キャラクタータイアップ はるやま商事「ジョジョ第2部タイアップ商品」の事例

本日はキャラクタータイアップ、はるやま商事「ジョジョ第2部タイアップ商品」の事例に関して記載します。

【はるやま商事とジョジョ】

はるやま商事は紳士服の専門店で、日経MJが2012年度に調査した「日本の専門店調査」の紳士服業界の順位を見てみると、青山商事(売上高178,503百万円)、AOKI(売上高103,932百万円)に続いて、第3位の売上規模を誇っています(売上高50,766百万円)。

一方、『ジョジョの奇妙な冒険』は荒木飛呂彦氏の描く1987年から『週刊少年ジャンプ(集英社)』で連載が始まった作品で、現在も震災後の杜王町を舞台とする第8部『ジョジョリオン』が連載されていて、ファン層が厚い人気作です。

【はるやま商事とジョジョのコラボがもたらした結果】

はるやま商事はテレビアニメ版ジョジョ第2部とのコラボレーション商品を開発しました。内容としてはワイシャツやネクタイなど計26アイテム。これらの商品を2013年11月29日から同社の持つ全国の「はるやま」「マスカット」「P.S.F.A」各店舗で順次販売を開始しました。

その1週間前の11月22日には、オンラインストアにて先行予約販売を開始。同社の467万人を有するLINE公式アカウントでコラボ商品を告知した直後に一時サーバーがダウンするほどアクセスが集中。先行予約用に準備していた約1500点の初期在庫は2日間で完売しました。また、オンラインストアではコラボ商品の購入特典を用意したところ、まとめ買いの誘発に繋がりました。中には、商品の価格帯が1995円~4980円にもかかわらず、1回で8万円分の商品を購入する人もいたそうです。このコラボ商品販売後、同社ECサイトの売上は販売前の約5倍で推移するという好成績を上げることが出来ました。

【はるやま商事がジョジョとコラボするにあたって取り組んだこと】

ジョジョのスピンオフ作品に『岸辺露伴 グッチへ行く』という、ジョジョとグッチがコラボした作品がありますが、ジョジョ自体ファッション分野への転用に適していることも同社がコラボする一つの理由としたようです。一方で、ジョジョは嗜好性が強い作品なので、中途半端なデザインではファンに対して悪い印象を与えてしまう恐れがあったことから、その商品開発には細心の注意を払ったと言います。

プロモーションにおいてはネット上でのバイラル効果を重視。『ジャンプ』や荒木氏の公式サイトなどで集中的に告知を実施しました。その理由としてはキャラクタータイアップの強みとして、大規模な広告展開をしなくてもファン自らが情報を取りに来て、内容が良ければ拡散してくれるという点にあり、ファンが自発的に集まってくれるオンラインメディアに集中して情報発信を行えば、効率的にECサイトや店舗に誘導できるからです。

【キャラクタータイアップ:共創の時代】

キャラクタータイアップを行うことにより、そのキャラクターのファン層に確実にアプローチを行うことが出来ます。最近では企業が販促施策の中で、ファンをコミュニティ化していく動きも生まれているといいます。一方で、ただキャラクターを使えば良いというわけでもなく、その世界観をどのように受け、どうコラボしていくのかということも重要になってきます。これからの時代、キャラクタータイアップの事例のように、ファンとともに共創していくことが成功要因の一つとなります。そのためにはファンが好きなモノを好きと言えるようになる熱意や情熱を持ち、それを体現していくことが必要になると言えそうです。

(参考文献 販促会議February 2014)

キャラクタータイアップ 銀座松屋「エヴァンゲリオン展」

本日はキャラクタータイアップ、銀座松屋「エヴァンゲリオン展」の事例に関して記載します。

【銀座松屋「エヴァンゲリオン展」】

2013年8月7日~26日にかけて銀座松屋で「エヴァンゲリオン展」が開催されました。この催は庵野秀明氏と制作会社が監修していて、最新作「Q」を含む生原画や設定資料が初公開されるなどしました。また、シャワー効果を高めるべく、催と売場が連動し、エヴァ展に来場した顧客を各フロアへ誘導する施策を実施しました。

3階の婦人服売場や5階の紳士服売場にはエヴァの登場人物の等身大フィギュアを展示し、加えてキャラクターをイメージしたコーディネイトの提案も行いました。アスカの私服のコーディネイトを展示するセレクトショップ「リタズダイアリー」の売場の前には男性客が訪れ、シンジやカヲルの私服コーディネイトを展示する紳士服売場の前には女性客が訪れる、といった具合に、普段は行かない売場へ誘導する仕掛けを凝らしました。

他にも、屋上「美しくなるビアガーデン」では作品の中に出てくる赤い海をテーマにしたカクテル「RED OCEAN」を販売したり、食料品フロアではネルフのロゴ入りクッキーの販売を行ったりしました。各フロアの飲食店においても、作品をモチーフにした限定メニューの提供を行いました。

このように、催と売場が連動し、8階催会場から各階への顧客の回遊性を高めたのです。

【店内のエヴァファン有志がチームを組み、知恵を出し合う】

このエヴァ展では、フロアを超えて催と売場が連動しただけでなく、この催で獲得した新規顧客が、その後も継続的に来店してもらえるよう、会期中5000枚の数量限定でエヴァデザインのポイントカードを発行しました。このように、売場や催だけでなくカード担当も加わり、部門の垣根を超えてエヴァ展を盛り立てたのです。

このように様々なセクションが連携できたのには、直接の担当部署であるコンテンツ事業課だけでなく、他部署からエヴァファンを募集したことにあるようです。この時、15人の有志が集まったのですが、彼らは店舗外壁を催期間中『エヴァ初号機』の色にライトアップするというアイデアを出し、実施に移しました。ちょっとしたことのようにも感じられますが、ファンにとっては嬉しい演出だと思います。

【エヴァ展の結果】

エヴァ展の実施により、期間中の入店客数は前年同月比12%増、銀座店全体の売上は9%増と店全体の売上・入店客数にも大きく寄与。催単体で見ても、エヴァ展来場者数は20日間で延べ15万人と同店催史上2~3位という大きな成果を出すことに成功しました。来場者層も10代~70代と幅広い顧客層を集客できたのですが、特に同店の平常時に比べて若年層の集客に成果を上げることが出来ました。

同店ではエヴァ展の前にも高橋留美子氏の展覧会や「赤塚不二夫展」「ベルサイユのばら展」を実施してきました。サブカルコンテンツの催を行う際には、瞬間風速的に流行しているコンテンツよりも、各世代にコアファンを有し、顧客層の拡大が期待できるものを選んでいるといいます。

キャラクターとタイアップするメリットの一つに、そのファン層に狙いを定めてアプローチできるということがあります。既存の顧客層と異なるファンを持つキャラクターと組めば、新規顧客獲得につなげることが出来るのです。銀座松屋がエヴァと組むことによって若年層の新規顧客の獲得につながることができるということです。

また、このエヴァ展においては催会場内に「ローソン松屋銀座店」と題し、過去にローソンが販売したオリジナルエヴァグッズなどを展示していますから、その柔軟な発想力も成功の秘訣だったように思われます。

(参考文献 販促会議February 2014)

ローソンのキャラクターを切り口にした集客策

本日はローソンのキャラクターを切り口にした集客策に関して記載します。

2013年12月26日午前8時~2014年1月6日まで東京3店舗、大阪1店舗、大分3店舗にて年末年始限定企画として、最近人気の『進撃の巨人』のオリジナル装飾店が登場しました。東京だと、ウォール・シーナ店・東京ドームシティ店、ウォール・ローゼ店・新宿イーストサイドスクエア店、ウォール・マリア店・羽田空港第二ターミナル店といった具合です。対象店舗において“数量限定・装飾店限定のオリジナル商品の販売”“先着・数量限定のオリジナルレジ袋プレゼント”“対象商品お買上げで数量限定オリジナルコースタープレゼント”“先着1000名にキャラクターポスタープレゼント”を行っています。

ローソンでは2010年ごろからAKB48の人気などアキバ系文化への注目度が上がってきていることに着目。その時代の流れを受けて店舗の展開に活用しています。2010年4月23日、ローソン箱根仙石原店の店内をまるごと『エヴァンゲリオン』の世界観で染め上げて、店名も「ローソン第3新東京市店」として期間限定オープンしました。外観や内装をエヴァのキャラクターの巨大ポスターで装飾したり、からあげクンのパッケージをエヴァのキャラクターにしたりしました。また、特定の地点でスマホ専用のアプリを使用すると、風景の中に巨大なエヴァが現れるAR(拡張現実)の企画も行いました。この企画は大変好評で、5月17日まで予定していましたが、人が来すぎたために2日間で中止となりました。

その他にも、2010年に仙台の仙石柳町通店の店舗を『ジョジョの奇妙な冒険』の第4部に登場するOWSONに改装(看板までOWSONに変えています)したり、2011年にホテル京阪ユニバーサルタワー店で『けいおん!』の店舗を展開したりしています。

ローソンでは2010年前からもジブリやリラックマといった王道・メジャーキャラクターとコラボを行っていますが、2010年以降はそれと並行してマニアックなキャラクターにもコラボを広げています。

ローソンでは、アニメやゲーム、アイドルなど、様々なジャンルについて、それぞれ何万人くらいのファンがいて、どのような商品が売れるのか、どういった層があるのかなどを調査し、それぞれのファンに喜んでもらえることをしっかり押さえ、店舗で実現しているのです。

上記のようなイベントをソーシャルメディアにて情報発信するのですが、その情報はバイラルで拡散し、今までとっかかりのなかったお客様の来店促進につながっていきます。キャラクターの求心力・注目力で人を惹き付け、ソーシャルメディアで発信することで、より多くの人々に共感を持ってもらえるようにしているのです。人々の嗜好が多様化する中で、それぞれのマーケットがどれくらいの大きさを持っているか調査し、それを持ってファンを惹きつけるイベントを実施するローソン。今後はどんなキャラクターとコラボをして集客につなげていくのかも、非常に興味深いものがあります。

(参考文献 ローソンのソーシャル・キャラクター戦略)

ローソンとリラックマのコラボ

ローソンとリラックマのコラボに関して記載します。

【ローソンとリラックマのコラボによる成功】

最近、コンビニに様々なキャラクターがあふれているような気がします。例えばローソンはリラックマとコラボする際に「既存の商品にリラックマの要素を取り入れる」「コンビニの色にあったグッズの開発を行う」というわけではなく、ローソンが全面的にリラックマの魅力を押し出していくキャンペーンを行っているそうです。それにより店舗全体でリラックマキャンペーンが盛り上がっていくと言います。ローソンとリラックマの最初のキャンペーンでは、想定を上回る商品が売れ、パンについている応募券を集めるともらえるリラックマのマグカップは各店舗で品切れが続出しました。

【ローソンとリラックマ コラボによる成功の理由】

リラックマの会社サンエックスとしては、ローソンとコラボをするに当たり、リラックマは物臭でかわいいという世界観を守り通しているといいます。それによりリラックマを知る人が安心して商品を購入することができるためです。

ローソンとリラックマのコラボの成功の秘訣はお互いに協力し合い「リラックマ」を店舗全体で打ち出したことと、商品開発を行う際にその世界観を守り通したことにあるようです。今後も店舗とキャラクターの新たなコラボが続々と出てくると思われます。

 (参考文献 ローソンのソーシャル・キャラクター戦略)

キャラクターコラボに関して

キャラクターという視点から記載してみます。

2013年7月30日~8月31日までLAWSONで『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE2000%』というコラボ企画がTwitter上を賑わせたようです(イラスト入りのLチキ袋)。この『うたの☆プリンスさまっ♪』は通称『うた☆プリ』と呼ばれ、㈱ブロッコリーがPSP用ソフトとして販売した女性向け恋愛アドベンチャーゲームのようです。そういえば渋谷駅の『うた☆プリ』ポスターを前に何人もの女性が写真を撮っていたような記憶があります。

 近年、ゆるキャラブーム等で様々なキャラクターが登場しています。8月6日には日本百貨店協会のご当地キャラ総選挙も開催され、千葉県船橋市のふなっしーがトップに立ったようです。このようにさまざまなキャラクターが誕生しているキャラクター市場、その市場規模は大きく、2012年の日本国内のキャラクター商品の小売市場規模は1兆5340億円となっています。前年比でみると△4.5%とその規模を縮小はさせているようですが、20代、30代の購買シェアが拡大しているようです。先ほど上げた『うた☆プリ』などは若年層をターゲットにし、ゲームとコンビニがコラボして、登場するキャラクターを前面に打ち出した商品を販売することで売上の拡大を狙っているのでしょう。ちなみに2012年のキャラクター商品の小売市場ランキングは1位「アンパンマン」2位「ミッキーマウス」3位「ポケモン」となっているようです。個人的にはミッキーマウスよりアンパンマンのキャラクター商品のほうが売れていることには驚きです。

キャラクターと言ってもくまもんやチーバくんのようなゆるキャラや『うた☆プリ』のようなキャラクター、ペコちゃんやカーネルサンダース人形のようなキャラクター、様々です。これらを分類すると以下のようになります。

 1.ファンシフル・キャラクター

新聞、雑誌等に掲載される漫画、アニメや特撮のテレビ番組、映画などに登場する人物、擬人化された動物、植物、ロボットなど。

 2.オリジナル・キャラクター

内外を問わずグリーティング・カードの絵柄や各種の商品に使用されている絵柄(多くは名前がついている)、また一般的に市販されている人形やロボット玩具など(平面に使用する場合は平面化した絵柄)、マスメディアから生まれたものではないキャラクター

3.アート・イラストレーション

美術家、イラストレーター等の作品でライセンス契約によって商品に使用されるもの

4.商標、マーク、ロゴ

著名な商標、絵柄をあしらったマーク、文字だけのマーク、ロゴなど、またその組み合わせで商標登録されないものでも、知名度が高く、個人や法人が権利をもつとみられるもの(これは不正競争防止法や民法907条の不法行為の規定によって保護される)

 5.パーソナリティ

実在するプロスポーツ選手、タレント、著名人等の肖像や氏名。有名な馬、犬、猫などの容姿も含まれる(この場合、権利をもつのは所有者)

 一口にキャラクターといっても様々ありますが、ある企業の方がテレビでキャラクターの人気は株価のようなものだと話していたことを思い出します。キャラクターを登場させることによって競合との差別化を図り経済的なメリットを得ることを目指しているという部分が多々あると思いますが、多くのキャラクターが登場することによってキャラクター自体がコモディティ化しているという考えも否めないような気がします。キャラクター業界においても、やはり経済的なメリットを産み出すためには、他キャラクターとの差別化しオンリーワンの存在になることが必要になってくるということでしょう。