本日は、「おひとりさま男性」「おひとりさま女性」に関して記載します。
【おひとりさま男性】
現在、男性の非婚化・晩婚化が進んでいるようです。2010年の国税調査によると30~34歳の男性の未婚率は47%とほぼ半数、35~39歳の未婚率は36%とほぼ3人に1人という状況で、未婚率がかなり高いようです。このような状況の中で、今後、独身男性の数が増えていくことはほぼ確実な状況です。このことは肌感覚的にも実感できます。昔とは違い、別に30歳過ぎていて結婚していなくても“普通”な環境になってきています。また、年収と未婚率には相関関係があるようで、年収300万円以下になると未婚率が急激に高くなるそうです。このことを年収300万円の壁とも言うそうです。
また、独身男性の多くが親と同居しているようです。年収300万円未満の独身男性の7割以上が親と同居、年収500万円以上の男性でも半数が親と同居しています。パラサイト・シングルという言葉もあるようですが、親と同居し、生活面の面倒を見てもらい、経済的にも依存する独身男性が相当数にのぼっているようです。
独身貴族という言葉があるように、年収500万円以上の男性で親と同居していれば、さぞ、個性的でデザイン性にとんだ商品をたくさん持っているのだろうと想像してしまうかもしれませんが、実際はそうではないようです。30~50代で年収500万円以上の独身男性が積極的にお金を使いたい分野の第一位は「趣味・レクリエーション」(59%)、続いて「人とのつきあい・交際」(36%)、「旅行」(33%)というようになっていて、モノにお金を使うのではなく、自分の趣味や、仕事上の資産となる人脈づくりのためのコミュニケーションにお金を費やしています。また、モノを買う際にも、保守的な消費意識を持っています。「有名メーカーの商品を買う」「日本製品を買う」といった安心感を求める志向が強く、「いつも買うと決めているブランドがある」「定期的に購入する商品はいつも同じ店舗で購入することが多い」というように、ブランドや店を決めている傾向があります。そして、買う前にいろいろと情報収集を行い、買い物に失敗しないように心がけているようです。独身男性は有名メーカーや日本メーカーなどの無難なものを選び、あまり新しいものに挑戦しない傾向があるようです。目新しいものを買って買い物で失敗したくないということでしょう。
年収が高く親と同居している独身男性は個人で自由に使えるお金が多いため価格感度が低いと言います。確かにお金に余裕があれば、スーパーの安売りで1円でも安いものを買おうとか、ネットで最安値の販売先を探して買うとかして、時間を使うことをせず、自分で気に入ったものを買います。今後増えていくこの独身男性の消費動向を押さえておくことは小売業を営む人にとって必要になってくると思われます。
【おひとりさま女性】
おひとりさま男性に続いておひとりさま女性に関して記載します。
男性同様に女性の非婚化・晩婚化も進行してきています。2010年の国勢調査によると、30~34歳女性の未婚率は35%、35~39歳女性の未婚率は23%に達していて、30~49歳の未婚女性の人数は370万人にものぼっています。また、30~49歳の女性の中で、離別や死別により現在配偶者がいない人は136万人にものぼります。未婚・離別・死別で配偶者がいない状態の女性は合わせて500万人以上いることになります。確かにおひとりさま男性同様、おひとりさま女性も多く見受けられるようになった気がします。街コンのような企画が人気を呼んだのは男性・女性ともにおひとりさまが増えたことも原因にあるような気がします。
さて話を戻しまして、未婚化・晩婚化は今後も進むことが想定されていますが、おひとりさま女性の購買力はかなり高いようです。野村総合研究所の実施したアンケート調査からは30代、40代おひとりさま女性のうち、8割以上が働いており、その中で半数以上が正社員として雇用されています。また、おひとりさま女性は1ヶ月に自由に使えるお金が7万円以上ある人が18%、40代おひとりさま女性は19%、50代以上では26%という結果になっているようです。子どもの養育費などに自分の稼ぎを割かれることがないため、おひとりさま女性は経済的な余裕があり、企業側から見ても配偶者のいない女性は無視できないセグメントとなっているようです。
30代、40代のおひとりさま女性は、ファッションや美容の他、趣味や交際費など充実したプライベートを過ごすための支出が多く、ファッションや化粧品を選ぶ際の情報源は「雑誌・フリーペーパー」「クチコミサイト」「企業のホームページ」が多くなっているようです。また、休日の過ごし方としては、音楽鑑賞、映画・演劇・美術鑑賞、DVD鑑賞、外食・グルメ・食べ歩き、ドライブと多彩。旅行についても積極的で、過去1年に1回以上海外旅行に行った割合はおひとりさま以外の女性が21%であるのに対し、30代おひとりさま女性は32%となっていて、さらに3回以上海外に行っている人は10%も存在しています。
消費価値観に目を向けると、おひとりさま女性は同世代のおひとりさま以外と比べて、とにかく安くて経済的なものを選ぶ人が少なく、自分のライフスタイルにこだわり、周りの人と違う個性的なものを選ぶ人が多いようです。そのようなことから、おひとりさま女性がインフルエンサーとなっていることもあるようです(インフルエンサー:世間に大きな影響力を持つ人や事物を表す。特にインターネットの消費者発信型メディア(CGM)において、他の消費者の購買意思決定に影響を与えるキーパーソンを指す)。このことから企業としては、おひとりさま女性の満足度を高め、良い情報を拡散してもらうことが重要となります。
少子高齢化が言われる中、それに伴って男性・女性ともに“おひとりさま化”が進んでいます。このことは日本の消費環境に影響を与えているでしょうし、企業側が顧客のターゲットを絞り込み商品を作る際にも影響を与えることが想定されます。
(参考文献 なぜ、日本人はモノを買わないのか?)