国際収支

本日は国際収支に関して記載します。

【最近の経常収支に関して】

2013年10月から2014年1月まで4か月連続で経常収支が赤字になりました。そして1月においては単月としては過去最大の1兆5890億円の経常赤字を記録しました。ここ数か月の経常収支の動きを見ると輸入が伸びているという状況があり、これには日本の産業の空洞化が要因として考えられているようです。

経常収支とは国際収支の構成要素の一つとなり、国際収支は一定期間(通常1年)における、ある国の外国との金銭の受取り・支払記録のことを言い、前述の「経常収支」「資本収支」「外貨準備増減」「誤差脱漏」に分けられます。以下、国際収支の内訳を見て行きたいと思います。

【経常収支に関して】

経常収支とは主に財・サービスの取引から構成されます。

■貿易収支:財の輸入額と輸出額の収支(輸出額―輸入額)のことで、「貿易収支」「サービス収支」「所得収支」「経常移転収支」からなります。

・貿易収支は東日本大震災以来、赤字が続いています。原油や天然ガスの価格が上昇しているということもありますが、2つの大きな構造変化が起きているということも要因としてあります。まず、一つ目はエレクトロニクス業界に代表される動きが挙げられます。この分野の企業はグローバル市場で競争力を次第に失い、輸出が伸び悩んでいます。その一方で海外メーカーが造る家電製品の輸入が増えています。産業基盤が弱まってきているのです。二つ目には自動車産業に代表される動きが挙げられます。これはグローバル展開の加速であり、海外に生産がシフトしているという状況です。海外生産が進んでいるので、以前のように日本国内からの輸出が伸びなくなっています。2007年から人口減少が始まっていますが、このことにより経営者の中で国内市場は成長しないという認識が広がっているということもあるようです。貿易収支の赤字は輸入額が増えていることだけが原因ではないので、原発が再稼働したとしても、長期的にみて貿易黒字につながるというわけでもないようです。

■サービス収支:運輸、旅行、通信、保険、金融、特許使用料などの収支を言います。

技術特許収入(ロイヤルティ)は伸びているそうですが、そのスピードが加速しているというわけでもないようです。

■所得収支:非居住者への労働賃金や投資収支(外国へ資金を貸し付けた時の利子収支や配当金など)の収支のことです。

東日本大震災以降、貿易収支の赤字を所得収支の黒字で補っています。大きな額ではあるものの、貿易赤字を相殺して余りあるほど、ぐいぐい伸びているというわけではありません。

■経常移転収支:国際機関への拠出金や援助金や賠償金など一方的な給付の収支のことを言います。

【資本収支に関して】

続いて、資本収支に関しても見てみます。資本収支とは主に国際間の金融資産取引から構成され、「投資収支」と「その他資本収支」があります。

■投資収支:外国企業の買収や、外国に作った子会社の経営権の取得などを目的とする直接投資の収支、およびキャピタル・ゲインを得ることを目的に行われる証券投資の収支のことを言います。

【外貨準備増減に関して】

外貨準備増減とは、通貨当局が国際収支不均衡是正や為替相場介入のため保有する外貨のことを言います。通常、海外との取引において自国通貨が使われることは少なく、ドルなどの外貨が用いられます。このため、海外からの外貨受取りが外資支払いを超過すると、その分だけ外貨準備は増加します。反対に海外への外貨支払いが外貨受取りを超過すると、その分だけ外貨準備は減少します。

日本国内の経済部門を家計と企業、政府の3つに分けると、家計と企業の貯蓄が政府の借金を支える構図になっています。しかしながら現状、家計の貯蓄率はゼロに近づいていて、政府の借金が増えているので、状況は厳しくなってきていると言います。経常赤字になった場合、国内の資金だけでは政府の借金を賄えなくなり、外国からお金を借りなければならなくなります。外国人投資家は経常赤字の国に対して信用を置きませんので、利子が上乗せされてしまうということも考えられます。いずれにせよ財政赤字を減らしていくことは重要となってきます。

(参考文献 東洋経済3/29)

今後のディスカウントストア

本日は今後の激戦が想定されるディスカウントストアに関して記載します。

【消費増税とディスカウントストア】

4月1日から消費税8%の増税が始まりました。更に今後10%へと消費増税が予定されていますが、それに加え円安による生活物資のインフレにより消費者の可処分所得が減少することも想定されています。このように社会環境が変化する中で総合ディスカウントストアが市場規模を拡大していくことが想定されると言います。現在の日本では小売業の主勢力はGMSや百貨店系で総合ディスカウントストアの最大手であるドン・キホーテでも売上高ランキングは15位となっています。

〈参考〉2012年の上場小売業売上トップ15位→1位イオン 2位セブン&アイHD 3位ヤマダ電機 4位三越伊勢丹HD 5位ファーストリテイリング 6位Jフロントリテイリング 7位ユニーグループHD 8位高島屋 9位ダイエー 10位ビッグカメラ 11位アマゾンジャパン 12位エディオン 13位ケーズHD 14位ヨドバシカメラ 15位ドン・キホーテ

日本の小売業の主勢力が上記のようになっているのに対し、欧米ではウォルマートやカルフールといった総合ディスカウントストアが売上の上位を占めています。これは欧米諸国では所得格差があることと、間接税(日本の消費税)率が非常に高いということが理由のようです。このことから日本においても今後ディスカウントストアが力をつけてくるのではないかという見方もあります。

今回の消費増税をチャンスとして捉え、ドン・キホーテはコスト削減などを図ることにより低価格志向の消費者を取り込むような動きを進めています。また、同社のように企業体力に余裕のある企業もディスカウント路線を強化していると言います。

【各エリアのディスカウントストア】

■北海道・東北

・北海道では地場のアークスが「ビッグハウス」を展開。「マックスバリュ北海道」がそれを追っています。

・東北のディスカウント激戦地の宮城県では、酒類のディスカウントを開始した「やまや」が店舗数で抜きんでています。

■関東

・家電の安売り戦争があった北関東では、「ベイシア」が「カワチ薬品」と業態を超えた熾烈な安売り合戦を繰り広げています。

・「オーケー」が首都圏で事業を拡大中。14年度には出店数を10店舗と前年度から倍増させます。

・「ららぽーとTOKYO-BAY」に1200坪の大型店で出店した「ロピア」。18年に1000億円企業を目指して急成長。

■中四国

・大黒天物産がコスモス、トライアルを迎え撃つ。「ザ・ビッグ」も参戦し、競争は激化。

■九州

・九州は安売り競争が激しいエリアです。特に福岡を中心とした北福岡では「トライアル」や「ルミエール」「コスモス薬品」などが激しく戦っています。

消費増税により、消費者心理が変化し、小売業の今後の展開が変化する可能性があると思われます。

(参考文献 販売革新2014 4)

経済統計各種

本日は経済統計各種に関して記載します。

【各国のマーケットに影響を及ぼすアメリカの経済統計】

アベノミクスによる株価の上昇が資産効果を生み消費意欲を増しているように、株式市場の値動きは景気に与える影響の大きい要素の一つだと言えると思います。その株価を含め、債券、為替などの金融市場の予測を行うことをメインとしているエコノミストが注目している経済統計に“アメリカ労働省が毎月発表する「雇用統計」”と“全米供給管理協会(ISM)が毎月第一営業日に公表される「ISM製造業景況感指数」があります。なぜアメリカの経済統計が注目されるかですが、同国のGDP規模は他国から群を抜く大きさで株式市場の時価総額も世界最大ですので、それだけ注目度が高いということになります。次に雇用統計が注目される理由としては、米連邦準備制度理事会(FRB)が“雇用の最大化”と“物価の安定”という2つの使命(デュアル・マンデート)を担っているためです(なお、中央銀行で雇用の安定を目標にしているところは珍しいそうです)。続いてISM製造業景況感指数です。これはアメリカの製造業の購買担当役員へのアンケート調査結果を指数化したもので、50を超えるかどうかが景気の強弱の分岐点とされます。アメリカの企業収益との連動性が高いと言われています。

【日本の株式市場関係者が気にする経済指標】

さて、日本国内の株式市場関係者が気にしている経済指標の一つに“内閣府が出す「景気ウォッチャー調査」”があります。これはタクシーの運転手やコンビニの店長などの現場の人たちに皮膚感覚の景況感を聞いて、その答えを指標化したものです。この景気ウォッチャー調査に基づいて、街角の実感を反映した「先行判断DI」という指標があります。これは2~3か月後の景気の良し悪しを予測するもので、日経平均株価との相関が高いため市場関係者が注目しています。

【一国経済規模を表す概念】

上記でGDPやDIという言葉を記載しましたが、これらについても以下記載しておきます。

・GDP(国内総生産):国民所得を国内の生産活動による付加価値総額と定義したもの。

国内総生産=民間最終消費支出+政府最終消費支出+総固定資本形成+在庫品増加+経常海外余剰

※民間最終消費支出:家計などが行う消費への支出額

 政府最終消費支出:政府が行う消費への支出額

 総固定資本形成:企業などが行う新規生産設備(固定資本)購入への支出額

 在庫品増加:企業による在庫の積み増し(売れ残り)分を時価評価し、自企業への支出額とみなす。

 経常海外余剰:財・サービスの輸出―財・サービスの輸入(準輸出)

・GNP(国民総生産):国民所得を国民の生産活動による付加価値総額と定義したもの

国民総生産=GDP+海外からの純要素所得受取り

(海外からの純要素所得受取り=海外からの要素所得受取り―海外への要素所得支払い)

※昔はGNPという言葉の方をよく聞いていたと思いますが、日本では1993年よりGDPが使われるようになっています。また、内閣府が発表している日本の国民経済計算では2000年からGNPはGNI(国民総所得)へ呼称変更されています。

・国内純生産と国民純生産

GNP、GDPともに固定資本減耗(減価償却)を含んでいます。より厳密に生産活動に伴う付加価値総額を計算するためには固定資本減耗を差し引く必要があります。それが国内純生産(NDP)と国民純生産(NNP)です[阿部敦忠1] 。

NDP=GDP-固定資本減耗

NNP=GNP-固定資本減耗

・国内所得と国民所得

NDP、NNPともに純間接税(=間接税―補助金)を含んでいます。より厳密に生産活動に伴う付加価値総額を計算するためには間接税を差し引き、補助金を加える必要があります。それがDI(国内所得)およびNI(国民所得)です。

DI=NDP-純間接税

NI=NNP-純間接税

経済を分析するにあたって様々な統計が活用されています。経済の大きな流れを見るうえで、これら数値から大きな潮流を見ると様々なシーンで役に立つと思われます。

(参考文献 週刊東洋経済3/29ほか)


 [阿部敦忠1]

アベノミクス景気と今後の乗数効果

本日はアベノミクス景気の今後と乗数効果に関して記載します。

【今後の景気動向に関して】

現在、2012年11月を底として景気回復局面に入っているとみられています。今回の景気回復については内需が主導する形で景気が良くなってきています。直近5四半期の経済成長を見てみると、外需が12年10~12月期、13年7月期~9月期、同年10~12月期とマイナスになっているのに対し、実質GDPは5四半期ともプラス成長を維持しています。これは民間の消費がプラス(人々がたくさんのモノやサービスを購入している)ということが要因として挙げられます。このように民間の消費が増えたのには、日経平均が12年秋に9000円前後だったのに対し、昨年末は1万6000円を超えたことによる「資産効果」が大きかったということが挙げられます。また、2008年のリーマンショックや2011年の東日本大震災の影響による節約志向に対して、消費者が「節約疲れ」をしてきたのではないかとも言われます。

このように外需ではなく内需によって景気回復が進んできているのですが、2014年の4~6月期はマイナス成長に陥るのではないかとみられています。その要因としては「消費増税による駆け込み需要の反動」や「物価上昇」による影響があります。

一旦マイナス成長に入る経済ですが7~9月期には再びプラスに転じると見込まれています。それは多くの企業がボーナスの支給額を増加していますので消費が盛り返すことが想定されているためです。また、公共投資の効果が7~9月期以降に効いてくるとみられているためです。2月上旬に成立した13年度の補正予算で公共投資が1兆円規模で上積みされていますが、この効果が発揮されてくるのです。近年、日本では公共投資は効果がなくなってきているとも言われますが、“乗数効果”により景気を押し上げる効果は今なお見込めるということです。

【乗数効果とは】

乗数効果とはマクロ経済学で用いられる経済効果で、政府支出や投資の増減がその増減額以上に国民所得を増減させることを言います。例えば、政府が公共施設の建設費などの政府支出を1兆円増加させるとすると、その支出の受け手である企業の所得が1兆円増加します。次にこの企業は取引関係にある企業への支払いなど消費を増加させ、この消費の増加分だけ再び誰かの所得を増加させることになります。このようなプロセスを繰り返して国民所得は当初の政府支出以上に増加していくのです。

この乗数効果は過去国会で取り上げられ話題になったこともありました。

いよいよ、4月から消費増税となります。2014年日本経済がどうなるかの大きなポイントの一つと言えます。4月以降の景気の動向に注目です。

〈補足〉乗数効果の追加説明

“政府支出の大きさが変化(△G)”と“国民所得の大きさが変化(△Y)の関係を考えた場合、△Y=1/(1-c(限界消費性向))×△Gとなります。限界消費性向とは国民所得が増加した時、そのうち消費の増大に割り当てられる部分を言います。

■例えば、限界消費性向を0.7として、Gが10億円から13億円に増加した場合

△Y=1/(1-0.7)×(13億円―10億円)

△Y=1/0.3×3億円

△Y=10億円

3億円の政府支出の増加で国民所得は10億円になりました。

投資額についてもGの変化と同様となり、△Y=1/(1-c)×△Iとなります。

1/(1-c)を政府支出乗数または投資乗数と言います。

上記は閉鎖経済モデルの話として記載しましたが、政府支出は景気をコントロールする重要な施策であると言えます。

(参考文献 週刊東洋経済3/29他)

東京・日本橋室町地区の再開発

本日は東京・日本橋室町地区の再開発に絡めて記載します。

【コレド室町2・コレド室町3オープン】

2014年3月20日に日本橋に新たな商業施設「コレド室町2」と「コレド室町3」が開業しました。この両施設は三井不動産が中心となって進めている日本橋再生計画の一環で、2010年10月に開業した「コレド室町」に続く「日本橋室町東地区開発計画」の第2弾となります。コレド室町2には「TOHOシネマズ日本橋(全9スクリーン、約1800席を備えるシネマコンプレックス)」という目玉施設があります。また、地下1階が有名レストランや老舗の“つくりたて”の味が楽しめるゾーンとなっており食の物販も充実しています。コレド室町3に関しては生活雑貨が充実していることが特徴です。週末には深夜まで営業するダイニングやバル、ビアレストランもあり、シネコンも金・土曜日はオールナイト上映が行われる予定となっています。このような形で営業することで「コレド室町」「コレド室町2」「コレド室町3」の3館合計で年間来館者1700万人、年間売上は110億円を目標としていきます。

【日本橋再開発:日本橋川を軸とした再開発】

日本橋川は神田川から流れ、隅田川にそそぐ川です。この川が日本橋再開発の軸の一つとされています。東京都は2013年1月に「水と緑のネットワーク実現プロジェクト」を発表し、2020年の東京の姿を表しました。その内容は「水辺では様々なイベントが開催され、オープンカフェなどが多数設置され、多様な船が行き交い、1年を通じて多くの人々で賑わっている。」「水辺には商業施設が集まり、美しく整えられた景観がつくられるなど、水辺の魅力が向上している。」といったものです。そしてその実現に向けて都は2013年度から2015年度の3か年計画で「水陸両用バスなど、多彩な船による縦横無尽のネットワークを隅田川と内部河川でつくるため、防災船着場を活用して新たな舟運ルートを開発する。」「テラスの連続化・修景による水辺の散策の回遊性をよくする。」ということを盛り込んでいます。このような中で、日本橋西詰には日本橋川を臨むテラス席を設けたレストランがオープンし始めているそうです。今後、東京オリンピックを見据え、外国人観光客が増えていく中で、水辺観光が賑わっていくことが想定されます。

【中央通り】

日本橋に通る「中央通り」ですが、この通り沿いの高層ビルの低層部の高さは100尺(約31m)に統一されています。高層部はデザインを変えることで、既存の街並みと調和するようにしています。これは江戸時代、中央通りに建ち並ぶ大店の庇が同じ高さで続き、一つの景観を作っていたことを参考にしています。

東京駅付近には、羽田~成田を1時間以内で結ぶ高速鉄道計画の途中駅の「新東京駅」が設置される計画となっています。日本橋付近の人の流れが今後変わってくることが想定されます。

(参考文献 東京2020計画地図)

アメリカの予算教書

本日はアメリカの予算教書に関して記載します。

【世界経済に影響を与えるアメリカの予算教書】

3月4日にオバマ大統領が予算教書を提出しました。この予算教書とはアメリカの大統領が連邦議会に対して提出する、翌会計年度の予算案の編成方針を示す文書のことです。アメリカの会計年度は10月~翌年9月となっていて、本教書は毎年2月ごろに提出されています。日本においては総理大臣が中心となって予算案を作成しますが、アメリカの場合は予算を決定する権利が大統領にはなく連邦議会に所属する形となっています。その点、日本とアメリカで予算の組み立てられ方が違うと言うことになります。

予算教書は大統領が必要と思う政策や歳入・歳出の見積もりを議会に示し、それに沿った予算編成を議会に促す「勧告」の性格が強いものです。そして、議会は予算教書を受けて予算関連法案の作成にかかり、大枠を決める予算決議を採択し、個別の歳出法案や歳入法案を審議します。なお、大統領には議会が可決した予算関連法案に対して拒否権があるため、本教書の内容に特に問題がない限り、概ね反映されると言われています。

日本では予算教書はあまりなじみのないものとなっています。しかしながら予算教書は中長期的にアメリカの経済や財政がどのようになっていくかをマクロ的な枠組みで示す役割を担っていて、世界経済に与える影響が極めて大きいため、世界中の注目を集めるものとなっています。

【2015会計年度(2014年10月~15年9月)の予算教書】

3月4日に提出された予算教書は、高額所得者や企業に対する新税、教育、研究開発、低所得層向けの政策への支出計画が盛り込まれたものとなっています。

さて、今回の予算教書を受けて、多くの人が失望する結果となっているという声があるようです。その理由としては歳出の拡大にあります。今回の歳出総額は14年度と比べて約3500億ドル増加の3.9兆ドル。このことが財政赤字削減への努力がなされていないと判断されているようです。なお、この歳出総額の増加分の大半は社会保障支出や高齢者医療保険、低所得者向け医療保険の支出に充てられます。

かといって財政赤字を減らす努力をしていないわけではなく、削減に向けた道筋は立てているようです。15年度の財政赤字は5640億ドルで対GDP比3.1%と見通しですが、その後、税収増を主因として18年度までに財政赤字は減り続け、同年度のGDP比は1.9%まで低下すると予想しています。なお、税収増に関しては、今後10年で約1兆ドルの新税を提案していて、その大半は不動産や高額所得者への増税となっています。

【注視すべきアメリカ経済】

現在、FRBの金融緩和が続いてきた効果により、2009年1月に8000ドルだったNYダウ平均株価は、現在16000ドルを超す水準になっています。このことからアメリカの株価は近いうちに調整局面に入るのではないかという声もあるようです。調整局面に入れば日本の株価や為替に影響してくることは必至です。世界経済1位のアメリカの経済の行方は日本経済に大きく影響していきますので、しっかりとみておくことが必要なのでしょう。

(参考資料 エコノインサイト iFinance)

催促相場から見るアベノミクス

本日は催促相場から見るアベノミクスに関して記載します。

【今年の株価の推移から見えてくる日本経済】

2013年、日本の株価は57%上昇し、この上昇の勢いはバブルの時と同じくらいになっていて、先進国の中でもダントツに高いものとなっています。昨年発表された実質成長率は1.6%と株価の上昇から見ると低い水準となっていますが、内需を見ると3%成長していて、日銀短観においても製造業、非製造業、大企業、中企業、小企業、すべての分野で経済は良くなっています。アベノミクスの成果により日本の景気は概ね好調と言えます。

この株価上昇を支える要因は外国人投資家の買い越し額が15兆円に達したということにあります(これまでで一番買い越し額が多かったのは郵政民営化を決めた2005年)。株価上昇により資産効果が出て日本経済は好調に推移している形となりますが、その株価を支えているのは外国人投資家の影響もあるということが言えます。

さて、2013年に株価は57%上昇しましたが、2014年に入ってからは日本の株に大きな動きがありません。2月においては1万5千円~1万4千円くらいで株価が推移しています。この株価の動きに関して、マーケットが政府に催促をしている“催促相場”だという話があると言います。

【催促相場とは】

催促相場とは、企業や政府などに対して決定などを促すために株価を始めとした相場の動きによってそれを推し進めさせようとする相場状況のことを言います。例えば東京市場やニューヨーク市場へ公定歩合の引き下げを期待して日経平均株価やダウ平均が上昇して、中央銀行にその決定を促すというパターンです。今回の相場においては、アベノミクスの成長戦略に対する期待もあり、株価が先行して上昇したものの、その成長戦略にきちっとした政策が出てこないことから、投資家たちが様子見をしているといったところでしょうか。投資家が日本の株に対する投資を引き上げる前にしっかりとした政策が実施されることが、マーケットから政府に求められている状況になっているということです。

【注目されるアベノミクスの今後の動き】

2013年11月に、今年の6月をめどに新たな成長戦略を策定していくという話になっています。2020年の東京オリンピック開催を見据えてのインフラ整備や「日本ブランド」の海外発信、農業の振興策やベンチャー企業の育成、成長戦略第1弾で詰め切れなかった規制緩和などを検討していくとなっています。

消費増税により景気が押し下がることも想定される中、いかにこの6月の成長戦略第2弾が効果のあるものが登場するのかが、2014年の日本経済を占う重要なカギとなりそうです。

(参考資料 エコノインサイト)

法人税引き下げとタックスヘイブン

本日は法人税引き下げとタックスヘイブンに関して記載します。

【アベノミクスの重要政策 法人税引き下げ】

2014年1月のダボス会議にて安倍首相が強い意欲を見せた法人税引き下げの議論が始まっているようです。マクロを中心とした経済財政を議論する経済財政諮問会議と企業に根差したミクロを議論する産業競争力会議との合同会議も行われました。政府税制調査会内の専門部会において座長の大田弘子元経済財政政策担当相が「法人税の税率引き下げが必要である」と明記した論点案を提出しています。

今回の法人税引き下げの論点は、現在35%程度の法人実効税率をアジア近隣諸国並みの25%程度まで引き下げるかどうか、ということです(日本の法人税は諸外国と比べて高い)。法人税を10%引き下げれば5兆円の税収が消えることになりますが、一方で減税を行えばGDPの拡大が見込めるとも思います。(数式で言うと△Y=-c/(1-c)×△Tです。税金(T)を変化させると-c/(1-c)(租税乗数)分だけGDP(Y)は変化します。減税の効果が何倍ものGDPの増加につながっていきます。)海外投資家からも注目されていますので、この法人税引き下げができるか否かは株価にも影響してくると思われます。

法人税引き下げによる課題として減税による減収ということ以外の課題として、中小企業を中心に74%の法人が赤字で法人税を払っていないということもあります(2011年度)。日本において法人税を払っていない企業は多いようで、外国と比較すると、アメリカ54%(2009年度)、イギリス50%(2010年度)、ドイツ34%(2007年度)、韓国32%(2011年度)となっています。欠損金の繰り越し控除の仕組みや租税特別措置などの見直し、課税ベースを広げることが検討されています。

法人税引き下げを実施するにあたっては簡単な道のりではなくハードルがあるわけです。

【タックスヘイブン 資本流入を目的とした国家戦略】

法人税引き下げと関連する議論にタックスヘイブンがあります。タックスヘイブンとは、外国の企業や富裕層の資本流入を目的に、税金を無税または極端に低くしている国や地域のことを言います。タックスヘイブンが行われている国は、カリブ海周辺で“コスタリカ”“パナマ”“ドミニカ”“ケイマン諸島”など、アジアでは“マカオ”“香港”“シンガポール”、中東の“バーレーン”“レバノン”“ヨルダン”、ヨーロッパでは“スイス”“ルクセンブルク”“モナコ”“サンマリノ”“リヒテンシュタイン”などが挙げられます。タックスヘイブンによりF1グランプリで有名なモナコでは大富豪が移住したり別荘を持ったりして、世界有数の富豪国家に生まれ変わることに成功しています。モナコの事例ようにタックスヘイブンを行うことにはメリットがありますので、国際的に企業の投資を呼び込むために小国を中心に法人税率の引き下げ競争が起きているのです。このことは日本の法人税引き下げの話と無関係ではない話だと思います。

多くの海外投資家がアベノミクスの成果に注目しています。消費増税により景気は悪化しますが、その後回復していくかどうかは、アベノミクスの成長戦略がどういう成果を出せるかということが重要なポイントの一つです。法人税引き下げの議論は注視です。

(参考文献 週刊東洋経済3/29)

コーヒー戦争

本日はコーヒー戦争に関して記載します。

【コンビニコーヒー、ブレイク】

2013年1月、セブン-イレブンはドリップ式コーヒー「セブンカフェ(Sサイズ100円)」の販売を始めました。この商品は大ヒットとなり2013年12月12日で累計3億杯を販売するに至りました。そしてこの「セブンカフェ」が登場したことにより、競合他社はコーヒー戦略を見直し、その結果コンビニコーヒーの販売数は各社合計で7億杯以上となりました。コンビニ業界2位のローソンは「マチカフェ」というコンセプトを打ち出しました。「マチカフェ」はスターバックスなどを手本としており、本格的なコーヒー関連商品を10種類以上販売するとともに、同業他社がセルフ方式なのに対し「挽きたて、淹れたてコーヒー」を店員が作ります。ローソンはさらに2015年春までに商品を店内で調理し、出来立て、手作り感にこだわった「まちかど厨房」を5000店に広げる計画を立てています。この「まちかど厨房」はカツサンドやハンバーガーなどを店内で調理したり、惣菜の量り売りをしたりしています。ローソンは「まちかど厨房」によりカフェやファストフードから顧客を奪うことを狙っているのです。コンビニ業界3位のファミリーマートも「ファミマカフェ」を展開するとともに、新店ではイートインコーナーを設ける方針で、「すぐに食べられるコンビニ」への転換を進めようとしています。2014年にはコンビニコーヒーは10億杯を突破すると想定されています。

【コンビニコーヒーに浸食される缶コーヒー・チルド系のコーヒー】

セブン-イレブンが「セブンカフェ」で100円コーヒーを展開した時に、最初に影響を受けたのが缶コーヒーとチルド系のコーヒーでした。もともと缶コーヒーとチルド系のコーヒーは店内でカニバリズム(共食い)を起こしていたのですが、そこに「セブンカフェ」が登場し、それらのシェアを奪っていったのです。缶コーヒーの上位銘柄には日本コカ・コーラの「ジョージア」、UCCの「UCCミルク&コーヒー」、サントリーの「BOSS」がありますが、軒並み売上を落としています。そもそも缶コーヒー自体、競合が激しい商品となっており、スーパーやディスカウントストアでは安売りされるため、利幅が取りにくくなっています。コンビニで販売すれば、110円以上で販売できるので利益が取りやすいのですが、そこをコンビニコーヒーに奪われている形となっています。

【コーヒーを取り巻く企業の変化】

コンビニコーヒーの勢いは回転ずしの「くら寿司」や牛丼の「すき家」などにもコーヒーメニューを登場させることとなりました。また、「ミスタードーナツ」は2013年9月にコーヒーの刷新に取り組み逆襲に転じようとしています。

ドトール・日レスホールディングス傘下の「ドトールコーヒー」では、古くなった店舗を「白ドトール」と呼ばれる新店舗に改装。白ドトールは外壁や店内の壁紙を白で統一し、女性が入店しやすい雰囲気作りを行っています。また、ブランド力の落ちる「エクセルシオールカフェ」の見直しも進めるとともに、コメダ珈琲店を参考にフルサービス型の喫茶店「星乃珈琲店」も展開。また、都心部立地の「銀座ルノアール」も2013年にキーコーヒーと資本提携し、郊外型立地「ミヤマ珈琲」で成功を収めています。

コンビニの店舗数の飽和が言われる中、セブンカフェのような商品を販売することにより、その存在感をますます強めているように思われます。今後、国内市場が縮小していく中で、「どこで新規市場を作るか」「どこからパイを奪うか」という考え方が、より重視されていくのかもしれません。

(参考文献 月刊BOSS 2014年3月号臨時増刊号)

小売業のM&A

本日は小売業のM&Aに関して記載します。

1月31日にH2Oリテイリングが関西地盤の大手スーパー、イズミヤと経営統合することを発表しました。H2Oは高級スーパー「阪急オアシス」を約70店展開しているので、イズミヤを加えて商品調達力などの競争力を高めようとしています。

小売業が大型店化を進め、企業の成長を成し遂げようとしていく場合、成長に合わせて地理的に市場(店舗)を拡大していくことが必要となります。また、市場を拡大していくに当たり、スピード感を持った出店も求められてくることとなります。小売業の大型店化が進む中で、今回のH2Oとイズミヤの事例のように、M&Aを実施することにより市場の拡大を図る対応が行われています。

例えば、家電量販店業界の事例を記載します。過去、家電量販店業界にはNEBAという組織が結成されていたために競合他社の店舗のある商圏への出店に消極的でした。しかしながら、1990年代末頃からその意識が崩れはじめ、大型店の立地場所の獲得競争や大型店同士の近接立地による競争が激しくなっていくこととなります。企業が成長していくためには出店数を増やしていくことが求められますが、有利な立地には先に競合他社の店舗があるため、新規出店を行うこととなり、激しい競争を招いてしまうこととなったわけです。また、安売りを行うためには、仕入れ価格を低下させることが必要であり、そのためにはメーカーに対して仕入れる商品量を増すことで、競争力をつけていくことが必要でした。

この問題を解決するためにM&Aの手法が採られてきたのです。M&Aを行えば、無駄な競争なくして商圏を拡大することができ、出店スピードを速めることもできます。

また、M&Aを行うにあたって店舗の重複がないようにすることも必要です。例えば、家電業界2位のエディオングループですが、合併前の各会社の店舗が最も多い地域を見てみると、“デオデオ、広島38店舗”“ミドリ、兵庫29店舗”“エイデン、愛知42店舗”“石丸電気、東京9店舗”“100万ボルト、福井7店舗”というように地域が重ならないように合併が進められてきていることが分かります。小売業がM&Aを行おうと思った場合、相手企業の店舗の立地場所も検討材料の一つとなるわけです。

1月20日には、2011年に出店したばかりのJR大阪三越伊勢丹が売場面積を5万平米から半分程度に縮小するという発表がありました。2014年春にあべのハルカスの近鉄百貨店阿倍野店が開業しますので、関西エリアの小売業の競合環境は激化していくことが必至です。M&Aを含めて今後の動きが注目されます。

(参考文献 立地ウォーズ)