本日はナイキタウンのチャネル・イノベーションに関して記載します。
【チャネル拡大の役割を担う旗艦店“ナイキタウン”】
スニーカーやスポーツウェアなどスポーツ関連商品を扱う世界的企業であるナイキは、ナイキタウンという店舗を運営しています。このナイキタウンは1990年11月にスタートしたのですが、熱狂的な人気を誇っているそうです。ナイキタウンは消費者が一般的な靴屋を超えた店舗だと思ってもらうように作られていて、例えばニューヨークにあるナイキタウンでは店内のあちらこちらに有名選手のサインや写真が飾られ、スポーツのテーマパークのような作りになっているそうです。また、ニューヨークに限らず、たいていの店舗ではルームランナーが置かれていて、来店者がそこでシューズの性能を試すことが出来るようになっていると言います。従業員についても変わった採用方法を採っていて、運動能力を基準にしています。実際、シカゴ店ではバスケットボールの元プロ選手が採用されたこともあるようです。建物自体については、ニューヨーク、ロンドン、シカゴ、北京など世界で最も地価の高い商業地区に作られていて、設計と建設に何百万ドルもかかったそうで、投資額も大きく贅沢な作りになっています。
ナイキタウンは上記のような巨額の投資を行っているため、シューズの販売額では投資額を回収することが難しくなっていて、実際、ナイキタウンのコストは宣伝費が当てられています。このような状況であってもナイキタウンが運営を続けていられる理由は、経営陣がナイキタウンという旗艦店を設けることによって、どんな宣伝キャンペーンにも劣らないくらい自社のブランドイメージの向上に貢献してくれるはずだと判断しているためです。またナイキタウンでは、閉店した後に大手アパレルメーカーのバイヤーを招待して、一流スポーツ選手やデザイナーと懇談してもらうということをしています。このような取り組みを行うことで、他の小売業者にナイキのシューズや用具をより効果的に売り込むにはどうしたら良いかを教えているのです。
ナイキはナイキタウン以外に、消費者がナイキのデザイナーと協力してシューズをカスタマイズできるナイキ・スポーツウエアの小売店を出店しており、チャネルを押し広げる取り組みを進めています。
【ナイキタウンから見る、チャネル・イノベーション】
自社の製品やサービスをどのようにして顧客に届けるかを考えるにあたって、昨今注目を集めるeコマース以外にも、ナイキタウンのような旗艦店を開設し、リアル店舗という従来型のチャネルを活用していくことも重要であると言えます。自社の製品やサービスを顧客に届けるために、一つのチャネルだけでなく複数のチャネルが補完し合うような方法を採っていくこと(チャネル・イノベーション)が重要となってくるということです。
(参考文献 ビジネスモデル・イノベーション ブレークスルーを起こすフレームワーク10)