィケーションの手法を導入すると予測しています。O2Oを活用して、消費者を店舗に誘導し、その後の再来店を促し、さらにお得意様になってもらうために、ゲーミフィケーションは非常に有効な手段のようです。

 株式会社ゆめみが、2011年11月に位置情報ソーシャルサービス「MyTown iPhone版」を提供しました。これは利用者がリアル店舗へ訪問しチェックインを行うと、実際の店舗の外観そっくりにデザインされた建物アイテムが獲得でき、それをアプリ内の自分の土地に自由に配置でき、自分好みの理想の街づくりを行うことができるものです。このMyTownにはローソン、ドン・キホーテ、東急ハンズ、牛角、ケンタッキー・フライド・チキンなど大手14社が参加(2012年1月31日現在)。その中でドン・キホーテは2011年12月21日から2012年1月31日まで、MyTownとレシート広告と連携したキャンペーンを実施しました。これは、実際のドン・キホーテの店舗付近でチェックインを行うと回数に応じて「宝箱」アイテムを入手できるものです。そして「宝箱」を開けるには「鍵」アイテムが必要で、それを入手するためにはドン・キホーテで商品を購入し、レシートについているQRコードを読み取ることが必要となります。「宝箱」を開くとMyTownの限定アイテムがもらえます。このように、ゲームでの限定アイテムを手に入れるために、店舗に何度も来店し、更には商品の購入にまで進んでいくのです。

 様々な情報があふれる中で消費者から自らの店舗に愛着を持ってもらうための手法がゲーミフィケーションということでしょう。実際のゲームのことを考えると、ゲームソフトがたくさんある中でヒットするものはわずかであり本当に面白いものだと思います。O2Oを活用したゲーミフィケーションの流れは今後より大きなものになっていくと思いますが、それを活用する企業が増えれば増えるほど、ゲームの中身や企業の販売する商品・サービスのレベルが高いかどうかが、今まで以上に消費者に求められるようになってくるであろうなとも思いました。

 (参考文献 新・消費革命 ネットで客を店舗へ引きつける)