TOTOから見るサブ・ブランド戦略

本日はTOTOから見るサブ・ブランド戦略に関して記載します。

まず初めにサブ・ブランド戦略とは企業ブラントやマスター・ブランドなどの上位の強力なブランドに個別のブランドを組み合わせる戦略のことを言います(□企業ブランド:トヨタ自動車やキリンビールと言った企業名によるブランド □マスター・ブランド:ユニクロ(会社はファーストリテイリング)のような、ある製品カテゴリー内での親ブランドのような存在)。サブ・ブランドというと、例えばYahoo!というマスター・ブランドの下に「BB」という個別ブランドを足し合わせた「Yahoo!BB」やユニクロのGUがあります。また、ウォシュレットで有名なTOTO。TOTOもサブ・ブランド戦略を採っています。

 国内の一般家庭における温水洗浄便座の普及率は70%と非常に高く、その習慣は日本に根付いています。この温水洗浄便座のことをウォシュレットと呼ぶ人も多いですが、このウォシュレットを産み出したのがTOTOです。もともと同社は衛生陶器(システムトイレ)やウォシュレット、ユニットバスや水洗金具を始めとする住宅設備機器と、タイル建材、ハイドロテクト塗料、セラミックといった新領域商品からなる事業を展開している企業です。ブランド展開についても「トイレ:ウォシュレット、洗面所:オクターブ、バスルーム:スプリノ、キッチン:クラッソ」といったように企業名と商品カテゴリーブランドを併用。これによりTOTOという企業ブランドにウォシュレットのイメージだけが付着しないようにもしているそうです。

 日本では一般的になってきているウォシュレットですが、その普及は日本に限られているそうです。前にテレビで外国人が日本のイメージで思いつくことに、この温水洗浄便座を挙げている人がいました。それだけ日本独特のものとも言えるようですが、日本市場は少子高齢化です。そのためTOTOの売上構成比で日本市場は頭打ちとなっています。その一方で新興国を中心とした海外市場の成長性は高いものとなっています。今後、同社は海外展開を加速させていく予定だそうです。

 中国のトイレ市場は5000万個と言われる中、上位10%の高級品市場でTOTOは4割のシェアを占めています。その成功の要因として、進出当初から5つ星ホテルや空港などへの自社商品の納入実績を高め、高級ブランドのイメージを確立したことにあります。価格的には定番品で上海市民の月収並み、超高級品だと年収ほどになります。TOTOはこのような戦略を採ることにより、中国市場において自社と自社商品のブランドイメージを引き上げ、ハイエンドブランドとしての地位の確立に成功しています。

サブ・ブランドの展開はブランドの管理が難しくなる可能性もありますが、新たな領域に踏み込めることにもなります。TOTOのようにサブ・ブランドを展開することにより、企業イメージがウォシュレットに偏らないようにするという戦略はすごいと思います。同社の海外展開しかり、戦略を立てて行動を積み重ねていくことが重要なのだと感じます。

 (参考文献 成功事例に学ぶマーケティング戦略の教科書)

個別ブランド展開による事業規模の拡大

本日はレストラン「ひらまつ」の個別ブランドの展開による事業規模の拡大に関して記載します。

アベノミクスの効果により景気指標は上向いてきているものの、外食産業においては依然として価格のデフレ傾向が続いていると言われます。その中でひらまつなどの一部の高級業態を採る企業に関してはアベノミクスの恩恵を受けているそうです。

このひらまつですが、直営店舗や百貨店などの商業施設へテナント出店しているレストランになります。ひらまつは6つのレストランブランド(Hiramatsu(ひらまつ)、ASO(アソ)、PAUL BOCUSE(ポール・ボキューズ)、HAEBERLIN(エーベルラン)、POURCEL(プルセル)、D&D LONDON)を持っており、出店する場所にふさわしいタイプを選んだ上で出店し、店舗運営を行っています。

そもそも、レストラン業は料理人が経営者を兼ねるケースが多く、売上と企業規模が制約されがちです。高付加価値を売りにしたい場合、販路や店舗数を増やすとブランド価値が下がってしまいます。また、多店舗の展開による規模の拡大を目指した場合、ブランド価値が弱くなりますので、手ごろな価格の商品を販売することになります。すると、競合企業との価格競争に陥ることになります。

そのような前提条件がある中、ひらまつは6つの個別のブランドを作ることにより、店舗数を増やしても、ブランドの価値を希薄化させず、事業の規模を拡大しています。このように同じカテゴリー内に複数の商品を投入する際に、それぞれ個別のブランドを投入することを個別ブランド戦略と言います。例えばトヨタ自動車であればセダンカテゴリーに「カローラ」「カムリ」「プリウス」「マークX」を投入していたり、JT社であれば「マイルドセブン」「セブンスター」を投入していたりする戦略です。この戦略を採ることにより、一つのブランドで失敗しても、他のブランドで成功すれば問題ないというリスク分散が図れるというメリットがあります。

 個別ブランド戦略を採るにあたってはブランド間の的確なポジショニングを採ることが難しくなります。ひらまつはこの点を考慮し、個別ブランドの役割や適用する範囲、相互の関係性などを明確にすみ分けています。例えばPAUL BOCUSEの下にはMaison PAUL BOCUSE(メゾン・ポール・ボキューズ)、Jardin PAUL BOCUSE(ジャルダン・ポール・ボキューズ)、BRASSERIE PAUL BOCUSE(ブラッスリー・ポール・ボキューズ)を配置するという戦略を採っているのですが、Maison PAUL BOCUSEとJardin PAUL BOCUSEは夜の顧客単価が1万5000円以上なのに対し、BRASSERIE PAUL BOCUSEは同3000~5000円というような形となっています。

このように個別ブランド戦略を採ることにより、店舗ごとに顧客層が異なるため、同社内のレストランどうしで競合が起きることなく、企業規模を拡大していくことができます。ただ、やはり自らのブランドとしてのポジショニングをどこにするか理解した上で行動しなければならないですし、それがあった上での個別ブランド戦略となると思います。位置づけを明確にすることが重要だと思います。

 (参考文献 成功事例に学ぶマーケティング戦略の教科書)

IKEAのリポジショニング

本日はIKEAのリポジショニングに関して記載します。

IKEAは言わずと知れた、各種家具やインテリア小物、照明などを販売している企業ですが、その売りはデザインの良さということに加え、その低価格路線が強みとなっています。埼玉県の新三郷にあるIKEAに行ってみたのですが、店舗内はワンウェイ・コントロール(顧客の店舗滞留時間を長くするためのレイアウト戦略)が徹底され買い回りを促すようなものとなっていました。そのためか店舗内に休憩所的な位置づけと思われるレストランがあり、その価格を見てみると、例えばカレーライス249円とかなり安めで価格設定がされていました。これは一例ですが、メインの家具もレストラン同様に安めに価格設定されていました。IKEAは1974年に船橋に日本に初上陸しましたが、1986年に撤退。そして、2006年に再上陸した企業です。再上陸の際、1回目の上陸と異なる部分の一つに、この価格面があると言います。

 日本のインテリア市場は“デザインを重視せず実用面に力を入れた低価格商品”か“こだわりある高額品”と二極化していました。そこでIKEAは「インテリアや家具のデザインにはこだわるが、価格は安さを求める」という人たちを対象に日本に上陸しました。IKEAは市場における自社と自社商品の位置付を見直し(リポジショニング)、「出費を抑えるためなら、多少の手間をいとわない人たち」を対象に、ローコスト・オペレーション経営を実施し、成功をしているのです。IKEAの商品はすべて組み立て式によるシンプルな北欧デザイン家具に統一されています。家具の開梱設置を店側が行うのではなく、顧客が自分で家具の組み立てを行うことになります。また、店舗には広大な駐車場が完備され、顧客が商品を持ち帰ることで、配送コストも削減しています。商品の製造方法に関しても、競争入札ではなく、取引先を絞り込み、長期契約を結ぶことによって、まとまった量の生産を行い、コストダウンにつなげているのです。

IKEAの2012年8月期の日本国内販売額は674億円で国内大手の大塚家具(545億円 同12月期)を抜きました。北欧デザインのおしゃれさを売りにしただけであったり、低価格路線だけであったりした場合、このようにはいかなかったかもしれません。同社が市場における自社のポジションを“低価格かつデザインの良さ”と設定したことが成功につながっているように思います。

 (参考文献 成功事例に学ぶマーケティング戦略の教科書)

ライフスタイルの変化に着目したペット保険会社 アニコム損害保険

本日はライフスタイルの変化に着目したペット保険会社、アニコム損害保険に関して記載します。

 最近、お墓に行くとペットのお墓を見ることがあります。ペットは可愛いですし、長く一緒にいるのでどんどん愛着がわいてきます。ペットのお墓は、昨今ペットが人間と同様の扱いがされるようになってきている一例だと思います。

 日本国内においては少子高齢化が進展していますので、人口が減少傾向にあります。その一方でペットの数は増えているようで、今や15歳未満の人口よりも多くなっているようです。このような生活者のライフスタイルの変化に着目したのがアニコム損害保険です。ペットが病気やけがをすると動物病院で治療をしてもらうことになりますが、高額な医療費が必要となってきます。飼い主にとって経済的負担は大きいです。同社はそこに目をつけ、ペット専門の保険会社として独自のポジショニングを確立したのです。

 損害保険という成熟した市場で、多くの企業が非常に細分化した商品を数多く提供している業界においては、独自の市場を発見するのは容易ではありません。アニコム損害保険は、従来の損害保険の対象領域(人とモノ(自動車など))以外に新たな市場はないかを見て、オンリーワンとして優位に立てる領域を探しました。その際に上記のような生活者のライフスタイルの変化に着目し、新たな市場を創造したのです。世の中に存在していない新市場を創造するのには費用や労力がかかります。しかしながら、生活者の生活行動や消費行動の変化に伴って関連市場が拡大しているのに、同市場をカバーする既存の商品やサービスがなければ、そこにチャンスが生まれます。アニコム保険会社はそのチャンスをつかんだということでしょう。

 生活者のライフスタイルの変化を捉えておくことは、生活者へよりよい価値の提供ができる下地になるようです。日頃からアンテナを高く持ち、自らの枠にとらわれないということが必要ということでしょう。

 (参考文献 成功事例に学ぶマーケティング戦略の教科書)

カルビーから見るロングセラーに依存しない新市場を創出することの重要性

本日はカルビーから見るロングセラーに依存しない新市場を創出することの重要性について記載します。

 個人的にカルビーは1994年から2010年まで地元に本社があり、“かっぱえびせん”や“カルビーのポテトチップス”は結構好きなので愛着のある企業です。同社はスナック菓子で国内シェアNo1であり、スナック菓子のイメージの強い会社です。そのカルビーですが今、「スナック菓子のカルビー」から「食のカルビー」へ進化しつつあります。

 今日本では少子高齢化が進んでいるわけですが、このままいけば、子どもや若者の数が減り、スナック菓子の国内市場の縮小は避けられません。その中でカルビーは健康志向という観点から「フルグラ」という商品を出しており、この商品が「食のカルビー」をアピールする牽引役になっています。(フルグラ:フルーツグラノーラの略。グラノーラとは、麦や玄米などの穀物にドライフルーツやナッツなどを混ぜた食物繊維が豊富なシリアルのこと。これにフルーツを加えたのがフルーツグラノーラ。)

 日本のシリアル市場は約250億円で今まで横ばいで推移してきました。それに対し、アメリカの市場が1兆円規模ですので、それと比較すると非常に小さなものとなります。この実態からカルビーはシリアルが美味しければ日本の市場にも受け入れられるはずだと判断し、1988年から販売されていたフルグラを核として、シリアル事業を推進するため4つの施策を展開していきます。その施策とは、まず始めに2011年に100店舗でフルグラの店頭試食を実施しました。これにより2012年の売上は前年から1.6倍の60億円まで成長しました。次に料理レシピサイトのクックパッドと協働してフルグラのレシピコンテストを実施しました。シリアルと言えば牛乳をかけて食べるという先入観を打破し、多様な食べ方を生活者に知ってもらうための施策です。3つ目にローカル市場を開拓するため、地元の牛乳配達店と協働し、宅配している家庭に、フルグラのサンプルを配布しました。そして4つ目に新たな販路としてドラッグストアやホームセンターでの販売を始めました。上記のような取り組みによりカルビーはシリアル市場でもトップシェアを実現するに至ったと言います。

 社会構造の変化は企業に大きな影響を与えます。変化が緩慢な場合、その対応に遅れると企業は致命傷を負うことになります。逆に変化を捉えて新たな対策をとることにより、企業と商品のイメージを刷新する機会にもできることがあります。カルビーは社会構造の変化を直視し、「かっぱえびせん」や「ポテトチップス」という今までの看板商品に頼らず、「フルグラ」という商品をアピールすることで、自社の持つイメージを刷新するとともに、新たな市場を開拓することができたのです。人口減少に伴う社会構造の変化は日本にある企業のすべてが影響することです。ですので、カルビーのこの取り組みは参考となる動きだと考えます。

 (参考文献 成功事例に学ぶマーケティング戦略の教科書)

“ハウス食品のウコンの力”のセグメンテーション(市場細分化)

本日は“ハウス食品のウコンの力”のセグメンテーション(市場細分化)に関して記載します。

この間飲みすぎで次の日の休日のほとんどを寝て過ごすという事態に陥りました。それはそれでいいのですが、年を重ねるごとにちょっとずつお酒に対する耐久性が弱くなるような気もします。そんなわけで、やっぱりそうは言うものの、ウコンの力を飲んでおけばよかったとも思うわけです。さて、そのウコンの力、販売する際に30~40代の男性をターゲットとして、飲む前に飲んでおきたくなるような味に作り上げられました。ハウス食品がこの商品を開発するに当たり、「定期的にお酒を飲む人」「アルコールを常飲するため肝機能を心配する人」「理由さえあれば価格が高くても購入する人」というように、消費者の行動を細分化しターゲットを明確にしたのです。すると、ちょうど30~40代の男性には「公私ともに飲酒機会が多い」「加齢とともに身体がアルコールに弱くなってくる」「健康ドリンクを日常的に飲用する層が多い」といった特徴があったのです。当時、食料品メーカーがデフレ経済下でも安売りせずに販売できる商品の開発に躍起になっていましたが、ハウス食品は上記のように、消費者の行動に視点を当てて、市場を細分化し、新たな商品“ウコンの力”を開発することで、潜在的な消費者の需要を顕在化させ、新市場を創造することに成功したのです。また、飲酒機会が多い層を想定顧客に設定しているため、飲酒機会が生じるたびにウコンの力の飲用意欲を高めることができ、商品の継続購入が期待できるということもポイントとなっています。

 少子高齢化などの影響による社会構造の変化や消費の低迷の継続が低価格志向の業態や商品の台頭を促しています。例えば組織小売業がPB商品を投入したり、安価な衣料品を販売するSPAが増えたりします。店頭での商品価格が安くなれば消費者視点からすれば買いやすくなったということでいいことなのですが、このことは購入機会を先取りしているに過ぎない面もあり、総需要が拡大しているとは限らないのです。必要なことは安売りを志向し続けるのではなく、高くても支持されるような商品・サービスを産み出していくことなのです。ウコンの力は、セグメンテーションを行い明確な意思を持って商品開発が行われたため、高くても買ってもらえる商品になったということなのでしょう。

 (参考文献 成功事例に学ぶマーケティング戦略の教科書)

富士フイルムが生み出した化粧品の戦略

本日は富士フイルムが生み出した化粧品の戦略に関して記載します。

2012年1月に、銀塩写真(アナログ写真)メーカーとして有名であった、アメリカのコダックが経営破綻をしました。銀塩写真フィルムはかつては、アメリカのコダック、ドイツのアグファ、日本の富士フイルム、コニカの4社しか作ることができなかったため、高い収益を誇る寡占市場となっていました。ところが1990年代半ばからデジタル写真が普及。銀塩式写真フィルムは急速に市場シェアを奪われていくこととなりました。

その状況下、富士フイルムにおいても、2000年時点で写真フィルムの売上高が2600億円を超える規模を誇っていたものの、デジタルカメラの普及とともに、その売上を毎年200億円のペースで減少させてしまうという事態に陥りました。そこで同社は自社技術の棚卸を行い、事業の多角化を行いました。

 同社は、写真を美しく表現するため、独自の技術を培っていました。写真フィルムの半分はコラーゲンでできていて、発光のための粒子や光を感じる粒子などが含まれた多数の層からできています。そして人の肌の構造も、真皮にコラーゲンを含み、様々な機能の異なる細胞でできています。その点に富士フイルムは着目し、女性用化粧品の開発に乗り出し、「アスタリスト」を産み出します(この化粧品はコエンザイムQ10の約1000倍の力を持つ植物由来の天然成分「アスタキサンチン」を配合。3種類のコラーゲンも入っているそうです。)

この「アスタリスト」を売り出すにあたってのブランド戦略としては、数多くある化粧品会社の中で、新ブランドを立ち上げて知名度と認知度を高め、ブランド価値を向上させるのは容易ではないという理由から「富士フイルム」という企業ブランドを打ち出していきます。多くの場合、企業が新規事業に着手し新商品を市場に投入する場合、企業名を敢えて表に出さず、事業ブランド名や個別ブランド名を打ち出していきます。しかしながら、富士フイルムの場合は同社名を打ち出すことで、生活者に信用と信頼を感じてもらうことを主眼としたようです。

 新技術や新商品の登場で市場の構造が変化し、自社の販売している商品の市場が縮小、消失していく時は、早急に新たな市場を見つけ、新商品を投入するなどを行い、新市場での地位を確立し、新たな売上と利益を確保していくという必要があります。何事も固執しすぎることはマイナスに働くようです。

 (参考文献 成功事例に学ぶマーケティング戦略の教科書)

BOPモデルに関して

本日はBOPモデルに関して記載します。

 BOPモデルとはBace of the Pyramidの略で、社会的にとても貧しい人たちのことを意味しています。そのほとんどがアフリカ諸国や南アジアに住んでいるのですが、その人口は約40億人もいると言います。CSR活動の発展形ともいえ、企業が利益を追求しつつ、低所得者層の生活水準の向上に貢献できるというビジネスモデルとなります。

このBOPモデルが1つのマーケットとして最近注目されているそうです。その理由としては“対象人数が多い”“単価は安いけれども利益率が高い”“将来、低所得者の所得が高くなった時のことを見据えての企業ブランドの浸透”といったことのようです。

 日用品の世界的大手企業ユニリーバのインド法人では、インドの農村部の女性たちを教育し、商品のことなども教えて販売員として育成を行っています。そしてターゲットの顧客はボトル一本のようなボディーソープを購入することはできませんが、1回使い切りの量に小分けすると少額で販売することが可能となりますので、そのような方法で販売を行っています。このことで、貧困層の人々がせっけんで手を洗うという健康を促進する社会貢献も行えているのです。

2009年には経済産業省が「BOPビジネス政策研究会」を発足しているそうです。社会貢献と利益獲得ができるこのビジネスモデルは今後より注目されていくのかもしれません。

 (参考文献 成功企業31社のビジネスモデル超入門)

破壊的イノベーション

本日は破壊的イノベーションに関して記載します。

2013年10/15に臨時国会が開催されましたが、その流れの中で安倍首相が所信表明演説にて「失敗を恐れて何もしないのは最低」「実行なくして成長なし」と表明しました。これから政治・政策面で成長戦略が整っていくことと思われます。過日、慶応大学大学院教授の岸博幸氏の話を聞いていたのですが、教授は日本経済が悪いのは政治・政策面が悪いということもあるのだが、民間にも責任がある、というニュアンスのことを話されていました。また、経済が発展する上ではイノベーションが必要ですあり、日本は技術的な力が高いにもかかわらず、ビジネスのイノベーションが少ないということが問題だというようなことも話されていました。確かに政治・政策という偏った視点ではなく民間の視点も捉えていくことは重要に感じます。

さて、市場が成熟した中において成長を遂げようとした場合には、過去の延長線上にあるような商品・サービスを提供するのではなく、既存商品の価値を破壊する可能性を秘めているような全く新しいものを作り上げるようなイノベーションが必要となってきます。例えばiPodが昔のタイプのウォークマンを市場から駆逐したようにです。しかしながら、そうは言うものの、人間、過去からの踏襲・現状維持の力は強いのも事実だと思います。クリステンセンは新しいものを作るイノベーションを阻む要因として以下のようなことを挙げています。

 「大企業ほど、投資する際に経営者や株主に対して市場規模や収益率を数値化し、承認を得てからでないと市場参入できない。だから顕在化していない市場に参入する際、市場の存在を裏付けるデータや根拠の提出が求められる。だが、これから大きくなる市場や需要が顕在化していない市場の場合、市場を説明するデータは存在するはずがなく、意思決定者を説得できない。」

 「組織の力は、経営者や管理者が優先する価値の基準で決まる。人材などの資源と違い、取り組むプロセスや価値基準には柔軟性はない。本来なら組織の能力を引き出すはずのプロセスや価値基準がもしも間違っていた場合には、組織は無能力な集団になってしまう。」

イノベーションの重要性は良く聞くように思いますが、実際にはいろいろな課題をクリアする必要性がありそうです。しかしながら、日本の企業の中でもビジネス視点でのイノベーションが様々出てきているというのも事実です。例えば八王子には天然温泉とコラボしたネットカフェがあります。これなどは終電を逃したときに泊まりたくなってしまいます。また、角川グループは艦隊コレクションというゲームを出しているのですが、このゲームはゲーム内課金を最小限に抑えて“ゲームグッズ”“攻略本”といった他のメディアで稼ごうという手法をとっています。今までではあまり考えられなかった発想だと思います。小売業でいうと昨日アップしたコメリもその例と言えます。

ライフサイクルの流れを見ると、成熟期に入った後、そのまま現状を維持すれば必ず衰退期に入ります。それは避けるべきなのですが、一方で現状を維持する力は非常に強いものがあります。このせめぎ合いの中でどのように行動していくのかは非常に重要なことのように思われます。

 (参考文献 成功事例に学ぶマーケティング戦略の教科書)

企業の価値づくりに関して エフピコ

本日は企業の価値づくりに関してエフピコを例に記載します。

エフピコは成長を続ける1962年に創業した食料品店などで使用される簡易食品容器の専業メーカーです。

そもそも、箱や容器などの梱包容器は商品を運ぶ際には必ず必要になりますが、商品を使用し終わった後はすぐに廃棄されます。その様なわけで、箱や容器が商品の価値を向上させるわけではないので、小売業側からすればコストとして捉えられる傾向があります。

その様な中、同社は、底面を傾斜のついた段々の形状にして、薄切りにした精肉がよってしまうのを防ぐ容器を作るなど、内容物の崩れや転倒・汁漏れなどが少なく、更に商品の見栄えが良くなるような容器の開発を行ってきました。

同社は食品トレーの販売にとどまらず、盛り付けした商品の陳列方法など、顧客企業の売上が向上するようなノウハウを提供しています。また、小売業において容器代は商品売価の2%が一つの目安とされますが、それを踏まえて容器代が売価の2%を下回っている商品を使用する取引先には、適正価格の容器を使った効果的な販促方法や、積み重ねができる容器の採用によりスタッフの作業を軽減化する方法などを、営業担当が提案しているそうです。

 現在、様々な分野でコモディティ化が進んでいますので、単に機能や性能が優れている商品を提供しているだけでは、他社に対して優位に立つことが難しくなってきています。今、「生活者が求めるサービス」という見えない価値を付与したり、他社には提供できないサービス対応をしたりすることによって、商品そのものだけでなく、“価値”を作り上げていくことが求められているようです。そのためには自らの強みを知り、できることを見つけ出し、実践していくということが必要になってくるように思われます。

 (参考文献 成功事例に学ぶマーケティング戦略の教科書)