中国の小売業

本日は中国の小売業に関して記載します。

【中国市場】

中国は14億人規模の人口を有し、人口100万人を超える都市が30以上、50万人を超える都市が40以上あり、小売市場としては魅力的な場所となっています。また、農村部から都市部への人口移動が起こっているようで、住民一人あたりの所得の伸び率が1994年の59%から2004年に66%に伸びたのに対し、農村部では41%から34%へと減少しています。小売業者にとって都市部は魅力的な市場となっているのです。

【外資参入に伴う市場の変化】

1999年時点で中国におけるハイパーマーケットの数は100店舗以下でしたが、それ以降、爆発的に増加していきます。多くの地元企業もハイパーマーケットを展開しましたが、ウォルマートやカルフールなどのような外資系の小売業者には対抗できず、その多くが閉鎖に追い込まれ、ハイパーマーケットの分野では外資系同志の戦いがなされることとなりました。

また、2004年にはWTO加盟に伴う公約を果たすため小売業に対する規制が大幅に緩和され、外資による100%の投資が可能となりました。それにより、メトロは所有権を従来の40%から90%に、ウォルマートが65%に、カルフールが50~60%に引き上げていきます。そして、スーパーマーケット、ハイパーマーケット、コンビニエンスストア業界で競争が激しくなっていきます。それにより地元のスーパーマーケットは強力な外資系小売業と競争するために、より効率的な経営が求められることとなったのです。

一方で、地元の小売業者は立地確保や情報入手などにおいて、政府から優遇を受け、事業展開を進める上で有利になっているそうです。ある現地調査によると、地元の小売業者の売場1平方メートル当たりの売上は外資系の小売業者より70%も高いという結果が出ているそうです。また、政府は外資系の小売業者に対抗できるように、元国有企業の吸収合併を通じた大規模化も進めていると言います。

外資企業が参入し経済発展が促されるのと同時に、政府が自国の小売業を保護しているということでしょう。

【不動産賃貸料の高騰に伴う影響】

不動産の賃貸料の高騰による小売業に対する影響が大きいようです。以前、多くの国有企業は極めて低い賃貸料で有利な立地を閉めていました。しかし、こうした物件の多くも、契約更新を契機として、通常の料金水準に引き上げられました。このことは、企業の収益に大きな打撃を与えています。

また、既存店が契約を更新する場合、賃借料がそれまでの倍に引き上げられます。このような状況だと、利益を予測することが非常に難しくなります。

かつて小売業者は土地を賃借して最小限の投資で急速に成長する戦略を描いていました。ところが、良い立地が少なくなって賃借料も急騰するにつれて、小売業者が土地を購入するようになりました。その流れの中、土地を購入することによる企業の収益の低下に加え、熾烈な他社との競合により、体力の限界に達した小売チェーンが競争力のある企業の買収の標的となっていきました。

【中国の百貨店】

中国で百貨店が誕生したのは19世紀末で、最も伝統的な小売業態です。百貨店は華僑によって始められ、現在、成功しているものも華僑系の百貨店です。百盛はマレーシア系の企業で、トレンド商品を求める中高所得層をターゲットにした、中国最大の百貨店です。太平洋百貨は台湾系の遠東グループの傘下企業で、最も早い時期に中国に進出した百貨店の一つです。

その他、国有企業百聯の傘下にある第一百貨や、北京における地元の大手百貨店であり、16社の完全子会社を持つ王府井百貨があります。また、最近だと2013年10月に仏百貨店のギャラリー・ラファイエットが上海に出店する動きがあります。

急速に発展してきた中国市場は小売業者にとってみても魅力的に映ります。確かに、少子高齢化が始まるまで、市場は魅力的なものだと思います。一方でカントリーリスクがあったり、自由で開放的ではなかったりという部分もあります。全てにおいてそうなのでしょうが総合的に見てどうなのか判断することが必要なのでしょう。

(参考文献 変わる世界の小売業)

イギリスの小売業

本日はイギリスの小売業に関して記載します。

【イギリス食品業界の価格競争】

イギリスの食品小売業は「テスコ」「アズダ」「セインズベリー」「Wm.モリソン・スーパーマーケット」4社による寡占的な市場状況となっていますが、各社による競争は非常に厳しく、小売業者は“価格の引き下げ”“プロモーション”“安売り”という環境の中で事業を行っています。

テスコは小売業売上高世界第3位(2010年度)の企業であり、事業開始時はスーパーマーケット業者として事業を始め、最近ではコンビニエンスストア部門の発展と非食品部門への移行にも力を入れています。また国外市場への急速な拡大する成長戦略を採っています。アズダはイギリスで2番目に大きい食品小売業であり、1991年に新たに着任したCEOによる、ウォルマートのEDLPや価格の引き下げなどを模倣する戦略で成長。1999年にはウォルマートに買収されています。

ウォルマートがアズダ買収を買収したことにより、イギリスの食品小売業界では価格中心の競争が行われるようになり、物価が下がったと言います。つまり、業界にウォルマートが参入したことにより、各社による価格競争が始まり、その結果、値引き合戦が繰り広げられることとなったのです。本来、価格競争を仕掛けるのは規模的・体力的に優位な立場にある上位の企業です。しかしながらイギリスの場合、上位企業のテスコが価格競争を仕掛けたのではなく、下位企業のアズダから仕掛けました。アズダは世界一の売上規模を誇るウォルマートの後ろ盾があったからこそ、値引き合戦を仕掛けることが出来たのです。この下位企業から値引き合戦を仕掛けるのは珍しいパターンのようです。

【イギリスのプライベート・ブランド】

イギリスは、ヨーロッパにおいて最大のPB市場で、ヨーロッパ市場におけるPB売上の4割を占めています。また、PB市場では高級化が進んでいて、例えば、テスコの「ファイネスト(Finest)」やセインズベリーの「テイスト・ザ・ディファレンス(Taste the Difference)」などは、イギリスの多くのトップブランドと並ぶものとして認められています。

併せて、多くのメーカーが特定のスーパーマーケットと提携することに価値を見出しています。例えば、P&Gは「フィジーク(Physique)」というブランドをテスコで独占的に流通させていますが、テスコがこのブランドを店内及び消費者向け小冊子で宣伝したおかげで、P&Gは広告費や販促費の経費削減を行うことができたという事例があります。

【イギリスの百貨店】

イギリスの百貨店は小売販売額全体の5%を占めます。国内で最大規模の百貨店グループのジョン・ルイス百貨店や、セルフリッジ百貨店、高級百貨店ハーベイ・ニコルスなどの百貨店があります。価格引き下げの流れの中で、百貨店の高級化戦略が功を奏しているそうです。

また、ハロッズ百貨店は有名で、博物館のような雰囲気の百貨店です。この百貨店はイギリス王室のメンバーから御用達の指定も受けていました。

イギリスの食品小売業における価格競争を見るに、小売業の企業間の競争も国際的になってきていることが伺えます。

(参考文献 変わる世界の小売業)

スペインの小売業

本日はスペインの小売業に関して記載します。

【スペインの小売業の特徴】

スペインは、第2次世界大戦中から1975年までのフランコ将軍の統治していた時代、文化・経済両面で閉鎖的な社会となっていました。

スペインにおいて経済の自由化が行われたのは1975年以降で、小売業に関しても1970年代以降に急速に変化していきます。その変化は、小規模な家族経営の食料品店→スーパーマーケット→ハイパーマーケットというような流れで、徐々に小売業者が集中化していくという流れではなく、家族経営から一気に、巨大なハイパーマーケットが取って代わるというような、間を抜かした変化を起こしています。

また、スペインの小売業では営業時間に関連して面白い特徴があります。小売店は午前10時か10時半から開店し、午後8時か10時までオープンしているのですが、大半の小売店は午後2時から5時まで昼食とシエスタ(スペインの昼休みの習慣)のために店を閉めています。そして営業時間中で、最もショッピングに好まれる時間帯が、午後6時以降となっており、その時間帯での売上が50%を占めていると言います。レストランに関しても午後8時半まではオープンしないそうですので、比較的、夜型な人々の多い社会なのかもしれません。

【スペインの百貨店とザラ】

スペイン最大の小売業者は“エル・コルテ・イングレス”という企業で、50店舗以上の百貨店と32店舗のハイパーマーケットを経営しています。スペイン唯一の百貨店チェーンであるとともに、インターネット取引においても国内で最も成功している企業です(スペインの全インターネット取引の12%の売上シェア)。

ファストファッションのザラを持つインディテックス・グループは国際市場で急速に拡大している企業で、マッシモ・ヂュッティ、プール・アンド・ベア、ベルシュカ、ストラディバリス、オイショといったブランドを持っています。ザラは高い在庫回転率によって、「次に行ったときには同じ商品はない」という状態を作りだし、消費者の消費喚起につなげています。

(世界の小売業売上高(2010年度) エル・コルテ・イングレス47位 インディテックス49位)

【スペインのハイパーマーケット】

スペインでは多くの女性が労働市場に参入していることにより、個々の食料品専門店に行くよりも、ワン・ストップ・ショッピングができる、ハイパーマーケットやスーパーマーケット、ハード・ディスカウントといった店へ足を運ぶ傾向が強くなりました。

スペインには4つの主要なハイパーマーケットがありますが、そのうち2つがフランスの会社と関連するものとなっています。その一つはカルフール、もう一つはオーシャンです。フランスのハイパーマーケットはスペイン郊外の至る所で見られるそうです。

1960年代にスペイン人の自動車保有者は100人中1人でしたが、今では3人に1人が自動車を所有するようになりました。そのことが大型スーパーの成長につながったのです。

スペインでは、社会的に閉鎖されていた状況から解放された際に、海外からの企業の市場参入により、小売業界は大きな変化を遂げました。また、女性の社会進出によりハイパーマーケットの需要が大きくなったということからも、社会の変化と求められる小売システムの変化には相関関係があるということが言えそうです。

(参考文献 変わる世界の小売業)

ドイツの小売業

本日はドイツの小売業に関して記載します。

【ドイツの小売業を取り巻く環境】

ドイツは西欧で最も人口の大きい国で、GDP順位も世界で第4位の国となっています。小売業に関しても、ドイツの主要な小売業者の5社が世界の小売業売上高ランキング(2010年度)の20位以内に入っています。例えば、世界第4位には29か国において様々な事業を展開する“メトロ”、10位にはハード・ディスカウントやスーパーマーケット業態を展開する“アルディ”がランキング入りしています。その一方、今日のドイツは人口に比べて小売店が多すぎるオーバーストアの状態になりつつあり、小売業の生き残りをかけた戦いが熾烈な状況にあります。

【東西ドイツ統一がもたらした小売業への影響】

1989年11月にベルリンの壁が崩壊し、翌10月に東西ドイツが統一されました。この出来事はドイツの小売業界に大きな影響を与えたと言います。それは東ドイツ国民の購買力がもたらした一時的な売上増、という影響です。統一前の東ドイツ国民は、国営の小売店からしか消費財を買うことが出来ませんでした。併せて贅沢品は資源の浪費と見なされており、購買できる品物は多くありませんでした。そのため、東ドイツ国民は多額のお金を蓄えるようになっていたのです。東西ドイツが統一する直前の1990年の前半、東ドイツ国民は「コンシュマー・ツーリズム」を標榜し、西ドイツまで買物のために旅行をしに出かけるほどで、西ベルリンの小売業の売上は1991年の上半期には24%増を記録したと言います。このように、東ドイツ国民の需要の高まりは一時的に好景気をもたらしました。しかしながら、それは短期的なものでしかなく、1992年、1993年と景気は後退していきました。

【ユーロ・ショック 消費支出の減少】

2002年にドイツの通貨がマルクからユーロへと移行しました。この際、「ユーロ・ショック」と呼ばれる消費支出の減少が起こりました。これは消費者がマルク建てよりもユーロ建てのほうが、製品が高くなっていると感じたために起こりました。実際、いくつかの小売業者はユーロへの移行に伴い、値上げを行ったのです。その一方で、アルディなどのハード・ディスカウント業態は低価格戦略をとります。このことにより、ドイツの食品雑貨の小売分野の構造は低価格構造へとなだれ込み、ドイツの小売業者はヨーロッパの中でも最も低い利益率の下でビジネスを行わなければならなくなりました。

【ドイツ政府による制度・規制】

ドイツはヨーロッパの中でも小売業に対して厳しい制度や規制がある国の一つと言われています。それら制度・規制に関して以下記載します。

■労働組合の影響力

労働組合の代表者が取締役会に加わることを義務付けています。また、大企業の監査役会の半分は労働者と組合代表者が占めることが求められています。これにより企業の経営者は自らの地位を維持しようとすると、過度なまでに労働者に影響されるという結果となっています。

■閉店法による営業時間の縛り

1956年に閉店法が制定され、2003年に緩和されましたが、小売店の営業時間が規制されています。平日は午前6時~午後8時までで、日曜日の営業は認められていません。

■包装法による小売業者への負担

ドイツでは、使い捨ての飲料の缶、ガラス瓶、プラスティックボトルなどの容器に預託金を課すことが要求されています。そして飲料水のサプライチェーンは連携して容器の回収システムを確立する責任を負っています。メトロなどの食品雑貨の小売業者は使い捨て容器の使用を禁止していますし、アルディは回収から最終処分にかかる費用が少ない独自の容器を導入しています。この法律により、一部の企業はドイツ市場への参入を見合わせているといいます。

近年、ドイツ統合やユーロ導入といった“仕組みの大変化”により、ドイツの小売業界は影響を受け、形を変えてきました。このことは、国や社会の制度・仕組みの変化により、消費環境が大きく変わり、小売業もその影響を受けることがあるという事例の一つだと考えます。

(参考文献 変わる世界の小売業)

オランダの小売業

本日はオランダの小売業に関して記載します。

【限られた国土面積ゆえの、小売業の国際化】

オランダはヨーロッパで人口密度が最も高い国であり、長い間に亘って政府が新しい建設地の使用を抑制していたことから、国内での店舗の拡大や拡張が制限されてきました。例えば、オランダのショッピングセンターの開発数は、フランスやイギリスと比べると半分程度だそうです。その様な中、オランダの小売業者は、国内市場での拡大展開の余地が限られていることから、積極的な国際化を進めることで成長の活路を見出してきたのです。

【オランダの小売業の国際化の事例】

オランダ最大の食品小売業者「アホールド」は世界の小売上位250社のリストの中で9位になっている企業です。

アホールドはアメリカで大きな投資を行っていますし、2005年にメキシコとアルゼンチンから撤退した後、チェコ共和国、エストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランド、スロバキアで店舗運営を行っています。

非食品小売業としては、ヴェンデックスがあり、こちらはベルギー、フランス、ドイツ、デンマーク、ルクセンブルク、スペインで事業を展開しています。

【オランダ小売業のロビー活動】

オランダは世界で最も法的規制が厳しい国です。膨大な数の法律と規制が、商業活動のあらゆる側面に影響しています。一方で、オランダ人は“合意に達する”ということが得意な国民だそうで、主要な小売団体が常に一致協力しているそうです。小規模小売業者の団体NWRと大規模小売業者の団体RND、二つの主要小売団体は専門のロビー集団を結成し、「小売店舗へのアクセスのしやすさ」「小売業に課される地方税の条件改善と種類減少の交渉」「万引き、強盗、破壊行動など、小売ビジネスに被害を与える犯罪行為」「小売業の為の支払制度や金融制度に対する料金、インフラ、規制に関して」といったことについてのロビー活動を行っています。

オランダの小売市場に拡大の余地が少なかったことから、オランダの小売業者は国際化を進めてきました。所与の条件の違いが小売業の発展に大きく影響する一つの例と言えると思います。

(参考文献 変わる世界の小売業)

イタリアの小売業

本日はイタリアの小売業に関して記載します。

【ベネトンから見るイタリアの小売業】

イタリアは出生率の低下と高齢化により、衣料品やレジャー関連の製品に対する需要が減ってきているといいます。そのような状況に置かれているため、イタリアの有名なアパレルチェーンであるベネトンやステファネルといった企業は国外に拡大展開するようになってきたと言います。

ベネトンは100か国以上で展開しているイタリアで最も有名なチェーンです。そしてその売上は主としてフランチャイズ店におけるものとなっています。フランチャイズというと、フランチャイズを与えられた店はフランチャイザーに対して加盟料を支払い、売上の一定率をフランチャイズ・フィーとして営業している間、支払うというイメージがあります。しかしながら、ベネトンはフランチャイズ・フィーを課さず、会社の利益は製品の売上のみから取っています。

イタリアではフランチャイズ・フィーを取るようなビジネス慣習は一般的に用いられていないそうで、フランチャイザーはフランチャイズ店での製品販売からのみ収入を得ていると言います。ビジネス慣習の違いにより、同じフランチャイズでも収益の上げ方が異なるということは興味深いものがあります。

【食品小売業から見るイタリアの小売業】

イタリア人は収入の多くを食費に費やしており、その割合は大半のヨーロッパ人よりも大きいそうです。イタリア人はそれだけ食に関してこだわりがあるということでしょう。食品は新鮮であるかどうかが重要だと考えており、他のヨーロッパ人よりも頻繁に買い物をする傾向にあるようです。また、高品質の食品に対して高い期待を持っているのと同時に、PB(プライベートブランド)に関しても、購入の際に最も重視されることが「価格に見合った商品かどうか」ということのようです。“食に対するこだわりの文化”の影響があるのかどうか、イタリア人は、スーパーマーケットやハイパーマーケットよりも専門店に対して感じている好感度の方が多少大きいといいます。

そもそもイタリアは小規模の独立した小売業者が多くを占めています。

イタリアの食品小売は生協(Coop)、コナッド、カルフールという3つのスーパーマーケットチェーンが優勢ですが、優勢と言っても、3社の売上合計は総売上の8%しか占めていない状況です。そのような中、中小規模の小売業者たちは“購買力を強化、またはPB商品を共同開発する目的”で共同仕入れグループ(バイイング・グループ)を結成しています。バイイング・グループの力を使い、イタリアの小売業者は自社の購買力をアップさせています。ですので、小売りチェーンはバイイング・グループの拡大のために協力しています。バイイング・グループ自体、「インターメディア」「パム」「ロー」「シサ」「デスパール」「コープ・イタリア」「シグマ」「セレックス」などなど数多くあります。日本においてはCGCグループというコーペラティブチェーンがあり、中小規模のスーパーマーケットが共同でPBを作ったりしていますので、それに近い形なのかもしれません。

イタリアでは、小売店を開店したい人はトレーニングプログラムと資格試験を受けなければならないそうです。小売業は、その地域の文化や慣習、制度の影響を大きく受けるということがよく分かります。

(参考文献 変わる世界の小売業).

フランスの小売業

本日はフランスの小売業に関して記載します。

【小売業の国際化が進んだ国 フランス】

フランスは世界でも小売業の国際化の進んだ国の一つであり、フランスのハイパーマーケット業態は世界中に拡がっています。ハイパーマーケットとは、衣食住全てを扱う郊外立地の倉庫型・集中レジ方式の総合スーパーの一つの形態のことをいいますが、ハイパーマーケット業態を用いた最初の店である「カルフール」は世界で2番目に大きい小売業で、2010年度現在で出店国数33か国に展開しています。同じくハイパーマーケット業態を用いている、世界15位の売上を誇るオーシャンは13か国に出店しています。

【フランスの小売業の国際化が進んでいる訳】

フランスの小売業が国際化している要因としては以下のような点が挙げられます。

まず、フランスの75%の人々が都市部に住んでいるのですが、そのような状況の中、市場がすでに飽和していると考えられています。そのため、フランスの小売業者の方針として、自国では新たに店舗を開かず、利益の出ない自国の店舗はスクラップする一方で、店舗を立ち上げるコストが低く、競争の激しくない外国市場へ進出するという方向になっています。

また、フランス政府の小売業に対する規制が理由として挙げられます。

1973年以降、フランスではロワイエ法という法律が施行され、すべての小売業者は認可を得る必要があります。この法律は20年に亘って運用されました。この規制は最近規制され、認可が必要な店舗面積の条件が引き下げられてはいます。併せて、フランスでは小売価格設定と小売価格の値引きを制限する法律も存在します。こうした状況がフランス小売業の国際進出を促したのです。

【ハイパーマーケット カルフール】

前述したように、カルフールはハイパーマーケット業態を用いた初めての小売業者です。初めはアメリカ市場に進出したものの成功せず、撤退を余儀なくされていますが、その後、中欧やラテンアメリカなど、近代的な小売業が確立されていない国々に集中して出店し、成功を収めています。

カルフールは多国籍の事業展開が特徴的です。当初は、経営を分権化システムによって、国際的に事業を拡大してきましたが、1994年以降、この戦略を翻し、中央集権型の運営に転換します。これにより、大規模な共通の品揃えができ、カルフールにとってより有利な条件で仕入れを行うことが可能となりました。

【フランスの百貨店】

世界初の百貨店「ボン・マルシェ」がパリに誕生してから、130年間に亘ってフランスは百貨店分野のリーダー的な存在でした。しかしながら、現在では伝統的な百貨店は困難な時代を迎えているといいます。この理由としては、百貨店がハイパーマーケットのように自らの物流システムを効率化してこなかったということが挙げられます。そして、ハードディスカウンター(小売業の業態の一つで超安売り業態のこと)が市場に参入し、同じ商品をより低価格で販売を始めたということが挙げられます。

フランスは百貨店とハイパーマーケットという業態を生み出した国で、現在、その業態は世界各地に拡がっています。近年ではオーシャンが「クロノドライブ」というドライブ・スルーの店舗を展開するなど、新たな小売システムを創り出しています。国家の規制がある中、進化を遂げるフランスの小売業には興味深さを感じます。

(参考文献 変わる世界の小売業)

インドの小売業

本日はインドの小売業に関して記載します。

【世界第8位 インド小売業の概要】

インドの小売市場の規模は世界第8位と非常に大きなものとなっています。とはいうものの日本の小売業のような形のイメージとはだいぶ異なるように感じます。まず、小売業の販売額の95%がパパママ・ストアによって占められています。そして、小売産業における最大のカテゴリーは常設店舗では食品、飲料、タバコを扱う専門の小売業者となります。また、小売業の多くがセルフサービスをとることなく、『フル』サービスを実施しています。インドでは労働賃金が安く、セルフサービスによって労務費を節約する必要がないことや、店主の所得が低く、大型店舗を借りたり、投資したりすることが出来ないことが理由のようです。よって、インドのほとんどの小売店で、接客を行い、店主や店員がカウンターの背後から商品を持ち出して、顧客に見せるというシステムをとっています。

【インド 外国からの直接投資の禁止】

2006年1月にインド政府は自社製品を生産する外国の小売業者に対して、その製品をインド国内で販売してもよいと発表しました。これはナイキのような製造業者は小売店を開設することができるけれども、ウォルマートのような小売店にはそれができないということを意味します。例えばメトロ(独)はインドにウェアハウスクラブを開設していますが、これは最終消費者が一般顧客ではなく企業であるという理由からライセンスを与えられたと言います。このようなことから、インドの小売システムは外部からの影響を受けにくいということが言えます。

【インドの課税】

インドの各州においては、ある州から持ち込まれた商品には2度課税がされることになっています。一度目はその商品が生産された州で、二度目はそれが販売される州です。商品の仕入れを州内のみで行えばいいのですが、そうでなければ税金の負担が増してしまいます。その様なことから、小売業者の全国的なチェーン展開が難しくなっていると言います。

【インド小売業のプライベート・ブランド(PB)の多さ】

インドのほとんどの百貨店やスーパーマーケット・チェーンで、他のブランド品よりマージンや利益率の高い、プライベート・ブランド製品の販売促進に力を入れています。インドのビジネス財閥の一つタタ・グループの一員である「トレント」では、PBの売上が90%。インドで最古で最大の百貨店チェーン「ショッパーズ・ショップ」でPBの売上が約22%。アパレル産業として始まった百貨店「パンタルーン」は百貨店を開店するために、川下の小売部門を統合。PBの売上は80%を占めています。

また、ほとんどのスーパーマーケットでは、米、小麦、砂糖、塩、小麦粉、豆などをパッケージし直して、それをPBとして販売しています。インドで2番目に大きいチェーンであるRPGエンタープライゼスの「フード・ワールド」の売上のPBの占める割合は約22%となっています。

【宗教上の問題】

ヒンズー教において雌牛は神聖なものであるため、インド南部にあるスーパーマーケットでは牛肉は販売していないそうです。余談ではありますが、マクドナルドは、インドにおいては製造業と見なされて、出店のライセンスを取っているのですが、もちろんビーフ100%での販売は行っていません。チキンやフィレオフィッシュ、カレー風味の野菜コロッケといったものがパンに挟まれているようです。マクドナルドのみならず、小売業においても宗教が影響を与えているのです。

インドの小売業は日本のそれと比べてユニークなものであると感じます。また、市場としては大きいのに、小売各社がインドに進出していない理由というのも上記から理解できます。国の制度というものが海外進出を行う際の大きな壁になるということでしょう。

一方、2012年にインドのシン首相が小売業の外資系企業の参入を認める方針を打ち出しています。今後、インドの小売業がどう変わっていくのかも注目です。

(参考文献 変わる世界の小売業)

ボーイング 新たな成長

本日はボーイング、現状維持からの脱却による新たな成長に関して記載します。

【民間航空機 ピストン・エンジンの時代】

ボーイングは今では民間の航空機業界で支配的なメーカーの一つになっていますが、第二次世界大戦の数年後までは主に軍用機を作るメーカーで、ジェット機技術で卓越した存在でしたが、民間の航空機で力を持っているわけではありませんでした。

また、1950年代半ば、民間の航空路を往来していたのは、低空で騒音をまき散らしながらピストン・エンジンでゆっくり進む、乗り心地の悪い機体ばかりではあったものの、民間のジェット機に将来性があるとは考えられていませんでした。

当時は冷戦が拡大しており、アメリカやその同盟国から爆撃機や給油機が必要とされていましたので、ボーイングが敢えて民間の航空機の分野に手を伸ばすという選択をする必要もなかったとも言えます。

【ボーイングの挑戦】

しかしながら、1952年、ボーイングは単一の製品で民間機市場に打って出るという社運を賭けた行動を行います。後に「707」へとつながる新機種開発へ1600万ドルの投資を行うことを決定したのです。707の開発計画を実施するに当たって、明らかな勝算があったわけではなかったと言います。当時はジェット機の需要があったわけではありませんでしたので、買ってくれる顧客がいるに違いないという確信に賭けていただけだったのです。そのため、ボーイングは新聞・雑誌や放送メディアで「フランス語に磨きをかけにいくのに7時間しかかかりません」といった印象的なコピーを打つなどし、ジェット機の安全性・快適性・スピードをアピールして、人々にボーイングの航空機を選んでもらえるような試みも行いました。そして1958年10月26日、旅客を乗せた707はニューヨーク・パリ間の初飛行を無事成功。それにより、現在に至る、民間航空の新たな時代が幕を開けることになったのです。

【現状からの脱却の重要性】

スティーブ・ジョブズがiPodやiPhoneを作りイノベーションを起こしたように、ボーイングも707で当時の航空業界の歴史を変えたのです。軍用機で評価を受けていたボーイングにとって、そのまま現状を維持することもできたのですが、そうはしなかったために新たな成長を遂げることが出来ました。現状の枠組みを超えて革新を起こす勇気が新たな成長につながることが、ボーイングの例からも分かります。

(参考文献 ありえない決断)

キャラクタータイアップ はるやま商事「ジョジョ第2部タイアップ商品」の事例

本日はキャラクタータイアップ、はるやま商事「ジョジョ第2部タイアップ商品」の事例に関して記載します。

【はるやま商事とジョジョ】

はるやま商事は紳士服の専門店で、日経MJが2012年度に調査した「日本の専門店調査」の紳士服業界の順位を見てみると、青山商事(売上高178,503百万円)、AOKI(売上高103,932百万円)に続いて、第3位の売上規模を誇っています(売上高50,766百万円)。

一方、『ジョジョの奇妙な冒険』は荒木飛呂彦氏の描く1987年から『週刊少年ジャンプ(集英社)』で連載が始まった作品で、現在も震災後の杜王町を舞台とする第8部『ジョジョリオン』が連載されていて、ファン層が厚い人気作です。

【はるやま商事とジョジョのコラボがもたらした結果】

はるやま商事はテレビアニメ版ジョジョ第2部とのコラボレーション商品を開発しました。内容としてはワイシャツやネクタイなど計26アイテム。これらの商品を2013年11月29日から同社の持つ全国の「はるやま」「マスカット」「P.S.F.A」各店舗で順次販売を開始しました。

その1週間前の11月22日には、オンラインストアにて先行予約販売を開始。同社の467万人を有するLINE公式アカウントでコラボ商品を告知した直後に一時サーバーがダウンするほどアクセスが集中。先行予約用に準備していた約1500点の初期在庫は2日間で完売しました。また、オンラインストアではコラボ商品の購入特典を用意したところ、まとめ買いの誘発に繋がりました。中には、商品の価格帯が1995円~4980円にもかかわらず、1回で8万円分の商品を購入する人もいたそうです。このコラボ商品販売後、同社ECサイトの売上は販売前の約5倍で推移するという好成績を上げることが出来ました。

【はるやま商事がジョジョとコラボするにあたって取り組んだこと】

ジョジョのスピンオフ作品に『岸辺露伴 グッチへ行く』という、ジョジョとグッチがコラボした作品がありますが、ジョジョ自体ファッション分野への転用に適していることも同社がコラボする一つの理由としたようです。一方で、ジョジョは嗜好性が強い作品なので、中途半端なデザインではファンに対して悪い印象を与えてしまう恐れがあったことから、その商品開発には細心の注意を払ったと言います。

プロモーションにおいてはネット上でのバイラル効果を重視。『ジャンプ』や荒木氏の公式サイトなどで集中的に告知を実施しました。その理由としてはキャラクタータイアップの強みとして、大規模な広告展開をしなくてもファン自らが情報を取りに来て、内容が良ければ拡散してくれるという点にあり、ファンが自発的に集まってくれるオンラインメディアに集中して情報発信を行えば、効率的にECサイトや店舗に誘導できるからです。

【キャラクタータイアップ:共創の時代】

キャラクタータイアップを行うことにより、そのキャラクターのファン層に確実にアプローチを行うことが出来ます。最近では企業が販促施策の中で、ファンをコミュニティ化していく動きも生まれているといいます。一方で、ただキャラクターを使えば良いというわけでもなく、その世界観をどのように受け、どうコラボしていくのかということも重要になってきます。これからの時代、キャラクタータイアップの事例のように、ファンとともに共創していくことが成功要因の一つとなります。そのためにはファンが好きなモノを好きと言えるようになる熱意や情熱を持ち、それを体現していくことが必要になると言えそうです。

(参考文献 販促会議February 2014)