本日はホールフーズ・マーケットの組織構造イノベーションに関して記載します。
【ホールフーズ・マーケット】
ホールフーズ・マーケットは1980年に設立されたアメリカにある比較的高級志向な食料品スーパーマーケットで、2012年現在、アメリカ、カナダ、イギリスに310店舗を超える店舗を持ち65,000人強の従業員を擁するまで成長した企業です。同社の発表によると2011年の売上高は100億ドルを超えているといいます。同社は、人材や資産を独自の形で編成することで価値を生み出す“組織構造イノベーション”を実施し成長してきました。
【ホールフーズ・マーケットの組織構造イノベーション】
ホールフーズ・マーケットでは徹底的な経営管理の分権化を行っています。各店舗がチームを構成し自律的に各部門を管理。どの商品を仕入れるか、その商品をどのようにディスプレイするかなどもチームが決定しています。同社は組織の力を発揮するために、チームプレイを重視しているのです。採用についても誰をチームに採用するかはチームで決めており、チームに入るためには現行メンバーの2/3以上の賛成が必要となります。各店舗は損益計算書で独立した事業部門として評価され、店舗内の各チームを明確な成果目標を持っています。
またチーム間・チーム内での情報も密なものとなっています。商品の売上・利益率などの詳細な情報が店舗の垣根を超えて共有され、その情報が共有されているレベルは、一時期、同社の従業員が全員証券取引委員会にインサイダーに分類されていたほどでした。この情報の共有化により、チームが会社全体でうまくいっていることを把握するとともに、チーム間が切磋琢磨することに繋がり、同社の成長を支えるエンジンとなっているのです。
【組織構造イノベーションの他の事例】
ホールフーズ・マーケットのように企業の人材や組織を独自の形で編成し価値を生み出している事例は他にも多々あります。その取り組みとしては報奨制度を構築したり、営業コストや複雑さを縮小するために資産を標準化したり、高度な訓練を継続的に提供するための企業内大学を創設したりといったものがあります。この組織構造イノベーションは競合他社が模倣することが困難となることから、自社の長期的な成長を支えてくれるものとなります。ホールフーズ・マーケット以外では以下のような事例があります。
■W・L・ゴア:フラットな格子型組織モデルを構築。社内のチームは意図的に小さくされていて、活動は命令ではなくコミットメントによって管理される。
■ファビンディア:インドの織物・衣料・家庭用品小売り企業。美術品や工芸品を供給している現地の職人たちが所有、経営している。
■ゼネラル・エレクトリック(GE):GE幹部向けの社内ビジネススクールを立ち上げた。
組織構造イノベーションを実施することにより、企業が独自の進化を遂げることとなります。他社から成功モデルが模倣されにくいということは自社の競争力を高めることに繋がりますので、重要なことと言えます。
(参考文献 ビジネスモデル・イノベーション ブレークスルーを起こすフレームワーク10)