本日は売場内の顧客誘導に関連して記載します。
店舗の売上の構成は“売上高=来店客数×客単価(買上金額)”となります。そのうちの客単価の構成を見ると“客単価=動線長×立寄率×視認率×買上率×買上個数×商品単価”となります。そこから、来店されたお客様にどれだけ多くの商品を買ってもらえるかには、店舗内をどれだけ歩いてもらえるかということがポイントとしてあり、そのためには売場の配置・位置の工夫であったり、店内の見通しを良くしたりということが重要となってきます。また、お客様が店舗内を歩く過程において、個々の売場にどれだけ立寄ってもらえるかということもポイントであり、POPやディスプレイによる情報提供やマグネットポイント(磁石のように顧客を引き付ける売場、商品)の設置や関連陳列(CMD)などの取り組みが必要となってきます。
売場レイアウトを構成するに当たり、顧客を売場内誘導するための経験法則として“ワンウェイ・コントロール”というものがあります。これは店舗レイアウトの工夫によりお客様の歩く距離を増やし、個々の売場に立ち寄ってもらえるようにする手段です。これを実施するに当たり、まず、通路上の顧客の大部分をより奥へ、長く誘導するために物理的に工夫することが必要です。例えば通路の在り方として、“お客様がカートを押したり、かごやお客様自身が自分のバッグを持ったままで、お客様同士が通路内ですれ違えるだけの、幅の広さがあること”“什器が凸凹通路に飛び出したりしていないこと(まっすぐな通路)”“曲がり角が少ないこと”“売場内の平均照度よりも通路上の照度の方が、やや明るいこと”“見通しを良くするために障害物をなくすこと”ということを行っていきます。上記のようなことを実施することにより、来店されたお客様がストレスを感じず快適に店内を回遊しやすくなる、なおかつ、広々とした感じ(豊富な品揃えがあると感じる)を持ってもらえる、という効果が期待できます。上記の他にワンウェイ・コントロールを実施するに当たり、売場の商品の関連で、顧客を次の売場へ誘導するような工夫も行っていきます。例えばマグネットポイントの考え方として、売場には“陳列されている商品が魅力を持っており、それだけでお客様を引き付ける”磁石のようなポイントが必要となってくるのですが、磁石となる売場や磁石となる品目を計画的に配置していくことが重要となってきます。例えば顧客を奥へ誘導するために店舗の壁面に沿って出入り口側の壁面以外を取り囲むように“消費量が多く、消費頻度が高い”商品を配置します。食品なら生鮮食品(野菜・魚・肉)、日配品、家電なら大型家電ではなく小型家電、乾電池、寝具なら布団よりも、毛布、シーツや枕カバーやパジャマ、ネグリジェ、といった具合になります。また通路の突き当りにも磁石となる売場を配置し、通路上の顧客を遠方から奥へ向けて、ぐいぐいと引き寄せていくことも重要となります。ここに配置する商品は、“消費量が多く、消費頻度が高いということを前提とした、急激に売れ筋となりつつある商品、またはトレンド商品、華やかさ・季節感あふれる商品”となります。またエンド陳列(ゴンドラ陳列の両端)も重要となり、主通路を歩いているお客様を副通路に誘導する役割を持っています。ここには“一般に周知されていないPBを一挙に知ってもらうために短期間に特価で商品提供する”“季節商品”“必需品・生活用品ではあっても、低購買頻度商品、あるいは通常の価格帯よりも値段の高いい商品を臨時に短期間クローズアップ”“特価品”“NBでメーカーが一気に知名度を上げたい新製品の特価”などを配置します。食品のゴンドラ線のエンド陳列が非食品でも問題ありません。実際に、全然関連しない商品を陳列するほうが、際立って顧客に注目してもらえるようです。
普段、スーパーで買い物をすると上記のような店舗レイアウトが行われています。そういった観点で買物をすると、また別の買物の面白さが出てくるようにも思われます。
(参考文献 店舗レイアウト)