コンビニの万引き

コンビニの万引きに関連して記載します。

【コンビニの万引き被害額】

過去、歌舞伎町で経営していたファミリーマートの店舗が「万引き被害額が多すぎて経営できない。」といって店舗を閉店し話題となったことがあったようです。実際にコンビニで万引きされている商品の額は馬鹿にならないようで、その被害額は平均的に見て年間で48万円にもなるようです(平均棚差ロス額=売上×3/1000。コンビニ1店舗当たりの平均売上高が1億6000万円(平成19年度商業統計)。そこから算出)。万引きされる代表的な例としては“酒”“雑誌”“化粧品”といった高額商品が多くなっているようで、自分で使うために万引きする人もいれば、換金目的のために万引きする人もいるようです。

【コンビニの万引き対策】

万引きの防止策として、防犯カメラ、ダミーの防犯カメラ、防犯ミラーなどの設置が行われています。防犯カメラを増やせば増やすほど、万引きは減っていくのですが、一般的なもので80万円程度するらしく、コストが高くついてしまいます。簡単に防犯カメラを設置できないのも現実のようです。また、レジにいる従業員が店内をくまなく目視できるように、コンビニの什器の棚の高さは低く設定されています。上記のような対策が取られているわけですが、依然として有効な防犯対策は「従業員の元気な挨拶」に尽きるようです。基本的な接客がしっかりと行えている店には、お客様に気持ち良く買い物をしていただくということと万引きを防ぐというダブルの効果が期待できるということになります。

 (参考文献 コンビニのしくみ)

ダイシン百貨店

ダイシン百貨店に関して記載します。

 随分前にダイシン百貨店に行ったのですが、場所はJR京浜東北線の大森駅から徒歩10分くらい、昔ながらの商店街を抜けていくと、ダイシン百貨店があります。2010年に工事を始め、1年半くらい前の2012年春にグランドオープンしています。

【特徴1.日本百貨店協会には加盟していない“百貨店”】

ダイシン百貨店はいろいろとユニークなお店です。まず、百貨店と名乗ってはいますが伊勢丹や三越などが加盟している日本百貨店協会には加盟していません。ですので、百貨店の売上を日本百貨店協会から調べたとしても、その中にダイシン百貨店の売上は入っていないこととなります。

【特徴2.超・地域密着経営】

同店は「半径500メートル圏内シェア100%」という方針を打ち出し、「電気、水道、ガス、ダイシン」をキャッチフレーズに、超・地元密着経営を実践しています。その結果、来店客の7割を占める50歳以上のお客様の160名が1日も欠かさずダイシン百貨店に来店すると言います。

【特徴3.品揃えの多さ】

品揃えのアイテム数が非常に多いという特徴もあります。そのアイテム数は18万点(なお、東急ハンズ渋谷店のアイテム数16万5,000点)。ペットフードは3,000種類。トイレットペーパーが50種類。ネズミ取り、ヤニ取りハミガキから年に4個しか売れない洗顔料「うぐいすの粉」まで、高齢者に向けて昔懐かしい商品も様々取り揃えています。インターネット通販でロングテール理論(あまりたくさん売れていないアイテムでも積み重なると大きな売上を作り上げる)という話がありますが、ダイシン百貨店はリアル店舗でこのロングテール理論を実践しているのです。

【特徴4.高額商品をしっかり販売】

また、安売り一辺倒のようなことも行わず、“生鮮売場で尾頭付きの鯛やカレイ”“精肉売場で100グラム2000円の神戸牛”“衣料品売場で20~50万円のカシミアや毛皮のコート”というアイテムも販売。全ての売場が自前で行っているため、商品知識が豊富な社員が丁寧に接客することで、高額商品の販売にもつながっているそうです。

 日本の小売業は商圏の拡大一辺倒で売場面積の拡大を図ってきました。しかしながら時代は移り変わり、店舗面積当たりの売上高は減少傾向にあり、店舗面積を拡大することが必ずしもメリットがあるとは言い切れない時代となってきていると言えます。ダイシン百貨店のように小商圏で生き残りをかける戦略は、今後の小売業の形の一つとなっていくと思われます。

 (参考文献 “下町百貨店・ダイシン”はなぜ、不況に強いのか)

テレビショッピング

テレビショッピングに関して記載します。

 昔、テレビショッピングを通じてビリーズ・ブートキャンプが流行りました。あのビリーの厳しい中に優しさのある指導と激しい動きに惹かれて、僕も購入したのですが、1ヶ月も続けていると、なかなかいい感じで体脂肪が減ったものです。他にもおなかでぶるぶるいわせて痩せるEMSとかもありました。グルコサミンとかスチームクリーナーとか真珠のネックレスとか、買うわけではないけどついつい見てしまう、不思議な魅力がテレビショッピングにはあります。

そもそも、テレビショッピングの多くはアメリカで生まれたノウハウ「インフォマーシャル(インフォメーションとコマーシャルを組み合わせた言葉)」という制作手法を活用していて、情報提供しながらコマーシャルをしていきます。このインフォマーシャルという手法では前半・中盤・後半でどのような内容を提供するかというノウハウが確立されていて、日本で放送されているものは日本流にアレンジして番組提供がなされているそうです。

カタログ通販がカタログの制作費にお金をかけるように、テレビ通販では番組制作にお金を投資しますが、テレビ通販の会社によって、いくつかのビジネスモデルがあります。

(1)テレビ番組内での通販コーナーで販売する会社。例:日本文化センターや日本直販。

(2)テレビ番組自体を買って通販を行うモデル。例:ディノス(フジテレビ子会社)、ジャパネットたかた、オークローンマーケティング。

(3)自社で専門のチャンネルを持ち、生放送で商品を説明して販売する会社。例:QVCやジュピターチャンネル(SHOP CHANNEL)。※自社内にスタジオを持って24時間放送を行っています。

なお、テレビショッピングの場合、販売する側のメリットとして、ネット通販とは異なり、商品が単品のため、梱包場所や検品場所が少なくて済むということがあるようです。

 同じ内容を繰り返し流しているテレビショッピングもついつい見てしまったりしてしまう時があります。あの実演販売的な面白さが魅力なのかもしれません。

店産店消

「店産店消」に関して記載します。

 「地産地消」という、地元でできたものを食べるという話を聞くようになりましたが、今では「店産店消」というコンセプトの店まで登場してきています。例えば、日本サブウェイは2010年7月に東京駅にある丸ビルの地下に「813LAB」という、店の中に植物工場がある店を出店しました。植物工場では、太陽光の代わりに人口工でレタスを照らし、49日間で収穫に至るようになっています。新鮮で安全な野菜をその場でお客様に提供できるというわけです。店内はこの植物工場のレタスを見ながら食事ができるようになっています。

 地産地消や上記の店産店消をコンセプトにする店が増えてきていると聞きます。この目的としては物流時にかかる二酸化炭素の排出量を減らすということと同時に『物流コスト』を減らすという目的があります。日本は非常に食品自給率が低く、多くの食品を輸入に頼っているところがあります。そのこともあり日本はフードマイレージが総量ベースで世界一、かつ国民1人当たりでも世界一というような状況です。(フードマイレージ:食べ物の輸送距離を表す。その計算は重量×距離。食品の生産地と消費地が遠ければフードマイレージは高くなる。)フードマイレージが大きくなれば、輸送距離が増えるわけですから、当然、環境負荷が大きくなりますし、経営的な視点で見て、当然、物流コストも上がります。

 近年、植物工場の数が増えていて、2009年に約50か所だったものが、2012年3月末には127か所まで増加しているそうです。この原因は、政府が補助金を出しているということと、東日本大震災後の“放射能汚染”の問題を抱える被災地復興の手立てとして注目を浴びているということがあるようです。実際の話、植物工場で作られる野菜の生産コストは露地物より高く、植物工場産のレタスの価格が1キログラム当たり1,100円~1,500円に対して、露地物は300円~600円という状況でもあります。しかしながら、居酒屋「北海道」などを経営する「コワロイド」は2億円を投じて神奈川工場に植物工場を設置している企業もあります。理由としてはここ数年も猛暑で葉物野菜を中心に頻繁に価格が高騰しているためです。コワロイドでは今後増産を図り露地物と同じくらいの価格まで持っていこうと考えているようです。

 店産店消は出来立ての野菜をすぐに食べられますし、運搬に伴う二酸化炭素の発生やコスト増を防ぐことができますので、消費者側から見ても店舗側から見てもイメージが良いものだと考えます。また、今後世界的な食糧難が想定される中で、植物工場のような動きは加速していくようにも思います。最近では自宅で育てられる野菜キッドのようなものも良く売っているように思いますが、今後も「安全」「安心」「コストカット」は企業・個々人ともに重要なポイントになると思います。

 (参考文献 小売・流通業が知らなきゃいけない物流の知識)

非正規従業員 しまむらの事例

本日は非正規従業員に関して記載します.

【増える非正規従業員】

日本においてはパート従業員やアルバイトなど非正規従業員を活用する産業が増加していて、正規従業員を削減する雇用戦略をとる企業が増加しています。役員を除く雇用者に占める正規従業員の割合は1985年には男性92.6%、女性67.9%、男女計83.6%だったのに対し、2004年には男性83.7%、女性48.3%、男女計68.5%と徐々に減ってきています。更に、産業別の非正規従業員の比率で女性に絞ってみると、卸売・小売業における女性の非正規従業員の比率は65.5%と高い数値となっています。そして、スーパーのパート従業員比率を見ると70%前後。スーパーの店舗運営を行っていくうえではパート従業員の存在は欠かせないものとなっています。

【非正規従業員の活力を高める方法:衣料品スーパー「しまむら」の事例】

 衣料品スーパー「しまむら(本社さいたま市)」では、このような時代背景の中、パート従業員が店長にまで昇進できるような仕組みを持っています。まず、しまむらはパート従業員の女性たちに生活とのバランスで無理なく働いてもらえるように、週5日勤務のうち、週3回は開店から閉店まで、週2回は開店から昼過ぎまでを組み合わせた勤務形態を採っています。また、作業マニュアルがしっかりしているため、パート従業員は割り当てられた仕事を素早く無駄なくこなせるようになっています。そしてパート従業員が店舗内の仕事を覚え、様々な部門を担当し、仕事の経験を積むと、やがて店長代理になることができます。そして、さらに数年のキャリアを積むと、今度は正社員として店長にまで昇格することができるのです。

 様々な働き方がある中で、それぞれの立場の人がそれぞれモチベーションをもって仕事ができるようにしていくことが、企業活力を生み出します。今後、女性の活躍が今まで以上に期待される中で、こういった動きを見せる企業はどんどん増えていくだろうと思われます。何はともあれ男女ともに働き甲斐のある会社は底力のある企業になると思います。

 (参考文献 1からのリテール・マネジメント)

会員制ホールセールクラブ

会員制ホールセールクラブに関して記載します。

 会員制ホールセールクラブとはディスカウントストアの一種で、会員制の倉庫型店舗のことを言います。法人及び個人の会員から年会費を徴収し、会員のみに破格値で商品を販売する仕組みです。

 現在、アメリカにおいて会員制ホールセールクラブは現在、コストコ、サムズ・クラブ、BJ’sの3社が市場を独占しています。各社の2010年の売上はコストコ762億5500万ドル(そのうち、海外の売上は150億円)、サムズ・クラブは478億600万ドル、BJ’sは106億3300万ドル。アメリカの2010年の小売業全体の売上は4兆3535億8500万ドルですので、会員制ホールセールクラブはアメリカ小売業全体の2.7%となります。アメリカ小売業全体規模でみると会員制ホールセールクラブはニッチであるということが言えます。

一方で、アメリカ会員制ホールセールクラブの売上推移を見てみると、コストコ2002年37,995百万ドル→2011年87,048百万ドル、サムズ・クラブ2002年29,395百万ドル→2011年49,459百万ドル、BJ’s2002年5,729百万ドル→2010年10,633百万ドルと、拡大傾向にあります。

 会員制をとる魅力としては低価格で販売を行うディスカウントストアとの差別化が図れることです。会員は年会費を払わなければなりませんが、そのことにより高価値商品を卸売価格で特別に販売しているというイメージを表すことができます。また、会員制をとることで顧客を選別するという部分もあるようです。コストコ会員の平均年収は一般世帯の1.5倍だそうです。

フランスのカルフールやイギリスのTescoが日本市場に撤退したり、ウォルマートが苦戦したりする中、日本市場に遅れて進出してきたコストコは比較的好調なようです。会員制ホールセールクラブという特殊な販売手法が一定の効果を見せているということだと思われます。

 (参考文献 「コストコ」がなぜ強いのか)

従業員満足度(ES)

従業員満足度(ES)について記載します。

アメリカにおいてはトップが自分のことしか考えず顧客や従業員を無視した企業は痛烈な批判を浴び衰退していっているといいます。顧客や従業員から見ると“His Company(彼の会社)”に過ぎないからです。そこから“Our Company(私たちの会社)”意識の醸成が主流となりチームプレーが重視されるようになり、今では従業員が“My Company(私の会社)”意識を持てるようにしなければ、本当に優れた顧客サービスは実現できないとまで考えられるようになってきました。

 顧客サービスの優れた小売業は「顧客の滞在時間が50%以上長くなる」「セールス及びマーケティングコストが20~40%削減される」「純利益が7~17%高くなる」という調査結果がアメリカで報告されているそうです。接客サービスを行うのは従業員であり、良い従業員が良いサービスを行うことで、ロイヤルカスタマーが作られます。顧客満足度(CS)を高めるには従業員満足度(ES)を高めることが必要であり、ロイヤルカスタマーはロイヤリティの高い従業員から作り出されるのです。

ウォルマートの創立者サム・ウォルトン氏は「従業員が競合との差別化のカギだ」という哲学の下、「人は通常仕事場で発揮しているよりも大きな才能を持っているが、それを出しきっていない」「誰でもよい仕事をしたいし、働き甲斐を求めている」という信念を持ち、従業員への権限移譲を進めていました。この権限移譲のメリットとしては、第1に顧客に対して素早い解決を提供できる、第2に従業員は信頼され任されることに対し、やり遂げようという責任感が強まる、第3に権限移譲された従業員は仕事に強い興味と意欲を持つので企業の生産性が上がる、ということが挙げられます。

 従業員満足度(ES)を高めている企業の他の例として、テキサス州にある収納器具など入れ物を中心に品揃えしているチェーン、コンテイナーストアがあります。この企業の店舗へ行くと明るい従業員が笑顔で迎えてくれ、質問には親切に答えてくれると言います。CEOのキップ・ティンデル氏は、接客のレベルを上げるポイントは「社員を愛することだ」と述べています。例えばバレンタインデーの日を「社員を愛する日」とし、本社屋上に大きな“We Love Our Employees”のメッセージを掲げたり、社員を称賛するための顧客用のサイト、Facebook、Twitterなどを用意したりしているようです。

ある機関が行った「従業員が会社に求める事柄」調査では経営者と従業員の考えに大きな齟齬があります。従業員が考える順位では、経営者が考える順位でのトップ「良い給料」は第5位で、第1位は「良い仕事をしたときの評価」となっています。このギャップは上司と部下の温度差を高めることが想定され、企業内での一体感・情報伝達に少なからず影響を与えると思います。従業員もお客様も人であるということを意識するということが求められている時代なのかもしれません。

 (参考文献 実店舗で商品を売るにはどうしたら良いのか)

コンビニが抱える後継者問題

コンビニが抱える後継者問題に関して記載します。

 日本社会の高齢化が進む中で、例えば商店街においては、「経営者の高齢化による後継者難」が、商店街の抱える大きな問題として考える人が、51.3%と非常に大きな割合を占めているということがアンケート結果からわかっています。コンビニにおいては若いアルバイトの方がレジのところにいたり、品出しをしたりしている光景をよく見るので、高齢化に伴う後継者問題という意識をすることはそれほどありませんでした。ところが、このコンビニにおいても後継者問題があるようなのです。

そもそも、コンビニの経営者は非常に激務のようです。早朝5時頃からお客様の来店が始まり、10時ごろまで出勤前のサラリーマン・OLの来店が続きます。お昼需要のお客様の来店ピークがやってきた後、比較的落ち着いた昼下がりが過ぎて、学校帰りの中学・高校生の来店が始まります。夜の時間は会社帰りのサラリーマン・OLの来店が増えてきます。このような一日の流れの中で接客対応だけでも朝の5時頃から23時ごろまで行う必要がありますが、コンビニ経営者にはそれに加えて商品の発注・納品業務もあります。通常は深夜時間に納品・品出し業務を行っていますから、夜遅くまで業務を行う必要があります。通常のコンビニ経営者は夫婦2人で勤務していますので、接客や納品・品出しなどの業務を行うために、夫婦2人で勤務時間をずらして対応を行っているようです。信頼できるアルバイトが見つからない場合は、金銭トラブルを防ぐためにも、夫婦のうちどちらか1名が必ず店内にいるようなシフトになってくるのです。このようにコンビニ経営は非常に激務のようなのです。

コンビニの加盟店が増加した時期は1980年~2000年ですが、このころ脱サラして店舗をオープンしたとしても、そういったコンビニ経営者も今では高齢になっています。コンビニの経営は上記に記載したように非常に体力的に厳しいものがあります。経営者の中には「もう経営しなくてもよいか」と考える人が増え始めます。これによって経営者が大量に退職し、店舗の経営者が足らなくなってくるのです。また、コンビニ経営者の子どもが店舗を引き継ぐということもあるようですが、激務を知っている親が継がせたがらないということもあるようです。

チェーン本部によっては後継者難による空き店舗を「直営店」として運営していくことを考えているところもあるようです。しかしながら、直営店の比率が高まると、チェーン本部の営業利益率はコスト増により、悪化してしまいます。

 日本社会で進む高齢化は普段は意識していないようなところでも着実に進行しているということでしょう。

 (参考資料:『平成21年商店街実態調査報告書』『コンビニのしくみ』)

コンビニの種類

コンビニエンスストアの種類について記載します。

コンビニエンスストアというとイメージとしてフランチャイズチェーン(FC)のイメージが大きいですが、それ以外にもボランタリーチェーン(VC)やレギュラーチェーン、単独店があります。小売業の業態別チェーン組織加盟事業所数でFCとVCの店舗数を比較してみると、専門スーパーやドラッグストアについてはFCよりVCが多くなっていますが、コンビニエンスストアは圧倒的にFCの店舗数が多くなっています(・専門スーパー FC:2,923店 VC:4,632店 ・ドラッグストア FC:470店 VC:5,387店 コンビニエンスストア FC:38,175店 VC:1,290店)。

そもそもFC、VCやレギュラーチェーン、単独店の違いは以下のようなもののようです。

1.フランチャイズチェーン(FC)

 本部組織があり、本部が作り上げた店舗のノウハウなど(FCパッケージと呼ぶ)を総ての加盟店に提供して経営する形態。加盟店はFCパッケージの使用対価として、ロイヤリティを本部に支払う。

 2.ボランタリーチェーン(VC)

 本部組織は存在するが、本部は経営ノウハウや店舗パッケージを持っているわけではなく、単独店が集合して仕入れを共有化する機能を担っている。本部は集中仕入れによる有利な商品原価交渉や販売促進策への協力依頼などを行う。加盟店は低額のロイヤリティを支払い、全加盟店の協力により本部を支えていく仕組み。

 3.全店が本部直営店で運営され、店舗勤務従業員も全員が正社員。個店の売上・利益の積み上げがチェーン全体の売上・利益になる。

 4.単独店

 元酒屋さんなどの業態変更が大半。独自の商品仕入れルートを持ち、店舗展開も経営者自身が考えて実践。いわゆる『パパママストア』が大半を占める。

コンビニエンスストアのFCというとセブン-イレブンがすぐ出てきます(直営店も2%くらいあるようですが。)。それに対してVCは国分グローサーズチェーン株式会社が運営する『コミュニティ・ストア』があります。コミュニティ・ストアは関東・東海・関西地方で展開していて、もともと国分株式会社が取引先酒販店の経営支援を狙って結成したことからVCの形をとっているようです。

FCは本部の経営ノウハウをはじめ店舗経営に関わる全てを本部が提供し、それが適正に運営されているかチェックしていきますが、VCの場合は共同仕入れなどのスケールメリットを享受できる業務以外は、全て個店が独自に経営します。ですので、個店独自の経営スタイルを貫きたい経営者はFCに加盟するよりもVCに加盟したほうが良いということになります。一口にコンビニエンスストアといってもその形に種類や特徴があるというのは興味深く、表面のみを見ていると見えてこない部分もあるのだろうと感じさせます。

 (参考文献 コンビニのしくみ)

需要を創造するビジネス

需要を創造するビジネスに関して記載します。

ちょっと前に久々に都電荒川線に乗ったのですが、道路の真ん中を走ったり、普通の電車のように砕石の上にある線路を走ったりと、いろいろと変化があり、面白い電車だなと感じました。さて、この電車、都が運営しているのですが、お客様を増やすためか観光マップのようなものがあります。確かに鬼子母神やら飛鳥山やらと、ちょっとした観光スポットがあるので、普段の交通の手段というだけでなく、散歩がてらに利用するのもいいのかもしれません。都電に限らず、JRの駅にも旅行関連のポスターがよく見受けられます。都電にしてもJRにしても、利用することによって、その先に楽しいことがあるという意識を顧客の中に作っているのです。

 最近、都市部ではあまり自動車の必要性を感じない人が多いと思います。自動車を維持するだけでも、駐車場代・ガソリン代・車検代・各種メンテナンスなどいろいろとお金がかかります。電車を使えば事足りますし、必要ならばレンタカーを借りればいいから、あえてお金のかかる自動車を所有する必要性がないのです。そんな中で自動車の価格や燃費をいくら安くしても、自動車が欲しくない人は買いません。自動車メーカーが消費者に自動車を欲しいと思わせるためには「自動車を買ったらこんな楽しいことがある」という意識を持たせるしかありません。その考えの下、自動車会社は様々な活動を行っているようです。トヨタの子会社である「トヨタオートモールクリエイト」は2008年に横浜市港北区に複合商業施設「トレッサ横浜」をオープンしました。もともとはトヨタグループの物流拠点だった土地に、衣食住からアミューズメントまで200店舗を超えるテナントが入る商業施設をつくったのです。総駐車可能台数は2700台。最寄駅からはバス、もしくはタクシーを利用しなければアクセスが難しい位置にあります。トヨタは「自動車でしか行けないような場所に、魅力的な施設をつくることで、自動車そのものの販促につなげよう」と考えているのです。つまり、魅力的な商業施設をつくることによって、自動車の需要を創造しているのです。

2012年正月に、東京銀座にある商業施設「マロニエコート」や新宿の「小田急百貨店」の「婚活福袋」が注目を集めました。これら福袋は「洋服を買うための商品券」「おしゃれなレストランでのお食事券」「エステやネイルサロンのサービス券」と「お相手を紹介する」という商品がセットとなっている福袋でした。2012年以前にも婚活福袋というものはあったのですが、それは婚活に使う洋服やアクセサリーなどを詰め合わせたものでした。かなりお得感があった福袋だったようですが、売上は今一つだったようです。しかしながら、2012年の婚活福袋はヒット商品となりました。理由としては「その商品を使うべき場を作った」ということ。「商品の魅力をうたうよりも、商品の魅力を発揮できる場所を用意した」ということなのです。洋服であれば、ただ単純に洋服などを売るのではなく、洋服を着るシーンを作り上げたということです。

 需要を想像し創造するということが売上を上げていくのに必要な時代なのかもしれません。

 (参考資料 「衝動買い」がとまらない!)