マーケティング3.0「モンベル 経営の哲学」

本日はマーケティング3.0「モンベル 経営の哲学」に関して記載します。

モンベルは事業領域をアウトドアスポーツ用品の企画、製造、販売を行う1975年に創業した企業です。創業者は辰野勇氏で、1969年21歳の時にスイスアルプスのアイガー北壁登頂に日本人で2人目に成功したほどの探検家・冒険家。社員の大部分もアウトドアのプロで、自分たちが作りたいものを作り、結果として日本発のアウトドアブランドに成長した企業です。この企業の売上高を見ると2009年から2012年で280億円から420億円と成長しています。企業の持っている精神が、売らんかなの精神ではないからこそ、成長しているのであろうことが想定できる企業です。

同社は設立後まもなく、大手スポーツ用品メーカーから商品開発の依頼があり、ユーザー視点とノウハウを活かした商品を納入し、その商品はヒット。順調に見えた滑り出しも、コストダウンを理由に、他社に製造を委託されてしまいます。このことを契機に同社では自社ブランドによる事業展開が必要だと痛感。また同時期に経営には哲学が必要だと考え「儲けること以上に、どう生きるか」という概念が浮上したといいます。

設立5年後から自社商品への取り組みを本格的に始動。デュポン社が開発した通気性に優れた化学繊維を使い、水に強くて軽い上に保温性が高い寝袋を開発し、同社で最初のヒット商品となります。1990年には同社のブランド力を向上させるため、JR大阪駅構内のGARE大阪(現在のALBi大阪駅店)に直営店を出店。直営店にて一般のアウトドアショップでは取り扱わない同社商品を取り揃え、アウトドアファンを共感させます。そのことによりモンベルのブランド価値は向上していきます。

同社では冒険家や探検家を応援する「チャレンジ支援」として、元F1ドライバーで登山家の片山右京氏などを支援。2005年には「モンベル・チャレンジ・アワード」を創設。癌と闘いながら世界一周走破に挑戦しているサイクリストのシール・エミコ氏などに贈賞。計画段階から彼らの活動を支援しています。

同社では採用活動を行わなくても、毎年400~500人の入社希望者が来るといいます。モンベルの価値観に共鳴し、同じ価値観を共有できる組織で働きたいという意識の高い人材が集まれば、組織は活性化していきます。強いブランド力を発揮する企業の条件として「社員に自社製品のファンが数多くいる」ということがあります。辰野勇氏は利潤の追求を第一の目的には置かず、「楽しいことをしている幸せは、人と比べられず、幸せを感じ続けられる」ことから、「世界一幸せな会社をつくる」ことを標榜しています。登山家として、苦しい中にあっても達成した時の喜びや素晴らしさを知る方らしい発言のように思われます。辰野勇氏は日本型経営の終身雇用制度について、ある時アメリカの経営者から、能力の劣る社員がいた場合でも解雇できないのは、企業が収益を上げることができないのではないかと質問を投げかけられた時に、「もしあなたの子どもが障害を持って生まれたり、勉強ができないからといってクビにできますか?」と切り返したとも言います。アメリカにおいてもCS以上にESを大切にすることの重要性が出てきている中で、こういった考え方は社員のモチベーションに大きくプラスするのではないかと思います。

同じ価値観を持つ専門性の高い社員が集まり商品を作り上げていく。モンベルはそういった強みを持つ企業だと感じました。

(参考文献 成功事例に学ぶマーケティング戦略の教科書)

コカ・コーラのクロスマーチャンダイジング

本日はコカ・コーラのクロスマーチャンダイジングに関して記載します。

日本コカ・コーラ社の調べによると、スーパーマーケットで購買者が本人以外のために清涼飲料水を買った割合は70%で、消費者と購買者は必ずしも一致していないという結果になったようです(自動販売機でも90%以上が自分自身のための購買。100%自分自身のための購入ではないとのこと)。また、49%の割合の人が、店頭で清涼飲料水の購買を意思決定しているといいます。このことから、消費者と購買者は必ずしも一致しておらず、消費者に対するマーケティングに注力するだけでなく、購買者(ショッパー)に働きかけていくことが必要であるということが言えます。また、来店前に何を買うか決めていない非計画購買者に対して、店頭において何らかの商品の魅力を提供し、来店客を購買客へ変えていく施策が重要だということが言えます。

メーカーサイドが売上を伸ばしていく施策として“商品の価格を下げて販売する”という方法がありますが、これは企業の体力的に長く続かない施策となります。そのため、“新しい商品をどんどん市場に投入する”“利用するシーンを喚起し、既存の商品の売上を伸ばす”という施策をとることになります。今の時代のようにモノが簡単に売れない時代においては、新商品をどんどん出しても売れ残りが発生し在庫リスクが高まる可能性があります。そのため、既存の商品の売上を拡大する施策を打ち出す方が効果的な施策となります。

このような観点からコカ・コーラは日清フーズと共同企画しクロスマーチャンダイジングでの売場提案を行いました。クロスマーチャンダイジングとは関連性のある商品をある意図のもとに集約し、陳列・販売することで、関連商品購買、衝動買いを促し、客単価をアップする施策です。例えば、お酒とウコンドリンク、焼肉と黒烏龍茶、浄水器とエスプレッソマシンといった感じです。

リーマンショック以降、ライフスタイルとして「イエナカ消費」という言葉が生まれ、家族全員が家の中にいて、家庭内の生活を充実させようという消費が進みました。その中で空気清浄機や床暖房、加湿器といった商品が飛ぶように売れていくのですが、それに合わせて食生活も変化していきます。それまでお皿がいくつも並んで一人ひとりが個食している状況が続くという環境があったのですが、家に家族が全員いるので、それでは食事の用意や後片付けが面倒という感覚となってきます。その中でオコバー・タコバー(ホットプレートを家族や友人と囲んでお好み焼きやたこ焼きを作って皆で気軽に楽しむこと。お好み焼きパーティー、たこ焼きパーティーの略)という行動が始まります。

コカ・コーラはそこに目をつけ、日清フーズとのクロスマーチャンダイジングを図り、飲料売場に粉物を、粉物売場に飲料を同時展開して露出を最大化していきます。その結果、特売という手段ではなかったにもかかわらず、期間中の売上をコカ・コーラ29.4%増、お好み焼き粉・たこ焼き粉32.3%増、他関連SKU12.8%増、関連商品トータルでは21%増と大きく伸ばすことができました。新しい購買体験を通じて新しい購買習慣を作り出すことに成功したのです。

従来の枠組みにとらわれず購買者へその商品を使用している際の状況を喚起してもらうように商品陳列・販売を行うと売上増につながる可能性が高まるということでしょう。そのためのクロスマーチャンダイジングという手法は有効だと言えそうです。

(参考文献 ショッパー・マーケティング)

ネットスーパーの販促活動

ネットスーパーの販促活動に関して

2009~2010年にかけてイトーヨーカ堂やイオンなどの大手企業が、ネットスーパーの利用可能エリアを拡大するなど積極攻勢を仕掛けている。また、ネットスーパーをPRするテレビCMも2010年ごろから流れはじめ、ショッパーの間で急速に認知が広がっている。

ネットスーパーでの販促を仕掛けるには、利用者のアクセスが集まるページや、買物サイト内の主な動線上に、ショッパーの関心を誘うような情報・コンテンツを配置することが重要になる。あるネットスーパーでは、利用者が会員IDやパスワードを入力して会員専用の買物画面にログインすると、その直後に、商品特売情報などの紹介ページを表示する仕組みと整えている。これは、ユーザーがウェブページを読み進めるプロセスで、半ば強制的に広告情報を挿入する「インタースティシャル広告」というインターネット広告の手法。そもそも買物することを目的にネットスーパーの会員画面を開こうとしているユーザーがほとんどなので、こうした手法を使って特売情報をアピールすれば、ついでに買われる可能性も高まる。

注文商品を家庭に届ける場面も、有効なプロモーション機会に位置づけられる。商品を配達する際、新製品の試供品を同梱すれば、手に取ってもらえる確率が高く、製品をアピールする格好の機会となる。新製品をプロモーションする際、街頭でのサンプリングを実施するケースがあるが、どこでサンプリングをするのが効果的なのかを見極めるのは、そう簡単ではない。また、ターゲットとする人に確実に渡そうとするには、配布スタッフへの教育や管理もある程度必要となる。不確実な要素が少なくない街頭でのサンプリング活動に比べると、ネットスーパーの商品配達場面を利用したサンプリングは、消費者への到達精度の高い手段。

商品配達には気を使っている。商品配達で不具合が生じるとネットスーパー利用へのイメージダウンにつながりかねないため。注文商品をピッキングする上でも、商品選びに間違いがないかどうか厳重にチェックするほか、ピッキングした商品が傷んでいないかどうかにも神経を尖らす。ある大手のネットスーパーでは、商品を配達するスタッフには禁煙をルール化している。

バナー広告:買物サイトの上部など目立つ箇所に、広告枠を掲出する手法。専用のプロモーションページにリンクすることが一般的。ネットメディアでの代表的な広告手法。バナー広告の表示回数に対して、何回クリックされたのかという割合を表すCTR(Click Through Rate)は市場全体で1%を大きく下回るとも言われている。

インタースティシャル広告:利用者がページを閲覧する最中に、広告情報を半ば強制的に表示する仕組み。目的のページにアクセスすると、そのページに移る前に広告ページが表示される運用が一般的。ページ遷移時にページとページの間に表示する広告のこと。広告を表示して一定時間がたつと自動的に次のページに移動する仕組みになっていることが多い。スプラッシュページと呼ばれることもある。コンテンツとコンテンツの間に広告を挿入する発想はテレビと共通している。トップページが表示される直前のインタースティシャル広告は,イントロマーシャルと呼ばれることもある。これらの広告はページをまるごと広告スペースとして利用できるので,自由なクリエイティブが展開できる。

ダイレクトメール広告:お勧めの商品や特売情報などをメールで伝達する手法。チラシのような役割を担う。見込み客にアプローチできる有力な手段といえる。メールの件名・掲載内容がその開封率を左右しやすい。

配送手数料の割引キャンペーン:ネットスーパーの多くは、一定の配送手数料を利用者に課金する。その手数料を引き下げることで、利用者を増やそうとする手法。手数料が無料になる買物合計額の水準を下げることも、有効な利用促進手段になる。(例:買物合計5,000円以上で配送料無料→合計3,000円以上で無料)

無料サンプリング:商品配達時にメーカーの試供品を配るサービス。街頭でのサンプリング活動に比べると、有力なショッパー(主婦など)の手に届く確率が高い手法。

(参考文献 ショッパー・マーケティング)

スーパーの商品アイテム数と買い物のしやすさ

本日はスーパーマーケットにおける“商品アイテム数”と“買い物のしやすさ”の関係に関して記載します。

僕たちが買い物を行う際のパターンとして、初めから買いたいものが決まっていて商品を買いに行く“計画購買”と買いたい商品が決まっておらず店の中で買うモノを決定する“非計画購買”に分かれます。その計画購買と非計画購買のスーパーマーケットにおける割合はほぼ2:8となっています。NHKで消費税対策に関連して「買い物を節約するには」といった内容で放送しているのを見たのですが、「好きな商品でたくさん使いそうだから買う」とかいった理由でポンポンと買い物かごに商品を入れている主婦を取り上げていました。

スーパーマーケットで取り扱っている食品や日用品は家電製品や高級ブランド品とは異なり価格が低いことから、買った商品が自分の期待している内容に見合わなかったり、品質が劣っていたりしていても、それほど後悔することはないのです。そのため、商品に対していろいろと情報を特別集めることなく、購入するにあたって商品に対する情報量は限定的となります。

消費者が購買をするかしないかを限られた情報の中で決定しているということは、店頭における情報提供が売上に直結していきます。消費者が売場で商品を視認し、代替商品との比較検討をし、購買の意思決定を行うまでの時間は1分以下だと言います。そのうち陳列されている商品を見る時間はもっと短くなりますので、店舗側はその短い時間の中で商品について消費者に情報提供できるようにする必要があります。そのためには商品を認識しやすい商品陳列を行うことが重要となってきます。

流通経済研究所が棚に陳列されている商品アイテム数と商品の見つけやすさについて調べた実験を行っています。実験室に米菓の売場を再現し、品揃えアイテム数を増減させた売場を被験者に見せ、その売場を評価してもらうという実験です。品揃えアイテム数の増減に対する評価は「商品の見つけやすさ」「商品の比べやすさ」「品揃えの多さ」「総合的な買い物のしやすさ」といった買い物に関する項目となっていました。結果としては、アイテム数を削減すると「品揃えの多さ」についての評価は減少する一方で、「商品の見つけやすさ」「商品の比べやすさ」といった売場における消費者に対する情報提供の項目については増加する結果となったそうです(注:ABC分析によりCランクとなった商品の数量を増減させた実験)。いくら品揃えが多い売場であっても、目的とする商品が見つかりにくかったり、商品比較をしにくかったりするようであれば、消費者は商品を購入するにあたってストレスを感じるということです。例えば、スーパーではありませんが、アップルストアの陳列が商品数は少ないけれど、1点1点の商品の比較をしやすいという感じでしょうか。売場面積が限られている中において、ただ商品を詰め込めばいいというわけではなく、適正なアイテム数・フェイス数を考えた上での陳列を店舗として実施していく必要があるということでしょう。実務の観点からも、過剰なアイテム数は管理コストの増加につながります。どの商品をどの数量陳列していくのか、しっかり検討していくことが重要なのでしょう。

(参考文献 インストア・マーチャンダイジング)

ゼンリンのイノベーション

本日はゼンリンのイノベーションに関して記載します。

 現在、新聞や雑誌など日本のメディアは大きな岐路に立たされていると言います。

 近年、書籍や新聞紙の価格設定が紙を基準としたものから、ネット上のコンテンツや電子ブックの登場で形のないものとなってきています。例えばアマゾンの「Kindle」や楽天の「kobo」といった電子書籍が登場しており、楽天では2020年の電子書籍コンテンツ市場を1兆円と想定しているようで、今後ますます発展してくることが想定されます。僕自身のことを振り返ってみても本棚を必要としないことから電子書籍の購入が徐々に増えています。

また、現在、コンテンツの無料化が進んできています。情報にお金を出す人が減少し、売上・収益が減少してきているのです。

既存のメディアや出版社各社が時代の変化の中で今後の経営を模索する中、国内最大手の地図情報会社「ゼンリン」はいち早く自社の情報をデジタル化させて事業構造を転換させました。同社は1982年にコンピュータ時代の到来を確信し地図の電子化を決断。それまで地図の製作は毎年、人の手で書き換えられていましたが、住宅地図の制作自動化システムや情報利用システムの開発を進めていきます。そのごヤマト運輸の宅急便が誕生したことにより、荷物の送り先の確認用に地図が必要となり、市場は急速に拡大していきます。その時期にゼンリンは地図データをCD化し、何冊もの住宅地図を持たなくても良いようにします。その後、GPSが民間に開放されカーナビの運用が始まると、同社はカーナビを製造するメーカーにデジタルデータを提供し、データを使用した企業から利用料を徴収するビジネスモデルに着手。さらにネット上で地図情報が提供されるようになると、プロバイダーに地図のデジタルデータを提供するというビジネスモデルに進化していきます。

 従来は地図を利用する人が地図を購入し同社の利益となっていましたが、ITの進化に伴い、地図情報を提供するカーナビのメーカーやネットのプロバイダーが利用料金を払うことによって利益を得られる形が現れました。この時代の変化の流れを読み、ゼンリンは出版社からコンテンツとサービスを提供する企業に業態が変化していきます。

 地図業界はゼンリンと昭文社が市場を二分しているようですが、上記のような電子地図関連ビジネスが急成長していることから、ゼンリンは有利に立っているようです。技術の変化に伴って自社の提供する商品・サービスを転換していくことは、企業を成長させていく上で重要だと言える一例です。

 (参考文献 成功事例に学ぶマーケティング戦略の教科書)

マーケティング3.0 「永谷園生姜部」

本日はマーケティング3.0、オフィシャルでない活動を通じてブランディングに成功した「永谷園生姜部」に関して記載します。

 永谷園はお茶漬け海苔や即席みそ汁のあさげなどの商品が有名ですが、健康を切り口とした生姜の商品でも有名です。永谷園は多くの女性が世代を問わず抱える冷えの悩みを和らげるために、体を温めると言われてきた生姜を使った“「冷え知らず」さんの生姜シリーズ”を2007年6月に販売したところ、初年度の売上が約4億円と予想外の大ヒットとなりました。そのことを契機に同社は生姜の可能性に着目します。生姜は昔から多くの長所があると言われてきましたが、その特徴や効用などは解明されていないことが社内で判明します。そこで生姜が持つ可能性に着目し、社員が知識を深め、その特徴を活かした商品を開発するために「生姜部」という組織を発足させます。この生姜部の特徴としては、趣味のクラブ活動的位置づけとして社内で始まった正式な部門ではないということです。集まっている人々は部門や年齢、役職も様々なようです。ネットで見ると2013年11月現在では広報部や情報システム部、研究部等、入社34年の人もいれば2012年入社の人もいると幅広い人々が生姜部に参加しています。

 生姜部の具体的な活動としては、生姜を知るためには生姜を育てることが必要だと千葉に1500平方メートルの畑を借り、2008年5月から有機栽培を開始。2008年9月には同社の生姜関連商品と生姜に関するレシピ情報などを提供するサイト「永谷園生姜部」を開設。そこではYouTubeやブログなどを活用して生姜に関する情報を提供。生姜を使った動画つき料理レシピの紹介を行ったり、生姜の歌も聞けたりもします。さらに過去には同社は生姜部に社外から部員を公募。社内生姜部員とともに、生姜の収穫、商品開発、レシピムービーへの出演といった活動を行ったようです。

 永谷園生姜部の活動を通じ、“「冷え知らず」さんの生姜シリーズ”はカップ入りスープから箱入りスープ、生姜カレー、生姜はちみつのど飴などに商品ラインを拡張。さらに、他社とのコラボレーション・タイアップ商品として、サントリーの生姜リキュールなどが誕生しています。販路もコンビニからすべての小売業チャネルに拡大しました。

 永谷園はオフィシャルでない生姜部の活動を通じて社内外の人々と共創しながら、世の中に生姜を注目させ、生姜の可能性を引き出した商品を作り、新市場の創造に成功したのです。「興味を持って自発的に動く組織」「部門の垣根を越えたセクショナリズムのない組織」「顧客の参加による共創」といったことが生姜部の活動を通じてできたからこそ、永谷園がそれまで持っていなかった生姜という新たな切り口ブランディングができたのだと感じます。

 (参考文献 成功事例に学ぶマーケティング戦略の教科書)

グーグルを支える広告収入

本日はグーグルを支える広告収入に関して記載します。

グーグルは優れた検索システムを持つ会社として創業されましたが、当時は事業を軌道に乗せるために、「検索エンジンが集めた膨大なデータを処理・保存するための大量のコンピュータを手に入れる資金を調達する」ということと「優れた検索エンジンを使って十分な収益を上げるビジネスモデルを考案すること」という2つの課題をクリアする必要がありました。これらの課題を解決し、更にグーグルの急成長の原動力となったものが、アドワーズとアドセンスという2つの広告サービスの開発でした。

アドワーズは検索連動型広告、あるいはリスティング広告と呼ばれるサービスで、2000年にスタートしました。この検索連動型広告はとても画期的なものでした。アドワーズが開発されるまでのインターネット広告は、例えば“資産運用”という項目を検索する人は“投資”が好きだろうから“投資信託”の広告を載せるという風な出稿が一般的だったようです。しかしながら、資産運用と検索したからといって投資信託とは限らず、株や土地やFXを考えているのかもしれませんし、資産運用と検索しない人の中にも投資信託に興味を持っている人がいるかもしれません。これに対してアドワーズは投資信託と検索した人にダイレクトに投資信託の広告を見てもらうことが出来ます。広告媒体としてのグーグルにとっては少ない表示回数で多くのクリックが期待できるため、多くの広告収入を稼ぐことが出来ます。また、グーグルに広告を出稿する広告主にとっては、クリックした回数にしたがって広告費を払えばいいことから広告の費用対効果を明らかにできるというメリットがあります。

アドセンスは2003年からスタートしたサービスで、ホームページやブログの運営者が自社のサイトの中にグーグルの広告を表示することによって収入を得る仕組みです。グーグルのアルゴリズムが運営者のサイトを分析し、サイトの内容に適した広告を自動的に配信・表示します。サイトを訪れた人が広告をクリックすると、広告主がグーグルに広告料を支払い、グーグルに支払われた広告料からグーグルの取り分を差し引いた金額を運営者に支払われます。

グーグルの売上内訳をみると、広告収入が2兆8,399億円と売上の96.4%(2011年12月期)を占めています。GmailやGoogle翻訳など様々なサービスを取り扱っていますが、グーグルの収益を支えているのはまさしくアドワーズやアドセンスといった広告収入だと言えます。

このアドワーズやアドセンスに絡んで、マイクロソフトとの関係で興味深い件がありました。グーグルは自社の戦略や事業計画などの情報公開をあまりしないと言われているようですが、これは過去のマイクロソフトとの関係が影響しているようです。マイクロソフトのビル・ゲイツは有望なサービスを提供しており、自社のサービスに役立つと考えた企業に対しては買収の提案を行っていました。マイクロソフトからの買収案を受け入れれば問題ないのですが、もしその提案を断ったとなると、マイクロソフトは自社の優秀なエンジニアと潤沢な資金を使って類似のサービスの提供を始め、もともとサービスを提供していた買収を断った企業に大ダメージを与えていたそうです。これはミート戦略と言われる強者が敵対する弱者を打ち負かすときに使う戦略で、強者が弱者と同じようなことを行うことにより、弱者の特徴を打ち消してしまうのです。そういった事態を避けるために、グーグルは株式公開直前まで、できるだけ財務情報を公表しないようにして広告事業の成功を隠し続けていたそうなのです。

アドワーズやアドセンスは広告として画期的な物だと思います。ネットの膨大なデータを活用した効果的・効率的な広告は今後より成長していくように思われます。

 (参考文献 ビジネスモデル分析術)

ネット通販の動画による商品紹介

本日はネット通販の動画による商品紹介に関して記載します。

ネッツ通販の世界では動画による商品紹介がメインになりつつあると言います。アメリカにおいても電子商取引分野で動画通販はビデオコマースと呼ばれ関心を呼んでいます。

テレビ通販のジャパネットたかたは今ネット通販への対応を行っていると言います。その中で高田明社長はネット通販を行う際に消費者を画像につなぎとめるのに必要な要素は「双方向性」だと考え、TwitterなどSNSを活用し商品に対する質問などのやり取りをすることを重視していると言います。今までのテレビ通販だと30分以上をかけてテレビ通販で伝えていましたが、ネット放送の場合だとテレビのように長時間連続して視聴をするわけではありません。ですので、今まで培ってきたテレビ通販の映像表現を、どうネットに活用していくのか、ということは一つの課題となっているようです。また、商品内容も今まではパソコンや映像音響機器に偏っていましたが、酒類、食品、アパレルといったものも取り扱うことを視野に入れ動きをつけつつあると言います。

ネットで女性向け衣料品の企画販売を手掛ける夢展望は2012年春からスマホの通販サイトに動画専用コーナー「ドリームガールズTV」を開設しました。その中では商品の紹介だけでなく出演モデルがコーディネイトを提案するコンテンツの他、ブランドの世界観を再現したPR動画にも力を入れています。夢展望のターゲット顧客層は10~20代の女性です。その世代のスマホの接触時間は長いので、動画で働きかけるのが有効と判断しての対応ということです。

 千趣会も2012年5月に、スマホをかざすと取扱商品の動画が閲覧できるチラシを試験的に195万部配布。AR技術を活用し、衣料品や雑貨など掲載商品の専用マークにスマホをかざすと動画が見られる仕組みのものです。従来のカタログ写真などでは表現できない着心地や質感をスマホ動画で伝え、購買心理を刺激するのが目的なようです。

 動画通販においては、「売り手と買い手の双方向性」「視聴者に魅せる力」といったところになりそうです。

 (参考文献 日経MJトレンド情報源2014)

レゴのマーケティング3.0「価値共創のマーケティング」

本日はレゴのマーケティング3.0「価値共創のマーケティング」に関して記載します。

 国や企業がネット上から自社のサイトやシステムに侵入するサイバー攻撃から身を守るために多額の費用を投じて対策をとっていますが、レゴはハッカーに自社の制御ソフトウエアに手が加えられるようにして、更に商品開発に顧客が積極的に参加できる仕組みを盛り込みました。

その商品は1998年販売の「レゴ マインドストーム」です。マインドストームはアメリカのMITと共同開発した、マイクロコンピュータを搭載した組み立てキットによる自立型のロボットです。販売されて間もなくのことです。ハッカーがこの商品を作動させるソフトウエアに着目。プログラムコードを解読して、ネット上に公開する事件が起きました。このプログラムコードが分かってしまうと、コンピュータプログラムに詳しい人なら、自分流にマインドストームを動かすことができるようになってしまいます。通常の流れであれば改ざんされないようにセキュリティの強化を図るところですが、レゴは反対にプログラムコードを公開。更に改良したマインドストームをユーザー同士で発表できる大会を開催。マインドストームの愛好者が集まる場にはレゴの社員も参加して、交流するようにしました。このような取り組みによりマインドストームのユーザーは拡大し、累計約100万セットという大ヒット商品となりました。まさしく顧客を巻き込み商品の魅力を高めたということになります。

またレゴは日本で“レゴCUUSOO”という会員制ネットサイトを立ち上げています。このネットサイトの仕組みは、会員が新しいレゴの商品企画を考えて提案し、他の1000名以上の会員から購入したいという投票があると商品化されるという仕組みです。これにより有人潜水調査船「しんかい6500」や小惑星探査機「はやぶさ」などが商品化されているようです。

 顧客を巻き込むことにより、自社の根強いファンになってもらうというマーケティング。実際には簡単にできることではないと思いますが、ハッカーの侵入は防ぐべきという発想を転換させ味方につけていく取り組みはレゴのすごいところだと思います。

 (参考文献 成功事例に学ぶマーケティング戦略の教科書)

セコムの事業領域拡張のイノベーション

本日はセコムの事業領域拡張のイノベーションに関して記載します。

自らに枠をして、その範囲の中だけで活動しているといい結果にならないということがあります。アメリカの鉄道事業が自らを輸送事業ではなく、あくまで鉄道事業と定義し、自動車や航空会社をライバルとして見ず、近視眼的な経営を行っていたことにより衰退したという話はよく聞きます。イノベーションを提唱した経済学者のシュンペーターは、イノベーションは経済発展に重要な役割を果たしていて、そのイノベーションの要素の一つに「新しい組織の改革・実現」を挙げています。警備会社のセコムは事業領域を定めつつも、新たな事業モデルを構築することで事業領域を広げ、成長してきました。

セコム(旧日本警備保障)は1964年に開催された東京オリンピックで選手村の警備を行った実績が評価されて、事業に対する信頼を高めました。しかしながら当時は常駐警備が主流でしたので、業務の拡大に伴い人件費は増えますし、要員数以上の業務の拡大が行えないというデメリットを抱えていました。この問題を解決するために考案されたのが「機械警備」というオンラインセキュリティシステムでした。この仕組みはオフィスや工場に設置されたセンサーなどの保安機器と、同社のコントロールセンターとを通信回路で結び、異常が起こるとセンサーが感知した信号を同センターへ送信、警備会社の担当が駆けつけるというものです。機械警備は導入当初は“警備は人が行うもの”というイメージが強く、世間からあまり受け入れられていませんでしたが、1969年に起きた永山則夫連続射殺事件をきっかけにその関心が高まっていきます(千駄ヶ谷の専門学校に殺人犯が侵入。オンラインセキュリティシステムが作動し、警官が駆けつけたことにより犯人が逮捕された)。この流れの中、セコム(旧日本警備保障)は事業スタイルを従来の巡回警備から機械警備へとシフトさせていきます。

その後、セコムは一般家庭向けのセキュリティサービスやココセコムという専用携帯端末を利用した個人向けのサービスも実施。現在では同社の事業を治安・犯罪だけでなく、事故、自然災害、病気、サイバーリスクといった領域にまで広げています。

セコムの取締役最高顧問で創業者の飯田亮氏は「イノベーションというのは技術革新のことではなく、思想のイノベーションなんだ」と発言したそうです。日頃から自分の枠にとらわれず、柔軟な思考を持って行動・チャレンジしていくことは成功のカギとなるのかもしれません。

 (参考文献 成功事例に学ぶマーケティング戦略の教科書)