道ナカ

本日は道ナカに関して記載します。

だいぶ前に中央道を利用した際に談合坂SAによったのですが、広々としてきれいなSAでした。どうも2011年に都心からの旅の入り口をコンセプトに再開発されたようです。長時間の車の運転で疲れている時にきれいな場所で休憩ができるのはいいものです。

さて、近年、高速道路のサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)が鉄道の駅ナカと同様、流動的に人々が集まる立地場所として注目を集めていて、談合坂SAのように商業施設が再開発されています。

SAやPAが開発されるようになったきっかけは道路公団の民営化でした。2005年10月に道路公団は「東日本高速道路(NEXCO東日本)」「中日本高速道路(NEXCO中日本)」「西日本高速道路(NEXCO西日本)」の3社に分割されたのですが、その際に各社ともに経営効率が至上命題となり、SAとPAの再開発がなされるようになりました。

道ナカ開発が本格化したのは2008年、NEXCO東日本の100%子会社「ネクセリア東日本」が幕張PAをリニューアルして開設した「Passr幕張」からで、それを皮切りに次々と他の高速道路会社も開発を進めていきました。例えば、NEXCO中日本が東名高速道の海老名SAに開発したEXPASA(エクスパーサ)は全国最大級の道ナカ商業施設で、人気セレクトショップ「ユナイテッドアローズ」や高級スーパー「成城石井」など28店舗が入居しています。また、関越自動車道の南仏プロバァンスの雰囲気を演出した「寄居・星の王子さまPA」や東北自動車道の鬼平犯科帳をテーマとした「羽生・江戸村PA」のようにテーマパーク化された商業施設まで登場しています。羽生のPAでは従業員の「しぐさ」や「言葉づかい」も時代考証を踏まえた江戸様式を採用しているとのことです。

高速道路のSAやPAの商業施設が大型化する背景には一般道からの利用が可能になっているということもあるようです。小売業や外食業の側も道ナカの集客力を積極的に活用しようという動きも広がってきています。

今後も新たな商業施設として開発が続いていくのかもしれません。

(参考文献 立地ウォーズ)

イノベーションのジレンマ“シアーズ”と“ウォルマート”

本日はイノベーションのジレンマ“シアーズ”と“ウォルマート”に関して記載します。

【世界最大の小売業だったシアーズと世界最大の小売業ウォルマート】

シアーズは過去、様々な分野で小売業の技術革新を行い、アメリカ最大(=世界最大)の小売業として君臨していました。同社はもともと通販ビジネスで成長した企業でした。その勢いは、19世紀、アメリカでどの家に行っても、聖書と同社のカタログがあったと言われているほどです。ところが1920年代にアメリカで自動車が普及し始めると、注文した商品が届くのを待つより、自動車で小売店に行って商品を購入することを好む消費者が増えていきました。この環境変化に対しシアーズはGMSと呼ばれるビジネスモデルを構築。大きな駐車場を完備した大型店舗に衣料品から雑貨まで様々な商品を置き、消費者がワンストップショッピングできるようにしました。この際のシアーズの店舗は日本型GMSであるイオンやイトーヨーカ堂とは異なり食料品の取り扱いは行っていませんでしたが、代わりに自動車保険や自動車修理を扱っていました。また同社はPBの取り組みを行ったり、シアーズカードを展開し、シアーズの店でのみ様々な付帯サービスを提供したりと、今では当たり前のようにある小売業の仕組みを生み出していったのです。まさしく当時のシアーズはイノベーションの先端を走る企業だったのです。

しかしながら、このシアーズはEDLP(エブリデイ・ロープライス:いつでも低価格で商品を提供)を掲げるウォルマートに売上世界第一位の小売業の座を奪われることになります。これは技術革新や社会の変化により、シアーズが作り出してきた様々なイノベーションが、同社以外にも簡単に利用できるようになってきたということが、要因として挙げられます。他のクレジットカードのサービスは充実し、商品の幅が広がったことによりシアーズだけではワンストップショッピングが成り立たなくなり、同社の開発するPBも様々な商品が流通することでその価値が相対的に低くなってしまったのです。そして、シアーズが開拓したサービスを踏まえて、より魅力的な価格と品揃えだけに集中したウォルマートのような店がより多くの消費者を引き付けるようになっていったのです。

【イノベーションのジレンマ】

シアーズが後発であるウォルマートに抜き去られたような事例は、イノベーションのジレンマという考え方に当てはまります。イノベーションのジレンマとは、業界トップになった企業が顧客の意見に耳を傾けて、今まで以上に高品質な製品・サービスを提供していくことが、かえってイノベーションを立ち遅らせ、結果として失敗を招くという考え方です。優良企業にとって、規模の大きい既存事業の前に現れる新興の事業や技術は魅力なく見えるとともに、既存事業とのカニバリズム(共食い)を起こす危険があるため、新興市場への参入が遅れる傾向にあるのです。

企業が継続的に成長していくためには、ライフサイクルの成熟期に入ったタイミングで破壊的イノベーション(従来製品の価値を破壊するかもしれない全く新しい価値を生み出すイノベーション)を起こしていくことが必要となってくるわけですが、成熟期に入ったタイミングでそれが起こせるかどうかは、非常に難しい経営判断となるのかもしれません。

(参考文献 「流通大変動 現場から見えてくる日本経済」)

チャネルリーダー

本日はチャネルリーダーに関して記載します。

【高い利益の確保に直結するチャネルリーダーのポジション】

流通経路の中で主導的な役割を果たし、商品や情報の流通をコントロールするものを“チャネルリーダー”と言いますが、このチャネルリーダーのポジションを確保できるかできないかは、企業が高い利益を出せるかどうかの重要なポイントとなってきます。

例えば、スティーブ・ジョブズが存命中のアップルは高い利益と株価を上げていましたが、その理由はアップルがチャネルリーダーだったためと言います。同社は製品の価格決定権を握っていましたし、同社と取引するために多くの企業は競い合っていました。同社は販売力のある製品を背景に、通信会社に対して有利な条件で契約を結ぼうと交渉を進めることができました。それと合わせ、世界各地のメーカーが作った部品を徹底的に比較し、より低コストで作られた部品を調達するということが行えたのです。

このようにチャネルリーダーのポジションを確保することは、企業が優位な立場に立つために重要であるということが言えます。

【チャネルリーダーのポジションの変遷の中で】

戦後日本では多くの商品でチャネルリーダーのポジションはメーカーが握っていました。しかし、近年、大量仕入・大量販売を広域に展開する小売業の方へチャネルリーダーはシフトしつつあります。こうした中で、メーカーが採るべき道は2つあると言います。一つはアップルのように同業他社に真似のできないような圧倒的に優れた製品を生産するということです。そしてもう一つが、影響力のある大きな小売業に対抗できるようなチャネル戦略を模索し、チャネルリーダーのポジションを維持するという方法です。

資生堂は二つ目に記載した方法を採ってチャネルリーダーのポジションを維持しようとしています。同社は自らの商品を販売するチャネルをいくつかに分け、それぞれのチャネルで違った商品と販売方法を選択しています。デパートでは資生堂自らが出店して高価格高サービスを維持。大型量販店では広告などを積極的に使ってブランドの認知度を高めて大きな市場を確保しつつ、価格については値引き販売も覚悟した販売戦略を実施。そして、全国に広がる資生堂の系列店には特徴のある独自の商品を投入し、地域の専門店ならではの接客によって顧客を確保します。このような戦略を採ることによって資生堂はチャネルリーダーのポジションを維持しようとしているのです。

日本において、チャネルリーダーは戦前までは卸売業が握っていたそうです。時代の変遷・社会の変化に伴ってチャネルリーダーのポジションに立つ企業は変わっていきます。時流を読み取り成長を続け、そのポジションに立てるようにしていくことが重要だと言えそうです。

(参考文献 「流通大変動 現場から見えてくる日本経済」)

六次産業とバリューチェーン

本日は六次産業とバリューチェーンに関して記載します。

【六次産業とは】

日本の農業を活性化していく手法として六次産業化という方法が注目を集めていると言います。農業は第一次産業に当たりますが、それに製造業である第二次産業、流通サービスである第三次産業の要素を加えていこうということが六次産業化の考え方となります。この六次産業という名称は、第一次産業、第二次産業、第三次産業の1、2、3をそれぞれ足して6になることをもじった造語、もしくは1×2×3=6とそれぞれが有機的に結びついているという足し算以上の効果が期待できるという掛け算であるという意味合いもあるようです。

この六次産業の事例として、以下のようなものがあります。

■農業のブランド化:(例)古くから飼育されていた「シャモ」をブランド化する

■消費者への直接販売:(例)自家生産の米からどぶろくを製造・販売

■レストラン経営:(例)トマト産地でファームカフェをオープン

【農業:分業体制から一連の流れへ】

従来の農業は、農業は農作業をするだけで、流通はJAや青果市場が独占し、下流は外食産業、スーパー、食品工場で行っていました。上流の農業は農業に特化し、流通や小売に口を出すようなことはしないという分業が行われていたのです。ところが、市場が成熟する中で、従来型の分業では高い価値を生み出すことが難しくなってきたのです。そこで、上流から下流まで一連の流れとするビジネスモデルが登場することとなったのです。例えば、大都市のスーパーや生協などに直接販売をするということを行っている場合、単純に販売チャネルを変えるということではなく、生産方法を改良し、生産の変動を調整するための仕組みを考案するという様々な試みに繋がっていると言います。その結果、旧来の農業に比べて高い収益を上げることができるのです。

上記のような農業の動きは、原材料の生産から製品・サービスを顧客に届けるまでの一連の活動を“価値のつながり〈バリューチェーン〉”として捉え、取り組みを進めているということが言えると思います。

【バリューチェーンとは】

バリューチェーンは主要活動と支援活動に大きく分かれ、主要活動は購買/物流、製造、出荷/物流、販売・マーケティング、アフターサービスなどの連続したプロセスから成り立ちます。企業はプロセスごとに価値を付け加えていきます。この主要活動をバックアップするのが支援活動で、購買活動、技術開発、人事労務管理、全般管理などがあります。

このバリューチェーンという企業活動一連の流れのプロセスをみていくことで“自らの強み・弱みを把握する”“コスト構造を把握する”ということを行い、収益率を上げていくということにつなげていくわけです。

まさしく六次産業化は今までバラバラだったバリューチェーンを一つの流れとして見ることで、より高い利益を上げられるようにしようとしているということが伺えます。バリューチェーンを分析し強み/弱み・コスト構造を把握することは自社が成長していく上で大切なことだと思われます。

(参考文献 「流通大変動 現場から見えてくる日本経済」「ポーター×コトラー仕事現場で使えるマーケティングの実践法が2.5時間でわかる本」)

スマイルカーブ

本日は“スマイルカーブ”に関して記載します。

【スマイルカーブとは】

メーカーから消費者までの商品の流れを水の流れに例え、メーカーを上流、中流を問屋、小売業を下流と呼ぶ場合がありますが、このスマイルカーブとは「上流や下流は高い利益率を上げることができるけれど、中流の利益率が低く、上流から下流へ利益率を線で引くと、笑った時の人間の口の形のように両端が少し上がった形の曲線になる」ことを言います。

スマイルカーブは市場が成熟すると、その傾向が強くなります。その理由としては以下のようになります。まず、市場が成熟すると企業間の競争が激しくなり、利益を上げるためには差別化が必要となってきます。上流にある企業は製品で差別化をしやすい立場にあります。そして下流にある企業は、消費者やユーザーに近いところにいるので、ビジネスモデルなどで差別化を図ることが出来ます。しかしながら、中流にある企業ではそのどちらの差別化も難しくなります。

【スマイルカーブの例】

スマイルカーブはいろいろな業界で見られると言いますが、その典型として繊維・アパレル業界があります。上流で世界的ブランドを展開している企業や、東レのように炭素繊維などの素材を提供している企業は高い利益率を上げられます。一方、下流ではユニクロのようなファストファッションに見られるように、消費者の価値を取り込んだビジネスモデルを構築し利益を上げています。

【スマイルカーブ、中流にある問屋の生き残り策】

スマイルカーブ下での市場縮小で、問屋は生き残りをかけて大きく変化していきます。それは業界の再編、大手問屋による地方の中小問屋の吸収、大手問屋間での合併といった変化です。また、問屋の廃業や倒産もありその数を急速に減らしていきます。

合併等による問屋の生き残り策以外に、中流にある問屋が下流の顧客により深く入り込み、高い付加価値を生み出し、利益を上げるという手法があります。アメリカで医薬品や医療機器などの問屋をしているカーディナルヘルスでは社長の“Follow the pill”の指示の下、自分の商品の動きを追うということを実施しました。その中で、ある担当者が医薬品を管理している場所へ行くと、無駄な在庫があったり危険な薬の管理が悪かったりしていることを発見します。それを受けて、同社は薬の容器の提案や医薬品の在庫管理による無駄の削減を提案し、病院の薬品管理の機能を引き受けることとなりました。病院の困っていることの解決策を提案することで、同社は高い利益を上げることに成功したのです。

市場が飽和している時、メーカー・問屋・小売業ともに差別化を図っていくことが重要であるということが言えます。

(参考文献 「流通大変動 現場から見えてくる日本経済」)

総合電機メーカーから見る日本企業と韓国企業の強みの違い

本日は総合電機メーカーから見る日本企業と韓国企業の強みの違いに関して記載します。

【日本企業と韓国企業 経営スタイルの違い】

最近、経営が日本の総合電機メーカーより、マーケティングに力を入れることによって業績を伸ばしたサムスンやLGなどの韓国企業が注目されることがあります。日本企業と韓国企業の大きな違いは経営スタイルにあり、韓国企業は、自社の技術を活かすという観点よりも売れるモノを作ることを重視する「マーケティング指向経営」であるのに対して、日本企業は自社の技術を使って良い製品を創り出す「モノ作り指向経営」となっています。双方、それぞれに別々の経営スタイルを持っていて、それがマネジメントにも影響を与えることとなっているのです。どちらが良い、悪いというわけではなく、活躍の場が異なるということです。

【マーケティング指向】

マーケティング指向経営は、自社に足りない技術があれば企業買収や他社から技術者を引き抜くことによってマーケットで必要とされる商品を開発するスタイルで、液晶テレビやスマートフォン、タブレットPCなどの消費者向けの商品を作るBtoCの領域に向いている経営スタイルとなります。このことは流行り廃りが激しい、短い時間軸で考えなければならない製品が向いているということに繋がります。なお、サムスンの利益の約半分を稼ぎ出している半導体事業は、大規模な投資が必要であるとともに、価格の上下変動と製品サイクルが短いハイリスク・ハイリターンな事業となっています。

【モノ作り指向】

一方でモノ作り指向経営は、研究開発や製品の改良を積み重ねていくことにより結果を出す素材産業や部品産業のように、長い時間軸で考える製品が向いています。このことはマーケティング指向経営がBtoC の領域に向いているのに対して、BtoBの領域に向いているということとなります。一方で冷蔵庫や洗濯機のような改良を積み重ねていく家電製品も得意分野となります。

【韓国の貿易数字で見ると】

早急に結果を出すことを求める韓国企業は、長い時間をかけて改良を重ねる素材や電子部品などの分野は苦手となります。そのため、韓国企業は日本企業から多くの部品を購入していて、サムスンなどの韓国企業の売上が増えれば増えるほど、日本の部品メーカーの売上も増えるという関係にあります。韓国の2010年の貿易数字を見ると、日本への輸出が282億ドル(2兆2,560億円)、日本からの輸入が643億ドル(5兆1,440億円)と対日貿易では3兆円近い赤字となっています。この対日赤字の主な原因は部品素材の輸入によるものと言われます。

経営スタイルの違いは時流に乗れば結果を残せることになるでしょうし、逆であればマイナスの報道として伝えられることとなります。単純に売上数字だけを見ていると見えてこない部分もあるということが言えるような気がします。

(参考文献 ビジネスモデル分析術)

コーヒー戦争

本日はコーヒー戦争に関して記載します。

【コンビニコーヒー、ブレイク】

2013年1月、セブン-イレブンはドリップ式コーヒー「セブンカフェ(Sサイズ100円)」の販売を始めました。この商品は大ヒットとなり2013年12月12日で累計3億杯を販売するに至りました。そしてこの「セブンカフェ」が登場したことにより、競合他社はコーヒー戦略を見直し、その結果コンビニコーヒーの販売数は各社合計で7億杯以上となりました。コンビニ業界2位のローソンは「マチカフェ」というコンセプトを打ち出しました。「マチカフェ」はスターバックスなどを手本としており、本格的なコーヒー関連商品を10種類以上販売するとともに、同業他社がセルフ方式なのに対し「挽きたて、淹れたてコーヒー」を店員が作ります。ローソンはさらに2015年春までに商品を店内で調理し、出来立て、手作り感にこだわった「まちかど厨房」を5000店に広げる計画を立てています。この「まちかど厨房」はカツサンドやハンバーガーなどを店内で調理したり、惣菜の量り売りをしたりしています。ローソンは「まちかど厨房」によりカフェやファストフードから顧客を奪うことを狙っているのです。コンビニ業界3位のファミリーマートも「ファミマカフェ」を展開するとともに、新店ではイートインコーナーを設ける方針で、「すぐに食べられるコンビニ」への転換を進めようとしています。2014年にはコンビニコーヒーは10億杯を突破すると想定されています。

【コンビニコーヒーに浸食される缶コーヒー・チルド系のコーヒー】

セブン-イレブンが「セブンカフェ」で100円コーヒーを展開した時に、最初に影響を受けたのが缶コーヒーとチルド系のコーヒーでした。もともと缶コーヒーとチルド系のコーヒーは店内でカニバリズム(共食い)を起こしていたのですが、そこに「セブンカフェ」が登場し、それらのシェアを奪っていったのです。缶コーヒーの上位銘柄には日本コカ・コーラの「ジョージア」、UCCの「UCCミルク&コーヒー」、サントリーの「BOSS」がありますが、軒並み売上を落としています。そもそも缶コーヒー自体、競合が激しい商品となっており、スーパーやディスカウントストアでは安売りされるため、利幅が取りにくくなっています。コンビニで販売すれば、110円以上で販売できるので利益が取りやすいのですが、そこをコンビニコーヒーに奪われている形となっています。

【コーヒーを取り巻く企業の変化】

コンビニコーヒーの勢いは回転ずしの「くら寿司」や牛丼の「すき家」などにもコーヒーメニューを登場させることとなりました。また、「ミスタードーナツ」は2013年9月にコーヒーの刷新に取り組み逆襲に転じようとしています。

ドトール・日レスホールディングス傘下の「ドトールコーヒー」では、古くなった店舗を「白ドトール」と呼ばれる新店舗に改装。白ドトールは外壁や店内の壁紙を白で統一し、女性が入店しやすい雰囲気作りを行っています。また、ブランド力の落ちる「エクセルシオールカフェ」の見直しも進めるとともに、コメダ珈琲店を参考にフルサービス型の喫茶店「星乃珈琲店」も展開。また、都心部立地の「銀座ルノアール」も2013年にキーコーヒーと資本提携し、郊外型立地「ミヤマ珈琲」で成功を収めています。

コンビニの店舗数の飽和が言われる中、セブンカフェのような商品を販売することにより、その存在感をますます強めているように思われます。今後、国内市場が縮小していく中で、「どこで新規市場を作るか」「どこからパイを奪うか」という考え方が、より重視されていくのかもしれません。

(参考文献 月刊BOSS 2014年3月号臨時増刊号)

エンターテインメント系非物販テナント

本日はSCを特徴化するエンターテインメント系 非物販テナントに関して記載します。

【コト消費に特化した新しいショッピングセンター(SC)イオンモール幕張新都心】

2013年12月20日に「コト消費」に特化したSCイオンモール幕張新都心がグランドオープンしました。年間来街者数目標3500人を目標に掲げ、現在のところ計画通りの推移をしているようです(ちなみに同SCの近くにある東京ディズニーランド並びにシーの来場者数は直近で2750万人なので、その目標数字の大きさが伺えます)。同SCの新しい試みとして、エンターテインメント性にあり、「よしもと幕張イオンモール」、「東映ヒーローワールド」、お仕事体験パーク「カンドゥー」、体験型スポーツモールの売り「ボルダリング」などが施設内にあります。

【非物販テナント シネコン】

エンターテインメントを高める非物販テナントは、SCを特徴化し集客やその特徴化させることとなります。例えばSCのテナントとしてよく見られるシネマコンプレックス(シネコン)においてはスクリーン数でみると、単独の映画館が2013年1148→2012年525とその数を減らしているのに対し、シネコンは1533→2012年2765とその数を増やしています。

【ゲーム業界の攻撃】

また、SCと親和性が高いと言われるゲーム業界においては、2013年に新業態が3施設できました。

ⅠJ-WORLD TOKYO

2013年7月にナムコが運営主体となりサンシャインシティに開業。J-WORLD TOKYOは週刊少年ジャンプとコラボした企画で、「ドラゴンボール」や「ワンピース」といった人気コミックの世界観をテーマにしています。池袋にはアニメイトなどサブカルチャーの店舗が多くあることも踏まえ、コアなカテゴリーに挑戦しています。

Ⅱ東映ヒーローワールド

2013年12月に先ほど記載したイオンモール幕張新都心に東映とナムコの共同事業としてスタート。東映は以前から「仮面ライダー」など、男児向けプログラムを充実させていて、この施設のターゲットも小学生男児が中心となります。モール内に映画館もあることから映画上映との相乗効果も狙っています。J-WORLD TOKYO同様、コアなファンを狙った施設と言えると思います。

ⅢOrbi Yokohamaオービィ横浜

セガが運営主体となって、イギリスのBBCが保有するコンテンツを主題とした、2013年8月にオープンした体験型ミュージアム。横浜湾岸部にオープンした「MARK IS みなとみらい」に立地し、開業1ヶ月間で約10万人の入場者を集めました。コンセプトは「地球上の大自然を体感する」であり、年齢・性別を超えた集客が可能。

近年、若者のゲーム離れがあり、ゲーム業界は苦戦が続いています。2013年3月末のバンダイナムコホールディングスのアミューズメント施設事業の数字を見ると売上高約601億円、前年比で△1.4%、セガサミーグループは売上高約427億円、前年比△4.3%となっています。この業界不況を脱するために3つの新業態がSC内に開業したこととなりますが、これらはSCの差別化・集客強化を図る重要な要素となります。コト消費が言われる中、これらの非物販テナントが今後どれほどの力を発揮できるのか気になるところです。

(参考文献 販売革新2014 2月)

プライベートブランド(PB)の歴史

本日はプライベートブランド(PB)の歴史について記載します。

最近、イオンのトップバリュのCMをよく目にします。PBは少し前まで安いモノというイメージでしたが、このイメージが変わってきているようです。そこで、PBの歴史について以下見てみます。

【PBの誕生】

日本でのPBの歴史は1959年に大丸が「TOROJAN(トロージャン)」というブランドのスーツを売り出したことに始まります。価格は1万3000円。低価格を武器にして勝負をしていくというものではありませんでした。低価格を武器とした商品としては、その翌年にダイエーが「ダイエーみかん」というみかんの缶詰を販売しています。これは缶詰自体にダイエーと入ってないノーブランド製品でした。ダイエーはこの後、1961年にダイエー社史の中で最初のPBとして紹介されているインスタントコーヒーを販売。翌62年に東洋紡と共同で「TOYOBOブルーマウンテンカッターシャツ」、食品分野で中小メーカーと組んで「ダイエー粉末ジュース」「ダイエー・マーガリン」「ダイエー・ラーメン」など販売。65年には日清製粉に依頼し、小麦粉の「ビーナー」を発売しました。こうして日本にPBが登場します。しかしながら、日本は高度成長期にあり、メーカーがモノを作れば飛ぶように売れた時代であったため、メーカー側からすると小売側に価格決定権を渡さなければならないPBを作る必要はありませんでしたし、小売側からしても手間をかけてPBを開発する必要はありませんでした。その様な中でダイエー創業者の中内功だけが、価格は消費者が決めるべきだという信念の下、PB作りを邁進していきます。

【第1次PBブーム】

1973年第4次中東戦争を受け、第1次オイルショックが起こります。これにより74年1年間で日本の消費者物価は23%も上がってしまいました。このインフレにより消費者は生活防衛のため低価格の商品を求めるようになります。そして、そのことが第1次PBブームを巻き起こすこととなります。74年にジャスコ(現イオン)は、日清食品がそれまで100円だったカップヌードルの価格を130円に値上げし、それを一方的に小売側に通告したことに対して抗議し取引を打ち切り、「Jカップ(カップ麺)」というイオン初のPBを88円で販売。80年には西友が無印良品を販売。ダイエー以外の他のチェーンストアもPB販売に踏み切っていきます。またダイエーは更にPBを充実させていき、80年に「セービング」を販売しています。

【第1次PBブームの終焉と第2次PBブームの到来】

第1次PBブームでのPBは価格上昇に対抗して作られたもので、価格訴求が主眼に置かれ品質が二の次になっていました。2度のオイルショックを受けて物価が落ち着くとPBに消費者は目を向けなくなり、バブル経済が始まると第1次PBブームは幕を閉じることとなります。

しかし、バブルが1991年崩壊すると消費者の財布の紐が固くなると同時に、急激な円高が進んでいきます。こうした状況下で円高による輸入価格の下落を利用して、ダイエーは再びPBの販売を強化していきます。また、94年にはイオンのトップバリュー(現トップバリュ)の販売がスタートしました。第2次PBブームは円高から円安に振れ、色あせていきます。

【現在の流れに至る、第3次PBブーム】

2007年頃からサブプライム・ローン問題が表面化し、2008年リーマンショックにより、日本の景気が悪化していきます。この状況下でトップバリュが売上を一気に伸ばします。その勢いは強く、08年は売上が対前年比40%増で3687億円、09年は同20%増で4424億円という結果でした。そこにセブン&アイのセブンプレミアムが加わり、現在の流れになってきています。

低価格が押しであったPBという形から、価値の高いPBという形へと時代とともに変わってきたことが伺えます。今の第3次PBブームは今までのブームと異なり、一過性に終わらず、日本の市場に定着しているという話もあります。PBで様々な価格帯のブランドを立ち上げているということも見られるようになってきています。長い不況を経て日本の小売市場が変化してきていることがPBの歴史を見ても伺うことができます。

(参考文献 月刊BOSS 2014年3月号臨時増刊号)

女性限定マラソン大会「ランガール・ナイト」のプライシングに関して

本日は女性限定マラソン大会「ランガール・ナイト」のプライシングに関して記載します。

「ランガール・ナイト」というお台場で開催される女性限定のマラソン大会があります。これは「ランガール」という一般社団法人が主催している大会で、同法人は自分たちのことを「走る女性ならではの視点・パワーを活かし、生活を浴衣にするアイデアを様々なカタチに変えていく企業集団」とし、先ほど記載したランガール・ナイトの企画・運営やランニングを通じての地域活性化などの活動を行っています。

さて、この女性限定のマラソン大会「ランガール・ナイト」ですが、2011年に開催された時には参加費が8000円に設定されていました。この価格設定は他の競合のマラソン大会の参加費と比較すると高額になります。東京マラソンだと参加費がフルマラソン1万円・10キロコース5000円、距離設定がランガール・ナイトと似通っている三浦国際市民マラソンだと、ハーフマラソン4000円・10キロ3500円・5キロ2500円となっています。2013年に開催された時にはランナーの参加費が6500円でしたので、2011年と比較すると若干安くなっていますが、それでも比較的高めの価格設定となっています。

このように高めの価格設定が行われているのには戦略的な意味合いがあります。

マラソンやランニングの価値構造を考えてみると、まず中核価値として「走ることによって得られる健康維持や体力作り」ということが挙げられます。それに加えてランガール・ナイトは女性の視点にこだわって作られていて、実体価値として「おしゃれに走ること」という価値が加わります。そして付随機能として“レース前のメイクレッスンやエクササイズレッスン”“レース後のパーティーやショー”がありますし、更衣室や託児所も用意されています。参加する女性にとっては高い参加費を払っても参加したいという価値があります。

また、あえて高い価格設定をすることによって、参加者をふるいにかける(フィルタリング)という効果があります。つまり、参加費を高額に設定することで、おしゃれに走る女性でありたいという意識の高い人が参加するよう絞り込みを行うのです。高い参加費を払って参加する人たちは共通の価値観を持っているため、イベント自体が盛り上がるという効果も期待できます。

フィルタリングという手法はよく見られるように思います。消費者側としては製品・サービスの価格が表している意味合いを考えることも重要なのでしょう。

(参考文献 ポーター×コトラー仕事現場で使えるマーケティングの実践法が2.5時間でわかる本)